JPS6240097Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、エンジンにおけるカムシヤフトの
作動タイミング調整装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、エンジンにはクランクシヤフトに連動
するカムシヤフトが設けられ、カムシヤフトはク
ランクシヤフトと一定の関係をなして回転可能と
なつており、吸気バルブおよび排気バルブのバル
ブタイミングはカムシヤフトのカムによつて規制
されている。また、ガソリンエンジンの点火タイ
ミングは、カムシヤフトに連動するデイストリビ
ユータシヤフトを備えるデイストリビユータによ
つて規制され、デイーゼルエンジンの燃料噴射タ
イミングは、カムシヤフトに連動する噴射ポンプ
によつて規制されている。

従来、点火タイミングはデイストリビユータの
取付角を調整することによつてタイミング調整可
能となつており、燃料噴射タイミングは噴射ポン
プの取付角を調整することによつてタイミング調
整可能となつている。しかしながら、吸気バルブ
および排気バルブのバルブタイミング、およびデ
イーゼルエンジンの燃料墳射タイミングは、エン
ジンの回転中にタイミング調整することができ
ず、排気ガス規制対策や出力の最適調整を的確に
行なうことができないという問題があつた。

この問題に対しては、エンジンのクランクシヤ
フトに固定されるクランクホイールと、カムシヤ
フトに固定されるタイミングホイールと、に巻き
回される巻かけ部材の張り側中間部を、タイミン
グテンシヨナーによつて巻かけ部材の回転力伝達
方向に対して略直角方向に変位可能とするように
し、この変位によつてカムシヤフトのクランクシ
ヤフトに対する相対回転角度を調整しようとする
従来技術（実開昭48ー38207）が存在する。

以下、このような従来技術の例を図面を参照し
て説明する。

第１図は、４サイクルガソリンエンジンに適用
した第１従来例を示す説明図である。エンジンの
クランクシヤフト１に固定されているクランクホ
イールとしてのクランクプーリー２と、カムシヤ
フト３に固定されているタイミングホイールとし
てのタイミングプーリー４とには、巻かけ部材と
してのタイミングベルト５が巻き回され、クラン
クシヤフト１からカムシヤフト３に所定の速度比
で回転を伝達可能となつている。

タイミングベルト５の弛み側５Ａの側方には、
シヤフト６を中心として揺動するアーム７の先端
部にベルトテンシヨナー８が回転自在に軸支さ
れ、ベルトテンシヨナー８は、スプリング９の付
勢力によつて、タイミングベルト５の弛み側５Ａ
に圧接してタイミングベルト５の張力を一定に保
持可能となつている。

タイミングベルト５の張り側５Ｂの側方には、
シヤフト１０を中心として揺動するアーム１１の
先端部にタイミングテンシヨナー１２が回転自在
に軸支されている。タイミングテンシヨナー１２
は、アーム１１を背面から支持する調整ねじ１３
の調整によつて進退し、タイミングベルト５の張
り側５Ｂをその回転力伝達方向に対して略直角方
向に変位可能としている。すなわち、タイミング
テンシヨナー１２は、タイミングベルト５がクラ
ンクプーリー２によつて引込まれる張り側に設け
られ、調整ねじ１３の螺動によりタイミングベル
ト５の張り側５Ｂの長さを変化させ、カムシヤフ
ト３のクランクシヤフト１に対する相対回転角度
位置を変化し、バルブタイミングおよび点火タイ
ミングを調整可能としている。なお、タイミング
ベルト５は、タイミングテンシヨナー１２の進退
によつても全体的に伸縮することがなく、またベ
ルトテンシヨナー８によつて全体的な張力は一定
に保持されている。

第２図は、上記タイミングテンシヨナー１２の
調整動作によるタイミング調整の原理を示す説明
図である。すなわち、クランクプーリー２の直径
をｄ、タイミングプーリー４の直径を２ｄ、タイ
ミングベルト５の張り側５Ｂの長さを２ｌとし、
タイミングテンシヨナー１２によつてタイミング
ベルト５の張り側５Ｂの中央を内側にｘだけ押込
んだ場合における、クランクシヤフト１に対する
カムシヤフト３の相対回転角度位置変化すなわち
タイミング進角をクランク角でθ度とすると、 となる。従つて、タイミングベルト５をタイミン
グテンシヨナー１２によつて内側へ押込むことに
よつてタイミングの進角が得られることになる。

