JPS6245206B2 - - Google Patents

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JPS6245206B2
JPS6245206B2 JP56172153A JP17215381A JPS6245206B2 JP S6245206 B2 JPS6245206 B2 JP S6245206B2 JP 56172153 A JP56172153 A JP 56172153A JP 17215381 A JP17215381 A JP 17215381A JP S6245206 B2 JPS6245206 B2 JP S6245206B2
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JP
Japan
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cells
protein
microns
separation material
separation
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JP56172153A
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Tsutae Akao
Tsutomu Abe
Akihiko Ikeda
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、白血球浮遊液からT細胞を分離する
蛋白質を付着せしめた疎水性かつ水不溶性の多孔
性分離材、および該分離分離材を用いてT細胞を
分離する方法に関する。 ここで云うT細胞とは、ノイラミニターゼ処理
したヒツジ赤血球とロゼツトを形成するリンパ球
を云い、非T細胞とは、T細胞と認識されないリ
ンパ球、単球および顆粒球を云う。 T細胞は末梢血リンパ球の70〜85%程度を占
め、抗体産生の制御、細胞障害反応等の種々の免
疫反応に関与する細胞であり、従来T細胞を一段
階の分離手段で獲得することは不可能とされてい
る。また種々の手段を組合せ、高純度高収率で、
かつ生存率良く獲得することは、免疫学研究の必
須の手法であり、それ故また多くの問題を有して
いる。 従来の末梢血からのT細胞の分離方法は、いず
れもまず、ソデイウムメトリゾエイト−フイーコ
ール混液などの高密度等張液を用いた比重遠心法
により、白血球のうち70〜90%のリンパ球を含む
白血球浮遊液を獲得し、次いで、これを分離処理
している。この後続する分離処理の主なものは次
の三つの方法が知られている。 (1) T細胞とロゼツト形成能を有するノイラミニ
ターゼ処理したヒツジ赤血球を上記前処理液に
添加し、数時間以上冷所で放置後、再度比重遠
心法を施してT細胞を獲得する。 (2) T細胞の異物表面に対する付着性が非T細胞
にくらべ低い性質を利用して、上記前処理液を
ナイロン繊維に接触させ、繊維に付着しにくい
分画としてT細胞を獲得する。 (3) 螢光標識したT細胞を認識する抗血清を用
い、上記前処理液中のT細胞を螢光染色し、フ
ルオレセインセルソーターを用いて螢光細胞分
画としてT細胞を獲得する。 第1の方法は、ヒツジ赤血球とリンパ球を共存
させることにより、リンパ球を刺激してしまうと
いう欠点を有し、免疫系におけるT細胞の役割を
解明する研究目的には適用しがたい。 第2の方法は、T細胞と非T細胞の大部分は分
離が十分にされず、純度の高いT細胞はわずかし
か得られない。 第3の方法は、理論的には最も高い純度のT細
胞を獲得しうる方法であるが、抗血清を用いるた
めに細胞に刺激や損傷を与えてしまうこと、1個
1個の細胞を選別してゆくという操作が必須であ
るため、107〜108個程度のリンパ球の大量取得が
困難であるなどの欠点を有する。 本発明者らは、かかるT細胞分離方法の現状を
ふまえ、T細胞を高純度、高収率かつ細胞に免疫
的刺激を与えずに獲得することを目的とし、T細
胞および非T細胞の異物表面に対する付着現象に
詳細な検討を加えた結果、多孔性表面を有する水
不溶性かつ疎水性の固体が、T細胞の選択的分離
材として好適に用いえられることを見出し、すで
に特許出願を行なつている(特願昭56−3370およ
び特願昭56−88834)。 本発明者らは、T細胞分離操作をさらに容易か
