JPS6248802B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、多心線を収容した光フアイバケーブ
ルの防水成端部に関するものである。

通信ケーブル線路には、外部の温度変化によつ
て生じた水滴が流入したり、人為的にケーブルが
切断されたとき水がケーブル内を流れるのを防ぐ
ため、地下と架空の区境いやケーブル接続部など
に防水壁が設けられることが多い。

従来、この種の防水壁は、ケーブルの中間部ま
たはケーブル端末の成端部にポリウレタンやエポ
キシ等の樹脂を用いて作製されている。

第１図は、エポキシ樹脂を用いた従来の防水成
端部の一例の断面図であつて、１は光フアイバケ
ーブル、２は光フアイバ心線、３はダムスリー
ブ、４はエポキシ樹脂、５はダムスリーブとケー
ブル外被の接続部である。このように樹脂を用い
て作る成端部は、樹脂が硬化する前の液体である
うちに注入すれば、光フアイバ心線の間隙に流れ
込んで固着するため、容易に作製できる特徴があ
るが、心線数が多心になればなるほど、心線間隔
が小さくなるので、その間隙に樹脂を充てんする
のが困難となり、気泡や空隙が生じて、防水壁と
しての機能を得るのがむずかしいという問題があ
つた。

光フアイバケーブルの場合は、特に光フアイバ
心線が機械的に弱いので、樹脂硬化時や温度変化
によつて生じる大きな伸縮によつて、悪影響を受
けるという問題があつた。

これらの欠点を補うべく様々な考案がなされて
いるが、樹脂は、注入状態や硬化条件など微妙な
違いによつて、作製した製品の性能に大きな差異
が生じ易いという本質的な問題を有するので、安
定して信頼性のある防水壁が得られないという欠
点があつた。

本発明は、これらの欠点を解決するため、樹脂
を一切用いずに、あらかじめ均一に作られた簡単
な構造のゴム部品を用いて防水壁を構成したもの
で、その目的は、多心線を収容した光フアイバケ
ーブルにおいて、光フアイバ心線に悪影響を与え
ることなく、均一で信頼性の高い防水成端部を得
ることにある。以下、図面により本発明を詳細に
説明する。

第２図ａは、本発明による光フアイバケーブル
の防水成端部の実施例の側断面図、第２図ｂは第
２図ａのＡ−A′における断面図であつて６はゴ
ムシート、７はシール材、８は気密ゴム部品、９
は締付けリング、１０は芯棒、１１は押え金具、
１２はＯリングである。

第３図は第２図のゴムシート６の部品図であつ
て、６−１は光フアイバ心線収納孔、６−２はス
リツトである。

ゴムシート６は、エチレンプロピレンゴムなど
の加硫ゴムが適しており、防水機能および成端部
構成上ゴム硬度は30〜60（JISA）、寸法は、厚さ
２〜３mm、幅20〜40mm、長さ20〜100mm程度の大
きさが適当である。ゴムシート６に設ける光フア
イバ心線収納孔６−１は、光フアイバ心線と同じ
か、もしくは若干小さな内径の孔であり、スリツ
ト６−２は光フアイバ心線収納孔に挿入するため
の切り込みで、通常は開口しないようにする。ゴ
ムシート６の端末部は、ゴムシートを丸めて端面
を重ね合せたとき段差が生じないようバイアスカ
ツトにする。

次に第４図は気密ゴム部品８の断面図であり、
８−１はノズル、８−２は貫通孔、８−３はＯリ
ング部である。気密ゴム部品８は、エチレンプロ
ピレンゴム等の加硫ゴムで、ゴムシート６よりも
軟らかいゴム材が適している。貫通孔８−２の内
径はゴムシートを必要数だけ巻き付けたときの外
径よりも若干小さくし、貫通孔の長さ（片方のノ
ズルの端から反対側のノズルの端までの長さ）は
ゴムシート６の幅と同じかもしくは若干短くす
る。

次に第２図の成端部の組立手順を説明すると、
次のとおりである。

(1) 第３図に示すゴムシートのスリツト６−２が
開口するように、ゴムシートを折り曲げながら
光フアイバ心線を１心ごとに、光フアイバ心線
収納孔に挿入する。

(2) 所定の心線数を挿入したゴムシートをスリツ
ト６−２が内周になるようにして芯棒１０に巻
き付ける。この際、ゴムシートの両面にシール
材７を縦沿えして巻き付ける。シート材７に
は、粘着性の軟らかいゴム材を用いる。このよ
うにすれば、ゴムシートのスリツトは閉じる方
向に巻き付けることになり、一方、シール材は
ゴムシート間に間隙が生じるのを防いで、水密
性の良い密封部を得ることができる。

