JPS6241255Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、可動磁石式計器に関するもので、
特に指針の帰零装置に関するものである。

一般に、この種計器は第１図に示すようにボビ
ン１にほゞ直交して巻線したコイル２，３へ被測
定物の変化量の関数として発生する信号を印加
し、前記コイル２，３への印加信号に相応して発
生する各々の磁界の合成磁界で磁石４を角度運動
に変換し、磁石４と連結する指針５を目盛板６に
対応動作させるよう構成している。

ところで、前記計器においては、コイル２，３
にある入力信号が印加されているときに、コイル
２，３への供給電流を遮断し、これに伴つて前記
信号の印加を停止すると磁石４は遮断直前の前記
入力信号に見合つた位置に滞留し、従つて磁石４
と連結する指針５は最初の位置、すなわち目盛板
６の零点位置に復帰することができないため、従
来は計器を一定角度傾斜させて配設し、かつ磁石
４の重量分布を不均一にしてその自重により指針
５を帰零させるか、または磁石４と指針５とを連
結する軸にヒゲバネ（図示せず）を関設してその
弾性作用により指針５が目盛板６の零位置に復帰
動作するように構成してある。

しかしながら、かゝる構成の計器では、一方で
コイル２，３の周囲温度の変化、あるいは印加電
流の変動による磁石４への作用トルクの変動が発
生するという特性を有しており、これに対して他
方では前記手段、すなわち磁石４の重量分布およ
びヒゲバネが前記雰囲気に対しても各々ほゞ一定
の特性を保持するため、結果としては計器の指示
特性を損うという問題がある。

この考案はこのような問題に着目して考えられ
たものであり、回転磁石が内蔵されるボビンの磁
石外周近傍位置に端子形成用部分を複数個形成
し、この端子形成用部分のひとつに指針帰零用磁
石を回転磁石の側面と対向するよう内設したもの
であり、従来のボビン形状を用いることができ、
簡単な作業で確実な指針帰零効果を得ることが可
能な可動磁石式計器を提供することを目的とする
ものである。

以下この考案の実施例を第２図〜第４図に基づ
説明するが、第１図従来例と同一もしくは相等個
所には同符号を付している。

上部フレーム１ａと下部フレーム１ｂとで形成
した合成樹脂製ボビン１内に回転磁石４を内蔵
し、この磁石４に貫設した指針軸７の下端を下部
フレーム１ｂによつて軸受し、上端を上部フレー
ム１ａから突出させ、この先端に指針５を固定
し、ボビン１にはほゞ直交してコイル２，３を巻
線し、ボビン１の側端部には中空円筒状の何れも
上部フレーム１ａと下部フレーム１ｂとに応じて
分割されるコイル２，３の仕切りを兼ねた端子形
成用部分１ｃ，１ｄ，１ｅ，１ｆが一体的に形成
してある。

この可動磁石式計器のコイル２，３の一端同士
は第４図に示すように共通に接続され、その接続
点は被測定物の変化量の関数として発生する信号
を出力する発振器８の端子９に接続され、コイル
２の他端は電源端子１０に、またコイル３の他端
は接地端子１１に各々接続されている。

前記各端子９，１０，１１のうち、電源端子１
０と接地端子１１とは指針軸７を中心として対称
となるようボビン１の端子形成用部分１ｃ，１ｅ
にボビン１の両端に突出するよう圧入貫設され、
また発振器端子９は他の端子形成部分１ｄに同じ
くボビン１の両端に突出するよう圧入貫設され
る。

しかして、残りの端子形成用部分１ｆの上部フ
レーム１ａ側には、下方向より帰零用磁石１２が
圧入固定され、この帰零用磁石１２は両フレーム
１ａ，１ｂを接合してボビン１を構成したとき
に、回転磁石４とほゞ同一平面状で回転磁石４の
側面と対向し回転磁石４に磁気的な作用をもたせ
るよう端子形成用部分１ｆの内部に収納されるも
のである。

このような構成において、被測定物の変化量の
関数として発振器８が信号を端子９に印加する
と、これに相応してコイル２，３に電流が流れて
磁界が発生し、コイル２，３の合成磁界で回転磁
石４を角度運動に変換し、指針５を一定角度回転
させて前記変化量を表示することができる。

また、前記被測定物の変化量が停止して発振器
８の信号が端子９に印加されなくなると、帰零用
磁石１２の磁力が回転磁石４に作用し、結局可動
的に配設された回転磁石４が固定的に配設された
帰零用磁石１２に吸引されて強制的に回動され
る。この場合、発振器端子９に信号を印加せずに
帰零用磁石１２で回転磁石４を引き付けている状
態で指針５を目盛板６の零位置にあらかじめ合わ
せておくことにより、回転磁石４と連動して指針
５を目盛板６の零位置に対応復帰させることがで
きる。

すなわちこの考案によれば、従来設けてありな
がら端子を貫設していなかつた端子形成用部分の
内部に回転磁石の側面と対向するよう帰零用磁石
を配設することにより、特別に帰零用磁石のため
のスペースを形成することなく、従来のボビンを
そのまゝ使用できるため、容易に実行できる。

また、回転磁石の側面とごく微小な間隙で帰零
用磁石を配設することができるため、回転磁石の
もどりが確実に行われ、指針の復帰を迅速に行う
ことができる。

更に、帰零用磁石として着磁していない、たと
えば鉄片などの容易磁性材料を端子形成用部分に
配設し、また回転磁石も着磁してない状態でボビ
ンを組み立て、この後両方の磁石を同時に着磁す
ることも可能であり、この場合着磁作業が一度で
済むので作業能率が高まり、しかも帰零用磁石の
方向性が同時に設定されるため回転磁石の零位置
が設計位置と異なるという不具合が生じないな
ど、極めて多大の効果を得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の可動磁石式計器の要部断面
図、第２図は、この考案の実施例である可動磁石
式計器の要部断面図、第３図は、同上可動磁石式
計器のボビン平面図、第４図は、同上可動磁石式
計器の電気回路図である。 １：ボビン、１ｃ，１ｄ，１ｅ，１ｆ：端子形
成用部分、２，３：コイル、４：回転磁石、５：
指針、７：指針軸、９：発振器端子、１０：電源
端子、１１：接地端子、１２：帰零用磁石。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部フレームと下部フレームとで形成されたボ
   ビンと、このボビンの側端部に突設された複数個
   の端子形成用部分と、前記ボビンに内蔵された回
   転磁石と、この回転磁石に貫設され下端が前記下
   部フレームで軸受されるとともに上端が前記上部
   フレームから突出されて指針が装着された指針軸
   と、前記端子形成用部分に貫設され電源端子など
   外部と電気的に接続される前記端子形成用部分よ
   りは少ない個数の端子と、この端子に接続され前
   記ボビンに交差して巻回されたコイルとを有する
   可動磁石式計器において、前記端子を貫設しない
   前記端子形成用部分に前記回転磁石と対向するよ
   う内設され前記回転磁石に磁気的な作用をもたせ
   る帰零用磁石とを有することを特徴とする可動磁
   石式計器。