つ簡略化すべく引き続き鋭意検討を行なつた結
果、多孔性を有する水溶性かつ疎水性の固体に動
物血清蛋白質を付着、乾燥したものをT細胞分離
材として用いることにより、分離操作がより簡便
になり、分離時使用蛋白質量の低減化が可能であ
り、さらに無菌操作が容易となる効果を見い出
し、本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明は、動物血清蛋白質を付着せ
しめた500Å以上5000Å未満の平均細孔径を有す
る水不溶性かつ疎水性の多孔性固体よりなる白血
球浮遊液からT細胞を分離するT細胞分離材、お
よび該分離材に0.1g/dl以上の蛋白質共存下で
白血球浮遊液を接触することを特徴とするT細胞
分離方法である。 以下、本発明の構成について説明する。 本発明における動物血清蛋白質を付着せしめる
固体は、疎水性であることが必要であり、具体的
には、これらの素材として、エチレン、プロピレ
ン、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニ
ルベンゼン、アクリロニトリル、メタクリル酸メ
チルなどの重合体および共重合体、またはナイロ
ン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエステル共重合体などがある。 上記の疎水性固体の調製方法は特に限定されな
いが、重合過程で比較的自由に多孔化高分子を調
製できる。特にスチレンなどのモノビニル単量体
とジビニルベンゼンなどの架橋重合性単量体を共
重合して得られる多孔性共重合体が好ましい。 ここで云うモノビニル単量体とは、ほとんどす
べてのビニル単量体が該当する。すなわち、スチ
レン、メチルスチレン、ジフエニルエチレン、エ
チルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタ
リン、ビニルフエナントレン、ビニルメシチレ
ン、3・4・6−トリメチルスチレン、1−ビニ
ル−2−エチルアセチレン等の炭化水素化合物:
クロルスチレン、メトキシスチレン、ブロムスチ
レン、シアノスチレン、フルオルスチレン、ジク
ロルスチレン、N・N−ジメチルアミノスチレ
ン、ニトロスチレン、クロルメチルスチレン、ト
リフルオルスチレン、トリフルオルメチルスチレ
ン、アミノスチレン等のスチレン誘導体:メチル
ビニルスルフイド、フエニルビニルスルフイド等
のビニルスルフイド誘導体:アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、α−アセトキシアクリロニ
トリル等のアクリロニトリル誘導体:アクリル
酸、メタクリル酸:アクリル酸メチル、アクリル
酸ラウリル、アクリル酸クロルメチル、アセトキ
シアクリル酸エチル等のアクリル酸エステル:メ
タクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタ
クリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸
ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル:マ
レイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル:メチルビ
ニルケトン、エチルイソプロペニルケトン等のビ
ニルケトン、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、
シアン化ビニリデン等のビニリデン化合物:アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−ブトキシメ
チルアクリルアミド、N−フエニルアクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミド、N・N−ジメチ
ルアミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミ
ド誘導体:酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸
ビニル等の脂肪酸ビニル誘導体:チオメタクリル
酸フエニル、チオアクリル酸メチル、チオ酢酸ビ
ニル等のチオ脂肪酸誘導体:さらにN−ビニルス
クシンイミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニ
ルフタルイミド、N−ビニルカルバゾール、ビニ
ルフラン、2−ビニルベンゾフラン、ビニルチオ
フエン、ビニルイミダゾール、メチルビニルイミ
ダゾール、ビニルピラゾール、ビニルオキサゾリ
ドン、ビニルチアゾール、ビニルテトラゾール、
ビニルピリジン、メチルビニルピリジン、2・4
−ジメチル−6−ビニルトリアジン、ビニルキノ
リン等の異節環状ビニル化合物がある。 また、架橋重合性単量体としては、ジビニルベ
ンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、
ジビニルナフタリン、ジビニルエチルベンゼン、
ジビニルフエナントレン、トリビニルベンゼン、
ジビニルジフエニル、ジビニルジフエニルメタ
ン、ジビニルジベンジル、ジビニルフエニルエー
テル、ジビニルジフエニルスルフイド、ジビニル
ジフエニルアミン、ジビニルスルホン、ジビニル
ケトン、ジビニルフラン、ジビニルピリジン、ジ
ビニルキノリン、ジ(ビニルピリジノエチル)エ
チレンジアミン、フタル酸ジアリル、マレイン酸
ジアリル、フマル酸ジアリル、コハク酸ジアリ
ル、炭酸ジアリル、シユウ酸ジアリル、アジピン
酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、酒石酸ジアリ
ル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、リン酸
トリアリル、トリカルバリル酸トリアリル、アコ
ニツト酸トリアリル、クエン酸トリアリル、N・
N′−エチレンジアクリルアミド、N・N′−メチ
レンジアクリルアミド、N・N′−メチレンメタ
クリルアミド、エチレングリコールジメタクリレ
ート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラメタクリレート、1・
3−ブチレングリコールジアクリレート、1・6
−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチル
プロパントリアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、トリアリルイソシアヌレ
ート、1・3・5−トリアクロイルヘキサヒドロ
−1・3.5−トリアジン、ジアリールメラミン等
が含まれる。 本発明における疎水性の固体は、平滑な表面の
場合は十分に非T細胞を付着できず、500Å以上
5000Å未満、より好ましくは600Å以上3500Å未
満、特に好ましくは1000Å以上2500Å未満の平均
細孔径を有するものが用いられる。 ここでいう平均細孔径は、水銀圧入式ポロシメ
ーターにより測定される。 この方法は多孔性物質に水銀を圧入して行き、
浸入した水銀量から水銀孔量(単位重量あたりの
浸入した水銀量)を求めるとともに、細孔の直径
とその孔に水銀を圧入するに要する圧力は反比例
するという原理に基づいて細孔径分布を測定する
ものである。この方法の詳細は、成書、フアイ
ン・パーテイクル・メジヤーメント(Fine
Particle Measurement)クライド・オア・ジユ
ニアおよびジエ・エム・ダアラアバアル
(Clyde・Orr・Jr・and J.M.Dallavalle)共著、
ザ・マクミラン・カンパニイ、ニヨー・ユーク
(The Macmillan Company、New York)1959
年に記載されている。この方法では35〜40Åまで
の細孔径分布を測定することが可能である。 本発明における平均細孔径とは、横軸に細孔径
(r)を対数目盛で表わし、縦軸をdV/d log
r(ここで、vはポロシメーターで測定した累積
水銀孔量)で表わす孔径分布図において、上記文
献の方法によつて得られた細孔径分布曲線と横軸
とで囲まれる閉区間を左右等面積に縦軸に平行に
区切つたときの横軸上の細孔径値と定義する。 本発明において、孔とはその孔径が40Å以上あ
り、かつ表面からの連通孔と定義し、水銀孔量も
その孔に由来する値である。 疎水性の固体の水銀孔量は、前述の平均細孔径
と同じく水銀圧入式ポロシメーターにより測定さ
れる値であるが、0.1ml/g以上4ml/g未満で
あることが好ましく、0.3ml/g以上3ml/g未
