JPS6240544B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エアクリーナに係わり、特に自動二
輪車に適するエアクリーナに関する。

車両用エアクリーナの主要な目的は、周知の如
くエンジンに吸入される空気中の微少な土砂の粉
末を取去り、これがシリンダに吸い込まれてエン
ジン各部の摩耗を促進するのを防ぐことである
が、他方シリンダにエアーが吸い込まれる際に発
する音を抑制する作用をエアクリーナに持たせ
て、エンジンの吸気系からの騒音レベルを低下さ
せることも重要である。

従来、このようなエンジンの吸気系からの騒音
レベルを低下させるために、ケース内のエアー
の通路に隔壁を設けエアーの流れを遮る構造、
エアーの吸入口にダクトを設けそのダクトで吸入
口の径を絞る構造等を採用している。しかしなが
ら前記従来のエアクリーナは、エアクリーナの容
積が限られているために吸気音の騒音レベルを低
下させるのに充分な通路有効長がとれず、また隔
壁、絞り等を用いているので吸入するエアーの流
れが悪くなりエンジンの出力性能を低下させる欠
点があつた。

本発明は、前記従来のエアクリーナの欠点を排
除するために為されたもので、吸気音の騒音レベ
ルを低下させると共にエンジン出力性能の低下し
ないエアクリーナを提供することを目的とする。

本発明では、筒状のケース内で該ケースより小
径の筒状の仕切体を設け、該仕切体の外側に吸気
口と連通する旋回室並びに該仕切体の内側にはケ
ースの軸方向に排気口と連通する通路を形成し、
前記ケースの内部で前記旋回室並びに前記通路の
一方の側方には濾過室が形成され他方の側方には
膨張室が形成され、該濾過室は連通孔を介して前
記旋回室と連通される室と開口部を介して前記通
路と連通される室とにフイルタによつて分けられ
ており、前記旋回室は吸気口からの空気がほぼ
360゜旋回しおわる最終部に仕切壁が設けられ、
該仕切壁の近傍に前記連通孔が形成されているこ
とを特徴とする。本発明では吸入されたエアーは
旋回室を回つて濾過室に入り、濾過室からケース
の軸方向に形成された通路を通つて排気口に送ら
れるので、限られた容積のケース内にもかかわら
ずエアーの通路長を充分に長くとることが出来、
その結果吸気音に対して充分な遮音効果を有す
る。

以下添付図面に従つて本発明に係わるエアクリ
ーナの好ましい実施例を詳説する。

第１図は本発明に係わる実施例の構造を示す断
面図であり、第２図は第１図上―線に沿う断
面図、第３図は第１図上で―線に沿う断面図
である。第１図に於いて円筒状のケース１０の左
端部寄りには、ケース１０の内壁から中心に向け
てフランジ１２が形成され、更にフランジ１２の
縁部からは第１図で左方に向けて円筒状の仕切体
１４が形成されている。これらケース１０、フラ
ンジ１２、仕切体１４は合成樹脂によつて一体的
に形成されている。

第１図並びに第２図に示すようにこの仕切体１
４とケース１０とによつて形成されるほぼドーナ
ツ状の空間部は吸入されたエアーが旋回しながら
流れる旋回室１６として形成され、旋回室１６
は、第２図に示すようにケース１０と仕切体１４
とを結ぶ仕切壁１７によつて分離され、更に仕切
壁１７の近傍には形状が第１図に示すような矩形
状の吸気口１８が形成されていて、この吸気口１
８から吸入されたエアーは第２図上矢印で示すよ
うに旋回室１６内でほぼ360゜旋回して後述する
連通孔３６に吸入される。一方仕切体１４の内部
は後述されるように濾過されたクリーンなエアー
が通過する通路２０を形成する。

前記仕切体１４の第１図上で右端部にはフイル
タガイド２２が取付けられる。フイルタガイド２
２は、第１図に示すようにテーパー状のら円筒部
２４と、この円筒部２４の左端部から外方に拡が
るフランジ２６とから構成されている。フイルタ
ガイド２２は、フランジ２６の外縁部がケース１
０の内側に形成された肩３０によつて支持され、
更にフランジ２６の内側に形成された係合溝３２
内に仕切体１４の右端部が係合することによつて
仕切体１４上に取付けられる。このフイルタガイ
ド２２によつてケース１０の内部は前記した旋回
室１６と、旋回室１６並びに通路２０の右方の濾
過室３４が形成される。

