JPS6242630B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は風船式カテーテルに関し、特に人体の
血管の様な管を閉塞する目的に使用する分離可能
な風船を有するカテーテルに関する。

風船式カテーテルは血管あるいは身体の腔部等
の医学的処置を行うために従来から使用されてい
る。しかしながら、分離可能な風船を有するカテ
ーテルすなわち分離型風船式カテーテルは最近開
発されたもので、特に血管閉塞又は同様の介在技
術に関する医学的処置を目的としているものであ
る。

分離型風船式カテーテルの初期段階での使用は
食料管理局（F.A.）のセルビネンコ
（Serbinenko）医博及びジエラルド デブラン
（Gerard Debrun）医博の開拓者的活動に見るこ
とができる。例えば神経外科ジヤーナル
（Journal of Neurosurgery）Vol.41、ページ125
−145、８月号1974年、に掲載の食料管理局（F.
A.）セルビネンコ著、“風船式カテーテルの差し
込み及び主要大脳血管の閉塞”及び神経放射線学
（Neuroradiology）９号ページ267、1975年掲載の
デブラン他著“犬における膨張及び分離型風船式
技術実験及び人間への適用”に見ることができ
る。他にも1970年代にポール ペブスナ（Paul
Pevsner）医博の活動がある。例えば、米国レン
トゲン学会誌（American Jurnal of
Roentgenology）、ページ225、1977年に掲載のP.
H.ペブスナー著（超選択的アンジオグラフイー
及び治療上の閉塞のための微小風船式カテーテ
ル”及び米国特許第4085757号明細書に見ること
ができる。

分離型風船式カテーテルの重要な用途は動脈を
治療上閉塞する場合である。例えば分離型シリコ
ン風船はR.I.ホワイト（White）医博により治療
上実施使用されている。例えば、米国医学会誌
（Journal of the American Medical
Association）、241号ページ1257〜1260、３月23
日、1979、に掲載のホワイト他著“分離型シリコ
ン風船の治療上の具体化”に見ることができる。

分離型風船カテーテルは頭部の頸動脈−くぼみ
彎曲部の管状器官及び他のAV管状器官にも採用
されてきた。ホワイト博士も精系静脈瘤の治療に
おいて内部精液静脈を閉塞するために分離型風船
式カテーテルを用いている。分離型風船式カテー
テルは、現在は、Ｂ−ＤミニバルーンTM分離型
風船システムとして知られているベクトン−デイ
キンソン社（Becton Dickinson）製のものが入
手可能である。

分離型風船式カテーテル装置の使用上のむずか
しい点はその分離機能にある。その使用において
は、まず、膨張可能な風船が差込みカテーテル又
は同様のカニユールに取付けられ、アンジオグラ
フイツク（Angiographic）技術により風船及び
カニユールは風船が所定の位置に達するまで動脈
中を挿入される。風船はその位置でカニユールを
通じて風船に入る圧力流体により膨張させられ
る。その後、膨張した風船をカニユールから離し
その位置に保持することが必要とされる。その困
難さは膨張し所定の位置に置かれ人体中の離れた
場所の風船をカニユールから分離させなければな
らないことにある。

この膨張風船を所定の位置に置いたまま分離さ
せるための数々の技術が提案されてきた。

分離型風船式カニユール分離能力を改善するた
めの最近の提案の一つに米国特許第4311146号明
細書がある。

この特許の装置は風船が十分な流体により膨張
させられた後、バルブを長手方向に引き風船膨張
流体通路を閉塞するために風船を血管中で長手方
向に膨張させることに依るものである。本バルブ
は自動的に作動し膨張された風船を閉塞しそれ故
に差し込みカテーテルは分離されると記述されて
いる。しかしながら、その様な膨張風船の自動閉
塞は使用する者から風船の取扱いの自由度を奪
い、例えば風船を不注意に膨張させたり、又は身
体の離れた風船の場所で何らかの調整等が要求さ
れる場合には不都合である。

従つて、分離型風船式カテーテルの新分野にお
いては、風船を膨張させ、カテーテルをそこから
分離し、かつ膨張した風船を膨張させたままで所
定の位置に保持させうるものが求められている。

