JPS6252820B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、超音波を利用した探触子装置に関
し、更に詳しくは、回転タイヤ形探触子を用い、
そのタイヤと被検査面との間に接触媒質を自動的
に供給し、かつ回収できるようにした装置に関す
るものである。

本発明は、特に限定するものではないが、例え
ば原子炉機器等のノズル取付溶接部、ノズル内面
コーナー部、セーフエンド溶接部あるいは配管溶
接部等を超音波を用いて遠隔自動で検査する装置
に好適なものである。

超音波検査装置並びにそれに組み込まれる探触
子として、従来から様々な方式、構造のものが開
発され、使用されている。従来公知の探触子の一
つとして、回転タイヤ形探触子がある。この探触
子は、ゴムタイヤの内部に超音波振動子を設ける
と共に、該ゴムタイヤの内部を水その他の液体で
満たしてなり、外周のタイヤ部のみが被検査面に
接触しつつ回転するようになつている。つまり、
ゴムタイヤ内を満たしている液体によつて振動子
と被検査面との音響的結合を計つている。

一般に、探触子と被検査面との間に油や水など
の接触媒質を介在させ、探触子を軽く当接させる
ようにしたとき高感度となることが知られてい
る。回転タイヤ形探触子の場合も例外ではない。
そこで、従来技術によれば、超音波を被検査面へ
伝えるための接触媒質を、外部から接触媒質供給
装置によりホース等を介して、探触子と被検査面
の間に供給し、かつ回収することが行われてい
た。このために、探触子近傍が非常に複雑な構造
となり、特に遠隔自動で行う超音波検査装置で
は、探触子の被検査面に対する密着性が悪く、か
つ探触子の移動に伴う接触媒質供給機構の処理等
で検査能率や検査の信頼性が悪いといつた欠点が
あつた。

本発明の目的は、上記のような従来技術の欠点
を解消し、探触子と被検査面の間への接触媒質の
供給を自己供給式とすることによつて、外部供給
機構を無くして探触子近傍の構造を単純化し、そ
れによつて被検査面への探触子の密着性を良好に
し、併せて遠隔自動による検査能率及び確実性を
向上させることができるような探触子装置を提供
することにある。

以下、図面に基づき本発明について詳述する。
本発明に係る探触子装置を装備した配管自動遠隔
検査用の超音波探傷装置の一例を第１図に示す。
装置は、検査対象箇所へ前もつて取り付けられる
ガイドレール１と、検査の際に該ガイドレール１
に装着される旋回駆動部２を有し、該旋回駆動部
２には、円周駆動や検査に必要な動力源となるモ
ータ３、位置検出器４、探触子装置上下機構５、
および接触媒質自己供給型探触子装置６等が装備
されている。接触媒質自己供給型探触子装置６を
除いて、この種の装置は既に公知であるから（第
１図に示すものと全く同一のものが公知ではない
が）、それらについては簡単に記載するにとどめ
る。位置検出器４は探触子装置６の位置を検出す
るもので、探触子装置６が上下したそのストロー
クを旋回駆動部２に内蔵されているポテンシヨメ
ータ（位置検出器）で検出する構造となつてい
る。上下機構５は探触子装置６を被検査面に押し
つける機能を果たすもので、旋回駆動部２内に設
けられている上下駆動用のモータによつて上下す
る。あるいは、スプリングによつて押しつける機
構でもよい。

前述のように、ガイドレール１に旋回駆動部２
をワンタツチで取付け、接触媒質自己供給型探触
子装置６の回転タイヤ型探触子７を被検査箇所に
位置設定して、旋回駆動部２をガイドレール１に
沿つて円周方向へ移動するだけで、例えばノズル
取付け溶接部、ノズル内面コーナー部、セーフエ
ンド溶接部等の超音波探傷検査を遠隔自動で行う
ことができる。