満であることがより好ましい。 本発明における疎水性の固体は粒状であること
が必要であり、球形であることが分離効率を向上
させる上で好ましい。その粒径範囲は、水中にお
いて40ミクロン以上800ミクロン未満、好ましく
は40ミクロン以上200ミクロン未満、さらに好ま
しくは40ミクロン以上75ミクロン未満のものが用
いられる。 本発明におけるT細胞分離材は、前記した多孔
性表面を有する疎水性の固体に蛋白質を付着せし
めたものである。 付着の際用いる動物血清蛋白質溶液は、1.7
g/dl以上の蛋白質を含む液、好ましくは1.7
g/dl以上の自己血清、哺乳動物の胎児血清を含
む培養液もしくは緩衝液、さらに好ましくは2.5
g/dl以上の哺乳動物の胎児血清を含む培養液も
しくは緩衝液である。本発明に用いうる哺乳動物
の例としては、牛、馬、羊、山羊、ウサギ、マウ
ス、ラツト、モルモツトなどを挙げることができ
る。 付着方法は、多孔性表面を有する疎水性の固体
を、上記蛋白質を含む液中に浮遊させ、1時間以
上、好ましくは10時間以上静置し、その後、吸引
過により蛋白質を含む液を除き、凍結真空乾燥
を行なう。 静置温度は、蛋白質が変質しない温度であれば
いずれでもよく、4℃から室温(18〜25℃)の範
囲が好ましい。 本発明で云う白血球浮遊液とは、リンパ球、顆
粒球、単球などの白血球が浮遊しており、赤血球
の混入は白血球数の10倍以内のものを云い、遠心
法、比重遠心法、デキストラン沈澱法等いずれの
方法により調製したものでもよいが、比重遠心法
の方が顆粒球および赤血球の混入が少なく実用的
である。 本発明のT細胞分離材において、疎水性の固体
に蛋白質を付着せしめたことにより、T細胞の非
特異的付着を防止するために、分離に先立ちその
度に分離材に蛋白質処理をする必要がなくなり、
分離操作が簡便になり便利である。 また、T細胞分離材と白血球の接触に際して、
0.1g/dl以上の蛋白質を含む液、好ましくは0.1
g/dl以上の自己血清、動物血清、哺乳動物の胎
児血清を含む培養液もしくは緩衝液、さらに好ま
しくは0.3g/dl以上の哺乳動物の胎児血清を含
む倍養液もしくは緩衝液を用いればよく、分離の
際に使用する蛋白質量はごく少量ですむ。前記蛋
白質を含む液の上限は7g/dl位まで可能である
が、本発明の効果を発揮する範囲としては2g/
dl位までである。 上記効果は、T細胞分離材と白血球の接触の
際、予め付着せしめられた蛋白質が徐々に溶解す
るため、分離材の周囲に高濃度な蛋白質域がで
き、少量の蛋白質を含む液中においても、非T細
胞の付着に何ら悪影響を及ぼさず、T細胞が非特
異的に付着することが防止できるため発現され
る。 本発明のT細胞分離材は、乾燥状態であるた
め、カラムに充填した状態で容易に滅菌すること
が可能であり、より無菌操作が容易になる。 また、滅菌後長期間の保存が可能になり、多数
のカラムを常時滅菌状態で準備できる。さらに、
滅菌状態の分離材の充填されたカラムの持ち運び
が容易にできる。 本発明において、疎水性を有する多孔性固体へ
付着せしめる蛋白質、およびT細胞分離材と白血
球を接触させる液中の蛋白質として、哺乳動物の
胎児血清蛋白質を用いている。該胎児血清蛋白質
は、T細胞の非特異的付着を防止するとともに、
B細胞、単球などの非T細胞を特異的に付着する
効果を持つ。 この効果は、該胎児血清蛋白質中のなんらかの
成分が分離材に付着したため発現されると考えら
れる。 この効果発現に寄与する胎児血清成分は十分解
明されておらず、単一の蛋白質か、一以上のもの
かは現在のところ不明である。しかし、胎児血清
個体差はあまり認められていないところから、胎
児血清の基本的成分であることは間違いないと考
えられる。 以上のことから、本発明は、白血球浮遊液より
きわめて簡便、迅速に高収率、高純度でT細胞を
分離する効果をもつものである。 本発明に用いるT細胞分離器の1例を図面に基
づいて説明すると、白血球浮遊液ならびに洗浄液
を注入する入口1と、白血球浮遊液ならびに洗浄
液を流出させる出口2とを持つたカラム3に、出
口の所にT細胞分離材が流出しない程度の孔径を
有するフイルター4を取り付け、カラム3内に前
記したT細胞分離材5が充填されてなるものであ
る。なお、フイルター4は入口側にも設けてよ
い。 上記の如きT細胞分離器を用いて白血球からT
細胞を分離するには、まず血液から遠心法、比重
