JPS6243514B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、トーラス形核融合装置特に２分割
形トロイダルコイル装置に関するものである。

〔従来の技術〕

核融合装置には種々の方式が考えられていて、
現在世界各国が競つて研究を進めている、これら
の方式の一つに、従来、高ベータトロイダルピン
チ方式があり、これを第１図、第２図について説
明する。１は１ターンのトロイダルコイルブロツ
クで、１ａ，１ｂはそれぞれ上コイル導体、下コ
イル導体である。複数個のコイルブロツク１がト
ロイダル方向に密着して配置されている。２は真
空容器、３はプラズマ、４はコイルに給電する給
電線で、高圧側に４ａ、低圧側に４ｂを付して区
別する。５は空心変流器コイルで、このコイルの
磁束を急速に変化させプラズマ３を加熱する。６
は複数個のトロイダルコイルブロツク１を金属密
着面Ｑにて密着させるため外縁部に設けた締めこ
みリングである。なお、Ｄはトロイダル方向に配
列されたコイルブロツク１が電気的に１ターンを
形成しないように180゜ずらしてコイルブロツク
１間に設けられた二枚の絶縁板である。

ところで、この装置は第１図、第２図からも判
るように、トロイダルコイルブロツク１と真空容
器２とが互に交錯して組上つている。したがつて
装置の製作をするとき、第２図のように複数個の
トロイダルコイルブロツク１全個を２分割にする
か、または、真空容器２をトーラス方向に２分割
するかの、いずれかの方法をとらなければ組立て
ることができない。

従来のトロイダルコイルおよびこの発明のトロ
イダルコイルも、高ベータトロイダルピンチ型で
前者のトロイダルコイルを２分割にする構造のも
のに関している。

一般にこのような高ベータトロイダルピンチの
核融合装置の特長は、トロイダルコイルにコンデ
ンサー電源等による短時間大電流を流し、高磁場
を作りプラズマ封じ込めを行う。このため、トロ
イダルコイルは、銅等の良電気導体で、低インピ
ーダンスの１ターンのコイルブロツク１で形成さ
れる。第１図、第２図に示す例ではトロイダルコ
イルブロツク１は円周上に複数個配置され、給電
線４で通電される。トロイダルコイルに大電流
（通常MA級）が流れると第３図、第４図に示す
ように強大な電磁力が発生する。

すなわち、コイルには拡張力F₁〜F₃、f₁〜ｆ_o
が働き、その大小関係はF₁＞F₂、f₁＞ｆ_oでコイ
ル全体は内側に集ろうとし、上下に離れようとす
る。このような電磁力に対しコイル支持は従来の
ものは第５図、第６図に示す構造であつた。ボル
ト７は、上下方向の力F₃に対し上コイル導体１
ａ、下コイル導体１ｂが離れ接合面１ｃでの電気
的接合に支障をきたさないように上下コイル導体
１ａ，１ｂを結合している。給電線４側は電磁力
ｆ_oがf₁に比べて小さいことや、コイル変形が比
較的小さいため上下コイル導体１ａ，１ｂを結合
する機構は用いられていない。

〔発明が解決しようとする問題点〕

最近のように核融合研究の進歩に伴い、大型の
装置が必要となつてくると必然的にコイルの電流
も増大し作用する電磁力も強大なものになつてき
た。この様な傾向に対し、上記従来のトロイダル
コイル装置では、コイルの応力、変位共に大きく
なり、上、下コイル導体の接合面でアークによる
焼つき等の電気的特性を悪くし、またコイル応力
も大きく、コイルが壊れる場合も生じるという問
題点があつた。

この発明は上記のような問題点を解消するため
になされたもので、強大な電磁力に対してコイル
の変位を減少させ、２分割コイル導体の接合面で
の電気的接合を良好に保つことができるトロイダ
ルコイル装置を得ることを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明に係るトロイダルコイル装置は、端部
に接合面を有して互いに対をなすコイル導体を、
端部の外側から掴んでコイル導体を結合する結合
手段が、Ｌ字状金具と、このＬ字状金具に結合す
る金具押えからなつている。

〔作 用〕

この発明においては、結合手段が、強大な電磁
力に対して対抗し、コイルブロツク同志を結合す
る。

〔実施例〕

以下この発明の一実施例を第７図〜第９図につ
いて説明する。第７図、第８図において、８はボ
ルト、９は絶縁物、１０はトロイダル状に配設さ
れた各コイルブロツク１のそれぞれに対して設け
られたＬ字状金具で、トロイダル方向に電気的１
ターンを形成しないよう電気絶縁面をもつてい
る。又、Ｌ字状金具１０の周縁部の下部には歯部
１０ａが形成されている。１１は歯形形状面をも
つ金具押えで、Ｌ字状金具１０同様電気的１ター
ンを形成しないよう、後述の電気絶縁物１１ｂを
もつ。１１ａは歯部で、例えば台形状の歯形であ
る。１２は楔で、操作ボルト１３を操作すること
で、Ｌ字状金具１０とコイルブロツク１とは剛に
拘束される。ここに、Ｌ字状金具１０及び環状の
金具押え１１はコイル導体１ａ，１ｂを外側から
掴んで結合せしめる第１の結合手段を構成し、他
端でコイル導体１ａ，１ｂを結合しているボルト
８、絶縁物９は第２の結合手段をなしている。

