JPS6237206B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タービンバイパス装置を備えた火力
発電所におけるタービンバイパス運転時に、脱気
器の運転圧力を制御する脱気器運転圧力の制御方
法に関する。

タービンバイパス装置を備えた火力発電所の概
略構成を第１図に示す。第１図において、ボイラ
ー１から送出された高温蒸気は高圧タービン２を
駆動したあと、ボイラー１において再熱されて、
再熱タービン３を駆動して復水器４に凝縮され
る。復水器４において凝縮された水はポンプP₁に
より給水加熱器１５，１６に送られ脱気器８に流
入する。脱気器８に流入した水は更にポンプP₂に
よつて給水加熱器１７及び７を経てボイラー１へ
供給される。

ところで、タービンバイパス装置は、高圧ター
ビン２及び再熱タービン３の各出入口を短絡可能
なように配置された高圧バイパス弁５及び低圧バ
イパス弁６と、これらの弁を蒸気タービンの異常
停止又は外部電源故障時に作動させる図示しない
手段とから構成されており、その設置目的は前記
蒸気タービン停止時にも、ボイラーを所内単独運
転に移行して、そのまま任意の負荷で運転継続さ
せるためである。所内単独運転とは、例えば、給
水加熱器１５，１６，１７，７及び脱気器８から
なる給水加熱プラント系においては、タービンか
ら加熱蒸気を抽気していた給水加熱器がその熱源
を失なうので、高圧タービン２の出口からボイラ
ー１に至る低音再熱系から抽気していた高圧給水
加熱器７と、図示しないが高圧タービン２の出口
から抽気していたバツクアツプ蒸気系を有する脱
気器８のみの運転を指称する。

しかしながら、バツクアツプ蒸気系による脱気
器の圧力制御については、通常のバイパス装置を
備えていない発電設備における場合と同様に、あ
らかじめ設定した特定の圧力に脱気器の圧力を保
持するようになつている。すなわち、高圧タービ
ン２の出口からボイラー１に至る低温再熱系１８
から加熱蒸気調整弁９を介して脱気器８へ蒸気を
流入させる系１９において、脱気器８の圧力を検
出する圧力発信器１０の信号によつて圧力コント
ローラ１１を介して加熱蒸気調整弁９の開度を加
減させ、それによつて流入蒸気量が増減するので
脱気器８の設定圧力が保持されるようになつてい
る。

ところが、このような従来方法によれば、ター
ビンバイパスへの運転移行時の負荷は一定のもの
でなく、いろいろの場合に応じて変化するもので
あり、従つてそのたびに異なる脱気器の運転圧力
の状態からタービンバイパスへ運転移行するか
ら、脱気器運転圧力を一定化してしまうと、運転
移行時に脱気器の圧力は大巾に変動する場合があ
り、給水ポンプの吸入側の押込み水頭（NPSH）
が不足してキヤビテーシヨン現象を発生させるお
それが生じる。また、一般的に、給水加熱器に
は、強度面より出入口温度差に制限が与えられて
いるが、運転継続中の高圧給水加熱器７において
は脱気器８の運転圧力によつて入口温度が下がり
すぎて、出入口温度差が大きくなり熱応力が増加
し強度面より破損のおそれが生じる。この傾向
は、特に高負荷でタービンバイパス運転に移行し
たときに著しい。

更に、タービンバイパス運転中に負荷が変化す
ると、前記高圧給水加熱器７において出口温度は
変化するのに入口温度が一定であるから、給水加
熱器の熱負荷に大巾な変化を生じ寿命を縮める結
果となる。

本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解
決し、タービンバイパス運転時に給水加熱プラン
ト系を常に最適な条件下で運転できる脱気器運転
圧力の制御方法を提供することにある。

この目的を達成するために、通常運転時には、
脱気器圧力が再熱蒸気圧力に対して一定のリニア
な関係を示し、またタービンバイパス運転時に
は、再熱蒸気圧力が運転の重要なバロメータとな
ることに着目して、バイパス運転時の脱気器の運
転圧力を再熱蒸気圧力によつて制御しうるように
したことを特徴とする。すなわち、脱気器圧力の
制御を再熱蒸気圧力を検出し、予めプレセツトさ
れた通常運転時の再熱蒸気圧力と脱気器圧力の特
性から、検出された前記再熱蒸気圧力に相当する
脱気器の圧力を演算し、この圧力に脱気器運転圧
力を保つように加熱蒸気調整弁を開閉制御するも
のである。

