JPS6241356B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は原子炉に用いる核燃料集合体に関
し、特に直交格子組みされた複数の帯板とその四
辺の外板とからなる支持格子を備えた核燃料集合
体の支持格子コーナー部の干渉防止のための改良
構造に関する。

従来より知られている核燃料集合体において
は、その支持格子が、中板としての複数の薄帯板
を直交格子組みとしたものに、その外周四辺を囲
む４枚の帯板外板をとりつける構造となつてお
り、外板同士は格子組み外周のコーナー部にて端
部同士の重ね合せをスポツト溶接するなどして接
続固定されている。すなわち第１図はこの従来例
のコーナー部を示すもので、１は中板としての格
子組みされた帯板、２，２′は１つのコーナー部
にて端部同士が重ね合せ部３において溶接されて
上記格子組み外周に取付けられた２枚の隣接する
外板である。従来の支持格子は第１図に示すよう
にコーナーセル４も内域部のセル５および辺部の
セル６と同様に薄板同士の格子枡目によつて矩形
に形成され、重ね合せ部３における外板同士の接
合を抵抗スポツト溶接およびその後のロー付ない
しはTIG溶接により強固に行ない、さらにコーナ
ー部については炉内で隣接する他の燃料集合体の
支持格子との引掛りを防止するために重ね合せ部
３で面取り形状にするのが普通である。しかしな
がら寿命中期での燃料集合体の交換等の取扱いに
際しては燃料集合体の曲り等の原因で他の燃料集
合体の支持格子との重なり合いが生じ、その状態
のままで燃料集合体を引抜いたり挿入したりして
装荷作業を行なうと支持格子同士の干渉によつて
破損が生じる恐れが多い。すなわち、上記のよう
な支持格子を備えた核燃料集合体では、第２図に
示すように支持格子の外周部のセル、つまり辺部
のセル６とコーナーセル４に挿通されて支持され
る核燃料棒などの棒状要素７の外側面に対して帯
板外板２，２′が張り出し、特にコーナーセルの
外板角隅部の重ね合せ部３は辺部での張り出し寸
法L₁よりも大きな寸法L₂で張り出すことにな
り、また辺部については第１図に示したように外
板上下縁に内方へ傾斜した案内羽根８が設けられ
るから干渉による引掛りが防止されるものの、コ
ーナー部ではこのような案内羽根を設ける寸法的
な余裕がないので、核燃料集合体が使用中に曲り
を生じたりすると大きく張り出した角隅部の外板
上下縁が装荷作業時に他の核燃料集合体の支持格
子の外板に引掛り、損傷を起すわけである。

この発明は上述の問題を解決するためになされ
たもので、支持格子の角隅部の張り出しを極限ま
で小さくし、装荷作業時の引掛りによる損傷を起
さないようにすることを目的としている。

この発明を実施例図面と共に説明すれば、第３
ａ図において支持格子１０の内域部および辺部の
セルに挿通される核燃料棒等の棒状要素７よりも
外径の細い棒状要素７ａをコーナーセルに挿通す
るものであつて、第３ａ図ではコーナーセルに挿
通される棒状要素７ａが全長に亘つて細径の核燃
料棒として示されているが、これは支持格子１０
の対応部のみ細径であつてもよく、第３ｂ図では
このためにコーナーセルに挿通される棒状要素７
ｂが他のセルの棒状要素７と同等外径の核燃料要
素部７１とそれより細径のセグメント７２との連
結構造をもつ核燃料棒として示されており、この
セグメント７２はそれ自身が核燃料ペレツトを含
むものであつても、或いはジルコニウム合金等の
核分裂物質を含まないものであつてもよい。

コーナー部の棒状要素を上記細径の棒状要素７
ａ又は７ｂとしたこの発明の核燃料集合体に用い
られる支持格子１０の一実施例は第４図に示した
通りである。すなわち第４図において支持格子１
０はそのコーナーセル４の帯板外板が大きな面取
り部１１を形成しており、該面取り部１１の上下
縁には案内羽根９が内方へ傾斜して一体成形され
ている。辺部のセル６において外板２，２′にプ
レス成形されている棒状要素押圧支持用弾性支持
部１３が面取り部１１にも設けられ、内部格子帯
板１に形成された剛性支持部１４との間で他のセ
ル内と同様に棒状要素７ａ又は７ｂを弾圧支持す
る。

第４図に示す支持格子１０と第３ａ図に示す棒
状要素７ａとの組合せからなる核燃料集合体にお
いては第５ａ図に示すようにコーナーセル４内に
て棒状要素７ａをセル中心から格子１０の内方へ
偏心させて配置することができ、棒状要素７ａの
細径と相俟つて面取り部１１の張り出しを大巾に
減少することができる。また第３ｂ図に示した棒
状要素７ｂとの組合せにおいては、第５ｂ図に示
すように面取り部１１の外面を核燃料要素部７１
の外側面位置と一致させることができ、支持格子
角隅部の張り出しを無いに等しいものとすること
ができる。