次に、本発明に係る接触媒質自己供給型探触子
装置の構造について説明する。第２図、第３図に
示されているように、本探触子装置６は、回転タ
イヤ型探触子７と、その略下半分（略1/2〜3/4）
を覆う如く、タイヤ外周面に対して間隔をおいて
設けられた略半円形（もしくはそれ以上）状のタ
ンク８と、形状のタンク８と、該タンク８の開口
縁から上方に向つて被検査面９に摺接する位置ま
で延設された弾性ワイパー１０と、前記タンク８
に入れられた接触媒質１１（例えば、水や油等の
液体）とからなる。回転軸部における液密性を保
つため、本実施例では軸受１２とタイヤ回転軸１
３との間にＯリング１４を組み込んである。弾性
ワイパー１０は、必ずしもタンク開口縁すべてに
設ける必要はなく、場合によつてはタイヤの進行
方向の前後にのみ設けてもよい。また、被検査面
の形状により、種々ワイパー形状を変更すること
ができる。

回転タイヤ形探触子７自体は、従来公知であ
り、それをそのまま用いることができる。第４図
に示すように、耐油、耐摩耗ゴムタイヤ１５の内
部に超音波振動子１６が取付けられると共に、水
などのような液状物質で満たされ、入射角θを固
定したままで、移動方向（探傷方向）にタイヤ１
５が回転しながら被検査面９を走査し探傷してい
くものである。入射角θは、約０〜40゜の範囲で
遠隔操作により変化できるようになつている。

さて、旋回駆動部２がガイドレール１に沿つて
移動すると、被検査面９に一定圧力で押し付けら
れている回転タイヤ型探触子７は回転しながら被
検査面９を走査していく。このとき、ゴムタイヤ
１５は、タンク８に予め入れられてある接触媒質
１１を回転するタイヤ表面ですくい上げ、該タイ
ヤ表面と被検査面９の間に接触媒質１１を連続的
に供給しながら移動する。弾性ワイパー１０は、
ゴムタイヤ１５が接触媒質１１をすくい上げると
きの該接触媒質１１の飛散を防止すると共に、ゴ
ムタイヤ１５の後方、被検査面９に残つた接触媒
質を順次自動的にタンク８内に回収する機能を果
たす。

なお、上記実施例は主として上方の被検査部を
探傷するものであるが、弾性ワイパーを工夫する
ことによりどの方向でも探傷することが可能であ
る。

本発明は、上記のように構成された接触媒質自
己供給型超音波探触子装置であるから、回転タイ
ヤ型の探触子がスムースに被検査面を走行し、か
つタイヤの回転に伴いタンクの中から必要量の接
触媒質をすくい上げ探触子と被検査面の間に接触
媒質を自動的に供給できると共に、弾性ワイパー
で再び回収でき、従つて、従来のように接触媒質
の供給装置や接触媒質封じ込め機構、回収機構等
の複雑な機構を外部に別に設ける必要はなく、そ
の結果、探触子の被検査面に対する密着性や、接
触媒質の供給が確実となり、検査能率や検査の信
頼性を大幅に向上しうるなど、数々のすぐれた効
果を奏しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の適用例を示す超音波探傷装置
の説明図（ワイパーは図示していない）、第２図
は本発明に係る探触子装置の一例を示す側面断面
図、第３図はその正面断面図、第４図は回転タイ
ヤ型探触子の説明図である。 ６……接触媒質自己供給型探触子装置、７……
回転タイヤ型探触子、８……タンク、９……被検
査面、１０……弾性ワイパー、１１……接触媒
質、１５……ゴムタイヤ、１６……超音波振動
子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液状物質を満たした回転ゴムタイヤの内部に
   超音波振動子を設け、ゴムタイヤを被検査面に圧
   接して回転させながら走査する回転タイヤ形探触
   子を用いた探触子装置であつて、該回転タイヤ形
   探触子のタイヤの下方部略1/2〜3/4を接触媒質中
   に浸漬でき、タイヤの回転によつて接触媒質を被
   検査面に自動的に供給できるようにタイヤの外部
   面に間隔をおいて設けられ、かつ上部に開口をも
   つ接触媒質収容タンクと、被検査面に残留した接
   触媒質を掻取つて前記タンク内に回収できるよう
   にタンク開口縁から上方に向つて被検査面に摺接
   する位置まで延設された弾性ワイパーを設けたこ
   とを特徴とする接触媒質自己供給型超音波探触子
   装置。 ２ 接触媒質収容タンクは、タイヤとの間隔が全
   面にわたつて略等しい形状のものである特許請求
   の範囲第１項記載の探触子装置。 ３ 弾性ワイパーは、タイヤの進行方向の前後の
   位置にある開口縁部にのみ設けられている特許請
   求の範囲第１項または第２項記載の探触子装置。