JPS6247116Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は原子炉に用いられる燃料集合体支持格
子に関する。

〔従来技術〕

現在使用されている加圧軽水型原子炉には、燃
料集合体が用いられている。この燃料集合体には
燃料集合体支持格子が組み込まれている。前記加
圧軽水型原子炉においては、第１図に示すように
原子炉容器１内に垂直に配置された複数個の燃料
集合体２が上下に設けられた炉心板３，４間に支
持されている。

この燃料集合体２は、第２図にその代表的な構
造を示すように、上下に平行に離間して配設され
た上部ノズル５と、下部ノズル６と、方形枠状の
外ストラツプ内に格子状の内ストラツプが設けら
れてなる複数の支持格子７と、この支持格子７の
格子状の内ストラツプによつて形成された格子空
間内に所定の間隔をおいて挿通されて支持されか
つその上下端を上部ノズル５、下部ノズル６とに
連結してスケルトン集合体を構成する制御棒案内
管８と、核燃料ペレツト９をジルカロイ等の被覆
管１０内に密閉封入した多数の燃料要素１１から
構成されている。

また、燃料集合体２は、炉心１４内では第３図
に示すように所定の位置に規則正しく配列されて
いる。そして、１つの燃料集合体２は所定の炉心
１４位置内において一定期間燃焼したら炉心１４
から取り出して新しい燃料集合体２と交換する
か、あるいは炉心１４内で位置換えされる。とこ
ろで、これら燃料集合体２の相隣り合う燃料集合
体２の同一高さの支持格子７間の間隙は僅か約
1.0mmに設定されている。

また、第４図〜第７図に示すように、支持格子
７の外ストラツプ１５は平面状に形成され、羽根
１６，１７のみがその基部において支持格子７の
内方に向けて折曲されている。また、支持格子７
の角部１８においては２枚の外ストラツプシート
が重ね合わせられているが平面状であることに変
わりはない。なお、１９は内ストラツプである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、従来のこのような燃料集合体支
持格子７にあつては、燃料集合体の交換時点にお
いては照射または熱影響等により変形することが
あり、このような場合、相隣り合う支持格子７の
間隔は変化して、例えばある支持格子７の一方側
の隣接支持格子７との間隔が1.5mmとなるとこれ
に応じて他方側の隣接支持格子との間隔は0.5mm
となる。そして、このような状態で燃料集合体の
交換を行うので取り出し時または装荷時に相隣り
合う支持格子７同志または支持格子７と上部ノズ
ル５または下部ノズル６とが互いに接触、干渉を
起こして支持格子７を破損する場合がある。

また、支持格子７が破損した状態で燃料集合体
が装荷された炉心１４内では(1)冷却水流の流れの
不均一、(2)水流が妨げられることによる燃料要素
１１の異常過熱、(3)燃料要素１１の異常振動また
は被覆管１０のフレツテイングによる破損等が生
じる危険性がある。

〔考案の目的〕

本考案は前記事情に鑑みてなされたもので、相
互接触、干渉を減少させ、かつ剛性を増して破損
を激減させることができる燃料集合体支持格子を
提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の燃料集合体支持格子は、上下縁部に羽
根を有する方形枠形の外ストラツプの上下縁近傍
部全体を、全周に亙つて内方に向けて曲げて連続
した環状に形成したものである。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第８図〜第１１図に
基づいて説明する。なお、この実施例において、
従来例と同一部分には同一符号を用いてその一部
の説明を省略する。

第８図は、本考案の支持格子２１の一部省略斜
視図であり、支持格子２１は方形枠状の外ストラ
ツプ２２内に格子状の内ストラツプ１９が設けら
れたもので、外ストラツプ２２及び内ストラツプ
１９は、通常厚さ0.3〜0.6mmのインコネルシート
が打抜型により折り曲げられかつ打抜き加工を施
されて作られている。

外ストラツプ２２は、第９図に示すようにその
上下縁近傍部すなわち、外ストラツプ２２の羽根
１６，１７を除く上下縁間距離の略1/4〜1/5の長
さだけ、外ストラツプ２２の上下縁及び羽根１６
の基部から離間した位置において、この位置から
外ストラツプ２２の上下縁にかけて全体が支持格
子２１の内方へ向けて折り曲げられている。

また、外ストラツプ２２は、第１０図および第
１１図に示すように、その各角部１８において２
枚のシートが重ね合わせられた状態で固定されて
いるが、この角部１８においてもその上下端縁近
傍部において前記同様に支持格子２１の内方へ向
けて折り曲げられている。これにより上記外スト
ラツプ２２の上下縁近傍部全体は、この支持格子
の全周に亙つて内方に向けて曲げられ連続した環
状に形成されている。また、外ストラツプ２２の
各外側面の中央部の鉛直面から外ストラツプ２２
の外側面の略上下縁位置までの離間距離は、内ス
トラツプ１９の上下縁高さ位置において0.5mm〜
1.5mmであり、この離間距離は第９図にｌで示さ
れている。この離間距離ｌが前記寸法範囲内であ
れば、外ストラツプ２２、内ストラツプ１９の打
抜加工および組立加工時における問題はない。し
かし、前記離間距離ｌが0.5mmよりも小さいと燃
料の炉心装荷時の効果が少なく、また離間距離ｌ
が0.5mmよりも大きいと原子炉運転時の冷却水の
流れに影響を及ぼす恐れがあり、かつ支持格子２
１を組み立てる場合の取扱いが面倒になる。