(3) 所定の心線数について、前記(1)、(2)項を終了
した後、治具を用いて気密ゴム部品８の貫通孔
８−２を拡大し、前記(2)項で巻き付けたゴムシ
ートの外周に気密ゴム部品８を被せ、拡大して
いた治具を抜き取る。貫通孔８−２の内径が巻
き付けたゴムシート外径よりも小さいので、ゴ
ムシートに密着させることができる。

(4) 気密ゴム部品８のノズル８−１の外周を締付
けリング９で締め付ける。締付けリング９は、
ゴムまたはプラスチツク、金属のいずれでもよ
い。

(5) 気密ゴム部品のＯリング部８−３に押え金具
１１を取り付けて固定する。以上により、光フ
アイバ心線の周辺はゴムシートで密封し、その
外周部は気密ゴム部品で密封した成端部が得ら
れる。

次に第２図の応用例について説明する。

第５図は複数本の光フアイバ心線を一つにまと
めたテープ心線に対して本発明を実施した例で、
第２図ｂに相当する部分を示した断面図である。
第５図において１３はテープ心線、１４は角形穴
付きゴムシートである。第６図は角形穴付きゴム
シートの部品図であつて、１４−１は角形のテー
プ心線収容孔である。テープ心線収容孔１４−１
はテープ心線とほぼ同形状とし、テープ心線を収
容する場合は第５図に示すように、テープ心線に
シール材を巻き付けるか、もしくはあらかじめテ
ープ心線収容孔内にシール材を挿入しておいて、
テープ心線を収容する。

このようにすれば、テープ心線とゴムシート間
に間隙が生じない。なお光フアイバケーブルに心
線数が種々ある場合は、前記ゴムシート６または
角形穴付きゴムシート１４の巻付け層数を増減し
て対処することができる。この場合は、めくらの
ゴムシートを用いたり、ゴムシート巻付け時の直
径に合わせて気密ゴム部品８の外径の異なるもの
を用意すればよい。

以上説明したように、本発明の光フアイバケー
ブルの防水成端部は、次に列挙する利点がある。

(1) 光フアイバ心線に対して軟質のゴムシートを
適用し、ゴムシート幅も20〜40mm程度であり、
軟らかく光フアイバ心線を把持しているので、
悪影響を与えない。

(2) ゴムシートの光フアイバ心線収納孔にスリツ
トが設けてあるので、光フアイバ心線を挿入す
るのに、１本１本通す必要がなく、スリツトか
ら挾み込むだけで光フアイバ心線を把持でき、
作業性が良い。

(3) スリツトが内周となるようにゴムシートを巻
き付けるので、スリツトが開かず、またゴムシ
ート間には粘着性のシール材を挿入しているの
で、間隙が生ぜず、信頼性の良い密封部が得ら
れる。

(4) あらかじめ成形品として作られたゴムシート
と気密ゴム部品を水密用部品として使用してい
るので、簡単な組立作業で性能に“バラツキ”
が少なく、高信頼な防水成端を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の防水成端部の断面図、第２図ａ
は本発明による光フアイバケーブル防水成端部の
実施例の側断面図、第２図ｂは第２図ａのＡ−
A′における断面図、第３図は第２図に用いるゴ
ムシートの部品の斜視図、第４図は第２図に用い
る気密ゴム部品の断面図、第５図はテープ心線を
収容した光フアイバケーブル防水成端部の実施例
における断面図、第６図は第５図に用いる角形穴
付きゴムシートの部品の斜視図である。 １……光フアイバケーブル、２……光フアイバ
心線、３……ダムスリーブ、４……エポキシ樹
脂、５……ケーブル外被接続部、６……ゴムシー
ト、６−１……光フアイバ心線収納孔、６−２…
…スリツト、７……シール材、８……気密ゴム部
品、８−１……ノズル、８−２……貫通孔、８−
３……Ｏリング部、９……締付けリング、１０…
…芯棒、１１……押え金具、１２……Ｏリング、
１３……テープ心線、１４……角形穴付きゴムシ
ート、１４−１……テープ心線収容孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 光フアイバ心線の径と同じかもしくは若干小
   さな内径があり、かつ丸めることにより形成され
   る円周の上に１箇所のスリツトがある貫通孔を、
   複数個設けた平板状のゴムシートに、光フアイバ
   心線を挿入し、前記ゴムシートの両面に粘着性の
   軟質ゴムシール材を縦沿えして、断面円形の芯材
   に巻き付け、その外周に前記ゴムシートよりも軟
   質のゴム材で作られ、かつチユーブ状のノズルが
   付いたゴム部品を被せ、前記ゴム部品ノズルの外
   周から金属等の締付けリングを用いて円周上均等
   に締め付けることにより、光フアイバ心線間の水
   密性を得るように構成したことを特徴とする光フ
   アイバケーブルの防水成端部。