JPS6236741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、主な部材に段ボールを使用した荷
役用のパレツトに関するものである。

〔従来の技術〕

段ボール製のパレツトは、例えば電気製品や軽
量機械等の輸送において最初から終わりまでその
荷物に付随して使用され、多くの場合、一回の使
用で焼却処分されるため、耐荷重性が要求される
ばかりでなく、軽量且つ安価であることが望まれ
る。そこで従来のこの種のパレツトについては、
このようなテーマで数多くの工夫が試みられてい
るが、段ボールとしての特殊性から、単に段ボー
ルだけの組合せでは耐荷重性にどうしても限界が
あり、特に斜め荷重に対して弱いという問題があ
つた。

しかしこの考案者等は、先に実願昭58−031318
号として出願した如く、段ボール工場における廃
物を利用して、斜め荷重に対して極めて大きな強
度を示す段ボール製パレツトを提供することに成
功した。すなわち段ボール工場においては、多量
の段ボール原紙が使用されるが、段ボール原紙は
製紙工場から紙管を芯材としてそれに巻き取つて
供給される関係で、残つた紙管を廃物として処分
するために多額の出費を強いられていたところ、
その紙管を有効に補強材として利用できたもので
ある。

このように段ボール工場で出る紙管は、紙を多
重に巻いて接着し、かなりの厚肉となつていて、
特に縦方向に対する圧縮強度が大きいため、これ
を短く切断した筒体を座脚に入れると、垂直荷重
に対してばかりでなく斜め荷重に対しても非常に
強力な安定性を示した。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしその上の荷物をフオークリフトで持ち上
げた場合は、筒体が遊んでしまい、荷重が一枚の
段ボールシートより成る荷受け板にほとんど掛か
るため、荷物が複数個ある場合は、段ボール製の
荷受け板が両側に低く曲がつて荷割れが生じると
いう問題があつた。

この考案は、上記の問題点を解決したもので、
段ボール製パレツトにおいて、荷割れの原因とな
る荷受け板の湾曲を簡単な構造によつて防止する
ことを目的としたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するための本考案の構成は、
荷受け板が一枚の段ボール構造体のシートより成
りこの荷受け板の下面側にフオークリフトのフオ
ーク差込み方向にほぼ平行に座脚を設けこの座脚
に複数の筒状又は柱状の支柱を立てた状態で固定
してなる段ボール製の荷役用パレツトにおいて、
上記荷受け板のフオーク差込み方向に平行な少な
くとも左右両端部に荷受け板を構成する同一の段
ボールシートをチヤンネル形に折り曲げることに
より座脚を形成し、この座脚に直交して少なくと
も前後１対の帯状補強板を両座脚の基端に貫通し
て荷受け板の下面に接合させ、且つ補強板と座脚
の底壁との間に上記支柱を補強用に介在させたこ
とを特徴としている。

〔実施例〕

次にこの考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

（第１の実施例） 第１図ないし第４図は本考案の第１の実施例を
説明する図で、荷受け板１に段ボールが使用され
ているが、その段ボールの波進行方向の両端部を
チヤンネル形に屈折することにより荷受け板１の
両端部に同一段ボールからなる座脚２，２を設け
てある。また前後両端部には補強板３，３を取り
付け、補強板３の取り付けについては、それが荷
受け板１の下面に接合するように、座脚２，２の
上端に補強板３の貫通孔９を設けてある。そして
補強板３と座脚２の底壁４との間に支柱としてそ
れぞれ筒体５を縦に介在させ、荷受け板１を補強
板３に、補強板３を筒体５にそれぞれホチキス状
の針釘６，７で止めてある。

使用する段ボールの構造については、両面段ボ
ール、複両面段ボール等、強度的に支障がない限
り特に制限されるものではない。また上面または
両面にプラスチツクフイルムやクロス等の補強シ
ート８をラミネートしたものが良く、そのうちプ
ラスチツクフイルムをラミネートした場合は、耐
水・耐湿性が大きくなる。また特にプラスチツク
フイルムを延伸処理したフラツトヤーンのクロス
を用いた場合は、破裂強さ、引張り強さ、引裂き
強さ、圧縮強さ、耐摩耗度において大きな強度を
示すことになるので、製造上や使用上において好
都合である。例えば釘６で補強板３に安定して止
めることができ、またフオークリフト等の爪で破
れるのを防止することができる。

