JPS62420Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はころがり軸受装置に関し、特に変速ギ
ヤ装置の如く大小の多くのギヤを一本のシヤフト
に設ける場合に於いてそのギヤ間のころがり軸受
装置に関する。

一般にギヤ間にころがり軸受装置を設ける場合
は、一方のギヤをシヤフトと別体に作り、シヤフ
トにボールベアリング等を組込んだ後にその別体
のギヤをシヤフトに組込んでいる。従つてシヤフ
トとギヤはスプライン、又はキー等で廻り止めさ
れるが、ギヤが別体であるために、シヤフトと段
差の小さいギヤの場合はシヤフトの剛性が十分に
とれず、又シヤフトとギヤの心ずれ等による異
音・振動の発生、組付性の悪化や重量・コストの
アツプ、ギヤ強度の低下等、種々の問題が生じ
る。

最近の乗用車等では、高速道路走行、市街地渋
滞状態の走行、山間地道路の坂路、屈曲路走行等
広い走行条件の範囲で必要な動力性能を確保しつ
つ燃料消費を最小にするために多段トランスミツ
シヨンが要求されている。このような変速ギヤ装
置はスペース、コスト、重量等が制限され、安価
で、軽量、小型であることが要求される。

本考案はかかる要求を満足するギヤ間のころが
り軸受装置を提供することを目的とするものであ
り、本考案の構成の特徴とするところは、シヤフ
ト両側にギヤを一体に形成し該ギヤ間において該
ギヤ外径より小さなシヤフトの外周面を転動体の
転走内面とし、転動体の転走外面を形成する円筒
形アウタレースの内径を少なくとも一方のギヤの
外径より大きくすると共に転動体のケージをシヤ
フトの半径方向に分割可能にしたことである。

以下に本考案の構成を図面の実施例に従つて説
明する。

本実施例は車両用手動変速機の要部を示し、ア
ウトプツトシヤフト１と平行にカウンタギヤシヤ
フト２が配置されている。この両シヤフトはトラ
ンスミツシヨンケース３ａ、インタメデイエイト
プレート３ｂ及びエクステンシヨンハウジング３
ｃに回転自在に支持され、ギヤはシヤフトと一体
的に形成、あるいはスプライン結合により構成さ
れている。カウンタリバースギヤ４は図示されて
いないリバースアイドラギヤを介してアウトプツ
トシヤフト上のリバースギヤ５と選択的に噛合さ
れる。カウンタシヤフト２の右端部にはボールベ
アリング６カウンタ５速ギヤ７、カウンタリバー
スギヤ４及びカウンタセンタベアリング８を有す
る。即ちカウンタリバースギヤ４はカウンタシヤ
フトに一体に形成され、カウンタ５速ギヤ７はカ
ウンタシヤフトにスプライン結合されている。従
来のカウンタシヤフトはカウンタリバースギヤを
スプライン結合していた。これはアウトプツトカ
ウンタベアリング１２の外径とインタメデイエイ
トプレート（トランスミツシヨンケース）の肉厚
とベアリング容量からカウンタセンタベアリング
のローラ転走内径がカウンタリバースギヤの外径
より小さくなつてしまうため、組付性の点から行
われていたものである。このようにカウンタシヤ
フトを一体物であるカウンタセンタベアリングに
挿入した後、カウンタリバースギヤをスプライン
結合する構成にすると、カウンタリバースギヤの
外径がカウンタシヤフトに要求される軸径に対し
小さ過ぎるので、カウンタリバースギヤの歯底の
肉厚を確保すると、嵌合スプラインの径が細くな
り、カウンタシヤフトの軸剛性が低下することに
なる。これはカウンタ５速ギヤの嵌合スプライン
についても同様である。従つてギヤの噛合時にカ
ウンタシヤフトがたわんでしまい歯当たりの変化
により振動や騒音が生じ、且つ嵌合スプラインの
フレツチング摩耗の原因となる。又、カウンタシ
ヤフトの傾きによりベアリングの寿命が短い。

