JPH0350394Y2

JPH0350394Y2 -

Info

Publication number: JPH0350394Y2
Application number: JP1986085056U
Authority: JP
Priority date: 1986-06-04
Filing date: 1986-06-04
Publication date: 1991-10-28
Also published as: JPS62198495U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」この考案は、高圧熱処理炉に付設されて、熱処
理終了後に炉体内部および被処理物を冷却する冷
却装置に関するものである。

「従来の技術」従来よりセラミツクスや超硬合金等に対して焼
結、脱脂等の熱処理を施す際には、炉内を高圧に
保持し得る高圧熱処理炉が用いられている。この
ような高圧熱処理炉には、処理が終了した後に炉
内および被処理物を速やかに冷却するための冷却
装置が付設されていることが一般的である。

第２図はそのような冷却装置を備えた従来の高
圧熱処理炉の概略構成を示すものであり、図中符
号１は炉体、２は炉体１内に配設された加熱室、
３は炉体１内にガス（一般には不活性ガス）を導
入するためのガス導入管である。また、４は炉体
１の外部に設けられた冷却器、５は冷却用ガスを
循環させるための送風機、６，６はダクトであ
る。上記の冷却器４には冷却水管７，７が接続さ
れていて、図示しない冷却源から冷却水が冷却器
４のフインチユーブ４ａに供給されるようになつ
ている。

この第２図に示す高圧熱処理炉では、熱処理時
にはガス導入管３から炉体１内にガスを導入し、
そのガス圧により炉体１内を高圧（たとえば100
〜2000Kg／cm²）に保持するようにしている。そし
て、熱処理が終了した後には炉体１内を常圧に戻
して冷却用ガスを吹き込み、図中の矢印で示すよ
うにその冷却用ガスを冷却器４に通して冷却しつ
つ炉体１内を循環させることによつて、炉体１内
部および被処理物（図示せず）を冷却するように
している。

また、第３図に示すように、冷却器４を炉体１
の内部に配設して、冷却用ガスを炉体１外に導く
ことなく直接この冷却器４によつて冷却するよう
にしたものも知られている。

「考案が解決しようとする問題点」しかしながら、上記の第２図に示すものにあつ
ては、循環フアン５やダクト６等の設備を要する
ので冷却装置が複雑かつ大型化し、設備費がかさ
むという問題があつた。

また、第３図に示すものにあつては、炉体１内
の圧力が極めて高い場合にはその圧力によつて冷
却器４のフインチユーブ４ａが潰れてしまうこと
があり、このため、フインチユーブ４ａの肉厚を
充分に厚くして強度を高める必要があつた。とこ
ろが、フインチユーブ４ａの肉厚を厚くすると伝
熱効率が低下してしまい、冷却効率が著しく低下
してしまうという問題があつた。

この考案は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、簡便な構成でかつ冷却効率にも優れ、高圧熱
処理炉に付設して好適な冷却装置を提供すること
を目的としている。

「問題点を解決するための手段」この考案は、炉体の内部に冷却水が通水される
フインチユーブを有する冷却器を配設するととも
に、その冷却器に接続されている冷却水管にガス
導入管から分岐したバイパス管を接続してなり、
かつ前記バイパス管及び前記冷却水管の途中に、
前記冷却器のフインチユーブに冷却水またはガス
のいずれか一方を選択的に供給するためのバルブ
を設け、さらに前記バイパス管の途中に除湿器を
設けたことを特徴としている。

「作用」この考案の冷却装置では、熱処理を行う際には
炉体内に導入されるガスの一部をバイパス管を通
して冷却器のフインチユーブにも導き、そのフイ
ンチユーブ内外のガス圧をほぼ同等とする。また
熱処理終了後に冷却を行う際には、冷却器に冷却
水を通水して冷却を行う。

「実施例」以下、この考案の一実施例を、第１図を参照し
て説明する。

第１図はこの実施例の冷却装置を備えた高圧熱
処理炉の概略構成を示す図であつて、図中の符号
１０は炉体、１１はその炉体１０の内部に設けら
れた加熱室、１２，１２はその加熱室の上部およ
び下部にそれぞれ設けられている開口部の蓋、１
３，１３はそれらの蓋１２，１２を開閉するため
のシリンダである。炉体１０にはガス導入管１４
が接続されており、熱処理時にはこのガス導入管
１４から導入したガスのガス圧によつて炉体１０
の内部が高圧に保持されるようになつているとと
もに、熱処理終了後はこのガス導入管１４から冷
却用ガスが導入されるようになつている。

前記炉体１０の内部にはフインチユーブ１５ａ
を有する冷却器１５が配設され、この冷却器１５
には、炉体１０を貫通する冷却水供給管１６およ
び冷却水返送管１７が接続されれいる。これらの
供給管１６、返送管１７には図示しない冷却源が
接続されており、その冷却源と冷却器１５との間
を冷却水が循環できるようにされている。また、
供給管１６および返送管１７には、それぞれバル
ブ１８，１９が取り付けられ、バルブ１８の冷却
器１５側にはバルブ２０を介して放出管２１が接
続されている。また、バルブ１９の冷却器１５側
にはバルブ２２を介してバイパス管２３の一端が
接続され、このバイパス管２３の他端は前記ガス
導入管１４の途中に接続されている。さらに、こ
のバイパス管２３の途中には除湿器２４が取り付
けられている。この除湿器２４としては、水分を
除去するフイルター、あるいはモレキユラーシー
ブ等を用いることが望ましい。