前記のように構成された支持格子２１が組み込
まれた燃料集合体２を炉心１４に装荷する際また
は炉心１４から取り出す際には、前記のように支
持格子２１の上下縁近傍部が支持格子２１の内方
へ向けて折り曲げられているから、隣接する支持
格子２１の上縁部と上縁部との間、下縁部と下縁
部との間の間隙がそれぞれ従来のものより2lに相
当する長さ広くなるため、これにより燃料集合体
２の装荷または取り出し作業が容易になるととも
に、支持格子２１同志、支持格子２１と上部ノズ
ル５または下部ノズル６との相互干渉が生じる機
会が極めて少なくなり、支持格子２１同志、支持
格子２１と上部ノズル５または下部ノズル６とが
接触した場合でもこれらの接触面積が小さいの
で、これらの破損を減少させることができ、かつ
これらに破損が生じてもその破損度合を軽微にす
ませることができる。また、支持格子２１の上下
縁近傍部を全周に亙つて支持格子２１の内方へ向
けて折り曲げて連続した環状に形成したことによ
り、支持格子２１自体の剛性を高めることができ
るため、炉心への装荷時等にこれら支持格子が上
部ノズル等と接触した場合においても、これら支
持格子自体の破損程度を極く僅かなものに抑える
ことができるという効果も得られる。

なお、前記実施例においては、支持格子２１の
外ストラツプ２２の上下縁近傍部を支持格子２１
の内方へ向けて傾斜平面状に折り曲げたが、これ
に限られることなく、例えば第１２図〜第１４図
に示すように、外ストラツプ２３を羽根１６，１
７を除く外ストラツプ２３の上下縁間距離の略1/
４〜1/5の長さだけ外ストラツプ２３の上下縁及び
羽根１６の基部から離間した位置を始点として外
ストラツプ２３の上下縁にかけて支持格子２４の
内方へ向けて、曲率半径Ｒの円弧状に曲げてもよ
い。なお、この実施例の外ストラツプ２３の各４
角部においても、その上下端縁近傍が前記各側面
同様に支持格子２４の内方へ円弧状に曲げられる
ことにより上記外ストラツプ２３の上下縁近傍部
全体が全周に亙つて曲げられて連続した環状に形
成されているのはもちろんである。また、前記実
施例における離間距離ｌに相当するこの実施例の
第１２図における離間距離ｌは同一寸法とされて
いる。

〔考案の効果〕

以上説明したようにこの考案によれば、原子炉
内に装荷する燃料集合体の支持格子の外ストラツ
プの上下縁近傍部全体を全周に亙つて内方に向け
て曲げて連続した環状に形成した構成であるか
ら、燃料集合体を炉心に装荷する際または炉心か
ら取り出す際には、隣接する支持格子の上下縁近
傍部間に比較的大きな間隔が生じ、これにより燃
料集合体の炉心装荷または取り出し作業が極めて
容易になるとともに、支持格子同志あるいは支持
格子と上部ノズルまたは下部ノズルとの相互干渉
を減少させることができ、これらが接触してもこ
れらの接触面は小さいのでこれらの破損を激減さ
せることができ、かつこれらに破損が生じてもそ
の破損度合を軽微にすませることができる。

さらに、支持格子の上下縁近傍部全体を全周に
亙つて支持格子の内方へ向けて曲げて連続した環
状に形成したことにより支持格子の剛性が高まり
破損し難い等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の代表的な原子炉の内部構造を示
す縦断面図、第２図はその原子炉に装荷される燃
料集合体の一部省略一部切欠縦断面図、第３図は
第１図の−線に沿う横断平面図、第４図は従
来の燃料集合体に組み込まれた支持格子の一部の
側面図、第５図は従来の支持格子の一部の側面
図、第６図は従来の支持格子の角部の縦断面図、
第７図は従来の支持格子の角部の縦断面図、第８
図は本考案の一部の斜視図、第９図は本考案の一
部の側面図、第１０図は本考案の第６図同様の斜
視図、第１１図は本考案の第７図同様の縦断面
図、第１２図は本考案の他の実施例を示す一部の
側面図、第１３図は本考案の他の実施例の第６図
同様の斜視図、第１４図は本考案の他の実施例を
示す第７図同様の縦断面図である。 １６，１７……羽根、１８……角部、１９……
内ストラツプ、２１，２４……支持格子、２２，
２３……外ストラツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下縁部に羽根を有する方形枠形の外ストラツ
   プ内に格子状の内ストラツプを設けた燃料集合体
   支持格子において、前記外ストラツプの上下縁近
   傍部全体を全周に亙つて内方に向けて曲げて連続
   した環状に形成したことを特徴とする燃料集合体
   支持格子。