本考案に係るカウンタセンタベアリング８は分
割組立されるので、カウンタシヤフト２とカウン
タリバースギヤ４との一体成形を可能とするので
ある。

更に詳述すれば、カウンタセンタベアリング８
は第２図及び第３図に示す如く回転軸線を含む面
で上下に二分割できるケージ９を有する。即ち、
カウンタセンタベアリングは、カウンタリバース
ギヤ４を一体化したカウンタシヤフト２と、ロー
ラー１０を保持した二分割ケージ９と、円筒形の
アウタレース１１とからなる。この場合第１図に
示す如く、インタメデイエイトプレート３ｂは、
アウトプツトシヤフト１のアウトプツトセンタベ
アリング１２下方にアウタレース１１を装着する
孔を有し、ここに装着されるアウタレースはカウ
ンタリバースギヤ４の外径より大きな内径を有す
る。これは組付時にカウンタシヤフトを通すため
にカウンタリバースギヤ４が通過しなければなら
ないからである。又カウンタシヤフトのローラ転
走面内径はカウンタリバースギヤ外径よりも小さ
くしてある。これはアウトプツトセンタベアリン
グ１２の外径とケースの肉厚とベアリングの容量
から制限されるためである。従つて第１図の如く
カウンタシヤフトを組込むことはカウンタリバー
スギヤがカウンタシヤフトに一体形成されている
場合でもできるのである。

以上の如く本考案の構成によれば、ギヤを一体
に形成したシヤフトを通過させることができない
内径を有するころがり軸受装置に於いても、シヤ
フトの外周面を転動体の転走内面にすると共に転
動体のケージを分割型にすることによりギヤをシ
ヤフトにスプライン結合等することなく一体形成
したまま装着でき、安価にしてシヤフトの軸剛性
を向上して振動、騒音や破損等の原因を除去で
き、装置の精度や寿命を向上することができる。
又、スペース、重量、コスト等で制限されている
場合でも、本考案の構成によれば、シヤフトの転
動体転走内面径をギヤの外径より小さくすると共
にアウタレースの内径をギヤの外径より大きくす
ることにより、効果的に安価な小型軽量な装置を
提供できる。特に乗用車等の手動変速機に於いて
は従来の手動変速機に比べ、カウンタリバースギ
ヤ部、カウンタ５速ギヤ嵌合部の軸径を大幅に太
くすることが可能となり、これによりカウンタシ
ヤフトの軸剛性が向上し、振動騒音の減少ととも
に、カウンタシヤフトの傾きの減少によるベアリ
ング寿命の向上をはかることができる。

又、カウンタ５速ギヤ嵌合スプライン径を太く
できるため、スプライン部のフレツチング摩耗を
防止できる。

更に、カウンタリバースギヤのシヤフト一体化
により嵌合スプラインの加工が廃止でき安価にで
きると同時に、嵌合部の減少によりリバースギヤ
のアツセンブリでの精度向上が期待できるもの
で、その他に於いても効果大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は車両用手動変速機の要部を示す断面図、第２図
はカウンタセンタベアリングを示す第１図の−
断面図、そして第３図は第２図に示すカウンタ
センタベアリングの分解斜視図である。 ２……カウンタシヤフト、４……カウンタリバ
ースギヤ、８……カウンタセンタベアリング、９
……ケージ、１０……ローラ、１１……アウタレ
ース。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 両側にシヤフトの外径より外径の大きなギヤ
   を有するシヤフトの軸受装置において、前記両
   側のギヤを前記シヤフトと一体に形成し前記ギ
   ヤ間のシヤフトの外周面を転動体の転送内面と
   し、転動体の転走外面を形成する円筒形アウタ
   レースの内径を少なくとも一方のギヤの外径よ
   り大きくすると共に転動体のケージをシヤフト
   の半径方向に分割可能にしたことを特徴とする
   ギヤ間のころがり軸受装置。 (2) 前記ギヤが変速機のカウンタリバースギヤで
   あることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項の軸受装置。