JPS6250450B2 - - Google Patents

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JPS6250450B2
JPS6250450B2 JP51097402A JP9740276A JPS6250450B2 JP S6250450 B2 JPS6250450 B2 JP S6250450B2 JP 51097402 A JP51097402 A JP 51097402A JP 9740276 A JP9740276 A JP 9740276A JP S6250450 B2 JPS6250450 B2 JP S6250450B2
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JP
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gangliosides
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Uetsukia Ruiiji
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Fidia SpA
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Publication date
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Publication of JPS5234912A publication Critical patent/JPS5234912A/ja
Publication of JPS6250450B2 publication Critical patent/JPS6250450B2/ja
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    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/30Nerves; Brain; Eyes; Corneal cells; Cerebrospinal fluid; Neuronal stem cells; Neuronal precursor cells; Glial cells; Oligodendrocytes; Schwann cells; Astroglia; Astrocytes; Choroid plexus; Spinal cord tissue
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/02Drugs for disorders of the nervous system for peripheral neuropathies

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  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
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  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガングリオシツドのヒトにおける中枢
神経系および末梢神経系の神経刺激伝達障害への
治療学的応用、およびガングリオシツドを哺乳動
物の神経組織から抽出する方法に関する。 ガングリオシツドはアミノアルコールスフイン
ゴシン、脂肪酸(主としてステアリン酸、パルミ
チン酸、アラキン酸およびベヘン酸)、単純な糖
類(グリコースやガラクトース)の他に糖脂質を
その分子中に含んでおり、1分子当り1乃至4個
のN―アセチルノイラミン酸(シヤル酸)残基を
有している。 ガングリオシツドはビランドスタイナー
(byLandsteiner)およびレビーネ(Leveuene)
により発見され、1942年クレンク(Klenk)によ
り確認された。 ガングリオシツドの命名法としてはスベネルホ
ルム(Svennerholm)により提案された方法が今
日最も繁用されている。その方法とは、モノ、
ジ、トリおよびテトラシヤル酸付加ガングリオシ
ツド各々に対して、略号Gの後にM,D,Tおよ
びQを付して表す。シヤル酸の含有量が同じであ
るがクロマトグラフイーにおける挙動が異る化合
物を区別するために、文字の後に数字を付ける命
名法もまた使用される。本発明の明細書中におい
てもこのような命名法を用いる。 ガングリオシツドという用語はまた、シヤル酸
を含んだグリコシル―セラミドを含む意味に用い
られるがシアリルラクトシルセラミド(エマトシ
ド)は含まれない。これは普通広義のグリコスフ
インゴリピツドに含まれる。 本発明によれば、治療に用いられる活性成分の
ガングリオシツドとしては、哺乳動物の神経組織
から抽出されたモノ、ジ、トリおよびテトラシヤ
ル酸付加ガングリオシツドの混合物、またはガン
グリオシツド類をより少量含有する更に精製され
たものが使用される。 本発明によれば、ガングリオシツドを治療に用
いる場合には適当に調整されたその水性緩衝液を
筋肉内注射または静脈内注射する。注射剤として
は液状バイアルまたは凍結乾燥バイアルあるいは
また静脈内注入用バイアルなどが挙げられる。 本発明によりガングリオシツドは、例えば以下
の実施例に示す方法によつて哺乳動物の神経組織
から抽出される。 実施例 膜皮を有しない牛の脳100Kgを生理食塩水で洗
浄し、PH6.8の0.1M燐酸緩衝液100中で機械的
にホモジナイズする。これに、はげしく撹拌しな
がらテトラヒドロフラン1200を加える。5時間
撹拌し続け、加圧下セライトを用いて固形物から
液相を分離する。液相に、撹拌しながらエチルエ
ーテル400を加え、60分間撹拌を続ける。上層
を捨て、下層(約80)を40℃以下の温度で減圧
下に濃縮する。濃縮残渣を水/エタノール混合物
(容量比=1:1)1に溶解する。この溶液を
セライトで過し、DEAE―セルロースカラム
(新鮮な脳1Kg当たりDEAE―セルロース30g)
にかける。このDEAE―セルロースカラムは、あ
らかじめ水/エタノール混合物で平衡させてお
く。まず5容量の水/エタノール混合物を用い
て、約50ml/分の割合で溶出する。次いでPH4.6
の0.1M酢酸緩衝液中の50%エタノール溶液5容
量を用いて溶出する。最初の溶出液は捨て、2番
目の溶出液に水酸化バリウム20gおよび冷エタノ
ール4容量を加える。この溶液を0℃で18時間お
だやかに撹拌する。生成した白色沈澱を遠心分離
により分離する。この沈澱を水500mlに溶解し、
HClを加えてPHを4.5に調節する。この溶液を透
析し、凍結乾燥する。この段階での粗ガングリオ
シツドの収量は新鮮な脳1Kg当たり約0.6gであ
る。この粉末をクロロホルム/エタノール(容量
比=2:1)20部(W/V)に溶解し、得られた
溶液をセライトで過し、水中0.88%KCl溶液0.2
容量を撹拌しながら加えて分配する。上層を分離
し、透析し、凍結乾燥する。この最終のガングリ
オシツドの収量は新鮮な脳1Kg当たり約0.3gで
ある。 以上のごとくして得られたガングリオシツド
は、通常共抽出される燐脂質を含有していない
が、ヒトの治療に用いる前に、パイロジエン、蛋
白、アナフイラクトゲンおよびヒスタミンが存在
しないかどうか試験しなければならない。 本発明による新規な治療学上の応用のための処
方例としては次のものが挙げられる。 1バイアル(中性ガラス製、容量2ml)当りの
含有量: ―哺乳動物の神経組織から抽出したガングリオ
シツド(N―アセチル―ノイラミン酸で換算さ