以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明す
る。従来例と同一の構成部材は同一符号で示され
る。第２図は本発明を実施した火力発電所の一例
を示す概略構成図であり、この図において、脱気
器運転圧力の制御装置は、高圧バイパス弁５の後
流側（低温再熱系統）から脱気器８に至る加熱蒸
気系１９及びこの加熱蒸気系１９に配設されてい
て、蒸気通過量を加減する加熱蒸気調整弁９及び
この加熱調整弁９の開度を制御する圧力コントロ
ーラ１１及びこの圧力コントローラ１１に脱気器
８の圧力を検出して信号を入力させる圧力発信器
１０からなる従来の構成と、低温再熱系統の圧力
を検出して、検出圧力の信号を発する圧力発信器
１２と、この圧力発信器１２の信号を受け、前記
検出圧力に相当する予めプレセツトされた脱気器
運転圧力信号に変換して前記圧力コントローラ１
１に入力させる演算器１３と、圧力コントローラ
１１と加熱蒸気調整弁９とを結ぶ制御系に配設さ
れていて、通常運転時には圧力コントローラ１１
の制御を遮断して加熱蒸気調整弁９を全閉し、タ
ービンバイパス運転時には即座に圧力コントロー
ラ１１の制御下に加熱蒸気調整弁９を作動させる
ような電磁弁１４とを有している。

従つて、通常運転からタービンバイパス運転に
移行すると、電磁弁１４が全開して圧力コントロ
ーラ１１の制御下に加熱蒸気調整弁９の開度が設
定される。そして低温再熱蒸気圧力を圧力発信器
１２により検出し、演算器１３により、予めプレ
セツトされた通常運転時の再熱蒸気圧力と脱気器
圧力との特性から、検出された前記再熱蒸気圧力
に相当する脱気器８の圧力を演算し、この圧力に
脱気器運転圧力を保つように圧力コントローラ１
１に指令し、圧力コントローラ１１の出力が加熱
蒸気調整弁９に入力され弁開度が設定され、蒸気
が脱気器８に流入して所定圧力に上昇させる。そ
して脱気器８の圧力が所定圧力に達すると、圧力
発信器１０による検出信号を介して圧力コントロ
ーラ１１は加熱蒸気調整弁９を全閉させ蒸気の脱
気器８への流入をやめさせる。以上のような作用
によつて与えられたセツト圧力に脱気器の運転圧
力を保つように制御することができる。

従つて、通常運転からタービンバイパス運転に
移行する際に、運転移行前と同じ圧力に脱気器圧
力を保つようにバツクアツプ加熱蒸気を供給追従
できるから脱気器圧力の変動を防止することがで
き、ボイラー給水ポンプ系のNPSH不足等による
事故を未然に防止することができる。

また、バイパス運転移行の過渡的状態時を含め
運転移行後のバイパス運転中においても、脱気器
運転圧力はボイラー蒸気負荷の変化（再熱蒸気圧
力の変化）に相応して自動的に変化しうるので、
低温再熱系から抽気している高圧給水加熱器との
それぞれの熱負荷分担割合が維持され、給水加熱
系を常に最適条件下で運転できる。従つて、機器
及び配管を含むシステムを通常の設計条件下で安
全に使用することができ、特別の構造、仕様のも
のにする必要がない。

以上、本発明による脱気器運転圧力の制御方法
によれば、タービンバイパス運転時に給水加熱プ
ラント系を常に最適な条件下で運転することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の火力発電所の一例を示す概略構
成図、第２図は本発明を実施した火力発電所の一
例を示す概略構成図である。 １…ボイラー、２…高圧タービン、３…再熱タ
ービン、５…高圧バイパス弁、６…低圧バイパス
弁、７…高圧給水加熱器、８…脱気器、９…加熱
蒸気調整弁、１０，１２…圧力発信器、１１…圧
力コントローラ、１３…演算器、１４…電磁弁、
１８…低温再熱蒸気系。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 高圧タービン及び再熱タービンの各出入口を
   短絡するタービンバイパス装置と、前記高圧ター
   ビン出口からボイラーを経て再熱タービン入口に
   至る再熱蒸気系統と、タービンバイパス運転時に
   前記再熱蒸気系統から蒸気が流入する脱気器とを
   備えた火力発電所における脱気器運転圧力の制御
   方法において、タービンバイパス運転時には再熱
   蒸気系統の圧力をパラメータとした変換信号によ
   り脱気器への加熱蒸気量を増減させて圧力制御を
   行なわせることを特徴とする脱気器運転圧力の制
   御方法。