JPS624873Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は熱間静水圧加圧装置に係り、とりわけ
10〜200Kgｆ／cm²の領域でセラミツクなどのガス
圧焼結処理を行なうに適した上記装置に関する。

（従来の技術） 近時、等方圧縮加圧装置として熱間静水圧加圧
（HIP）装置が注目され、各方面でその実用化が
試みられているが、このHIP装置は温度において
数百度〜2000℃、圧力において10〜2000Kgｆ／cm²
の広範囲にわたつている一方、10〜100Kgｆ／cm²
程度の圧力下においても多くの利用分野が検討さ
れており、なかでもセラミツク等のガス圧焼結用
として10〜200Kgｆ／cm²で使用されるHIP装置の
ニーズが昂まつている。

ところが、一般に真空に近い領域から上記のよ
うな10〜200Kgｆ／cm²の領域では圧媒ガスの対流
の比率が極めて少なく、下蓋の熱が上方へゆかれ
ないため熱伝導の占める割合が高くなり、ヒータ
から高圧容器内処理室下方への入熱量が増大し、
高圧容器の下蓋など蓋温度の上昇が避けられなく
なり、下蓋などの過熱が起りパツキンに悪影響を
与える問題を有している。

即ち、従来一般に使用されているHIP装置で
は、通常、高圧容器の下蓋に電極端子が多数配置
されており、そのため、冷却部を設置しようとし
てもその場所の制約に選択を受け、下蓋を有効に
冷却することが困難となり、結局、下蓋の温度が
上昇して電極を取り巻く絶縁パツキンなど高圧パ
ツキンの寿命を短かくするのである。

そこで、かかる問題に対処し、上記問題の解消
を図る手段が検討されているが、電極装置と、そ
の構成などに着目した改善策が実願昭58−125125
号によつて提案されているにしても、冷却部の設
置によりパツキン寿命の向上を策するものは未だ
出現していない。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上述の如き実状に鑑み、前記HIP装置
の高圧容器の蓋に冷却部を設置することにより高
圧パツキンの有効な冷却を図ることを問題点と
し、これによつて10〜200Kgｆ／cm²の領域使用で
の高圧容器蓋の冷却を確実かつ簡単ならしめよう
とするものである。

（問題点を解決するための手段） しかして、上記の問題点を解決する本考案の特
徴は、高圧容器と、上蓋、下蓋によつて画成され
る高圧室内に断熱層、ヒータ、炉床が配置される
HIP装置において、前記上下蓋の何れか一方の蓋
又は上下蓋の両方に冷却板を配設し、該冷却板を
高圧室に面する平面部と、円筒部からなるキヤツ
プ形状となし、円筒部の外周面に高圧ガスパツキ
ンを設ける一方、前記冷却板と、該冷却板が設け
られた蓋との間に冷却水通路及びパツキンを設
け、外部から該冷却水通路に冷却水を給．排水可
能ならしめた点にある。

ここで、冷却板は上記の如く高圧容器の下蓋又
は上蓋あるいは上下双方の蓋に配設されるもので
あり、前述の熱伝導による過熱状況を考慮して選
択されるが、高圧容器の下蓋を含み配設すること
が最も効果的である。

また、下蓋はその装置構成として外蓋と内蓋と
の両部に分割されることが屡々であり、このとき
には通常、冷却板は内蓋側に設置する。

前記冷却板の形状としては、高圧ガスシールの
ためのパツキン配置の関係上、高圧室に面する平
面部と、円筒状の部分を有する形状とすることが
好適で、円筒状の部分の外周面に沿つてパツキン
が配置される。

なお、冷却水通路は、冷却板、通常は冷却板平
面部と、これに面する蓋との間の蓋側又は冷却板
側の何れかあるいは双方の位置を合致できれば双
方夫々に形成され、これには外部より冷却水流通
路が連結可能となつていて、必要な流量の冷却水
を随時、給水又は排水する。勿論、給水通路、排
水通路は共通でも、別々でもよい。

（作用） 次に上記の構成からなる本考案HIP装置につい
てその作用を説明すると、上記装置の構成から明
らかなように、外部に連通する給排水流通路を通
じ適宜、冷却板と蓋との間に設けられた冷却水通
路の冷却水が給水され、又は該通路から冷却水が
排水される。従つて、高圧室内に高圧高温のガス
が充填され、所要の熱間静水圧焼結処理が行なわ
れているときは冷却水通路には特に冷却水を流す
必要はないが、何らかの検知手段によつて蓋の過
熱を検知するとき、あるいは特に検知するまでも
なく適時、冷却水を冷却水通路に流して蓋を冷却
し、蓋が過熱するのを防ぐことができる。

かくして、高圧パツキンを有効に冷却し、高圧
パツキンを長期間安定に使用し処理効率を向上す
る。

（実施例） 以下、添付図面を参照し、本考案の具体的な実
施例を説明する。

第１図は本考案に係るHIP装置の１例を示す断
面概要図で、図において１は高圧円筒からなる高
圧容器、２は上蓋、３は下外蓋３ａと下内蓋３ｂ
からなる下蓋で、これら高圧容器１と、上下の蓋
２，３によつて高圧室が形成され、この室内に断
熱層４、ヒータ５、炉床６が収設配置されて本考
案装置の基本部分が構成されており、炉床６の上
に被処理体（図示せず）が載置されて高圧高温処
理即ちガス圧による等方圧縮焼結が行なわれる。