れる) ……Xmg ―パイロジエンフリーの殺菌蒸留水を用いたPH
7.6の燐酸緩衝液(M/100) ……2ml ここにXは、使用するガングリオシツド中20乃
至35%含まれるN―アセチル―ノイラミン酸の力
価によりあるいはまた、治療しようとする病気に
よつて変化するガングリオシツドの量であり、5
乃至100mgである。典型的投与形態の例として、
2mlアンプルの処方を以下に示す。 ガングリオシツド混合物(GM1―GD1a―GD1b
―GT―GQ) ……10mg 二塩基性燐酸ナトリウム・12H2O ……6mg 一塩基性燐酸ナトリウム・2H2O 0.5mg 塩化ナトリウム ……16mg パイロジエンを含まない 再蒸留水(を加えて) ……2ml この様にして得たアンプルは、通常1日1ない
し5アンプルを筋肉注射または静脈注射する。 本発明によれば、ガングリオシツドは中枢神経
系および末梢神経系における神経刺激伝達障害に
起因する全ての病気の治療に利用され得ると考え
られるが、顕著な応用面を以下に列挙する。 延髄後方神経炎、動眠神経麻痺、三叉神経痛、
顔面神経麻痺またはベル麻痺、ガルサン片脳底症
候群、急性多発性神経炎(ギラン、バレ症候
群)、背髄神経根炎、末梢神経の外傷性病変、末
梢神経の中毒性病変、糖尿病性およびアルコール
性多発性神経炎、分娩痳痺、痳痺性坐骨神経痛、
運動性ノイロン疾病、筋萎縮性側索硬化症、背髄
病性筋萎縮、進行性球痳痺、重症性筋無力症(ラ
ンバート・イートン症候群)、筋ジストロフイ
ー、中枢神経系および末梢神経系におけるシナプ
ス神経伝達の変調、朦朧状態のごとき意識障害、
脳振盪症、頭蓋損傷予後、脳血管障害、血栓症お
よび塞栓症。 ガングリオシツドの双極性化学組成や、神経末
端における細胞膜上にそれが局在化することが、
種々の研究の結果判明してきたことにより、この
化合物は、神経細胞の化学構成に授るだけでな
く、その受容器の動的機能にも関与していると考
えられる。 このように、ガングリオシツドは脳生理におい
て極めて重要なものと考えられ、この重要性は、
中枢神経系の多くの疾病において皮質中のガング
リオシツドの量が変化していることがわかつてい
ることを考慮すると益々明らかとなる。 本発明において、ガングリオシツドを用いて広
範囲の薬理実験および臨床実験が行われた。実施
された動物実験としては、プロタミン痳痺、バル
ビツール酸麻酔延長、電撃シヨツクおよびメトラ
ゾール痙攣などが挙げられ、これらの試験結果
は、研究者の予想と完全に合致した。 また本発明による脳ガングリオシツドが再生や
神経再植法によつて得られる機能的回復に効果が
あるかどうか試験した。 本発明によるウシ脳皮質から得られたガングリ
オシツドがヒトの難聴に対して保護効果があるか
どうか試験した。2KHzの狭い範囲の音を30分間
隔で聞かせた被験者には、コントロール群とは対
照的に本質的な聴覚閾値の変位は認められなかつ
た。このように高い強い音によつて惹起される一
時的難聴に対し保護効果のあることがわかつた。 さらに、種々の神経病に悩む患者に対して臨床
実験を行つた。何故なら、本発明による化合物の
作用メカニズムから考えると全ての病的症候群
(その原因としての変質した刺激は不適当な生化
学的伝達によるか、興奮閾値の変化によることが
わかつている)に効果があると考えられたからで
ある。 このように、種々の異つた病気の発生源が中枢
神経系および末梢神経系における神経効果器の神
経伝達変質にあるという病理学的考察から、本発
明による化合物の臨床試験を行つた。 特に慢性アルコール中毒、パーキンソン病、脳
血管異常および脱髄症候群で苦しむ患者に対して
試験した。その治療効果は、従来の治療法によつ
て治療した患者に比較して統計的に有意の差が認
められた。 中枢神経系または末梢神経系における神経伝達
の変質に起因する種々の病的状態にある多くの患
者に対して臨床試験を実施し、本発明による化合
物またはその製剤の効果を被試験者の自覚症状判
定や、いくつかのパラメータによる治療係数によ
つて評価した。 尚、ガングリオシツドの毒性は極めて低く、ラ
ツト(CFY系)において、皮下注射の場合の
LD50は8.0g/Kg(体重)以上であり、静脈注射
の場合は2.0g(1.6―2.1)/Kg(体重)である。
またウサギ(ニユージーランド)では、皮下注射
の場合のLD50は4.1(6.31―2.45)g/Kg(体
重)であり、静脈注射の場合は1.1(1.315―
0.921)g/Kg(体重)である。 以上簡単にガングリオシツドの医薬としての有
効性について記述したが、以下に個々の試験成績
について詳述する。 ガングリオシツドの生物学的及び臨床学的研究 A 急性毒性 1 ラツトにおける急性毒性 1.1 皮下注射 a 実験1 体重112ないし154gのCFY系ラツト
にガングリオシツド混合物の20%W/V
水溶液を皮下注射した。最大投与量は40
ml/Kg体重。対照群には水40ml/Kgを投
与した。 b 実験2 体重108ないし129gのCFY系ラツト
に、PH7.5の0.01M燐酸緩衝液に1.5およ
び5.0%W/Vの割合でガングリオシツ
ド混合物を入れた溶液を、40ml/Kg体重
の割合で皮下注射した。対照群には緩衝
液だけを投与した。14日間、その毒性徴
候および死亡率を観察した。死亡したラ
ツトを肉眼的に観察し、損傷器管を調べ
た。 結 果 実験1の予備実験の結果、LD50は8.0
g/Kg体重以上であることがわかつた。
そこで雌雄5匹づつのラツトを用い、投
与量を広げた。投与後観察されたものと
しては、立毛(これは対照群でも観察さ
れた)、背を弓なりに曲げる姿勢(ハン
チング)、異常歩行(よたつき歩行およ
び足指歩行)、呼吸数の減少、カタレプ
シーなどである。 実験2では、0.6gおよび2.0g/Kg体
重のガングリオシツドで処理した群(雌
2匹、雄2匹)では死亡率は0であつ
た。2.0g/Kgの投与群の3匹に処置後
すぐに現れたのは立毛(対照群も同じ)
および呼吸増大であつた。観察2日後、
2.0g/Kg投与群の2匹の雌にハンチン
グ、よたつき歩行が、全ての動物にハン
チングがみられた。外観観察では全ての
動物は投与後7日で完全に回復した。体
重増加は対照群と同じであつた。最終的
な剖検の結果は正常であつた。 結 論 20%水溶液を用いて8.0g/Kgの割合
でガングリオシツドを皮下投与したラツ
トに皮膚潰瘍が観察された。これは、5
%緩衝液を用いて2.0g/Kgの割合で投
与した群には観察されなかつた。2.0
g/Kgまたはそれ以下の投与量では死亡
率は0であつた。LD50は求めることが
できなかつた。 1.2 静脈注射 体重109ないし156gのCFY系ラツトに
ガングリオシツド混合物を静脈注射した。
ガングリオシツドを20%W/V水溶液とし
(無菌条件下)、尾側静脈から注射した。投
与量は2.5ないし10ml/Kg体重であつた
(フルスケールテスト)。対照群には水10
ml/Kgを投与した。14日間、死亡及び毒性
の徴候を観察した。死亡ラツトは剖検し、
損傷器官を調べた。死亡率から、リツチフ
イールドおよびウイルコクソンの方法によ
りLD50を計算した(LitchfieldJ.T.and
Wilcoxon F.(1949)、J.pharmc.Exp.
Ther.9699―113)。 結 果 予備実験の結果LD50はほぼ2.0g/Kg体
重であることがわかつた。これに基づき、
より正確なLD50を求めるため、雌雄5匹
づつのラツトを用いて実験した。投与後観
察された症状は立毛(対照群も同じ)、ハ
ンチング、異常歩行、し眠、呼吸数の減少
であつた。体重増加は対照群と同じであつ
た。試験終了後の剖検の結果は正常範囲内
であつた。 結 論 95%信頼限界におけるラツトの静脈注射
のLD50は、1.8(1.6―2.1)g/Kg体重で
