JPS6236628Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は走行しているパイプ、シート等のよ
うな材料に対し、刃物台を同一方向に走行させそ
の刃物台の走行中に刃物台に保持された刃物をプ
レスにより上下動させて材料を切断するようにし
た往復走行切断機に関する。

往復走行切断機は第１図に示すように材料１１
が矢印１２で示すように、例えば図において左か
ら右へ連続的に走行され、その刃物台１３が材料
１１の走行方向に沿つて往復動される。刃物台１
３は下レール１４及び上レール１５に挾まれ、こ
れ等に対してスライドされる。例えば走行用モー
タ１６が減速ギヤ１７を介しピニオン１８に取付
けられ、ピニオン１８はラツク１９と噛合せら
れ、ラツク１９は材料１１と平行に移動させ、こ
のラツク１９が刃物台１３に連結される。

刃物台１３は初期状態ではホームに位置し切断
設定長に応じて材料１１の移動長が或る値になる
と刃物台１３が加速を始め、刃物台１３が材料１
１と同一速度になつた状態で上レール１５が上下
して刃物台１３中の上刃２１を下方向に急に移動
させて下刃２２と協同して材料１１を切断する。
そのようにして材料１１を切断した後に刃物台１
３は材料１１の走行方向と逆方向に移動されて、
前記ホームに戻り次の切断動作のために待機す
る。

第３図は本考案の実施例を示すもので、駆動モ
ータ７５と減速ギヤ７６を除けば在来のプレス機
構である。即ち駆動軸２５に取付けられた駆動歯
車２６の両側に従動歯車２７，２８が取付けら
れ、これ等歯車は駆動歯車２６と噛合されてい
る。これ等歯車２７，２８の各軸にそれぞれこれ
と直角にクランクアーム３１，３２の一端が固定
され、他端部にラム３３を半割状の軸受部３４で
回動自在に挿入連結される。ラム３３の下面には
上レール１５が固定される。従つて駆動軸２５が
回転するとクランクアーム３１，３２が共に回動
し、上レール１５は下レール１４と平行した状態
で上下動及び材料移動方向において回動運動を行
う。

一方刃物台１３は第４図及び第５図に示すよう
に下レール１４と上レール１５により案内されて
移動できるように基台３６と可動板４２を有し、
基台３６上に固定板３７が取付けられて固定板３
７上の２ケ所に円筒体３８が立てられている。一
方基台３６とその上側において対向して可動板４
２が配され、可動板４２の下に固定された２本の
案内柱４３がそれぞれ円筒体３８に挿入されて
い。上刃２１が可動板４２の下面中央部に固定さ
れ固定板３７に下刃２２が取付けられている。こ
れら上刃２１と下刃２２との間を材料１１が通過
し、駆動歯車２６が回転を中止している状態では
ラム３３は下レール１４から最も離れ、保持金具
４１により可動板４２が持上げられ上刃２１は材
料１１と接触することなくその上方に保持されて
いる。駆動歯車２６が回動されるとラム３３は下
方に移動し可動板４２を押下げ、これに伴つて上
刃２１の下端部は材料１１よりも下になり下刃２
２と協同して材料１１を切断し、その後ラム３３
が上側に移動するにつれて上刃２１も初期の位置
に戻る。

駆動歯車２６に対する駆動制御のため従来にお
いては、いわゆるクラツチとブレーキが用いられ
ている。即ち第６図に示すように誘導電動機４４
によりベルト４５を介してフライホイール４６が
常時回転されている。駆動軸２５の保持板５０の
側面にブレーキ４９を配し駆動軸端部にフライホ
イール４６とクラツチ４７を有している。いまク
ラツチ４７が結合状態にされると同時にブレーキ
４９が開放されるとフライホイール４６の回転が
駆動軸２５に伝達される。このクラツチ４７の結
合及びその解除はシリンダー４８に通じる空気圧
制御により行われるのが普通である。クラツチ４
７の結合が解除された時ブレーキ４９が作動し駆
動軸２５は急速に停止される。