以上でこの実施例の冷却装置を備えた高圧熱処
理炉の構成を説明したが、次にその使用方法を説
明する。

まず、熱処理を行うに際して炉体１０内を所望
の圧力に高めるためにガス導入管１４からガスを
導入するが、このとき、冷却水供給管１６、冷却
水返送管１７に取り付けられているバルブ１８，
１９をともに閉じ、放出管２１、バイパス管２３
に取り付けられているバルブ２０，２２をともに
開いておき、炉体１０に導入するガスの一部を図
中の実線矢印で示すように同時に冷却器１５にも
導く。これにより、供給管１６、返送管１７の内
部、冷却器１５のフインチユーブ１５ａの内部に
冷却水が入つていればそれはガス圧により押し出
されて放出管２１から放出されるから、放出後に
はバルブ２１を閉じ、フインチユーブ１５ａ内の
ガス圧を炉体１０内のガス圧とともに所望の値と
する。

上記のようなフインチユーブ１５ａ内外のガス
圧が等しい状態で熱処理を行い、処理が終了した
ら炉体１０内からガスを放出して常圧に戻すとと
もに、バルブ２０を開いてフインチユーブ１５ａ
内のガス圧も常圧とする。そして、ガス導入管１
４より冷却用ガスを炉体１０内に導入するととも
に、バルブ２０，２２をともに閉じ、バルブ１
８，１９をともに開いて、図中の破線矢印で示す
ように、冷却源（図示せず）から冷却水を冷却器
１５に供給する。これにより、供給管１６、返送
管１７、フインチユーブ１５ａ内に残留していた
ガスは冷却水により押し出され、冷却器１５に冷
却水が供給されてこの冷却供給１５により冷却用
ガスは冷却されつつ炉体１０内を循環して炉体１
０内および被処理物（図示せず）を冷却する。

以上のようにすることにより、処理時において
はフインチユーブ１５ａ内外のガス圧は等しいか
ら、炉体１０内の圧力がいかに高圧になつてもフ
インチユーブ１５ａに加わる外圧は内圧と相殺さ
れ、フインチユーブ１５ａは潰れる恐れがない。
したがつてフインチユーブ１５ａの肉厚は薄くて
良く、伝熱効率が低下することはない。

また、冷却器１５を炉体１０内に配設するの
で、炉体１０の外部に送風機やダクトを設けるこ
とがなく、装置がコンパクトに収まるとともに設
備費も安価で済む。

さらに、この冷却装置では、バイパス管２３の
途中に除湿器２４を備えたので、冷却水管路１
６，１７からの水分がバイパス管２３を逆流した
場合にはここで除去でき、水分が炉体１０内に流
入してしまうことはない。

なお、各配管の接続点や各バルブの設置位置等
は適宜変更して良いことは勿論であるし、また、
各バルブを予め設定した所定のプログラムにした
がつて自動的に開閉するように構成する等、適宜
の変更が可能である。

「考案の効果」以上詳細に説明したように、この考案の冷却装
置によれば、冷却器のフインチユーブに冷却水ま
たはガスのいずれか一方を選択的に供給するよう
に構成したので、処理時にはフインチユーブにガ
スを導入してその内外の圧力をほぼ等しくするよ
うにできる。したがつて、炉体内の圧力がいかに
高くなつてもフインチユーブが潰れることはない
からその肉厚は薄いもので良く、冷却効率が低下
することはない。また冷却器を炉体内に配設する
ので装置がコンパクトに収まり、かつ安価に製作
できるという効果を奏する。

また、本考案によれば、このようにガス導入管
から分岐したバイパス管を冷却水管に接続しかつ
それら各管の途中にバルブを設けた構成としてい
るので、バルブを開閉操作するだけでフインチユ
ーブに供給すべき冷却水又はガスの両方を交互に
供給することができ、その場合において、ガスを
供給すればそのガスの供給圧力によつてフインチ
ユーブ及び冷却水管内の冷却水が押し出され、冷
却水を供給すればその冷却水によつてガスが押し
出されることになるので、冷却水とガスの入れ替
えを円滑に行うことができ、従つて、冷却器の構
造や配管の設計等に何等制約を受けることなく簡
易な構成でこれを実現することができる。

さらに、バイパス管の途中に除湿器を設けてい
るので、冷却水管路からの水分がバイパス管を逆
流した場合にはここで除去でき、これによつて水
分が炉体内に流入するのを防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の冷却装置を備えた
高圧熱処理炉の概略構成を示す断面図である。第
２図および第３図は、それぞれ従来の冷却装置を
備えた高圧熱処理炉の概略構成を示す断面図であ
る。１０……炉体、１４……ガス導入管、１５……
冷却器、１５ａ……フインチユーブ、１６……冷
却水供給管（冷却水管）、１７……冷却水返送管
（冷却水管）、２３……バイパス管。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

炉体内にガスを導入するためのガス導入管を備
え、そのガス導入管から導入したガスによつて炉
体内を高圧に保持するようにした高圧熱処理炉に
付設される冷却装置であつて、前記炉体の内部に
冷却水が通水されるフインチユーブを有する冷却
器を配設すると共に、その冷却器に接続されてい
る冷却水管に前記ガス導入管から分岐したバイパ
ス管を接続してなり、かつ前記バイパス管及び前
記冷却水管の途中に、前記冷却器のフインチユー
ブに冷却水またはガスのいずれか一方を選択的に
供給するためのバルブを設け、さらに前記バイパ
ス管の途中に除湿器を設けたことを特徴とする高
圧熱処理炉における冷却装置。