JPS6238063Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、弁室内に滞溜した流体が、温度上昇
による体積膨張等により異常昇圧した場合に、弁
室内流体を流体流通用の通孔に流出し得るように
した、いわゆるセルフリリーフ機能を備えるボー
ルバルブ用弁座に関する。

ボールバルブ用の弁座に、上述のようなセルフ
リリーフ機能を持たせる手段としては、弁座とボ
ールとの密接性をよくするために、ボールに圧接
させるようにした弁座の内向き唇状部を薄くし、
この唇状部の弾性変形を利用するようにしたもの
がある。

しかし、このような手段では、ボールへの唇状
部の押圧力が低下し、ボールと唇状部との密接性
が悪くなるとともに、唇状部に永久変形が起きや
すく、弁座の寿命や耐圧力性能が低下するなどの
欠点がある。

本考案は、上述のような欠点を除去したセルフ
リリーフ機能を備えるボールバルブ用弁座を提供
することを目的とするもので、以下添付図面に示
す実施例に基いて説明する。

第１図は、本考案の弁座を備えるボールバルブ
の一例を示す。

１は弁箱で、本体２と、その一端に適宜のボル
ト３をもつて固着された蓋体４とからなつてい
る。

弁箱１内には、弁室５の両側に、流体流通用の
通孔６，７が形成されている。

各通孔６，７の弁室５側の開口縁部には、拡径
段孔８が形成され、この拡径段孔８内には、テト
ラ・フロール・エチレン等の比較的硬質の弾性変
形可能な材料により形成された環状の弁座９が嵌
合されている。

第２図および第３図に明示するように、各弁座
９は、断面ほぼ矩形の環状の基部９ａと、その内
周面の中位部より、若干外側方へ向かつて斜めに
求心方向に突出する環状の唇状部９ｂとを備えて
いる。

基部９ａの内側面求心側縁部と、基部９ａと唇
状部９ｂとの連設部との間は、内側方へ向かう緩
い拡開傾斜面１０に形成され、また唇状部９ｂの
内側面は、その内周縁より内側方へ向かつて大き
く拡開する傾斜面１１に形成されている。

拡径段孔８の内側面８ａに当接する基部９ａの
外側面における円周方向の一部には、外側方及び
外周方向を向く切込み１２が切設されている。こ
れにより、切込み１２の求心側の側面と、各通孔
６，７との間には、外側方向きの薄肉のリツプ１
３が形成されている。

この切込み１２の外周端には、弁室５内へ開口
する連通孔１２ａが連設されている。

１４は、弁体をなすボールで、その中央部に
は、水平方向の弁孔１５が穿設されている。

ボール１４は、弁室５内において、左右の各弁
座９におけるテーパ面１０，１１により、上下軸
まわりに回動可能として、挾圧支持されている。

また、ボール１４は、弁座９の弾性変形の許容
限界内において、左右方向に若干移動可能であ
り、いわゆるフローテイング型に支持されてい
る。

ボール１４の上面中央には、弁孔１５と直交す
る凹溝１６が切設され、この凹溝１６内には、弁
箱１の上面を貫通する上下方向の弁棒１７の下端
より突設された係合片１７ａが嵌合している。

弁箱１の上方に突出する弁棒１７の上端には、
操作レバー１８（第１図に想像線で示す）が嵌着
され、この操作レバー１８をもつて、弁棒１７お
よびボール１４を回動させることにより、左右の
通孔６，７を、ボール１４の弁孔１５をもつて連
通したり、遮断したりすることができる。

上述の実施例において、例えば、第１図におけ
る左方の通孔６に、高圧流体源に連なる１次側配
管（図示略）を接続し、かつ右方の通孔７に２次
側配管（図示略）を接続した状態で閉弁すると、
ボール１４は、１次側の高圧流体により、右方の
弁座９を押圧し、右方の弁座９は、その押圧力に
より若干弾性変形した状態で、通孔７の弁室５側
開口部を確実に閉塞する。

