JPS6244089Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ａ 産業上の利用分野 本考案は、ターボ過給機を搭載した自動二輪車
に関する。

ｂ 従来の技術とその問題点 近年では自動二輪車においても出力向上、燃費
効率の向上を目ざしてターボ過給機を搭載する車
が増加している。

しかして、該ターボ過給機を装備する際には、
従来第１図に示す如く、既存のエンジン１に後付
けのかたちでターボ過給機２を配設するものであ
つたため、エアークリーナー３や、エアーバルブ
４を含めた給気管５の取付や配置の態様、形状等
を一般のエンジンの場合から変更しなければなら
ず、レイアウト上不便であり、該ターボ過給機２
の占める体積分だけエンジン１全体の体積が大き
くなり、該エンジン１の取付スペースを一般エン
ジンの場合より広く必要とするため、大巾な設計
変更を余儀なくされていた。

本考案はかかる問題点に鑑み、ターボ過給機を
搭載した場合においてもエンジン全体の体積を極
力大きくしないですむように工夫したものであ
り、その要旨とするところは、上下二分割に形成
されたクランクケースの合わせ面にクランク軸、
中間軸、駆動軸等の両端部を回転可能に並設し、
前記クランクケースの上位後方にターボ過給機を
配置するとともに、排気管をエンジンの前方から
クランクケースの下方に沿つて取り回して前記タ
ーボ過給機に連結してなるターボ過給機付自動二
輪車において、前記クランクケースの合わせ面を
車両後方に向つて低くなるように傾斜させ、前記
クランク軸、中間軸、駆動軸等を車両後方に向つ
て低く配置することにより、前記上部クランクケ
ースの上部後方に陥没部を設けて前記ターボ過給
機の配置スペースを形成したターボ過給機付自動
二輪車にある。

以下本考案の好適な実施例を図面により説明す
る。なお、上記した従来例と同一要素は同一符号
にて表示する。

第２図は、本考案の一実施例を示す概念図であ
り、図中１はエンジン、２はターボ過給機、３は
エアークリーナー、５は給気管である。

エアークリーナー３を経て吸入された清浄空気
は、ターボ過給機２のコンプレツサ部（図示せ
ず）にて高圧に圧縮され、給気管５からエンジン
１のシリンダー６内に送給される。

また、図中４はエアーバルブであり、本実施例
ではいわゆる燃料噴射方式を採用しており、該エ
アーバルブ４の部分で図示しないフユエルタンク
からポンプにより送給される燃料は、給気管５内
に噴出ノズル（図示せず）から噴射され、圧縮空
気と所定比で混合されシリンダー６内に噴射され
る。

しかして、通常の燃焼工程を経て、燃焼後のガ
スは、シリンダー６の他端から排気管７ａを経油
して、ターボ過給機２のタービン（図示せず）を
回転させ、第２排気管７ｂから外部に排出され
る。このため、排気管７ａはエンジン１の前方か
らクランクケース８の下方に沿つて取り回してタ
ーボ過給機２に連結されている。

図中８はエンジン１のクランクケースであり、
該クランクケース８は、上部ケース８ａと下部ケ
ース８ｂとに二分割されている。該上部ケース８
ａと下部ケース８ｂとの合わせ面９は、本実施例
ではクランクケース８の車両後方（図中右方向）
にいくほど下方に直線的に傾斜するように形成さ
れており、該合わせ面９に沿つてクランク軸１
０、中間軸１１、駆動軸１２が車両後方に向つて
低く配列されている。クランク軸１０とドライブ
歯車１３が中間軸１１の中間歯車１４と歯合し、
該中間歯車１４と同軸の中間歯車１５が駆動軸１
２の変速歯車１６と歯合されている。また、１７
はチエンジカム、１８はコネクテイングロツドで
ある。

上下ケース８ａ，８ｂの合わせ面９を上記の如
く後方への傾斜面とすることにより、第１図の従
来例の如く水平割りの合わせ面９′とした場合に
比較して、駆動軸１２や中間軸１１が傾斜角度に
比例して下方に位置することになり、その分だけ
上部ケース８ａの後方部分８１内に空白スペース
が生じるから、本実施例では該後方部分８１をタ
ーボ過給機２の外形に対応した形状とし、陥没部
１９を設けている。なお、従来の上部ケース８ａ
内には第１図に示す如くチエンジカム筒Ａが配設
されているため、陥没部を設けることはできな
い。

しかして、該陥没部１９を形成した分だけ、タ
ーボ過給機２を第１図の従来例より下方に設置す
ることができ、エアークリーナー３や、給気管
５、エアーバルブ４などの取付位置、形状をター
ボ過給機２が付設されない従来のエンジンの場合
と同様の設計とすることができる。

また、上記陥没部１９の分だけ従来例よりもエ
ンジン１全体の体積が小さくなり、配置スペース
の点でも従来例と略同等の大きさですみ、他の系
統への影響を与えない。それに加えて、排気管７
ａの長さｌを従来に比べて短くすることができ
る。

なお、本実施例では、燃料噴射方式を採用した
例を示したが、通常の気化器を配設する場合にお
いても本考案を適用することができる。

また、クランクケース８の傾斜合わせ面９の形
状についても、直線状のものの他に、適宜の曲線
状として後方に全体として傾斜するよう構成する
こともできる。

本考案は上述した如く構成されており、ターボ
過給機を搭載した自動二輪車のクランクケース
を、その上下ケースの合わせ面を後方に傾斜させ
て、上部ケース後方のターボ過給機が位置する部
分に陥没部を形成し、該陥没部の分だけターボ過
給機を下方に配置できるようにしてあるから、タ
ーボ過給機なしの場合のエンジン部品と比較して
その形状や取付位置を変更しないですみ、部品類
やその組立工程における標準化が図れ、生産性が
向上する。

また、排気管の長さが従来に比べて短くなるの
で、タービン駆動力を高めることができ、エンジ
ン性能の向上が図れる。

さらに、エンジン全体の所要スペースが、ター
ボ過給機なしの場合と比較してさほど変化がな
く、他の系統の取付手段や位置、形状に影響を与
えることがなく、全体としても従来の二輪車の形
態を保つことができ、大巾な設計変更をする必要
がなくなる有用なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のターボ過給機付自動二輪車のエ
ンジン部分の概念図、第２図は本考案に係るター
ボ過給機付自動二輪車の一実施例を示す概念図で
ある。 １……エンジン、２……ターボ過給機、７ａ…
…排気管、８……クランクケース、８ａ……上部
ケース、９……合わせ面、１９……陥没部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下二分割に形成されたクランクケースの合わ
   せ面にクランク軸、中間軸、駆動軸等の両端部を
   回転可能に並設し、前記クランクケースの上位後
   方にターボ過給機を配置するとともに、排気管を
   エンジンの前方からクランクケースの下方に沿つ
   て取り回して前記ターボ過給機に連結してなるタ
   ーボ過給機付自動二輪車において、前記クランク
   ケースの合わせ面を車両後方に向つて低くなるよ
   うに傾斜させ、前記クランク軸、中間軸、駆動軸
   等を車両後方に向つて低く配置することにより、
   前記上部クランクケースの上部後方に陥没部を設
   けて前記ターボ過給機の配置スペースを形成した
   ことを特徴とするターボ過給機付自動二輪車。