旋回室１６と濾過室３４とは前記フランジ２６
によつて仕切られているのであるが、第２図並び
に第３図に示すように仕切壁１７の近傍即ち旋回
室１６の終端部には連通孔３６が形成されてい
て、旋回室１６を旋回した空気は第１図上で右方
の濾過室３４内に吸入されるようになつている。

濾過室３４には、第１図並びに第３図に示すよ
うに円筒状のフイルタ３８が配置されていて、こ
のフイルタ３８によつてフイルタ３８の外側には
室４０が形成され、又フイルタ３８の内側には室
４２が形成されている。室４０には、旋回室１６
から連通孔３６を通過してきたエアーが供給され
ており、このエアーはフイルタ３８によつて未だ
濾過されていないので塵埃等を含んでいる。一方
フイルタ３８の内側の室４２は、フイルタ３８に
よつて濾過されたクリーンなエアーが供給され
る。

フイルタ３８の本体は、通常濾紙、濾布などの
濾過材から構成されていて、この濾過材は第３図
に示すように放射状に折り畳まれて濾過面積が大
きくなるように形成されている。又フイルタ３８
の両端部にはリング状のカバー４４，４４が取付
けられていて、フイルタ３８はこのカバー４４，
４４を取付けた状態でフイルタガイド２２の周囲
に配置されている。

フイルタガイド２２のテーパー部２４には、複
数の開口部４６，４６が形成されていて、フイル
タ３８によつて濾過された室４２とこの開口部４
６を介して円筒状のフイルタガイド２２内並びに
通路２０と連通するようになつている。またフイ
ルタガイド２２の第１図上の右端部には保持部４
８が形成されていて、この保持部４８には第１図
に示すようにケース１０の中心部に配置される円
柱状のステイ５０の大径部５２が取付けられてい
る。即ちステイ５０はその大径部５２がフイルタ
ガイド２２の保持部４８に保持されている。ステ
イ５０の右端部には、第１図に示されるようにカ
バー５４がボルト５６によつて固定され、同様に
ステイ５０の左端部にはケース１０のカバー５８
がボルト６０によつて固定されている。このカバ
ー５４，５８とケース１０の端部との間には、エ
アー漏れを含ぐために弾性材から成るシール６
２，６４が装着されている。

ケース１０の第１図上で左方に於いては、ケー
ス１０のフランジ１２と前記カバー５８とによつ
て空間部が形成されこの空間部は膨脹室６６を形
成する。この膨脹室６６には、排気管６８の排気
口７０が開口しており、その結果通路２０から送
られてきたクリーンなエアーは膨脹室６６に入り
排気管６８を通つて図示しないギヤブレターに供
給されるようになつている。

なお符号７２で示す部材は吸気口１８に取付け
られる吸気管である。また、ケース１０は第３図
に示すように連結部材７４を介して二点鎖線で示
す車体側フレーム７６に取付けられ、エンジン７
８の上方に位置する。

前記の如く構成された本発明に係わる実施例の
作用は次の通りである。先ず吸気管７２から送ら
れるエアーは、吸気口１８から旋回室１６に入り
旋回室１６の通路に沿つてほぼ360゜旋回する。
旋回室１６の終端部には仕切壁１７によつて仕切
られているので、旋回したエアーは仕切壁１７の
近傍に形成された連通孔３６を通つて上方の濾過
室３４の室４０に送られる。濾過室３４の室４０
に送られたエアーは、濾過室３４の室４０からフ
イルタ３８を通つて室４２内に入る。この際、塵
埃等を含んだエアーはフイルタ３８によつて濾過
され、クリーンなエアーが室４２に供給される。
その後エアーはフイルタガイド２２に形成された
開口部４６を通つて通路２０に送られる。通路２
０に送られたエアーは膨脹室６６内に送られて排
気口７０から排気管７２に入り、図示しないキヤ
ブレタにエアーは送られる。