遠心法などの方法により調整した白血球を0.1
g/dl以上の蛋白質を含む液に浮遊せしめる。こ
の液をあらかじめ0.1g/dl以上の蛋白質を含む
液で分離材を湿潤状態にした分離器に注入し、浮
遊液が本発明のT細胞分離材に浸潤し終つた時点
で流出を止め、一定時間静置し、その後、洗浄液
を流して未付着細胞を洗い出すことにより行う。 以上の方法により洗い出した洗浄液中には、T
細胞が含まれることとなる。 白血球浮遊液の分離器中での静置時間は、非T
細胞のT細胞分離材への付着を十分に行うため
に、30分から60分程静置することが好ましい。 分離操作の際の温度は、細胞障害を与えない温
度であればいずれでもよいが、室温(18〜25℃)
から37℃程度の範囲が好ましい。 このようにして得られたT細胞は、生存率、幼
若化能、抗体産生調節能などはいずれも、分離操
作前と比較して変化は認められなかつた。 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説
明する。 実施例 1 分離材の調製: 多孔性を有する固体の調製 還流冷却器、ステンレススチール製二枚羽撹
拌器、温度計を備えた3の三口フラスコにジ
ビニルベンゼン(純度56%、不純物として44%
のビニルエチルベンゼンを含む、以下56%ジビ
ニルベンゼンと記す)100g、フタル酸ジメチ
ル150g、アゾビスイソブチロニトリル1gを
加え均一溶液にする。さらに部分ケン化ポリビ
ニルアルコール1.5g、塩化ナトリウム60gを
溶解した蒸留水1500gを加え、250rpmの回転
数で撹拌を行いながら60℃で1時間、70℃で2
時間、80℃2時間、さらに90℃で4時間加熱し
た。 生成した共重合体は良好な球状であり、直径
30ミクロン以上1000ミクロン未満の範囲にあ
り、平均細孔径は1400Å、水銀孔量は1.1ml/
gであつた。 蛋白質の付着 該多孔性を有する固体をステンレス篩で分級
し、40ミクロン以下75ミクロン未満のものを分
けとり、リン酸緩衝液加生理食塩水(以下PBS
と略す)に充分浸し、PBSで洗浄後、吸引過
する。次いで、この多孔性を有する固体を100
%牛胎児血清(蛋白含有量3.4g/dl)に充分
浸し、室温(23℃)下で12時間静置する。その
後、吸引過により牛胎児血清を除き凍結乾燥
を行なう。このものをT細胞分離材として用い
る。 分離器の作成: 該分離材2mlを、底面に30ミクロンのナイロン
ネツトのフイルターを取付けた液入口と出口を有
する内径10mmのアクリル酸カラム(図面参照)に
充填する。その後、カラム入口より10%の牛胎児
血清を含むPBS(蛋白含有量0.43g/dl)を注入
し、この分離材を湿潤させる。 以上の操作により分離器を作成した。 分離操作: ヘパリン加ヒト末梢血からソデイウムメトリゾ
エイト−フイコール混液(20℃での比重1.077)
を使つて、比重遠心法により分離し、PBSで洗浄
した白血球分画(T細胞64.9%を含み生存率98
%)を、4×106/mlの濃度で10%の牛胎児血清
を含むPBSに浮遊させた液0.5mlを調製する。こ
のものを分離器入口より静かに流し込み、浮遊液
が充分に分離材に浸透し終つた時点で、液の出口
を閉じて流出を止めた。その後、37℃1時間静置
後、出口を開いて、PBS4mlをカラム入口から流
し込み、自然落下の流速で分離材に吸着していな
い細胞を洗い出して回収した。 リンパ球の分析: 全細胞回収率は、自動血球計数器または血球計
算器を使つての顕微鏡観察により求めた。また、
T細胞をノイラミニダーゼ処理羊赤血球とのロゼ
ツト反応により求めた。 細胞の生存率はトリパンブルーによる色素排除
試験法により求めた。 結果は表1に示す。 実施例 2 実施例1で使用した40ミクロン以上75ミクロン
未満の粒径の多孔性を有する固体に、75%の牛胎
児血清を含むPBS(蛋白含有量2.5g/dl)を用
い、実施例1と同様に付着、乾燥したものを同様
のカラムに充填、湿潤させたものをT細胞分離器
とする。 実施例1と同一白血球浮遊液を用い、同一の分
離操作を施した後の結果を表1に示す。 実施例 3 実施例1で使用した反応容器に、56%ジビニル
ベンゼン100g、トルエン300g、アゾビスイソブ
チロニトリル1gを加え均一溶液とする。以下実
施例1と同様の操作を施し、球状の共重合体を得