あつた。 2 ウサギ 2.1 静脈注射 体重1.5なしい2Kgの雌ニユージーラン
ドウサギ46羽にガングリオシツド混合物を
2および0.5g/Kgの割合で静脈注射した
(scalar dose)。ガングリオシツドは、4
g/の割合で塩化ナトリウムを加えた
0.01M燐酸緩衝液の30%溶液として用い
た。投与後7日間観察した。全ての動物を
肉眼的に剖検した。 結 果 高投与量においてカタレプシーおよびし
眼を示した。2および1.5g/Kgの投与量
では4日以内に全て死亡した。 結 論 LD50は1.1(1.315―0.921)g/Kg(P
=0.05)と計算された。 2.2 皮下注射 体重1.55ないし1.9Kgのニユージーラン
ド系ウサギ27羽に8g/Kgないし2g/Kg
のガングリオシツド混合物を皮下注射し
た。ガングリオシツドは、4g/の塩化
ナトリウムを加えた0.01M燐酸緩衝液の20
%溶液として投与した。投与後7日間観察
し、死亡動物を肉眼的に剖検した。 結 果 特に高投与量においてし眠がみられた。
肉眼的剖検により実質器官の異常が認めら
れた。即ち皮下組織にゲル状液体が観察さ
れ、これは腹腔にたまつていた。8g/Kg
では死亡率は100%であり、全て投与後50
時間内に死亡した。 結 論 LD50は4.1(6.31―2.45)g/Kg(P=
0.05)と計算された。 B 亜急性毒性(4週間) 1 ラツト(皮下注射) 以下の要領で実験を行なつた。 動物:チヤールスリバーCD系ラツト。28日令の
雌25匹、雄25匹。体重70―80g。各群雌雄5匹
づつの4群にわけた。 ガングリオシツド:動物群の2,3および4群に
それぞれ150,250および500mg/Kg/日の割合
で投与。ガングリオシツドはPH7.5の0.01M燐
酸緩衝液に溶解させて投与した。 投与期間:毎日28日間皮下注射。 飼育条件:温度21±2℃、湿度50±5%の飼育室
に入れ、12時間(午前8時から午後8時まで)
光をあて、12時間は暗くした。水、飼料は自由
に与えた。 観察事項:徴候、飼料消費量、体重変化を観察。
第4群は投与後15日目に殺し、残りの群は期間
終了後に殺し、肉眼的に剖検した。 結 果 500mg/Kg/日投与群:注射部位の皮下肥厚、
痂皮の形成、毛の欠損および腫脹。雌雄ラツトに
飼料消費の減少。雄に体重増加率の減少。15日後
の肉眼検査により、注射部位に皮下肥厚および浮
腫が認められた。雄1匹雌2匹に液下リンパ腺の
肥大、雄2匹に脾臓肥大が認められた。 250mg/Kg/日投与群:注射部位の皮下肥厚、
腫脹、毛の欠損。雌雄に飼料消費量の減少(利用
効率の低下)、体重増加率の減少。肉眼検査によ
り、注射部位に皮下肥厚(雄4匹、雌5匹)、浮
腫(雄2匹、雌2匹)、痂皮の形成(雄1匹)、毛
の欠損(雄1匹、雌1匹)、腋下および鼠径リン
パ腺の肥大(雄5匹、雌4匹)を観察。 150mg/Kg/日投与群:注射部位に皮下肥厚お
よび毛の欠損。雌において摂飼量の低下、雄にお
いて利用効率の低下。体重増加率の減少(雌
雄)。肉眼検査により、注射部位に皮下肥厚(雄
4匹、雌5匹)、浮腫(雄1匹)、毛の欠損(雌1
匹)。鼠径および/または腋下リンパ腺の肥大
(雄3匹、雌2匹)。 結 論 上の結果から長期テストには250mg/Kg/日の
投与量は高すぎることがわかつた。体重増加への
影響(雌雄においてそれぞれ約6および10%の減
少)から判断して150mg/Kg/日が長期投与テス
トの高投与量として適当であることがわかつた。 2 犬(筋肉注射) 以下の要領で実験を行なつた。 動物:ビーグル犬(雄3匹、雌5匹) 投与方法:筋肉注射 投与期間:4週間以内 投与量:20%水溶液を用いて160mg/Kg/日、
同、40mg/Kg/日、1.5%燐酸緩衝液溶液
を用いて6mg/Kg/日、5%燐酸緩衝液溶液
を用いて20mg/Kg/日。 飼料:朝、投与後に400gの新しい飼料を与え、
前日の残りの重量を測定する。週末を除く毎日
牛乳約200mlを与える。水は自由に与える。 注射液の調製:ガングリオシツドの20%水溶液は
1N HClでPH7.4に調節する。0.01M燐酸緩衝液
(PH7.5)は、0.01Mオルト燐酸二水素カリウム
溶液と0.01Mオルト燐酸水素二ナトリウム溶液
とを混合して調製する。この緩衝液に4g/
の割合で食塩を加える。この緩衝液を用いて
1.5ないし5%のガングリオシツド溶液を調製
する。 臨床観察 あらゆる徴候の観察。少なくとも1週間に1度
の体重測定。末摂取飼料の測定。牛乳拒否の有
無。 期間終了時の検査 投与期間終了後動物を殺し、組織観察を行な
い、脳、肝臓、前立腺、子宮、下垂体、脾臓、じ
ん臓、心臓、すい臓、甲状腺、肺、胸腺、副腎お
よび生殖腺を摘出してその重量を測定した。これ
らの組織および大動脈(大動脈弓および腹大
脈)、気管、リンパ節(頚部および腸間膜リンパ
節)、胆のう、胃(体および洞)、十二指腸、空
腸、回腸、結腸(上行および下行)、皮膚、乳
腺、骨核筋、骨髄、坐骨神経、視神経のついた
目、および注射部位の筋肉から標品をとつて固定
液に入れた。 結果及び結論 160mg/Kg/日の投与群は投与による痛みが激
しいので10日目に殺した。死後剖検の結果、著し
い局所反応が注射部位に観察された。6mg/Kg/
日の投与群にも痛みは観察されたがわずかであつ
た。また、局所反応の徴候はなかつた。また注射
部位において脂肪層の浮腫および/または筋肉の
蒼白がみられた。 長期投与には、3,6および12mg/Kg/日の投
与量が適当であることがわかつた。筋肉注射にお
ける最低致死量は160mg/Kg/日以上であるが、
これ以上の投与量は実際的には好ましくないこと
がわかつた。 C 長期毒性(26週間) 1 ラツト(皮下注射) 以下の要領で実験を行なつた。 動物:28日令の、体重75―85gのチヤールスリバ
ー系ラツト200匹(雌雄各100匹づつ)。1群雄
20匹、雌20匹とした。 投与量:第1群は対照、第2群は6mg/Kg/日、
第3群は30mg/Kg/日、第4群は150mg/Kg/
日。 投与方法及び期間:皮下注射、連日26週間。 飼育条件:B1の亜急性毒性の場合と同じ ガングリオシツド:0.01M燐酸緩衝液(NaCl添
加)の溶液にして投与。 観察事項:徴候、死亡、摂飼量、体重変化、摂水
量、検眼鏡検査、検査室検査((a)尿分析:PH、
比重、蛋白還元物質、グルコース、ケトン、胆
汁色素、ウロビリノーゲンおよびヘモグロビ
ン。(b)血液分析:充填赤血球量、ヘモグロビン
赤血球カウント、MCHV±MCV、WBC全白血
球カウント。鑑別計算:神経栄養
(neurotrophiles)、リンパ球、好酸球、好塩基
球、単球血小板カウントテスト。(c)血液化学:
血清尿素、血漿グルコース、血清総蛋白質、血
清アルブミン、ホスフアターゼ、ピルビン酸ト
ランスアミナーゼ、血清ナトリウム、血清カリ
ウム、血清無機燐、血清クレアチニンおよび血
清コレステロール。) 受身皮膚アナフイラキシー試験 26週間の間、軽くエーテル麻酔した全ての生存
ラツトの眼窩血脈洞から2mlの血液をとる。150
mg/Kg/日の処置群ラツト全てに受身皮膚アナフ
イムキシー試験を行なつた。 最終試験 肉眼的病理学および器官重量分析 26週間後、全ての生在動物を殺し、組織を肉眼
的に観察した。以下の器官を解剖して脂肪を除
き、重量を測定した:副腎、下垂体、脳、脾臓、
心臓、睾丸、腎臓、甲状腺、子宮および卵巣。以
下の組織(肉眼的に異常なその他のものも含む)
から標品をとり、10%ホルマリン緩衝液に保存し
た(ただし目はDavinsonの固定液に保存し
た):副腎、肝臓、貯精のう、大動脈、肺、骨核
筋、膀胱、リンパ節(頚部および腸間膜)、皮膚
(正常および注射部位)、骨臓、脳(髄質、小脳お
よび皮質)、乳腺、脾臓、中央結腸、胃(腺およ
び非腺)、盲腸、食道、十二指腸、卵巣、睾丸、