更に使用が容易で、単純な構造、経済的な製作
及び操作手順を容易に習熟し得ること等が分離型
風船式カテーテル装置を改善する際考慮しなけれ
ばならない因子である。

（発明の目的および構成） 本発明の目的は上述の如き従来技術の欠点を解
消したカテーテルを提供することである。

かかる目的を達成するために、本願発明におい
てはカテーテルを以下のように構成している。

すなわち、本願発明のカテーテルは、外部流体
源と連結されるようになされた前方部および貫通
する内腔を有し、後方端部において閉止される上
記内腔と周壁を通じて連通する流体通路を後方端
部に有する弾性管状カニユールと； 上記カニユールの後方端部に上記流体通路を閉
塞しない様に連結された取外し可能な栓と； 上記カニユールの後方端部に取外し可能に連結
され上記栓および上記流体通路を覆う膨張可能な
風船と；から構成され、 上記風船は上記カニユールの周囲に気密に係合
する開口を有し、上記カニユールは、風船が膨張
して上記栓との係合を解かれ上記風船の開口に栓
を気密に係合させるように位置させる時に、上記
開口を通つて前方へ摺動可能であつて、したがつ
てカニユールは上記膨張した風船から脱着可能に
なされている。

したがつて、本願発明によれば、特に、栓ある
いは閉鎖装置により風船の開口を内部から閉鎖す
ることができる使用に便利なカテーテルが提供さ
れるとともに、簡単な構造のためにこのカテーテ
ルをより少ない部品点数から構成することができ
るという技術的効果が奏功されるのである。

本発明のカテーテルの簡単な構造は、製作にお
ける経済性、使い易さ、および使用する者の操作
の習熟に要する時間の節約を可能とし、特に製作
における経済性は、製作者のみならず患者にとつ
ても経費の節約が期待しうる。

（実施例） 第１図および第２図は、本発明の好ましい分離
型風船式カテーテル装置１０の実施例を示す。装
置１０は３つの主要なエレメントから構成されて
いる。すなわちこれらのエレメントは、カニユー
ル１２、膨張可能な風船１４及び分離可能な栓１
６である。

まず第一に、カニユール１２は全長にわたり伸
びた内腔１８を有する弾力性管状部材が好ましい
が、特にこれに限定するものではない。

このカテーテル装置は身体中を奥深く曲がりく
ねつた通路に挿入することを期待されるので柔ら
かく自由度の大きい性質を有するのが好ましい。

図面には示されていないが、カニユール１２は
その前方端部（使用する者に近い方の端部）に風
船に圧力を加え膨張させるための外部流体源との
接続部を備えている。カニユール前方端部のその
ような接続部は米細特許4243033号明細書に記載
されている。カニユール１２の後方端部（使用す
る者から遠い方の端部）すなわち末端部１９には
ストツパー２０が取り付けられて内腔を閉鎖して
いる。ストツパー２０は接着剤または熱可塑性材
料の熔融技術及び同等技術により接着される。も
しカニユール１２の末端部１９が閉鎖状態にして
製作された時はストツパー２０は不要となる。

とにかくここに説明する実施例においては、内
腔１８の後方の末端は閉鎖しシールされていなけ
ればならない。カニユール１２の後方端部から前
方端部に向かつて少し離れた位置に、カニユール
周壁を通つて内腔と連通する一対の孔２１が形成
されている。以下に述べるように、孔２１は圧力
流体を風船１４内へ流れ込ませる流体通路となつ
ている。従つてそのような孔の数は、設計のバラ
ンス上の選択によるものであるが、この実施例に
おいては２個の孔を備えている。

栓１６はカニユール１２の後方端部１９に取り
外し可能に取り付けられている。第３図に示すよ
うに栓１６はカツプ形状部２４およびブロツク形
状部２５を含んでいる。栓１６の全体形状は円筒
形状であり、ブロツク形状部２５は中実であるの
が好ましい。さらにブロツク形状部２５はその末
端部で最大直径２６となるようにテーパー形状に
なされるのが好ましい。カツプ形状部２４はカニ
ユール末端部１９に適合し、カニユールの円周方
向外表面に摩擦的に係合している。第２図によ
り、カツプ形状部２４はカニユール末端部の孔２
１を覆つていないすなわち閉止していないことが
わかる。

膨張可能な風船１４は単一の一品部材として形
成されている。しかしながら、時には、風船１４
は２個の開口端を有し、その内の１個を風船カテ
ーテル装置の末端部として製作した方が便利なこ
ともある。風船のこの端部は風船の材料と同等の
材料で作られた閉止部２８で閉鎖シールされる。
閉止部２８は風船１４の末端部に接着剤、熱可塑
性材料融解または同等の技術により接着される。
スリーブ状延長部２９は風船の端部の開口３０が
カニユールの円周壁外表面と摩擦により流体気密
係合になるために内側に向かいテーパー状をなし
ている。第２図に示すように、スリーブ状延長部
２９はカニユールの後方端部の孔２１の前方でカ
ニユールと接触している。この摩擦による風船の
カニユールに対する流体気密係合は開口３０をカ
ニユールの円周表面に適度な締め付け状態にコン
トロールすることにより達成できる。したがつ
て、本発明のカニユールにおいては、ひもむすび
等の追加の締め付け金具は不要である。更に栓１
６はカニユールの末端とのみ係合し、風船のいか
なる内部表面にも連結されないことが好ましい。