た。このものの粒径範囲は、30ミクロン以上1000
ミクロン未満であり、平均細孔径は2300Å、水銀
孔量は2.9ml/gであつた。 このものを40ミクロン以上75ミクロン未満の範
囲で湿式分級し、実施例1と同様に蛋白質を付
着、乾燥させたものを同様のカラムに充填、湿潤
させたものをT細胞分離器とする。 実施例1と同一白血球浮遊液を用い、同一の分
離操作を施した後の結果を表1に示す。 実施例 4 実施例1で使用した反応容器に、56%ジビニル
ベンゼン100g、アジピン酸ジオクチル150gアゾ
ビスイソブチロニトリル1gを加え均一溶液とす
る。以下、実施例1と同様の操作を施し、球状の
共重合体を得た。このものの粒径範囲は30ミクロ
ン以上500ミクロン未満であり、平均細孔径1100
Å、水銀孔量は1.7ml/gであつた。 このものを40ミクロン以上75ミクロン未満の範
囲で湿式分級し、実施例1と同様に蛋白質を付
着、乾燥させたものを同様のカラムに充填、湿潤
させたものをT細胞分離器とする。 実施例1と同一白血球浮遊液を用い、同一の分
離操作を施した後の結果を表1に示す。 実施例 5 実施例1で調製した多孔性を有する固体を75ミ
クロン以上200ミクロン未満の範囲で湿式分級
し、実施例1と同様に蛋白質を付着、乾燥させ、
同様のカラムに充填、湿潤させたものをT細胞分
離器とする。 実施例1と同一白血球浮遊液を用い、同一の分
離操作を施した後の結果を表1に示す。 比較例 1 実施例1に用いたと同一の多孔性を有する固体
を40ミクロン以上75ミクロン未満の範囲で湿式分
級したものをPBSに充分浸し、洗浄後、蛋白質の
付着、乾燥を行なうことなく実施例1と同様のカ
ラムに充填し、分離器として用いた。 前もつて分離材を10%の牛胎児血清を含む
PBS4mlで平衡化した後、実施例1と同一白血球
浮遊液を用い、同一の分離操作を施した後の結果
を表1に示す。 比較例 2 ナイロンフアイバー(和光純薬工業株式会社か
ら購入)をピンセツトでよくほぐし、0.3gを5
ml容量のプラスチツク注射器に入れ、2.5mlの目
盛まで均一につめた。該注射器に5%の牛胎児血
清を含むPBSを満たし、1時間放置後、実施例1
で用いたものと同一のリンパ球浮遊液を0.5ml上
部より注入し、37℃で1時間放置した後、
PBSS10mlにて2ml/分の流速で非吸着細胞を流
出させ、T細胞分画を得た。 結果を表1に示す。
【表】 以上説明したように本発明によれば、白血球浮
遊液からT細胞を免疫的に刺激せず、高純度、高
収率で分離でき、さらに分離に際して、ごく少量
の蛋白質の使用で迅速、簡便かつ、より無菌的に
分離を行なえる効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明に用いるT細胞分離器の一例を示
す断面図である。 1……液の入口、2……液の出口、3……カラ
ム、4……フイルター、5……T細胞分離材。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 動物血清蛋白質を付着せしめた500Å以上
    5000Å未満の平均細孔径を有する疎水性かつ水不
    溶性の多孔性固体よりなる白血球浮遊液からT細
    胞を分離するT細胞分離材。 2 動物血清蛋白質を付着せしめた500Å以上
    5000Å未満の平均細孔径を有する疎水性かつ水不
    溶性の多孔性固体よりなる白血球浮遊液からT細
    胞を分離する分離材に、0.1g/dl以上の蛋白質
    を含む液中で白血球浮遊液を接触させることを特
    徴とする白血球浮遊液からT細胞を分離する方
    法。 3 動物血清蛋白質が哺乳動物の胎児血清蛋白質
    である特許請求の範囲第2項記載の白血球浮遊液
    からT細胞を分離する方法。
JP56172153A 1981-10-29 1981-10-29 T細胞の分離材および分離方法 Granted JPS5874611A (ja)

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JP56172153A JPS5874611A (ja) 1981-10-29 1981-10-29 T細胞の分離材および分離方法

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