JPS6240200Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、４輪駆動トラクタの腹部動力取出し
装置に関する。

農用、土木用のトラクタには動力取出し装置が
具備され、各種作業機に回転動力を伝えるととも
に、洗車ポンプ等を駆動可能としている。

トラクタの動力取出し装置として車体の後部、
前部又は腹部のいずれかひとつ若しくは２つ以上
の位置に設けたものがあり、例えば、後部の他に
腹部に設けたり、腹部のみに設けたときには、該
腹部動力取出し装置で、ラインPTO回転として
駆動するモーア等の回転作業機用として利用され
ている。

ところで、登坂力、牽引力の増長を図るため、
後輪のみでなく前輪をも駆動する４輪駆動トラク
タにあつては、前輪駆動機構がトラクタ車体の下
腹部の車巾中央に設けられることから、腹部動力
取出し装置を設けることは困難である。

そこで、本考案は、前輪駆動機構をトラクタ車
体の下腹部に備えた４輪駆動トラクタであつて
も、腹部動力取出し装置を取付け可能としたもの
であり、従つて、本考案はトラクタ車体の下腹部
外面に、後輪伝動系に連動された前輪駆動機構が
備えられたPTO伝動系を有するトラクタにおい
て、前記PTO伝動系に設けられたギヤに連動さ
れる動力取出し用ギヤが前記前輪駆動機構の駆動
軸上に相対回転自在に套嵌支持されており、前記
動力取出し用ギヤに連動されるギヤを有する動力
取出し軸が前記前輪駆動機構に備えられているこ
とを特徴とする。

以下、図面を参照して本考案の実施例を詳述す
る。

トラクタ１の全体を示す第１図において、２は
左右一対の前輪、３は左右一対の後輪である。

４は搭載エンジンであり、これにクラツチハウ
ジングを介してミツシヨンケース５が連設されて
トラクタ車体６を構成している。

トラクタ車体６内には第２図、第３図で示すエ
ンジン４に図外クラツチを介して連動される後輪
伝動系７とPTO伝動系８が内蔵されており、後
輪伝動系７には中間ギヤ９等を介して前輪駆動機
構１０が連動され、該前輪駆動機構１０はトラク
タ車体６の下腹部外面に備えられ、第１図で示す
プロペラ軸１１を介して前輪デフ機構に連動され
て、後輪３と前輪２を同調乃至同調駆動不能とし
ている。

後輪伝動系７は第２図に示す主変速機構１２
と、クリープ機構１３と、クリープ出力軸１４を
介して連動される副変速機構１５を備えて主構成
され、副変速機構１５のデフ駆動軸１６でデフ機
構１７を介して後輪を連動する。

PTO伝動系７はエンジンにクラツチを介して
連動される第１伝動軸１８と第２伝動軸１９とを
備え、両軸間に第４図で示すPTO変速機構２０
が設けられ、第２伝動軸１９はデフ駆動軸１６の
直下において後方、図では右方へ延設されて図外
の後部PTO軸を連動する。

デフ駆動軸１６には第２図で示す駆動ギヤ２１
が套嵌固設され、この駆動ギヤ２１に大小ギヤ９
Ａ，９Ｂを一体に形成した中間ギヤ９の小ギヤ９
Ａが咬合されている。

なお、中間ギヤ９はニードルベアリング、スリ
ーブ等の軸受２２を介して第２伝動軸１９上に相
対回転自在に套嵌支持されている。

前輪駆動機構１０は第２図に示す如くトラクタ
車体６の下腹部外面に着脱自在に取付けられたケ
ース２３に前後一対の軸受２４を介して駆動軸２
５が車体の巾方向中央で前後方向に失持されてな
り、駆動軸２５にスプライン套嵌された入切ギヤ
２６を備えてなり、該入切ギヤ２６が前記中間ギ
ヤ９の大ギヤ９Ｂにシフト動作を介して入切自在
とされる。

なお、駆動軸２５に前記プロペラ軸１１が図外
カツプリングで連結されている。

２７が動力取出ケースで、前記前輪駆動用のケ
ース２３の側部に第３図で示す如く着脱固定自在
に取付けられており、この動力取出ケース２７に
は前後一対の軸受２８を介して動力取出し軸２９
が支持されている。