以下にクラツチ、ブレーキ方式の欠点を述べ
る。空気圧の信号は電気信号と比較して遅れを伴
い、かつ応答が急峻でないためそのタイミングは
不正確である。従つて切断時点を正確に制御する
ことが非常に困難である。またブレーキ４９の制
動力は周囲温度の影響を受け、かつ使用回数が増
加するにつれて摩擦板の温度が上昇してブレーキ
角度が著しく変化する。このためラム３３を常に
一定の位置に停止することが困難である。これ等
のためにラム３３が必ずしも一定位置に停止しな
い。従つて連続運転中に刃物の自動交換を行いた
くても刃物の停止位置が不正確なため自動交換は
不可能であり、従来通りいつたんラインを停止さ
せて手動で刃物交換するしかない。また上述のよ
うにクラツチ、ブレーキによる切断時点の制御は
不正確であるためプレス動作時に刃物台１３は上
レール１５の中央部からずれていることが多く、
そのため切断抗力を中央部で左右に分散させると
いう良好な切断状態を持続させることに困難があ
る。更にクラツチ、ブレーキ方式では動作おく
れ、発熱などのため毎分当りの動作回数に限度が
あり、せいぜい40〜50回／分程度である。また空
気圧制御のためその空気圧の加圧、排気により可
成り大きな騒音が発生し、、工場公害の一つにな
つている。最後にクラツチ、ブレーキの寿命が短
かく頻繁に交換しなければならないという最も大
きな欠点も挙げなければならない。

この考案の目的は刃物の停止位置を正確に一定
にすることによつて刃物や刃物台の交換を短時間
で行うことを可能とし、必ずプレスの中央部で切
断が行われるような位置決めを容易に行い、かつ
毎分当りの動作回数を多くすることができ、しか
も寿命が長くかつ騒音を発生しない往復走行切断
機を提供することにある。

この考案によればプレス機構に第１直流電動機
を取付け、刃物台の移動と関連して数値制御によ
りプレスの上下動を制御する。一方刃物台機構に
も第２直流電動機を取付け、その走行を数値制御
により行う。このようにして刃物の停止位置を一
定にし中央切断の位置決めを行い動作回数を増す
ことができ、かつ騒音が発生しないようになる。

刃物台１３の走行に対する数値制御は、例えば
第１図に示すようにして行うことができる。即ち
材料１１に測長ローラ５３が転接され、その測長
ローラ５３の回転により測長エンコーダ５４が駆
動され、測長エンコーダ５４からの材料１１の単
位長移動に対し一定数の測長パルスが発生され
る。この測長パルスは周波数電圧変換器５５で材
料１１の速度に対応した速度信号に変換されると
共に測長カウンタ５６で計数される。測長カウン
タ５６は１回の切断ごとにリセツトされており、
その計数内容は材料１１の移動長と対応してい
る。この測長カウンタ５６の計数値L₁と切断長
設定器５７に設定された切断長L₀との差がデジ
タル加算器５８でとられる。加算器５８の出力は
材料１１が刃物より更に進まなければならない残
長を示し、これはDA変換器５９でアナログ信号
に変換され、この変換出力と周波数電圧変換器５
５の出力との差がアナログ加算器６１でとられ
る。この場合の周波数電圧変換器５５の出力を
DA変換器５９の出力で差引くようにされる。従
つて残長が大きい間はDA変換器５９の出力が周
波数電圧変換器５５の出力よりも大きく加算器６
１の出力は負極性である。

加算器６１の出力の極性が極性判定器６２で判
別され、それが負の場合は切替スイツチ６３は
DA変換器６４の出力側に接続され、正の場合は
アナログ加算器６１の出力側に接続される。材料
１１の走行が進みその走行長が設定切断長に近ず
くと残長が小さくなり、アナログ加算器６１の出
力が正となり、スイツチ６３がアナログ加算器６
１側に切替えられる。従つてアナログ加算器６１
よりの正の信号がアナログ加算器６５を通じて速
度制御増幅器６６へ速度修正信号として加えられ
る。増幅器６６の出力でサイリスタ制御器６７が
制御され、その出力により直流モータ１６が駆動
される。これによりホームに停止していた刃物台
１３が材料１１の走行方向に移動し始める。

直流モータ１６の回転により刃物台用エンコー
ダ６８が回転駆動され、刃物台１３の単位長移動
に対し一定数のパルスが発生される。このパルス
は周波数電圧変換器６９によりその周波数に応じ
た電圧に変換され、その変換出力は刃物台１３の
移動速度と対応したものとなり、これはアナログ
加算器６５に供給され、スイツチ６３よりの入力
から差引くように作用する。エンコーダ６８より
のパルスはカウンタ７１及び７２にも供給され、
それぞれ刃物台１３の移動距離と対応した値が計
数される。カウンタ７２の計数値L₂はデジタル
加算器５８に設定切断長L₀に加えるように与え
られ、つまり刃物台１３の移動分だけ多く材料１
１が移動されるようにする。このようにして刃物
台１３が材料１１に走間位置決めサーボを行い、
材料１１が刃物２１，２２から突出した長さが設
定切断長L₀になると材料１１と刃物台１３とは
同一速度で走行する。この状態で切断指令が発生
される。これについては後で述べる。