補強板３は、後で焼却処理する場合のことを考
えると木製であることが望ましいが、木製である
と輸出用としては薫蒸処理が強制されることもあ
るので、金属製、プラスチツク製のもの、あるい
は金属、プラスチツク、段ボールのうちの２以上
をラミネートしたものを用いることもある。また
木製以外であるときは、曲がらないように波板に
形成するのもよい。

支柱として使用した筒体５は、前記の如く、段
ボール工場で使用する段ボール原紙を巻き取つて
あつた芯材の紙管１０を利用したもので、紙管１
０を単に短く切断して形成してある。

上記パレツトＰは、荷受け板１と左右両端部の
座脚２，２が同一の段ボールからなつていて、段
ボールの両端部をチヤンネル形に折り曲げること
により座脚２，２を形成し、その形態が補強板３
および筒体５によつて保持されているので、座脚
２，２がリブの働きをして前後方向に対して曲が
り難い。また座脚２，２の形態から上面の両側端
部に凹所１１，１１を有するけれども、その凹所
１１，１１の前後両端部に補強板３，３が差し渡
されているので、荷物をその部分で受けることが
できる。

また補強板３，３が荷受け板１の上面と高さが
できるだけ同じになるように荷受け板１の下面に
接合させてあるため、形崩れのない正規の形にお
いて補強板３，３によつて荷重が受けられ、荷重
の大部分が筒体５にかかる。ところがこの筒体５
は紙を多重に巻いて接着してあつて、前述の如く
縦方向に対する圧縮強度が極めて大きく、しかも
形態上さら転倒することもないから、荷重を安定
して受け、大きい荷重にも耐えることができるた
め、座脚２の形態が崩れることがない。

荷物を持ち上げるときは、この両座脚２，２間
の空間部１２にフオークリフトの爪を差し入れる
が、フオークリフトによつて荷物を持ち上げる
と、その爪の上に補強板３，３が直接受けられる
ので、補強板３，３の強度によつて荷受け板１が
左右方向に対して曲がらない安定性が確保され
る。したがつてこの考案の場合、補強板３の曲が
らないように耐える強度が非常に重要である。こ
の強度を高めるためには第２図一点鎖線で示すよ
うに下に更に副補強板１３を当てるが、副補強板
１３を筒体５に釘付けすると、その結合力が極め
て大きく、しかも筒体５に安定性があるため、左
右方向に曲がらないように耐える強度を高める上
において有効である。なお副補強板１３は両筒体
５，５間の圧縮に耐えるものが適当であるから、
補強板３のように木製の板が強度的に良く、副補
強板１３に段ボールを使用するときは、荷受け板
１としての段ボールとは波進行方向を異ならせ、
前後方向に波が進行する使い方をする。

（第２の実施例） 第５図および第６図は、荷受け板１を構成する
段ボールの両端部１４，１４を座脚２，２上に折
り返し、その端部１４，１４を針釘１５で補強板
３に止着してなる実施例である。

（第３の実施例） 第７図および第８図は、荷役用ロープを掛けや
すいように補強板３に横への突出部３ａを設け、
その突出部３ａにロープを掛けるフツク１６を突
設してなる例である。ただし荷物が軽い場合は突
出部３ａにロープを掛けてもよいので、フツク１
６は必ずしも要しない。又段ボールは前後両端部
において、中芯１７と表ライナー１８を欠除し、
裏ライナー１９の端部２０を表ライナー１８に折
り返して接着することによつて段ボールの端口を
封じてある。２１，２２は防水兼補強用のシート
であつて、それにはプラスチツクフイルム又は防
水加工を施した織布などが適している。このよう
に段ボールの端口を封じると、水の浸入を防止で
きるほかに、フオークリフトの爪による破損を防
止できる。