動力取出し軸２９は駆動軸２５の下側方でこれ
と平行に支持され、本例では前方にケース２７よ
り突出されている。なお、この突出方向は、後方
でも左右方向でもよい。

第２伝動軸１９には動力取出し用の駆動ギヤ３
０が本例では中間ギヤ９の前側において第２図で
示す如く套嵌固設されている。

そして、前記駆動ギヤ３０に連動される動力取
出し用の中間ギヤ３１は駆動軸２５上に本例では
ニードルベアリング３２を介して相対回転自在に
套嵌されており、この中間のギヤ３１に動力取出
し軸２９上に回転自在に套嵌されたギヤ３３が側
方から連動されている。

なお、ギヤ３３は動力取出し軸２９にスプライ
ン套嵌されたシフト形クラツチ３４を介して入切
自在とされている。

なお、第４図において、クリープ機構１３は主
変速出力軸３５上のギヤ３６と、クリープ出力軸
１４上のシフトギヤ３７に連動される大小ギヤを
有するクリープギヤ３８が、ニードルベアリング
３９を介してクリープ軸４０に支持されたもので
あるが、この場合クリープ軸４０のスラスト規制
部材として止め輪を使用せず、第４図で示す如く
断面ゼツト字形の筒カラー４１を介して軸受４２
に嵌合されている。

即ち、筒カラー４１を軸受４２に嵌合してか
ら、クリープギヤ３８を串刺し状としてクリープ
軸４０を後方から前方に通し、その先端を筒カラ
ー４１にて受止めるようにされている。

次に作用を説明する。

後輪伝動系７がエンジン４により作動されると
適宜変速の下で後輪３が駆動されるとともに、第
２図のギヤ２６を中間ギヤ９の大ギヤ９Ｂに咬合
させると、駆動軸２５が連動され、プロペラ軸１
１を介して前輪２が駆動されることになる。

この前後輪２，３を駆動した状態で前後輪２，
３間のトラクタ車体６の下腹部に装着された例え
ばモーア等を駆動するには、第２図のシフトギヤ
３４をギヤ３３に咬合させればよい。

即ち、ギヤ３３はPTO伝動系８の第２伝動軸
１９に設けられたギヤ３０に駆動軸２５上に相対
回転自在に套嵌された中間のギヤ３１を介して連
動されているので、PTO伝動系８と同期乃至同
調したライブPTO回転が動力取出し軸２９より
取出されてモーア等を駆動するのである。

なお、動力取出し軸２９を停止するにはシフト
ギヤ３４をギヤ３３より外せばよく、動力取出し
軸２９の回転、停止は、前輪駆動の有無に拘らず
実施されることになる。

そして、動力取出し軸２９を回転させていると
き、後部PTO軸を停止しておきたいときは、ギ
ヤ３０より後方においてPTO伝動系８にクラツ
チを設けておけばよい。

以上要するに本考案によれば、PTO伝動系８
に設けられたギヤ３０に連動される動力取出し用
の中間ギヤ３１が前輪用駆動軸２５上に相対回転
自在に套嵌され、この中間のギヤ３１に動力取出
し軸２９上のギヤ３３が連動されているので、前
輪駆動機構１０をトラクタ車体６の下腹外面に装
着しても、腹部の動力取出しができる利点があ
る。

また、中間のギヤ３１は駆動軸２５上に相対回
転自在であるから、駆動軸２５の回転有無に拘り
なく動力取出しが確保でき、ここに、４輪駆動ト
ラクタの汎用性を拡大することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一例を示し、第１図はトラクタ
全体の外観側面図、第２図は要部の拡大側断面
図、第３図は要部の概略背面図、第４図は後輪伝
動系、PTO伝動系の一部を示す側断面図であ
る。 １……トラクタ、６……トラクタ車体、７……
後輪伝動系、８……PTO伝動系、１０……前輪
駆動機構、２５……駆動軸、２９……動力取出
軸、３０，３１，３３……ギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トラクタ車体６の下腹部外面に、後輪伝動系７
   に連動された前輪駆動機構１０が備えられた
   PTO伝動系８を有するトラクタ１において、前
   記PTO伝動系８に設けられたギヤ３０に連動さ
   れる動力取出し用ギヤ３１が前記前輪駆動機構１
   ０の駆動軸２５上に相対回転自在に套嵌支持され
   ており、前記動力取出し用ギヤ３１に連動される
   ギヤ３３を有する動力取出し軸２９が前記前輪駆
   動機構１０に備えられていることを特徴とする４
   輪駆動トラクタの腹部動力取出し装置。