材料１１が切断されると測長カウンタ５６がリ
セツトされ、この結果加算器５８及びDA変換器
５９の出力が著しく大きくなり、アナログ加算器
６１の出力が負となつてスイツチ６３はDA変換
器６４側に切替えられる。DA変換器６４はカウ
ンタ７１の計数値をアナログ信号に変換して復帰
速度基準信号を作り、その復帰速度基準信号は加
算器６５に周波数電圧変換器６９と同一極性で与
えられる。従つて速度制御増幅器６６の入力は負
となり、モータ１６は逆転し刃物台１３は逆方向
に移動し始める。この時周波数電圧変換器６９の
出力は刃物台１３が材料移動方向に移動している
時とは逆の極性となる。またカウンタ７１はエン
コーダ６８のパルスを減算計数する。このように
して刃物台１３をスタート位置に復帰させる停止
位置決めが行われ、刃物台１３が材料１１と共に
移動した分だけ戻るとカウンタ７１の出力がゼロ
近くになりホーム、つまり刃物台１３のスタート
位置に戻つて停止する。以上の動作が繰返されて
繰返し切断が行われる。

この考案においてはプレス機構に直流モータ７
５が連結され、刃物台１３の移動と関連して数値
制御によりブレスの上下動が行われる。例えば直
流モータ７５の軸は減速ギア７６を介して駆動軸
２５に連結される。直流モータ７５によりエンコ
ーダ７７が回転駆動され、例えば駆動歯車２６が
１回転すると360個のパルスを発生する。このパ
ルスは周波数電圧変換器７８で駆動歯車２６の回
転速度を示す信号に変換されてアナログ加算器７
９へ供給される。エンコーダ７７のパルスはカウ
ンタ８１にも供給されてこれに計数される。この
カウンタ８１は端子８２を通じて原点位置の絶対
検出のためのセンサの出力が供給され、１回転後
のセンサ位置に相当するカウント値にカウンタ８
１がリセツトされる。カウンタ８１の計数値と設
定器８４からのこの例では360との差が加算器８
５で検出される位置のフイードバツクとなる。こ
の加算器８５の出力はDA変換器８６でアナログ
信号に変換され、その変換されたアナログ信号は
速度基準信号として加算器７９を通じて速度制御
増幅器８４へ供給される。増幅器８７の出力によ
りサイリスタ制御器８８が制御されて、その出力
により直流モータ７５が制御される。

先に述べたように駆動歯車２６の回転が原点に
位置している時は加算器８５の出力はほぼゼロで
モータ７５は原点位置決め制御を続けながらほぼ
静止している。例えば端子８３に切断指令が与え
られるとカウンタ８１がスタート位置に相当する
カウント値にリセツトされて加算器８５の出力は
ほぼ360となり、これがアナログ信号に変換され
加算器７９を通じ、更に増幅器８７を通じてサイ
リスタ制御器８８に与えられモータ７５は回転を
開始する。エンコーダ７７も回転駆動され、その
パルスがカウンタ８１で計数され、歯車２６が１
回転に近ずくとカウンタ８１がこの例では360に
近ずきモータ７５は減速をはじめ原点で停止位置
決めを行う。このようにしてモータ７５に対する
速度制御を行うと共にスタート位置に復帰させる
停止位置決めが行われ、切断指令が与えられると
駆動歯車２６は正確に１回転し上刃２１が上下し
て１回の切断が行われ、切断終了後は極めて正確
に定位置を保つ。