目、すい臓、胸腺、心臓、下垂体、甲状腺、回
腸、前立腺、舌、空腸、唾液腺、気管、腎臓、坐
骨神経および子宮。肉眼検査用のサンプルはパラ
フインワツクスで封理し、5μにスライスし、全
ての切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色
した(基礎膜のため)。凍結させた肝臓および腎
臓切片はホルマリン固定し、低温槽の上で12μに
切断し、オイルレツドオー(Oil Red O)で脂
肪染色した。新鮮な凍結肝臓切片を調製し、グリ
コーゲンを証明するためにPASで染色した。 肉眼的評価 組織学的検査は以下のものについて行なつた。 1 死亡した動物の異常組織 2 高投与群の全動物及び26週後に殺した対照群
の雄10匹と雌10匹 3 26週後に殺した全動物の注射部位 統計手法 Studentのt検定に続く分散分析により群間差
の有意性を評価した。 結 果 対照群と比較した場合の各投与群の所見は以下
の通りである。 150mg/Kg/日投与群:1注射部位の皮膚の肥
厚、2雌雄において体重増加率の減少、一部に摂
飼量の減少、飼料利用効率の低下、325,6週の
雌において血清アルブミン低下、総蛋白質および
A/G比の低下、4期間終了後に殺した雌雄のラ
ツトに腰部肥大、鼠径および腋下リンパ腺の肥
大、5期間終了後に殺した雌雄ラツトの脾臓の重
量増大(しかし組織学的検査の結果、形態学的変
化は認められなかつた)、6注射部位における単
核球の皮下浸潤。 30mg/Kg/日投与群:死亡なし、摂飼量は対照
群と同じ、体重増加率は対照群と同じ、雌20匹中
11匹に注射部位における単核球の皮下浸潤(一部
のものは泡状を呈す)がみられた。 6mg/Kg/日投与群:死亡なし、摂飼量は対照
群と同じ、体重増加率は対照群と同じ、ガングリ
オシツド投与に起因する変化はみられなかつた。 摂 水 対照群と比較して150mg/Kg/日投与群の雌雄
に6ないし12週において摂取量が増加した。しか
し対照群との差は統計的に有意なものではなく、
また排尿には特に影響はみられなかつた。 検査室での検査 尿分析:25週において、投薬によると思われる群
間の差はなかつた。 血液分析:25週において、投薬によると思われる
群間の差はなかつた。 血液化学:投薬によると思われる群間の差はなか
つた。 結 論 注射部位において、(1)150mg/Kg/日投与群の
大部分および30mg/Kg/日投与群の一部に泡状細
胞質を伴なつた、あるいは伴なわない単核球の皮
下浸潤がみられ、(2)150mg/Kg/日投与群の一部
のリンパ腺に泡状単核球細胞巣がみられた。 検査した組織に、ガングリオシツド投与に起因
する、対照群とは異なる異常は観察されなかつ
た。 受身皮膚アナフイラキシー試験 26週間生存した150mg/Kg/日投与群のラツト
から採取した血清は、全てPCA反応を示さなか
つた。 2 犬(筋肉注射) 以下の要領で実験を行なつた。 動物:5〜6ケ月令の、体重7.4〜12.4Kgのビー
グル犬48頭(雄6頭および雌6頭からなる群、
4群にわけた)。 投与量:ガングリオシツド混合物を0.01M燐酸緩
衝液(NaCl添加)溶液にして筋肉注射。1日
1回、7日間/週。第1群は対照、第2群は3
mg/Kg/日、第3群は6mg/Kg/日、第4群は
12mg/Kg/日。総投与期間は1年(52週間)、
ただし26週後に一部を殺した。 飼育条件:1日400gの新鮮な乾燥ペレツト飼料
を与え(朝)、前日の残りを測量する。飼料は
投薬1時間後に与えた。週末を除き毎日牛乳
200mlを与えた(ただし、最初の26週のみ)。摂
取は自由とした。 観察事項:臨床所見、死亡、体重、摂飼量、摂水
量、検眼鏡検査、検査室での検査(血液検査、
生化学的検査、尿分析) 受身皮膚アナフイラキシー試験(PCA) 13ないし26週の間、高投与群の犬から全血10ml
を採血した。この血液を室温で2ないし4時間、
次いで4℃で一夜放置して凝固させる。血清を分
離し、少量づつ分け、抗体分析まで−20℃で凍結
保存する。次いで1gE抗体価を測定する。それぞ
れの血清試料について3頭の感受動物を使用し、
少なくとも3頭の内2頭が陽(+)の青色反応を
示した場合には陽性とした。 結果(処置後26週間) 死亡:なし、臨床所見:投与中落ち着きがな
く、鳴く。これは対照群も同じであるが12mg/
Kg/日投与群で顕著、体重:投与に起因すると思
われるほどの体重に及ぼす悪影響なし、摂飼量:
影響なし、検眼鏡検査:影響なし、PCA試験:
12mg/Kg/日投与群について試験した結果、ガン
グリオシツドで感作されないことがわかつた。 検査室での検査 血液分析:一部にわずかな白血球数の乱れがあつ
たが、全て正常範囲内であつた。 生化学分析:対照群を含めて、血清コレステロー
ル濃度が、通常上限と考えられている212mg%
を超えるものがあつた。 尿分析:全て正常範囲内であつた。 死後の肉眼観察:ガングリオシツド投与に関連す
ると思われる所見は、注射部位筋肉の上の真皮
が赤くなつたことだけである。 器官重量:正常範囲内であつた。 組織検査:組織病理学的な変化がみられたのは注
射部位だけであつた。 結 論 検査した組織について、ガングリオシツドに起
因すると思われる変化は全く認められなかつた。 D 抗原力試験 雌モルモツト(Dunkin―Hartley)に1週1
度、4週間ガングリオシツド混合物を皮下注射
し、抗原力を試験した。第2群(10匹)を除き、
350―400gのモルモツト8匹を1群として用い、
燐酸緩衝液溶液としたガングリオシツドを含む試
料1ml/Kgを皮下注射した:第1群は媒質のみ、
第2群は卵アルブミン100mg/Kg、第3,4,5
および6群にはガングリオシツド混合物をそれぞ
れ1,10,100および100mg/Kg投与した。卵アル
ブミン投与群は第1週および第3週の2回だけ投
与したが他の群は1週間隔で4週間投与した。 抗原性は(1)モルモツトIgE/IgG1b抗体価の測
定:(2)抗原投与後摘出肺からのヒスタミン遊離の
測定:(3)抗原投与による麻酔感作モルモツトの気
管支収縮反応の測定、によつて評価した。 結 果 受身皮膚アナフイラキシー:いかなる投与量に
おいても、ガングリオシツド混合物は陽のIgE/
IgG1b抗体力価を惹起しなかつた。 摘出肺からのヒスタミン遊離:ヒスタミンは遊
離しなかつた。 インビボ投与:100mg/Kg/投与群の8匹のモ
ルモツト中7匹は、ガングリオシツドをインビボ
投与しても気管支抵抗にほとんどあるいは全く影
響を及ぼさなかつた。 結 論 ガングリオシツドはモルモツトにとつて抗原で
はない。 E 胎児毒性 1 胚子奇形発生試験 1.1 ラツト(皮下注射) 性的成熟ラツト(SPF、CrL:COBS
CD(SD)BR、チヤールスリバー、体重
155―200g)に、妊娠6および15日の間、
0,50,100および200mg/Kg/日のガング
リオシツドを皮下注射し、妊娠に及ぼすガ
ングリオシツドの影響をを調べた。妊娠20
日後に母親を殺し、同産群値を測定し、胎
児の骨核および内臓異常を調べた。ガング
リオシツドは0.01M燐酸緩衝液に溶解して
使用した。 観 察 如娠20日後、生存母親を殺し、先天性異
常および母性器官の肉眼的病理変化を観察
した。卵巣および子宮については、a)黄
体の数、b)生存胎児の分布数、c)死亡
胚/胎児の分布数、d)同産群値(これか
ら平均胎児重量を計算)、e)胎児異常に
ついて調べた。胚/胎児死亡は、初期(最
終的に胎盤のみ観察)と後期(最終的に胎
盤および胚残置物が観察)に分けた。生存
胎児は外観観察して体重を測定し、骨核お
よび内臓異常を調べた。 結 果 200mg/Kg投与群および100mg/Kg投与群
の一部に局所反応(注射部位に皮膚肥厚、
痂皮形成)がみられた。全身反応としては