（第４の実施例） 第９図および第１０は、補強板３にステンレス
等の金属板を用いた関係で、以上の実施例とは違
つて、紙管の筒体５に対する補強板３の止着手段
に針釘を用いることができないので、特殊な構造
となつている例である。すなわち座脚２の内外両
側壁２ａ，２ｂを垂直に形成し、段ボールの両端
部を座脚２の上に天壁２５として被せてチヤンネ
ル形の口を封じると共に、更にその先端部を内側
補助壁２６として内側壁２ａの内側に折り込み、
外側壁２ｂと内側補助壁２６との間に筒体５を挾
持してある。そして針釘２７を内側壁２ａから筒
体５に打ち込むことによつて、内側壁２ａに内側
補助壁２６を止め、且つその両壁２ａ，２６に筒
体５を止めてあつて、構造の安定性のために、筒
体５が補強板３に接合している。またステンレス
の補強板３は長手方向に対して曲がらない硬直性
を賦与するために、波板に形成し、更にフオーク
リフトの爪が引つ掛からないように両側端に先端
縁が荷受け板１に圧接する伏せ片２８が形成され
ている。

なお上記各実施例では、支柱の材料としていず
れも、段ボール工場における廃物である紙管を輪
切りにして作つた筒体を使用例として示したが、
この支柱としては、この例に限らず、木製、金属
製、プラスチツク製等の円柱又は角柱或いか筒体
等であつてもよい。

また、上記各実施例は座脚を左右両端部に形成
した場合、及び補強板を前後に一対設けた場合に
ついて説明したが、座脚と補強板の数及び設置位
置は、本考案の趣旨に反しない限り、上記各実施
例に限定されるものではない。

また段ボールは、段ボール構造体に成形したプ
ラスチツク段ボールであつてもよい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案パレツトは、荷受け
板の左右両端部にそれを構成する段ボールシート
をチヤンネル形に折り曲げることにより座脚を形
成し、少なくとも前後１対の帯状補強板を両座脚
の基端に貫通して荷受け板の下面に接合させ、補
強板と座脚の底壁との間に補強用の支柱を介在さ
せたものであるから、座脚の耐荷重性が非常に大
きく、斜め荷重に対しても安定性がある。またフ
オークリフトで荷物を持ち上げた際に、左右方向
に対して曲がらないので、荷割れが防止され、し
かも軽量であるため、出荷、輸送、保管、荷役に
一貫して使用するパレツトとして正に最適であ
る。又構造が簡単で量産に適し、安価に提供でき
る等の顕著な効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の第１の実施例を
示し、第１図はパレツトの斜視図、第２図は第１
図Ａ−Ａ線矢視の断面図、第３図は第２図Ｂ部の
拡大断面図、第４図は筒体およびその材料の紙管
を示す斜視図である。第５図および第６図は本考
案の第２の実施例を示し、第５図はパレツトの斜
視図、第６図は第５図Ｃ−Ｃ線矢視の断面図であ
る。第７図および第８図は本考案の第３の実施例
を示し、第７図はパレツトの斜視図、第８図は第
７図Ｄ−Ｄ線矢視の拡大断面図である。第９図お
よび第１０図は本考案の第４の実施例を示し、第
９図はパレツトの一部斜視図、第１０図は第９図
Ｅ−Ｅ線矢視の断面図である。 １……荷受け板、２……座脚、３……補強板、
５……筒体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 荷受け板が一枚の段ボール構造体のシートより
   成りこの荷受け板の下面側にフオークリフトのフ
   オーク差込み方向にほぼ平行に座脚を設けこの座
   脚に複数の筒状又は柱状の支柱を立てた状態で固
   定してなる段ボール製の荷役用パレツトにおい
   て、上記荷受け板のフオーク差込み方向に平行な
   少なくとも左右両端部に荷受け板を構成する同一
   の段ボールシートをチヤンネル形に折り曲げるこ
   とにより座脚を形成し、この座脚に直交して少な
   くとも前後１対の帯状補強板を両座脚の基端に貫
   通して荷受け板の下面に接合させ、且つ補強板と
   座脚の底壁との間に上記支柱を補強用に介在させ
   たことを特徴とする段ボール製の荷役用パレツ
   ト。