端子８３に与える切断指令は刃物台１３の移動
制御と関連して、例えばカウンタ７１の計数が或
るプリセツト値に達したことを検出してその検出
出力を切断指令とするのが最も簡単な場合であ
る。併しプレス及び刃物台の両方を数値制御する
本考案においてはラム３３の中央部において切断
動作が行われるように制御することが容易であ
る。即ち駆動歯車２６が原点角からスタートして
上刃が材料に入る切断角までの時間は正確に定ま
り、またライン速度がいろいろでも刃物台がホー
ムからスタートして中央部に入るまでの時間もラ
イン速度によつて正確に定まる。そこで例えば第
２図に示すように測長エンコーダ５４よりのパル
スを演算回路９１に与え、この演算回路９１には
プレスの切断角までの作動時間と刃物台のホーム
から中央部までのライン速度によつて相異する移
動時間とがメモリーされている。更に例えば加算
器５８の出力である残長が演算回路９１に与えら
れ刻々とその時点から刃物台が中央部に到達する
であろう時点までの残り時間を数えている。その
残り時間がプレス作動時間に一致すると回路９１
が端子８３に切断指令を与える。従つてライン速
度が低い場合は刃物台がスタートしたあとしばら
くして切断指令が与えられライン速度が高く、か
つプレス作動時間が長い切断機の場合は刃物台ス
タート以前に切断指令が与えられる。

以上述べたようにこの考案による往復走行切断
機によれば、刃物の制御、つまりプレスの上下が
刃物台１３の移動と関連して数値制御により行わ
れるため上刃２１の停止位置が常に一定する。従
つて刃物台１３がホームに戻つた時その上下、左
右が数値制御により常に一定しているので消耗し
た上刃２１を他の新しい刃物とホーム位置で交換
することを迅速に行うことができる。またラム３
３の中央部で切断動作を行わせることができ、ラ
ム３３に加えられた力を刃物に効果的に与えるこ
とができ、しかも無理な力が加わらず機械や刃物
を破損するおそれがなく寿命も長い。

更に駆動歯車２６を１回の切断ごとに停止する
ことなく連続的に切断動作をさせることも可能で
ある。例えばデジタル加算器５８の出力、つまり
残長が所定値以下になると減速途中にある駆動歯
車２６を再加速して切断を行うことができ、従来
の切断機よりも毎分当りの切断回数をはるかに多
くすることが可能である。またクラツチブレーキ
を用いないため騒音が発生せず、かつ寿命が著し
く長いものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による往復切断機の一例を示
す構成図、第２図は上レール中央部で切断するた
めの切断指令発生部の一例を示すブロツク図、第
３図はプレス機構部を示す簡略化した斜視図、第
４図及び第５図は刃物台１３の一例を示す図、第
６図は従来のプレス機構駆動部を示す図である。 １１：材料、１３：刃物台、１５：上レール、
１６：刃物台移動用直流モータ、２１，２２：刃
物、２６：駆動歯車、５４：測長エンコーダ、５
６：測長カウンタ、５７：切断長設定器、５９，
６４，８６：DA変換器、６８，７７：エンコー
ダ、７１，７２，８１：カウンタ、７５：直流モ
ータ、８３：切断指令入力端子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 走行している材料に対し、刃物台を同一方向に
   走行させ、その刃物台の走行中に刃物台に保持さ
   れた刃物をプレスにより上下させて材料を切断す
   るようにした往復走行切断機において、 刃物台往復機構を駆動する第１直流電動機と、 上記材料の走行に応じてパルスを発生する第１
   パルス発生器と、上記第１直流電動機の回転に応
   じたパルスを発生する第２パルス発生器と、これ
   ら第１、第２パルス発生器からのパルスと設定切
   断長とから残長と対応した信号を得る手段と、そ
   の残長と対応した信号と上記材料の走行速度信号
   と上記第１直流電動機の回転速度信号とから上記
   第１直流電動機に対する速度修正信号を作る手段
   と、上記刃物台の走行長を計数する手段と、その
   計数値から復帰速度基準信号を作り、刃物台復帰
   時に、その復帰速度基準信号により上記第１直流
   電動機を制御する手段とを備えた第１制御手段
   と、 上記プレス機構を駆動する第２直流電動機と、 上記第２直流電動機の回転に応じたパルスを発
   生する第３パルス発生器と、そのパルスと設定さ
   れたプレスの１ストロークと対応した数値とから
   速度基準信号を作る手段とを備え、上記速度基準
   信号にもとずき上記第２直流電動機を速度制御す
   ると共にスタート位置に復帰させる停止位置決め
   を行う第２制御手段と、 上記第１制御手段中の上記第１パルス発生器か
   らのパルスと、上記残長と対応した信号とにもと
   ずき上記第２直流電動機の起動タイミングを与え
   る手段とを具備する往復走行切断機。