顕著なものはなく、立毛は投与困難による
ものと思われる。200mg/Kg投与群の蒼白
四肢および緩慢動は局所反応の間接的影響
と思われる。200mg/Kg投与群では摂飼量
が減少し、母体体重増加が減退した。100
mg/Kg群の摂飼量減少および50または100
mg/Kg投与群の体重増加の減少は対照群と
差がなかつた。死亡はなく妊娠率は群間に
差がなかつた。 結 論 ガングリオシツドによつて以下のフアク
ターは影響を受けなかつた:a)同産群
値、着床後損失、平均胎児重量、b)胚お
よび胎児発育(重篤な奇形発生の観点か
ら)、骨核および内臓異常および骨変種。 1.2 ウサギ(皮下注射) 動物:性的に成熟したニユージーランド系ウサギ
を用いて以下の実験を行なつた。摂飼、摂水は
自由とした。 予試験:最適投与量を決定するために、24羽(1
群6羽づつ4群)のウサギを用いて行なつた。
試料を、4g/の割合で塩化ナトリウムを含
む0.01M燐酸緩衝液に溶解し、0,50,100お
よび200mg/Kg/日の割合で皮下注射した。こ
の処置は妊娠初日から13日まで続けた。 奇形試験:妊娠6日目から18日目まで0,10,20
および40mg/Kgの割合で皮下注射した。ガング
リオシツド混合物は、4g/の割合で塩化ナ
トリウムを含む0.01燐酸緩衝液(PH7.5)に溶
解して使用した。 観 察 妊娠29日目に全てのウサギを殺し、肉眼的剖検
で同腹子を調べ、個々の胎児の骨核および内臓奇
形を内外観的に検査した。親の剖検を行ない、先
天性器官奇形および肉眼的病理変化を調べた。特
に卵巣および子宮については、a)黄体の数、
b)生存胎児の分布数、c)死亡胚または死亡胎
児の分布数、d)個々の胎児重量、e)胎児異常
を調べた。 結 果 ガングリオシツド投与による全身症状および体
重増加はみられなかつた。妊娠率および死亡率も
影響を受けなかつた。 結 論 ガングリオシツド投与によつて以下のフアクタ
ーに対する影響はなかつた。a)同産群値、着床
後損失、平均胎児重量、b)胚および胎児発育
(重篤な奇形発生の観点から)、骨核および内臓異
常および骨変種。 2 分娩時および分娩後試験 2.1 ラツト(皮下注射) 80匹の性的に成熟したSPFラツト
(Crl:CO BS CD(SD)BR.チヤールス
スリバー)を温度20±4℃、相対湿度50±
5%で飼育した。摂取、摂水は自由とし、
人工照射を朝8時から夜8時まで行なつ
た。分娩前後のラツトの発育に及ぼすガン
グリオシツドの影響を調べるために、妊娠
15日から分娩後21日まで(授乳を通して)
0,25,50、および100mg/Kg/日のガン
グリオシツドを皮下投与した。80匹の雌ラ
ツトは20匹づつ4群に分けた。ガングリオ
シツド混合物は0.01M燐酸緩衝液の溶液と
して投与した。 観察:分娩21日後に親子ともに殺し、異常を観察
した。その観察からa)同産群数、b)同産群
および平均幼ラツトの体重、c)幼ラツトの死
亡率を算出した。 結 果 全身的影響は観察されなかつた。100mg/Kg投
与群において投与5日目に注射部位の皮膚の肥厚
(時々痂皮の形成および毛の損失を伴なつて)が
観察された。100mg/Kg投与群では投与初期に体
重増加の減退があり、この傾向は50mg/Kg投与群
にもみられたが対照群との差は著しいものではな
かつた。妊娠期間に影響はなかつた。 結 論 同産群値、累積的幼ラツト死亡率および平均幼
ラツト体重(誕生から離乳まで)に影響はなかつ
た。投与量に応じた同産群体重の低下が分娩8日
および12日目にみられたが、グループ間に有意差
はなく、生物学的に重要なものではないと考えら
れる。幼ラツトの死後検査で時々異常および奇形
が観察されたが、ガングリオシツドの投与による
ものではない。 F 突然変異誘発試験 以下の実験によつて、ガングリオシツドに突
然変異誘発作用があるかどうかを試験した。 1 ネズミチフス菌(Salmonella
Thyphimurym)を用いたアメス試験
(Ames test):代謝活性のある、および代
謝活性のないTA1535、TA1537、TA1538、
TA98およびTA100株、投与量10mg/培地で
試験した結果、全ての株について突然変異誘
発作用はみられなかつた。 2 インビトロでの哺乳動物細胞に対する試
験:Syrian幼ハムスターのじん臓細胞の軟寒
天上での発育。細胞転換分析で使用される基
準に基づくとガングリオシツド混合物は発癌
性を示さないことがわかつた。 3 DNA修復試験:大腸菌W3110/polA+およ
びp3478/polA-におけるDNA修復合成の誘
発。細胞性DNAに何ら変化はみられなかつ
た。ガングリオシツドは上記大腸菌のいづれ
にも毒性を示さなかつた。 4 麦酒酵母菌(Saccharomyces
cerevisiae)の遺伝子変化試験:代謝活性を
有するおよび有しないD5株。陰および陽対
照群との結果は予想通りであり、エチルメタ
ンスルホネートで惹起される低レベルの自発
有糸分裂組み換えを示した。ガングリオシツ
ド混合物は、代謝活性なしにインキユベート
した2時間後において、または代謝活性下に
インキユベートした18時間後において、D5
に毒性を示さなかつた。この被験化合物は飽
和溶液に到るまで、投与量に応じた遺伝子組
換え活性を示さなかつた。このことは、代謝
活性のあるなしにかかわらず、被験化合物は
麦酒酵母菌D5分析に活性を示さないことを
示している。 総括的結論 ガングリオシツド混合物は代謝活性の有無に関
係なくその最高濃度においても突然変異誘発作用
を示さない。 G 薬理実験 切断または寒冷変性により神経支配を除去し
た自律神経および運動神経は、ガングリオシツ
ドによつてその再生および神経刺激伝達の回復
が促進されることが、筋機能の測定による、イ
ンビボ実験の結果わかつた(CECCARELLI
B.ET COLL.,Adv.Exp.Med.Biol.71275.1976
年および同.,83283.1977年)。また、この実験
により、ガングリオシツドを作用させればアド
レナージツクおよびコリナージツクな刺激に対
する神経終末の感度が増大することもわかつ
た。 これらの実験を基に、Carmignotoらは、ガ
ングリオシツドにより神経トランスミツターの
放出機序が急速に回復されること、および神経
終末が急速に発達することをラツトを用いた実
験で示した(CARMIGNOTO G.ET COLL.,
Int.Conf.on Biol.Memb.,Crans―Sur―
Sierre1979―Communication)。 Gorioらは筋肉神経再植の広範な研究におい
て、適当な電気生理学の技術を用いて細胞内記
録を行なつた(GORIO A.ETCOLL,
Proceeding of International Symposium on
Cholinergic Mechanisms.Florence11―
15March1980.Plenum Press―in Press)。こ
の研究には、軸索の、筋肉神経終末を形成し得
る末端への分化に及ぼすガングリオシツドの影
響を調べるために計画された組織化学的、組織
学的および形態学的研究が含まれていた。圧潰
により神経支配を除去したラツトのEDL筋肉
を用いて得られた電気生理学的データから、ガ
ングリオシツドで処理したラツトのシナプス
は、未処理の対照動物より熟成が早く、シナプ
ス後部膜の二重神経支配は高率であることがわ
かつた。 また、AIbizzatiらは、神経退化および神経
再生モデルを用いて実験し、ガングリオシツド
で処理した後の、神経再生を表わす筋肉酵素活
性パラメーターについて調べた(ALBIZZATI
M.G.ET COLL.Peripheral Neuropathies.
Dev.NeurolEd.by CANAL N.et al.