しかして、上記構成をもつ装置において、図示
例では高圧容器１の上蓋２，下蓋３の夫々に本考
案の要部をなす冷却板７，８が設けられている。
冷却板７，８は同図より理解される如く高圧室に
面する平面部７ａ，８ａと、円筒状の部分７ｂ，
８ｂとからなるキヤツプ形状であり、上蓋２にお
いてはその高圧室に面する面と、高圧容器１との
間にわたり、又、下蓋３では下内蓋３ｂの高圧室
に面する面と、下内蓋３ｂと下外蓋３ａとの間に
わたつて夫々設けられ、何れもその円筒状をなす
円筒部７ｂ，８ｂの外周面には高圧ガスをシール
する高圧ガスパツキン９が配設されている。

又、上記両冷却板７，８の夫々と、上蓋２、下
蓋３との間、即ち、上部の冷却板７の平面部７ａ
と、これに対応する上蓋２の当接面との間及び下
部の冷却板８と、これに対応する下蓋、図では下
内蓋３ｂの当接面との間には夫々冷却水通路１０
が形成されており、この冷却水通路１０は適宜、
外部に連通されていて必要な流量の冷却水が流さ
れるようになつている。

なお、冷却板７と上蓋２及び冷却板８と下内蓋
３ｂの間には上記冷却水通路１０を流れる冷却水
の漏洩を阻止するためパツキン１１が配置されて
いる。

第２図は、上記冷却板、特に上部の冷却板７に
関し他の実施例を示し、その要部については殆ん
ど異なるところはないが、その円筒部７ｂの端部
に屈曲して鍔部７ｃを形成し、上蓋２と高圧容器
１との間の接触を冷却板７によつて完全に遮断し
ている。

この方式は、同図では上部の冷却板７をもつて
例示しているが、下部の冷却板８においても適用
可能であることは勿論である。

又、第１図図示例は上下の両蓋２，３に対し冷
却板を配設しているが、上下蓋の何れか一方のみ
でもよいことは前述した通りである。

第３図は更に本考案の別の実施例であり、冷却
板７の平面部７ａに一部改変が加えられ、上蓋２
中心部に突出する芯部２ａ外周に当接する肉厚嵌
合部７ｄを有して形成されており、上蓋の前記芯
部２ａと冷却板７の前記嵌合部７ｄ内周面との間
にも高圧シール１２が設けられ蓋の内外２個所で
シールを行なつている。

そして、上蓋２には冷却媒体流通孔即ち、冷却
水流通孔１３，１４が外部より前記冷却板７の平
面部７ａと上蓋２との間に設けられた冷却水通路
１０に連通する如く穿設されている。

なお、１５はHIP装置に通常、設けられるガス
流通口であり、１６は洩れ検知穴である。

このような蓋の内外２ケ所に高圧シールをもつ
ものは、特に図で示すＡ部、即ち蓋芯部２ａに圧
力導入口、熱電対接続部などを配置することが可
能となる利点を有する。

この方式の冷却板構成も亦、図示例の上蓋に限
らず、下蓋側にも容易に適用し得ることは勿論で
ある。

かくして、以上のような構成を採ることにより
必要に応じ冷却水を冷却水通路１０に流して高圧
ガスパツキン９を有効に冷却し、同パツキン９の
長期間にわたる安定使用を確保する。

（考案の効果） 本考案は以上の如く上蓋又は／及び下蓋にキヤ
ツプ形状の冷却板を設置し、該冷却板の外周面に
高圧ガスパツキンを設けると共に冷却板と蓋との
間に冷却水通路を形成し、かつパツキンを設けた
ものであるから、冷却水通路に冷却水を適時、流
すことによつて高圧容器蓋の過熱を防止し、10〜
200Kgｆ／cm²程度で使用されるガス圧焼結装置に
おいても高圧ガスパツキンを容易かつ有効に冷却
することができて同パツキンの長期安定使用，寿
命の向上に顕著な効果を奏すると共に、冷却板を
キヤツプ状とし、その外周面に高圧ガスパツキン
を配置しているため冷却水が高圧室内に漏出する
恐れがなく、高圧室内への水分の漏洩によるヒー
タの消耗，電気的絶縁不良などの悪影響を全く懸
念する必要なく、ガス圧焼結装置として、特に今
後、益々そのニーズ増大が期待される10〜200Kg
ｆ／cm²程度で熱伝導のウエイトの高いものにおい
も優れた焼結性能を保障する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の１実施例に係る断面概要
図、第２図及び第３図は本考案に係る他の実施例
を示す要部部分図である。 １……高圧容器、２……上蓋、３……下蓋、４
……断熱層、５……ヒータ、６……炉床、７，８
……冷却板、７ａ，８ａ……冷却板平面部、７
ｂ，８ｂ……冷却板円筒部、７ｃ……鍔部、７ｄ
……嵌合部、９……高圧ガスパツキン、１０……
冷却水通路、１１……パツキン、１２……高圧シ
ール。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 高圧容器と、上蓋、下蓋によつて画成される
   高圧室内に断熱層、ヒータ、炉床を配置してな
   る熱間静水圧加圧装置において、少くとも１つ
   の蓋に、高圧室に面する平面部と、円筒部を有
   するキヤツプ形状の冷却板を配設し、該冷却板
   の前記円筒部外周面に高圧ガスパツキンを配置
   せしめると共に、冷却板と蓋との間に外部に連
   通する冷却水通路及びパツキンを設けてなるこ
   とを特徴とする熱間静水圧加圧装置。 ２ キヤツプ形状の冷却板がその円筒部端部に蓋
   と高圧容器の間に介入する鍔部を備えている実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の熱間静水圧
   加圧装置。 ３ キヤツプ形状の冷却板がその高圧室に面する
   平面部中心部に、蓋中心に突出する芯部外周に
   当接する嵌合部を有しており、蓋の前記芯部と
   嵌合部内周面との間にも高圧シールを設ける実
   用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載の
   熱間静水圧加圧装置。