すなわち、上記第１実施例においては、調整ね
じ１３の螺動によつてタイミングテンシヨナー１
２を、タイミングベルト５の張り側５Ｂの回転力
伝達方向に対して略直角方向に調整移動し、タイ
ミングベルト５の張り側５Ｂを押込みもしくは押
出し変位することにより、エンジン回転中におい
て、カムシヤフト３に連動する吸気バルブおよび
排気バルブのバルブタイミングを調整し、またカ
ムシヤフト３に連動するデイストリビユータを介
して点火タイミングを調整することが可能とな
る。

第３図は、第１図と同様の技術を４サイクルデ
イーゼルエンジンに適用した第２従来例を示す説
明図である。この第２従来例においてはタイミン
グベルト２７の張り側２７Ｂの側方には、シヤフ
ト４１を中心として揺動するアーム４２の先端部
にタイミングテンシヨナー４３が回転自在に軸支
されている。タイミングテンシヨナー４３は、ア
ーム４２を背面支持している調整ねじ４４の螺動
によつて、張り側２７Ｂの回転力伝達方向に対し
て略直角方向にタイミングベルト２７を変位可能
としている。また、タイミングベルト２７を張り
側２７Ｃの側方には、シヤフト４５を中心として
揺動するアーム４６の先端部にタイミングテンシ
ヨナー４７が回転自在に軸支されている。タイミ
ングテンシヨナー４７は、アーム４６を背面支持
している調整ねじ４８の螺動により、タイミング
テンシヨナー４７を移動し、タイミングベルト２
７の張り側２７Ｃをその回転力伝達方向に対して
略直角方向に変位可能としている。

上記第２従来例において、カムシヤフト２３に
連動する吸気バルブのバルブタイミングを調整す
る場合には、調整ねじ４４の螺動によつてタイミ
ングテンシヨナー４３を移動しタイミングベルト
２７の張り側２７Ｂの部分の長さを変化させ、ク
ランクシヤフト２１に対するカムシヤフト２３の
相対回転角度位置を変化することにより、所望の
バルブタイミングを得ることが可能となる。一
方、タイミングテンシヨナー４７を調整移動する
と、クランクシヤフト２１に対するカムシヤフト
２３，２５の相対回転角度位置が同時に同じ角度
だけ変化し、従つて、バルブタイミングと燃料噴
射タイミングとが同時に調整される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そして、燃料噴射タイミングのみを調整する場
合には、タイミングテンシヨナー４７を内側もし
くは外側へ移動調整するとともに、タイミングテ
ンシヨナー４３を同じ量だけ反対側へ戻すように
移動調整しなければ所望の燃料噴射タイミングを
得るこができない。

このように同じ量だけ反対側に移動調整するこ
とは調整作業者の感覚にたよらねばならず。迅速
性、作業性を欠くものであつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は２個のタイミングテンシヨナーを一つ
の調整プレートの両端に軸支し、この調整プレー
トを移動することにより両タイミングテンシヨナ
ーを同じ量だけ反対側に移動調整できるようにし
たものである。また、この移動調整が巻かけ部材
の回転力伝達方向に対して略直角方向の変位をと
もなうように、調整プレートは、くの字状とされ
中央に円弧長孔上のガイド孔が形成され該ガイド
孔を介して２本のサポートボルトにより支持され
る。

〔実施例〕

第４図は、この考案の実施例を示す説明図であ
るエンジンのクランクシヤフト２１に固定されて
いるクランクプーリー２２と、吸気バルブおよび
排気バルブが連結されているカムシヤフト２３に
固定されているタイミングプーリー２４と、燃料
噴射ポンプが連結されているカムシヤフト２５に
固定されているタイミングプーリー２６とには、
タイミングベルト２７が巻き回されている。

タイミングベルト２７の弛み側２７Ａの側方に
は、シヤフト２８を中心として揺動するアーム２
９の先端部にベルトテンシヨナー３０が回転自在
に軸支されている。ベルトテンシヨナー３０は、
スプリング３１の付勢力によつてタイミングベル
ト２７の弛み側２７Ａに圧接し、タイミングベル
ト２７の張力を一定に保持可能としている。