Elsevier/North Holland(Amsterdam)1978
年、p453)。また、Cacciaらは電気生理学的パ
ラメーターを用いて、末梢神経幹の再生に及ぼ
す外因性ガングリオシツドの作用を確認してい
る。寒冷変性により神経支配を除去したEDL
神経の機能回復の研究において、これらの著者
は牛の脳皮質から抽出したガングリオシツドの
刺激作用を証明している。即ち、彼らは、ガン
グリオシツドは生存運動単位の興奮性を増大
し、ニユーロン栄養コントロールの回復を刺激
することを見い出した(CACCIAM.R.ET
COLL.,Muscle Nerve382、1979)。 さらに、切断により神経支配を除去したラツ
トの尾の感覚神経の再生におけるガングリオシ
ツドの影響について興味深い報告がある
(NORIDO F.ET COLL.,Submitted to
Experientia 1980)。Savattieriらは、神経伝達
が神経支配を除去した筋肉に屈かない場合に、
変化するその他の因子に外来性のガングリオシ
ツドがどの様に作用するかを示すことに成功し
た(SAVATTIERI G.ET COLL.,XXI
Congress of S.I.N.Catania1979;Poster)。彼
らは血液と筋肉間のアミノ酸交換および動物全
体の酸プロテアーゼの増加を調べた。その結
果、前者のパラメータはガングリオシツドによ
り影響されなかつたが、酸プロテアーゼの増大
が著しく減少することがわかつた。 Wojcikらは、生化学的および組織化学的手
法による隔膜の中間―復側傷害後、中枢性のコ
リナージツク経路の再生に及ぼす外因性ガング
リオシツドの影響について興味ある経果を得た
(WOJCIKM.ET COLL.,Submitted to
Neuroscience1980)。 種々の原因(中毒性および代謝異常性)によ
る実験的多発神経炎におけるガングリオシツド
の作用が多くの実験で明らかにされている。
Aportiらは、あらかじめ毒性物質、例えばトリ
オルトクレジルホスフエート、ニトロフラント
インおよびアルコールで変性した末梢神経の伝
導速度は、ガングリオシツドの投与によつて正
常化されることをインビボ実験により示した
(APORTI F.ET COLL.Med.Lav.68
296.1977)。BuIgheroniらは、硫化炭素によつ
て惹起される神経障害について、外因性ガング
リオシツドが保護作用を有することを電気生理
学的に証明している(BULGHER ONIC.ET
COLL.,Peripheral neuropathies,Dev.
Neurol. Ed.by Canal N.et al.Elsevier/
North Holland(Amsterdam)1978.p487)。ま
たMaroniらはCS2で惹起された多発性神経炎を
持つ動物におけるガングリオシツドの作用効果
を評価している(MARONI M.ET COLL.,
Int.Congr.of Neurotoxicology.Varese1979―
Communication―)。彼らは、未処理動物と比
較して、処理動物において早期に神経線維が回
復すること、および傷害の形態学的特徴が減少
することを見い出した。Piccoliらは、アロキ
サンによる糖尿病性神経障害において、坐骨神
経および網膜におけるイソエンザイムLDH活
性の変性を防禦するという意味におけるガング
リオシツドの効果を例示している(PICOOLI
F.ET COLL.,Ricerca Scientifica ed
Educazione Permanente.Suppl. 71.Univ.
Milano1978)。 NoridoおよびCanellaは実験的糖尿病性神経
障害を研究し、遺伝的糖尿病マウスをガングリ
オシツドで処理した(1日投与量1および10
mg/Kg、30日間)。その結果、未処理動物と比
較して、処理動物では運動神経伝導速度
(MNCV)が著しく増大することを証明するこ
とができた。ガングリオシツドの効果はまだ十
分解明されていないが、この伝導速度のデータ
ーからミエリン髄鞘に対して作用するのではな
いかと考えられている(NORIDO F.ET
COLL.,Report Fidia Res.Labs)。 従来から、神経伝達は脱髄の状態で損傷を受
けることがよく知られており、この課題は現在
も解明中である。 神経伝達現象との関連でガングリオシツドが
明確な活性を示すその他の実験モデルとして、
物理的損傷(騒音)またはエタクリン酸
(etbacrynicacid)、カナマイシン、ウーアバイ
ンおよびストレプトマイシンの如き耳中毒剤に
よる聴覚不全がある。この様な実験では聴神経
の活動電位、蝸手マイクロフオン電位および聴
神経誘発電位などの種々の電気生理学的パラメ
ーターを測定する(APORTI F.ET COLL.,
Inner ear biology/biologie de I′Oreille
interne.Ed.by Portmann M et al Inserm
(Paris).68、p371、1977年)(MOLINARI G.
ET COLL.,XIII Congr.Int.d′Audiologie,
Firenz 1976―Comunication―)(APORTI F.
ET COLL.,15th Workshop on Inner Ear
Biology,Seefeld.Innsbruck1978―
Comunication―)。 H 臨床実験 A 中枢神経系 急性の脳血管障害においてLippariniらは
興味ある報告をしている(LIPPARINI R.
ET COOLL.,Min.Med.66 3774,1975)。
急性のCNS血管障害を持つた107人の患者で
ガングリオシツドの活性を調べた。調査した
基本的なパラメーターは意識状態および運動
欠損であつた。患者には1日20mgのガングリ
オシツドを20―30日間筋肉注射した。主とし
て機能回復のための時間を測定したところガ
ングリオシツドで処理した患者は回復のため
の時間が短縮された。即ち、短縮時間は神経
調節剤および抗浮腫剤だけで治療した患者と
比べて50%以下であつた。 Miceliらは初老期痴呆におけるガングリオ
シツドの作用効果を二重盲検試験で調べた
(MICELIG.ET COLL.,Acta Psychiat.
Scand.55 102、1977)。処理群および未処
理群全ての患者について、投薬前後に神経学
的検査を行なつた。そして両者を比較した。
ガングリオシツドで処理した患者(1日20
mg、30日、筋肉注射)はプラセボで処理した
患者に比べて統計的に有意な改善を示した。
行なわれた試験は短期間記憶、長期間記憶、
およびラーベンテスト(Raven test)であ
る。 Ferromiloneらは神経症、錐体および錐体
外症候群、多発硬化症、ミエロパシーおよび
脳の一般的疾患を有する28人の患者について
管理化試験を行なつた。この試験では、歩
行、反射、筋肉強度、感応性、振戦および精
神機能の改善をパラメーターとしたが、10mg
を10ないし30日間投与した結果、治療活性が
認められた。 Mazzoniは脱髄症候群および血管障害にか
かつている35人の患者を対象として試験を行
なつた(MAZZONI S.,Gazz.Med.Ital.135
393、1976)。未処理の患者30人を対照とし
た。1日20mgのガングリオシツドで10日ない
し36日間処理した患者は、振戦、無力症、軽
運動および睡眠症状において対照群に比して
著しく改善された。 B 末梢神経系 末梢神経系(PNS)の病気を持つた患者を
ガングリオシツドで処置したところ、運動性
および感覚性の神経伝達の保護並びに回復能
がみられ、また、神経筋接合部および機能的
神経伝達の回復において直接作用がみられ
た。これらの全ての作用はより迅速なそして
完全な機能回復に役立つものである。 Negrinは顔面神経痳痺“a frigore”の患者
24人の臨床的およびEMG進展について管理化試
験を行ない、ガングリオシツドの治療活性を調べ
た。これらの患者の障害の推移を、抗炎症剤コー
チゾンおよびビタミンB1,B6およびB12で処理し
た同じ症状の患者40人と比較した。ガングリオシ
ツドで処理する患者群は、さらにその顔面神経障
害がニユーロプラスチツク(neuropractic)なも
のかあるいは軸索断裂によるものかによつてグル
ープ分けした。前者においては1日10mgのガング
リオシツドを3週間投与し、後者では同じ投与量
で4週間以上10ケ月以内の期間投与した。より特
徴的な結果はこの後者のグループで見られた。即
ち、早期のそして長期のガングリオシツドの投与
により、永久的な量的にそして質的に重篤な顔面
神経痳痺の危険が実質的に減少した(連続的半側
顔面痙攣については限定された臨床的および
EMG回復がみられた)。対照群の治癒率が34%で
あるのに対し、ガングリオシツド投与群のそれは
84%であつた。 D′Agostiniは慢性アルコール中毒による末梢神
経炎の患者30人にガングリオシツドを1日10mg筋
肉注射する管理化臨床試験を行なつた
(D′AGOSTINI N.Relazione sulla
sperimentazione clinica del preparato“GL/
5”Per USO intramuscolare deilaboratori
FIDIA Farmaceutici di Abano Terme).この
処置は13日以上、32日以内の期間続けた。その結
果を対照群と比較した。採用した投与量は統計的
に(studentのt検定)有意な治癒活性を示すの
に適当な量であることがわかつた。この薬物は耐
薬性が良好であり、副作用はなかつた。 Mazzoniは、アルコール中毒性神経障害の患者
12人に1日当り20mgのガングリオシツドを36日以
内の期間投与する管理化試験を行なつた。
(MAZZONI S.Gazz.Med.Ital.135 559、1976)
結果をStudentのt検定にかけたところ、10人の
対照群(P<0.01)と外来通院者(ambulation)
(P<0.01)と比較して統計的に有意な差があつ
た。 Mamoliらは、感覚性および運動性障害を示す
アルコール中毒性多発性神経炎の患者37人に対す
るガングリオシツドの作用効果を調べるために管
理化臨床試験を行なつた(MAMOLI G.ET
COLL.,Ricerca Scientifica ed Educazione
Permanente,Universita di Milano,Suppl.