第９図は金具押え１１の拡大図で、トロイダル
方向に１ターンを形成しないよう絶縁物１１ｂを
もち、かつ、分割可能な構造とし、ボルト１１ｃ
で一体的に結合して構成する。この実施例では金
具押え１１が２分割構造の場合を示したが、装置
形状によつてはそれ以上の分割構造であつてもよ
い。

以上のような構造のトロイダルコイルの組立手
順は、コイル導体１ａ，１ｂを全周にセツトし、
楔１２を各コイルブロツク１の端部に置く。次に
Ｌ字状金具１０を仮にセツトする。一方、ボルト
８、絶縁物９も仮締めを行う。その後、２分割構
造の金具押え１１の噛合部１１ａを、Ｌ字状金具
１０の歯部１０ａにかみ合うようセツトし、ボル
ト１１ｃにて１円にする。最後に操作ボルト１３
を回し、楔１２の作用によつてＬ字状金具１０を
介し、上下コイル導体１ａ，１ｂを剛に拘束す
る。

このように、コイルブロツク１の外部より剛性
の高い構造で２分割コイルを支持するため、コイ
ルに発生する強大な電磁力の支持はもとより２分
割面の接合面１ｃの電気的特性を上げることがで
き、接合面１ｃでの焼つき等も防止することがで
きる。

また、Ｌ字状金具１０は、コイル導体１ａ，１
ｂを外部から拘束しているために、従来のような
接合面１ｃに通しボルト穴を設けたために生じる
接合面積の減少による接合部の電気特性をそこな
わないという利点もある。

以上の実施例ではコイルブロツク１のそれぞれ
に対して別体のＬ字状金具１０を設ける構造であ
つたが、第１０図に示すように鍔部１０ｂを有す
る１つの円筒体によりＬ字状金具１０を構成しこ
の円筒状のＬ字状金具１０に各コイルブロツク１
を一括して結合させるようにしてもよい。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、トロイダル
コイル装置を剛性の高い構造をもつ結合手段でコ
イルブロツクを容易に一体的に組み立てることが
できる。従つて、強大な電磁力に対するコイル支
持を強固にし、コイル変位を減少させ、上下コイ
ル導体間の接合面で焼つきを防止させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のトロイダルコイル装置の横断面
図、第２図は第１図のものの平面図、第３、第４
図は第１図、第２図で示したものの電磁力分布を
示す模式図、第５図は第１図のものの拡大横断面
図、第６図は第５図に示したものの平面図、第７
図はこの発明の一実施例の一部横断面図、第８図
は第７図に示したものの平面図、第９図は第７図
のものの金具押えの拡大図、第１０図は他の実施
例の一部平面図である。 １はコイルブロツク、１ａは上コイル導体、１
ｂは下コイル導体、２は真空容器、３はプラズ
マ、４は給電線、７，８はボルト、１０はＬ字状
金具、１１は金具押え、１２は楔、１３は操作用
ボルト。なお、各図中、同一符号は同一又は相当
部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 端部に接合面を有し互いに対をなすコイル導
   体と、このコイル導体を前記端部の外側から掴ん
   で前記接合面を介して前記コイル導体を結合せし
   める第１の結合手段と、前記コイル導体を前記端
   部と反対側にて結合し前記第１の結合手段と協働
   してコイルブロツクを形成する第２の結合手段と
   を備えたトロイダルコイル装置において、Ｌ字状
   金具と、このＬ字状金具に結合する金具押えから
   なる前記第１の結合手段を備えてなることを特徴
   とするトロイダルコイル装置。 ２ 金具押えは環状に形成されてなる特許請求の
   範囲第１項記載のトロイダルコイル装置。 ３ 第１の結合手段は各コイルブロツクに対して
   設けられたＬ字状金具とこれらの金具の夫々が結
   合する金具押えからなる特許請求の範囲第１項記
   載のトロイダルコイル装置。 ４ Ｌ字状金具が、断面Ｌ字状の円筒状をなして
   いる特許請求の範囲第１項記載のトロイダルコイ
   ル装置。 ５ Ｌ字状金具は下端部に歯部を有し、かつ、金
   具押えは前記歯部に噛合する噛合部を有する特許
   請求の範囲第１項記載のトロイダルコイル装置。