本発明のカニユール、風船及び栓に対し適切な
材料が採用される。前述したエレメントに対する
弾性材料は種々選択できる。例えば、柔軟なカニ
ユールはポリウレタン、ポリエチレンまたはそれ
らの混合物により製作することもできる。カニユ
ールは前述した好ましい実施例の様に単数の内腔
を有することもあるが、また使用時風船をカニユ
ールから離しやすいように複数の内腔を有するこ
ともある。膨張可能な風船はシリコンラバー製が
好ましいが他の弾性材料、例えばラテツクスラバ
ー、ポリウレタン、あるいはこれらと同等の材料
を使用することもできる。更に、分離式の栓はそ
の適合性を考慮し、膨張式風船と同一材料である
ことが好ましい。構造の単純さ及び簡単さ故に本
発明の分離型風船式カテーテル装置は例えば直径
４mm迄の血管に使用することができる。そのよう
な使用の場合、膨張前の風船の外径は通常約１mm
である。前述の例は単に本発明の一例を示したま
でであり、風船のサイズは異なるものが使用され
る。

第４図乃至第７図は前述の分離型風船式カテー
テル装置が血管中で使用されている状態を示す。
第４図によると、分離型風船式カテーテル装置１
０は、血管４０の内側に示されている。カテーテ
ル１２の前方端部は身体外部の流体源（図示せ
ず）に接続されている。第４図に示されるよう
に、風船１４は挿入期間中部分的に膨張させられ
ている。流体は身体外部の流体源より、カニユー
ル１２およびカニユールの後方端部の孔２１を通
し風船１４の内部に供給される。風船１４を部分
的に膨張させるとパラシユート効果を発生し、血
管中の風船とカニユールを血液流れにより内部へ
引き込む作用があることが認められている。この
ような風船式カテーテル装置を挿入する技術は米
国特許第4243033号明細書に記載されている。風
船が血管４０中の所定の位置に達すると、前述の
ように身体外部の流体源より圧力流体を送給する
ことにより、風船は完全に膨張させられる。流体
は、内腔１８を通り、この内腔１８の末端部がス
トツパー２０により閉塞されているため、孔２１
より流出して風船内部に入り、風船を膨張させ
る。この膨張段階は第５図に示されている。

風船１４が膨張している間、カニユール１２お
よび栓１６は風船に対し一定の位置で留まつてい
る。風船の膨張は栓１６に対して何等影響を及ぼ
さず栓１６はカニユール末端部に接続されたまま
である。

風船１４が適宜に膨張すると、血管４０の壁と
接触し、膨張風船の下流側への血液の流れを防止
して血管を閉塞させる。

この風船の液密的な係合を第５図乃至第７図に
示す。

第６図は風船が血管中の所定の位置で十分に膨
張した後カニユール１２が第６図中の矢印方向に
使用する者により引き戻されている状態を示す。
このカニユールの前方への引き戻し動作は、血管
４０の壁に十分に係合している膨張した風船に関
して相対的にカニユールを前方に滑動させること
になる。風船の膨張によりスリーブ状延長部２９
に持ち上げ効果が生じ、この持ち上げ効果がカニ
ユールの外方への滑動動作を容易ならしめてい
る。風船を膨張させている流体はカニユールの末
端表面、この相手側接触面であるスリーブ状延長
部及びカニユール円周外表面を濡らす。その結
果、潤滑効果が生じ、風船のスリーブ状延長部２
９の開口部３０からカニユールを滑りやすくさせ
ている。このようにカニユール１２が使用する者
により外側へ引き戻される場合、膨張した風船は
血管中に固定保持され栓１６は、風船の内側より
開口部３０の内部に納められる。栓１６が開口３
０の内部に納められると閉鎖効果が出て風船から
流体が逃げるのを防止し、風船を膨張した状態に
保つ。