139,1978)。17人の患者にガングリオシツド20
mg/日を4週間投与した。残りの患者を対照群と
した。全ての患者を試験開始時および終了時に神
経学的検査およびEMG検査にかけた。神経学的
検査の結果、対照群と比較してガングリオシツド
で治療した患者は感覚異常およびアキレス腱反射
において明らかな改善を示した(P<0.02)。 Ferromiloneらは、多発性神経炎および多発性
根神経炎の12人の患者に1日10mgのガングリオシ
ツドを11日ないし30日間投与し、20人の対照群と
比較した(FERROMILONE F.ET COLL,
Gazz.Med.Ital.135 559,1976)。Studentのt検
定による統計分析の結果、振戦(P=0.01)、歩
行(P=0.01)および筋肉強度(P=0.01)につ
いて、ガングリオシツド治療群が有意に改善され
ることがわかつた。 Azzoniは、種々の悪性腫瘍のためにビンクリ
スチンを投与された7人の患者のビンクリスチン
による神経障害に対し、ガングリオシツドが保護
作用を有するかどうかを調べるために管理化臨床
試験を行なつた。結果をArmitageの連続分析で
処理した結果、ビンクリスチン治療期間中、1日
10mgの割合でガングリオシツドを投与すれば、こ
の抗癌剤によつてもたらされる神経障害、特に腱
反射の喪失および感覚異常について明らかな保護
作用が見られることがわかつた(AZZONI P.
Poiiclinico(Sed.Med.)85 255 1978)。 Dantonaらは、主として感覚異常および四肢の
虚弱を特徴とする現存ビンクリスチン神経障害の
患者40人にガングリオシツド1日当たり20mgを20
日間、次いで1日当たり10mgを10日間投与した。
ガングリオシツドの治療活性は87%であり、投与
後4日で感覚異常が減少した(DANTONA A.
ET COLL.,Ricerca Scientificaed Educazione
Parmanente,Universita di Milano,Supp.
155、1978)。 Catizoneは、血液透析を行なつており、臨床的
に、および節電計により神経障害を有する10人の
患者にガングリオシツド20mg/日を30日間投与し
た(CATIZONE L.ET COLL.,CIin.Terap.85
395、1978)。同じ症状を有し、人工じん臓のみ
で治療を受けている10人の患者と比較したとこ
ろ、ガングリオシツド治療群は運動障害(落ち着
きのない脚、痙攣、筋肉虚弱)および感覚障害
(感覚異常、痛み、灼熱脚)が著しく減少し、明
らかに幸福感を持つ様になつた。運動および感覚
障害についての自覚病訴および客観的所見の全体
的な改善度は、未処理対照群が12%に過ぎないの
に対し、ガングリオシツド投与群は60%であつ
た。 Pozzaらは、現存末梢神経障害を有するインシ
ユリン依存性糖尿病患者19人にガングリオシツド
20mg/日を40日間投与した(POZZA G.ET
COLL.,Ricerca Scientifica ed Educazione
Permanente,Universita Milano,Suppl
115、1978)。治療の前後で全ての患者について完
全な電気生理学的検査および自律機能試験を行な
つた。電気生理学的パラメーターに統計的に有意
な安定した改善がみられ、最大運動性伝導速度の
改善(P<0.001)と共に臨床的病訴が減少し
た。この観察された改善は炭水化物バランスの変
化とは無関係であつた。 Sandriniらは種々の病因(アルコール中毒性、
糖尿病性、ジフエニルヒダントイン起因性)に基
づく多発神経炎の患者11人についてEMG研究を
行ない、神経刺激伝達に及ぼすガングリオシツド
の作用効果(20mg/日、30日間)を調べた
(SANDRINI ET COLL.,Ricerca Scientifica
ed Educazione Permanente,Universita di
Milano,Suppl. 129 1978)。治療の前後で選
択したEMGパラメーターは外膝窩神経における
最大運動性伝導速度およびメデイカル腓腹筋由来
の反射応答(H反射)である。これらのパラメー
ターについて改善がみられると同時に、自覚症状
が軽減した。 Leoniらは、種々の場所の帯状ヘルペスを持つ
た26人の患者にガングリオシツドを投与し、自覚
症状(知覚過敏、灼熱、痛み)および客観的所見
(紅斑、小胞形成、浮腫、滲出物)についてガン
グリオシツドの効果を観察した(LEONI A.ET
COLL.,Policlinico(Sez.Med.)85 428、
1978)。ガングリオシツドは1日20または40mg、
10日間投与したが、4症例については臨床的に全
ての症状が10日以内に完全に減少したので、10日
以内に投薬を中止した。症状の改善は投与後2日
で現れ、4ないし6日後に最高に達した。帯状ヘ
ルペスに感染した後、治療を早く開始すればそれ
だけ早く改善されることがわかつた。 Lonati Grilloは、末梢神経系(PNS)の新生児
外傷性障害(分娩痳痺)を持つた小児患者(年令
5日から16ケ月)33人について管理化臨床試験を
行なつた(LONATI GRILLO V.,Eur.Med.
Phys.13 1、1977)。ガングリオシツド5mg/
日を20日間サイクルで投与し、サイクルの間に10
日間の休薬期間を設けた。臨床的改善度を栄養状
態、トーヌス、強さ、自発および反射運動活性に
ついて調べた。治療群は対照群と比較して、著し
い全体的改善がみられ、機能的回復は休薬期間も
持続し、試験終了6ケ月後に検査した時もその改
善は安定していた。 Pavaniniらは運動療法を受けている分娩痳痺の
小児患者13人にガングリオシツドを投与する管理
化臨床試験を行なつた(PAVANINI G.ET
COLL.,Eur.Med.Phys.in Press,1980)。投与
量は1日10mgとし、15〜20日のサイクルで3回行
ない、それぞれのサイクルの中間に45日間の休薬
期間をおいた。対照群と比較して、ガングリオシ
ツドで治療した患者には運動活性、トーヌスおよ
び栄養状態において明らかな回復がみられた。ま
た、治療群では、対照群に比較して機能回復に要
する期間が短かかつた。 Saraceniは、外傷性末梢神経障害の患者にイオ
ン電気導入法でガングリオシツドを投与し、その
治療活性を調べた(SARACENI V.ET COLL.
,Clin.Terap.85 517、1978)。この特殊な投与
法は標準的な物理―運動療法に補助手段として有
効であり、電気刺激療法を受けている患者の大部
分に有効であることがわかつた。この場合の改善
は、EMGの客観的所見(細動対意図活性比、等
尺性収縮期間中の自発活性、最大運動性伝導速
度、順行性感覚潜伏)で測定した。 Mingioneらは、外科的神経剥離による上肢神
経の変化伝達(altcred conduction)を有する60
人の患者について管理化臨床試験を行なつた
(MINGIONE A.ET COLL.,Electromyogr.clin.