前記実施例に拠れば、従来の如くケース内のエ
アーの通路に隔壁を設けたり、吸入口の径を絞る
ためのダクト等を設けたりせずに、旋回室を設け
てエアーの流れを良くしているので、エアーの流
れが防害されることはなく、その結果エンジン性
能が低下するようなことはない。又前記実施例で
は、限られた容積のエアクリーナにもかかわらず
旋回室１６、室４０、室４２、開口部４６、通路
２０、膨脹室６６と空気は流れ、空気流路が充分
長くとることができるので吸気音の減衰効果が高
くなり吸気音の騒音レベル低下に大きく寄与する
こができる。すなわち、吸気音はエアーの流れを
遡るようにして伝わるが、吸気音であるエアーの
波動は、まず排気口７０から膨張室６６に侵入す
る際に膨脹し、次に通路２０を通る際に収縮す
る。さらに濾過室３４で再び膨張し連動孔３６を
通る際に収縮し、旋回室１６で三度めの膨張を
し、最後に吸気口１８で収縮する。このように膨
張と収縮とを数多く繰り返させることにより前記
吸気音の波動を弱め、騒音レベルを低下させるこ
とができる。又前記実施例に拠れば、旋回室１６
の内部に通路２０を形成し、この旋回室１６並び
に通路２０の上方にはフイルタ３８が配置された
濾過室３４が形成されているので、エアクリーナ
自体の全体形状をコンパクトに構成することがで
きる。

以上説明したように本発明に係わるエアクリー
ナに拠れば、筒状のケース内で該ケースより小径
の筒状の仕切体を設け、該仕切体の外側に吸気口
と連通する旋回室並びに該仕切体の内側にはケー
スの軸方向に排気口と連通する通路を形成し、前
記ケースの内部で前記旋回室並びに前記通路の一
方の側方には濾過室が形成され他方の側方には膨
張室が形成され、該濾過室は連通孔を介して前記
旋回室と連通される室と開口部を介して前記通路
と連通される室とにフイルタによつて分けられて
おり、前記旋回室は吸気口からの空気がほぼ360
゜旋回しおわる最終部に仕切壁が設けられ、該仕
切壁の近傍に前記連通孔が形成されており、エア
ーは旋回室、濾過室、通路と流れるのでエアーの
通路長を長くすることが出来その結果吸気音の騒
音レベルを低下させることが出来る。

すなわち、吸気音であるエアーの波動は排気口
から膨張室に侵入する際の膨張、通路を通る際の
収縮、濾過室３４での膨張、連通孔を通る際の収
縮、旋回室での膨張、吸気口１８での収縮という
ように膨張と収縮とを数多く繰り返させることに
より前記波動を弱め、騒音レベルを低下させるこ
とができる。そして、旋回室の仕切壁と連通孔の
働きにより、吸気口から吸気されたエアーは強制
的に螺旋状に流れる。従つてエアーの通路長は長
くなつてもエアーの流れが防害されることはな
い。また、仕切体の外側に旋回室を形成している
ので、いわば通路の外側のデツドスペースを旋回
室に利用していることになり、エアクリーナ全体
をコンパクトにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わるエアクリーナの実施例
の構造を示す断面図、第２図は第１図上―線
に沿う断面図、第３図は第１図上で―線に沿
う断面図である。 １０…ケース、１４…仕切体、１６…旋回室、
１８…吸気口、２０…通路、３４…濾過室、３８
…フイルタ、４０，４２…フイルタによつて仕切
られた室、７０…排気口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 筒状のケース内で該ケースより小径の筒状の
   仕切体を設け、該仕切体の外側に吸気口と連通す
   る旋回室並びに該仕切体の内側にはケースの軸方
   向に排気口と連通する通路を形成し、前記ケース
   の内部で前記旋回室並びに前記通路の一方の側方
   には濾過室が形成され他方の側方には膨張室が形
   成され、該濾過室は連通孔を介して前記旋回室と
   連通される室と開口部を介して前記通路と連通さ
   れる室とにフイルタによつて分けられており、前
   記旋回室は吸気口からの空気がほぼ360゜旋回し
   おわる最終部に仕切壁が設けられ、該仕切壁の近
   傍に前記連通孔が形成されていることを特徴とす
   るエアクリーナ。