また、第１図における左方の弁座９の唇状部９
ｂは、それ自身の弾性力と、１次側の流体圧とに
より、ボール１４を押圧し、通孔６の弁室５側開
口部を確実に閉塞する。

この状態で、弁室５内に滞溜した流体が、温度
上昇による体積膨張等により異常昇圧すると、連
通溝１２ａを経て切込み１２内へ伝わつた圧力に
より、第１図左方における弁座９のリツプ１３
は、求心方向に向かつて弾性変形し、弁室５内の
流体は、変形したリツプ１３の外側を通つて通孔
６側に排出され、弁座９や弁箱１が破損するのが
未然に防止される。

この場合、第１図における右方の弁座９は、１
次側の高圧の流体により押圧されている関係で、
このような弁室５内流体の排出作用は生ぜず、主
として左方の弁座９において、この作用が行なわ
れる。

したがつて、２次側配管には、全く流体洩れが
生じないので好都合である。

なお、通孔６，７と１次側配管および２次側配
管との接続関係を逆にすれば、弁室５内流体の排
出作用は、第１図における右方の弁座９側におい
て行なわれる。すなわち、弁室５内流体は、配管
の接続関係をどのようにしても、常時１次側に排
出される。

弁室５内の流体の排出作用を生じさせるための
弁室５内の圧力値は、弁室９のリツプ１３の厚さ
を選定することにより、所望の値に設定すること
ができ、弁室５内圧力がその設定値以下の場合に
は、弁座９の本来の閉止機能が損われることがな
いことはもちろんである。

特に本考案においては、リツプ１３の両側が、
弁座９の基部９ａと連つているため、これを薄肉
としても、長期使用した際に、リツプ１３がへた
つて、拡径段孔８の内側面８ａに対する押圧力が
低下するおそれはない。

以上から明らかなように、本考案によると、寿
命や耐圧力性能を低下させることなく、弁座にセ
ルフリリーフ機能を持たせることができ、しかも
構造が簡単で、製造も容易であるので極めて便利
である。

また、上述の実施例におけるように、本考案の
弁座を、フローテイング型のボールバルブにおけ
るボールの両側方に設けておけば、配管の接続関
係もしくは流体の方向とは無関係に、弁室内圧力
を、常に１次側に解放することができ、好都合で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の弁座の一実施例を備えるボ
ールバルブの一例を示す中央縦断正面図、第２図
は、第１図示の要部の拡大図、第３図は、第２図
示の弁座のみを、その左方より見た場合の側面図
である。 １……弁箱、２……本体、３……ボルト、４…
…蓋体、５……弁室、６，７……通孔、８……拡
径段孔、８ａ……内側面、９……弁座、９ａ……
基部、９ｂ……唇状部、１０，１１：傾斜面、１
２……切込み、１２ａ……連通溝、１３……リツ
プ、１４……ボール１５……弁孔、１６……凹
溝、１７……弁棒、１７ａ……係合片、１８……
操作レバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁箱に形成された弁室内に回転可能として設け
   られたボールと、弁室内に向かつて開口する流体
   流通用の通孔の開口縁部との間の流体密を維持す
   るために、前記通孔の開口縁部に形成された拡径
   段孔に嵌合されたボールバルブ用弁座であつて、
   比較的硬質の弾性変形可能な材料により形成さ
   れ、かつ前記拡径段孔の内側面と当接する外側面
   における円周方向の一部に、外側方並びに外周方
   向を向く切込みを切設することにより、該切込み
   と前記通孔との間に、外側方を向く薄肉のリツプ
   を形成し、さらに、前記切込みの外周端に、弁室
   方向へ向く連通溝を連設し、もつて、前記弁室内
   の圧力の異常昇圧時に、連通溝及び切込みを経て
   伝わつた圧力により、前記リツプが求心方向へ弾
   性変形して、弁室内の流体を、前記通孔流出させ
   うるようにしたことを特徴とするセルフリリーフ
   機能を備えるボールバルブ用弁座。