Neurophysiol.19 353 1979)。投与量は1日10mg
(後に1日20mgに増量)であり、筋肉注射した。
投与サイクルは30日であり、サイクル間で10ない
し15日の休薬期間を設けた。対照群と比較して、
投薬群には感覚運動活性の早期回復、痛みおよび
感覚異常の早期軽減がみられた。 Vivaは、第15および17脳神経に外傷性または
圧縮性神経障害を有する患者56人にガングリオシ
ツド20mg/日を20日間投与した(VIVAE.ET
COLL.,Min.Stomatol.27 177、1978)。神経ブ
ロツク知覚痳痺に続く三叉神経性知覚減退を有す
る患者について良好な結果が得られ、明らかな改
善が投与10日後でみられた。全耳下腺摘出患者で
は20ないし30日以内に顔面神経機能の完全な回復
がみられ、特徴のある徴候(ベル黒人徴候および
広頚筋徴候)が消失した。深い傷による神経線維
の軸索断裂またはニユーロプラチツク障害の患者
は15日で全快した。 Marangoloらは、特に脳神経を含むトキシン感
染性神経傷害に起因する神経伝達の変調を有する
84人の患者にガングリオシツドを投与してその効
果を観察した。治療活性を従来法により処理した
患者のものと比較したところ、ガングリオシツド
治療群には早期の神経機能回復がみられ、従来な
ら慢性進行性のものと考えられるものにも回復が
みられた。 Castellazzoらは、近視性脈絡網膜変性、視神
経炎、視神経軽萎縮、眼筋痳痺、緑内障、斑変
性、および弱視の患者74人にガングリオシツドを
投与した(CASTELLAZZO R.ET COLL.,
Min.Oftalmol.20 93、1978)。投与量は1日10mg
であり、10ないし90日間筋肉注射した。多くのパ
ラメーターについて機能的改善度を調べた結果、
従来法と比較して回復が促進されることがわかつ
た。中程度のマラリチツク(maralytic)斜視の
場合に特に、眼筋痳痺期間の短縮がみられた。ま
た、外因性眼筋痳痺および脈絡網膜変調(特に退
化性のもの)において良好な結果が得られた。 Buonfiglioは、脳梅毒、中毒またはトキシン性
感染およびシナイル(sinile)および術後変種の
神経伝達の変調を特徴とする病因を持つた眼筋病
変に対するガングリオシツドの効果を調べた
(BUONFIGLIO R..Min.Oftalmnl.18 99、
1976)。投与量は1日10―20mg、30日のサイクル
で行ない休薬期間は15―25日であつた。眼筋痳
痺、収束不全、術後運動不全(斜視のための外科
手術後)、中毒性視神経炎、緑内障または白内障
に付随する視神経軽萎縮の患者、計35人を治療し
た。これらの疾病は全て感覚活性障害、識別正確
度の喪失、視野の変調(同心性狭窄および中心暗
点)を起すものである。治療の結果、ガングリオ
シツドの投与は病気の初期に投与すればそれだけ
効果が大きいことがわかつた。視覚(力)に顕著
な改善がみられた患者は、治療終了数ケ月後に検
査した所、改善度は低下していなかつた。ガング
リオシツドの作用機序から視覚(力)の改善は、
生存網膜細胞と相当する脳構造とのより迅速な連
絡をあらわしていると思われる。この仮説はタバ
コおよびアルコールの混合型ニコチン中毒による
視神経炎を有し、視覚(力)の減退、視野の変調
がみられる患者をガングリオシツドで処置した結
果から確認された。即ち、この場合、識別正確度
および視野測定所見の両者において顕著な改善が
みられた。後日、このBuonfiglioは、外因性眼痳
痺(10症例)、過剰矯正による術後筋肉不全(4
症例)、弱視(2症例)、収束不全(10症例)の患
者26人にもガングリオシツドを投与した
(BUONFIGLIO MARABOTTIN R.,G.Ital.
Ortottica 1977)。ガングリオシツドは1日10
―20mg筋肉注射した。治療期間は20日以上、30日
以内であつた。得られた結果は良好であり、ガン
グリオシツドは視能訓練の補助手段として有効で
あることがわかつた。 Feiraは、慢性緑内障の患者におけるコンピメ
トリツク(compimetric)異常に対するガングリ
オシツドの作用効果を調べた(FEIRA C.ET
COLL.,Min Oftalmol.20 127、1978)。これ
は、この様な変調はデイスク圧迫による虚血に基
づく網膜神経線維の低酸素困難を反映しているこ
とにもとずいている。眼内圧および視野変調に関
して安定している慢性緑内障の患者にガングリオ
シツド20mg/日を30日間投与した。その結果、暗
点面積が著しく減少した。 Meduriらは、中程度ないし重篤な斜視弱視の
患者50人について試験した(MEDURI R.ET
COLL.,G.Ital.Ortottica 97、1977)。21人の
患者は矯正法(ortho―pleoptic method)だけで
治療し、一方残りの29人には同時にガングリオシ
ツド(1日10mg、筋肉注射)を投与した。治療後
精神物理的および生物電気的変化を調べ、両群を
比較した。精神物理的パラメーターを分析した結
果、矯正治療法の補助手段として行なつたガング
リオシツド療法は、その治療効果を増大させた。
生物電気学的パラメーターについては、(1)治療
前、両群において正常だつた網膜電位図には有意
な変化を示さなかつた;(2)治療前、疾患に特有の
変調を示していた視神経誘発電位は、対照群では
変化しなかつたが、ガングリオシツドで治療した
患者群においては、両眼視の条件下での応答およ
び弱視眼のみでの応答の両者において、偏差
(deflection)3の強さの有意な増大を示した。こ
れらの管理化臨床試験の結果、従来の治療法(ビ
タミンB複合体、コーチゾンおよび抗炎症剤)に
くらべてガングリオシツド療法が有効であるこ
と、特に重篤な症例および入院を必要とする症例
において有効であることがわかつた。ここでいう
有効とは、早期の機能回復という意味であり、あ
る場合には以前の慢性症状が回復されることを意
味するが、いずれにせよ、入院期間が短縮される
ものである。感染、中毒、外傷および機械的因子
に基づく末梢神経障害を伴なつた感覚野の症状に
迅速な、そして明らかな効果を示す。ガングリオ
シツドに匹敵するその他の薬物は現在の所、見当
らない。 Bevilacquaは、鐙骨切除を受けている耳硬化症
の、危険度の高い患者に対するガングリオシツド
の効果を調べた(BEVILAQUA F.In press
Valsava,1980)。15人の患者をガングリオシ
ツドで治療し(1日10mg、30日間以上筋肉注射に
より投与した)、同様の患者12人を同じ期間、別
の薬剤で治療した。鐙骨切除前および術後10およ
び30日にオージオメトリーにより聴覚域値を測定
した。その結果、ガングリオシツドを投与した患
者の術後の経過は明らかに対照群より良好であ
り、これはガングリオシツドが蝸牛の綿毛細胞お
よび血管線条に保護作用を有することによるもの
と考えられる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 実質的に燐脂質を含有していないガングリオ
    シツド混合物を媒質中に分散または溶解せしめ
    た、中枢神経系および末梢神経系における神経刺
    激伝達障害に起因する疾病の治療剤。 2 媒質が緩衝液であり、筋肉注射、静脈注射、
    皮下注射により投与される第1項に記載の治療
    剤。 3 媒質がグリコシド溶液または生理食塩水であ
    り、静脈注射により投与される第1項に記載の治
    療剤。 4 種々の力価のガングリオシツド混合物を用い
    ることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれ
    かに記載の治療剤。
JP51097402A 1975-08-13 1976-08-13 Extraction of ganglioside and application of same to new medicines Granted JPS5234912A (en)

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