第７図は使用する者によりカニユール１２が更
に続けて引き戻され栓１６が膨張した風船１４の
内側から開口部３０の内部へ固く係合されたこと
を示す。栓１６の好ましいテーパー形状は開口部
３０に対する効果的なシールに貢献する。更に栓
１６のテーパー表面は栓が風船の開口部３０から
過度に出ることを防止している。結果的にカニユ
ール１２の連続的な引き戻し動作は末端部１９を
栓のカツプ形状部２４から分離させる。カニユー
ルの風船及び栓からの分離がなされると使用する
者は膨張した風船を所定の位置に残しながらカニ
ユールを血管中から引き出す。

このように、本発明による分離型風船式カテー
テル装置は血管を閉塞する目的の風船の膨張およ
び分離を容易にしている。本実施例の分離型風船
式カテーテル装置は、完全な操作機能を有する装
置全体を最少数のエレメントから構成することを
可能にしている。

製作も経済的に行え、また使用も簡単である。
故に、本発明のカテーテル装置は、分離型風船式
カテーテル装置の分野において大きな改善をなし
ている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の好ましい分離型風船式カテー
テル装置の端部風船を示す斜視図、第２図は第１
図の線２−２に沿つて分離型風船式カテーテル装
置を示す断面図、第３図は第１図および第２図に
示された本発明の装置の実施例に使用される好ま
しい分離型栓の拡大斜視図、第４図は血管中に配
置された好ましい分離型風船式カテーテル装置の
風船が部分的に膨張している状態を示す断面図、
第５図は分離型風船式カテーテル装置の風船が血
管中の所定の位置で完全に膨張した状態を示す断
面図、第６図は好ましい分離型風船式カテーテル
装置の栓が風船の開口部をシールする位置までカ
ニユールが引き戻されている状態を示す断面図、
第７図は好ましい分離型風船式カニユール装置の
風船開口部がシールされ更に風船が膨張状態でシ
ールされた後の風船からカニユールを分離する手
順を示す断面図である。 １０：カテーテル装置、１２：カニユール、１
４：風船、１６：栓、１８：内腔、２１：孔、２
０：ストツパー、３０：開口、４０：血管。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 外部流体源と連結されるようになされた前方
   部および貫通する内腔を有し、後方端部において
   閉止される前記内腔と周壁を通じて連通する流体
   通路を後方端部に有する弾性管状カニユールと； 前記カニユールの後方端部に前記流体通路を閉
   塞しない様に連結された取外し可能な栓と； 前記カニユールの後方端部に取外し可能に連結
   され前記栓および前記流体通路を覆う膨張可能な
   風船と；から構成され、 前記風船は前記カニユールの周囲に気密に係合
   する開口を有し、前記カニユールは風船が膨張し
   て前記栓との係合を解かれ前記風船の開口に栓を
   気密に係合させるように位置させる時に前記開口
   を通つて前方へ摺動可能であつてしたがつて前記
   カニユールを前記膨張した風船から脱着可能にな
   されていることを特徴とするカテーテル装置。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記流体通路が前記カニユールの周壁を通る
   少くとも１個の孔を含むことを特徴とするカテー
   テル装置。 ３ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記栓が前記カニユールの後方端部にカニユ
   ール周壁外面に対して摩擦係合により連結されて
   いることを特徴とするカテーテル装置。 ４ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記栓が前記カニユールの直径よりも大きな
   直径を有することを特徴とするカテーテル装置。 ５ 特許請求の範囲第４項に記載の装置におい
   て、前記栓がテーパー形状を有しその後方端部で
   最大直径を有することを特徴とするカテーテル装
   置。 ６ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記風船は前記開口が貫通するスリーブ形状
   延長部を有し該延長部が前記流体通路の前方で前
   記カニユールの外周壁のまわりで摩擦及び流体気
   密係合を成していることを特徴とするカテーテル
   装置。 ７ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記栓はカニユールが膨張した風船より滑り
   ながら引き戻されるときに開口と係合するように
   なされるまでカニユールのみに連結されることを
   特徴とするカテーテル装置。 ８ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記風船と栓が同一材料で作られていること
   を特徴とするカテーテル装置。 ９ 特許請求の範囲第８項に記載の装置におい
   て、前記材料がシリコンラバーであることを特徴
   とするカテーテル装置。 １０ 特許請求の範囲第１項に記載の装置におい
   て、前記流体通路が前記周壁に設けられる複数個
   の孔からなり、前記栓はその後方端部が最大径と
   なるようなテーパー形状になされ、前記風船の開
   口は前記複数個の孔の前方側において前記カニユ
   ールの外周壁のまわりで摩擦により流体気密係合
   をするスリーブ状の延長部によつて画成されてい
   ることを特徴とするカテーテル装置。