タイミングベルト２７の張り側２７Ｂ，２７Ｃ
の内方で、タイミングプーリー２６の側方のエン
ジン本体にはサポートボルト３２，３３が植設さ
れている。このサポートボルト３２，３３には、
く字状の調整プレート３４が、円弧長孔状のガイ
ド孔３５を介して相対移動方向を案内される状態
で支持されている。調整プレート３４の両端部に
は各々タイミングテンシヨナー３６，３７が回転
自在に軸支され、一方のタイミングテンシヨナー
３６はタイミングベルト２７の一方のタイミング
プーリー２４における張り側２７Ｂに圧接し、他
方のタイミングテンシヨナー３７はタイミングベ
ルト２７の他方のタイミングプーリー２６におけ
る張り側２７Ｃに圧接するようになつている。す
なわち、調整プレート３４の移動により、タイミ
ングテンシヨナー３６，３７の一方を内側に移動
すると、他方は外側に移動するようになつてい
る。

また、調整プレート３４は、その調整移動完了
時に、サポートボルト３２，３３に螺合される固
定ナツト３２Ａ，３３Ａによつて停留保持可能と
されている。

上記実施例においては、調整プレート３４の調
整移動により、タイミングベルト２７の調整移動
によつても、タイミングベルト２７の張り側２７
Ｂと張り側２７Ｃとの長さの総和は変化しないこ
とから、クランクシヤフト２１に対するカムシヤ
フト２３の相対回転角度位置を変化させないまま
で、タイミングベルト２７の張り側２７Ｃの長さ
を変化させクランクシヤフト２１に対するカムシ
ヤフト２５の相対回転角度位置のみを変化させる
ことが可能となる。従つて、この実施例において
は、カムシヤフト２３に連動するバルブタイミン
グを調整することなく、カムシヤフト２５に連動
する燃料噴射タイミングのみを調整することが可
能となる。

なお、上記実施例においては、巻かけ部材とし
てタイミングベルトを用い、タイミングホイール
としてタイミングプーリー、クランクホイールと
してクランクプーリーを用いる場合について説明
したが、巻かけ部材はチエーンを用いてもよくタ
イミングホイールおよびクランクホイールは各々
ギアを用いてもよい。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案に係るエンジンにおけ
るカムシヤフトの作動タイミング調整装置によれ
ば、４サイクルデイーゼルエンジンの２本のカム
シヤフトのうち巻かけ部材の回転力伝達方向側に
存するクランクシヤフトのみのクランクシヤフト
に対する相対回転角度、すなわち、燃料噴射タイ
ミングのみを容易に調整でき、調整作業の迅速
性、作業性を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１従来例を示す正面図、第２図は同
従来例における作動タイミング調整原理を示すモ
デル図、第３図は第２従来例を示す正面図、第４
図はこの考案の実施例を示す正面図である。 １，２１……クランクシヤフト、２，２２……
クランクプーリー、３，２３，２５……カムシヤ
フト、４，２４，２６……タイミングプーリー、
５，２７……タイミングベルト、５Ｂ，２７Ｂ…
…張り側、１２，３６，３７，４３，４７……タ
イミングテンシヨナー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ４サイクルデイーゼルエンジンのクランクシヤ
   フトに固定されるクランクホイールと、２本のカ
   ムシヤフトに固定される２つのタイミングホイー
   ルとに巻き回される巻かけ部材の張り側中間部
   を、タイミングテンシヨナーによつて巻かけ部材
   の回転力伝達方向に対して略直角方向に変位可能
   としたカムシヤフトの作動タイミングを調整する
   装置において、 前記タイミングテンシヨナーは２個設けられて
   前記２つのタイミングホイールにおける各々張り
   側中間部に位置し、両タイミングテンシヨナーは
   く字状の調整プレートの両端に軸支され、この調
   整プレートは中央に形成された円弧長孔状のガイ
   ド孔を介して２本のサポートボルトにより支持さ
   れていることを特徴とするエンジンにおけるカム
   シヤフトの作動タイミング調整装置。