第６図及び第７図はこの発明の別の実施例を示
すもので、この例では面取り部１１が曲面となつ
ており、第７図に明らかなように支持格子対角線
上において曲面の面取り部１１の外面は第５ｂ図
の例と同様に核燃料要素部７１の外側面と同じ位
置にあるが、セグメント７２を非核分裂物質の合
金製のものとすれば面取り部１１をセグメント７
２の外面に面接触せしめ、弾性支持部１３を設け
ずに面取り部１１自身の内面によつてセグメント
７２を弾圧支持するようにしてもよく、この場合
セグメント７２が非核分裂性物質からなるもので
あれば発熱しないから上記面取り部１１の面接触
弾圧でも棒状要素７ｂの支持が可能であり、面取
り部１１はセグメント７２の小径外面に接するの
で核燃料要素部７１とセグメント７２との外径差
が外板厚さより大きければ面取り部１１の外面は
核燃料要素部７１の外側面よりも内方となる。

以上に述べたようにこの発明によれば核燃料集
合体の支持格子角隅部の張り出しが極端に少なく
なると共に大きな面取り部が形成されるのでその
上下縁に案内羽根を形成することができ、支持格
子角隅部の張り取し寸法を辺部の張り出し寸法以
下にして装荷作業時の干渉による引掛りを起すこ
とのないようにすることが可能であり、従つてこ
の発明の核燃料集合体では装荷作業に際して他の
核燃料集合体との間で支持格子同士の接触が円滑
に行なわれ、場合によつては支持格子コーナー部
同士の接触を生じることなく装荷作業を行なうこ
とが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の核燃料集合体の支持格子のコー
ナー部を示す斜視図、第２図はそのコーナー部の
棒状要素の配列を示す横断面図、第３ａ図はこの
発明の一実施例に係る核燃料集合体のコーナー部
の棒状要素を示す部分正面図、第３ｂ図は同じく
別の実施例を示す同様の部分正面図、第４図はこ
の発明の核燃料集合体に用いる支持格子の一実施
例を示すコーナー部の斜視図、第５ａ図および第
５ｂ図は各々第３ａ図と第３ｂ図の棒状要素を第
４図の支持格子と組合せた場合のコーナー部の配
列を示す横断面図、第６図はこの発明の別の実施
例を示す支持格子コーナー部の斜視図、第７図は
第３ｂ図の棒状要素を第６図の支持格子に組合せ
た場合のコーナー部の配列を示す横断面図であ
る。 １：帯板、２，２′：帯板外板、４：コーナー
セル、５：内域部のセル、６：辺部のセル、７，
７ａ，７ｂ：棒状要素、７１：核燃料要素部、７
２：セグメント、８，９：案内羽根、１０：支持
格子、１１：面取り部、１３：弾性支持部、１
４：剛性支持部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の帯板を格子組みしてその外周四辺を帯
   板外板で囲周し格子枡目を核燃料棒等の棒状要素
   の挿通支持用のセルとした支持格子を有する核燃
   料集合体において、支持格子の角隅部のコーナー
   セルに挿通される棒状要素が、コーナーセル以外
   のセルに挿通される棒状要素の外径に比べて、支
   持格子対応部にて小径であり、コーナーセル部の
   帯板外板が、支持格子辺部における棒状要素外側
   面からの帯板外板の張出し寸法よりも張出さない
   ように支持格子内方へ位置されていることを特徴
   とする核燃料集合体。 ２ コーナーセルに挿通される棒状要素が全長に
   亘つて小形の核燃料棒であつて、コーナーセル部
   の帯板外板が上下縁に内方へ傾斜した案内羽根を
   有することを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の核燃料集合体。 ３ コーナーセルに挿通される棒状要素が、支持
   格子対応部のみ小径のセグメントを介在させて他
   部をコーナーセル以外のセルに挿通される棒状要
   素の外径と同等外径の核燃料要素部とした核燃料
   棒であることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   に記載の核燃料集合体。 ４ セグメントが核燃料ペレツトを含む特許請求
   の範囲第３項に記載の核燃料集合体。 ５ セグメントが非核分裂物質の合金からなる特
   許請求の範囲第３項に記載の核燃料集合体。 ６ コーナーセル部の帯板外板がコーナー頂部で
   上記核燃料要素部の外周位置より内方に位置する
   ようになされた特許請求の範囲第３項に記載の核
   燃料集合体。