JPS6236159Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は多層円筒型の核燃料輸送容器、すなわ
ちキヤスクに関するものである。

使用済の核燃料等を安全に輸送するためのキヤ
スクには種々の機能が要求される。その主たるも
のに、 放射線遮蔽機能 圧力保持機能 落下衝撃に耐え得る機能 内部発熱を放射し、容器内温度の上昇を防ぐ
機能 火災時の外部入熱に対して容器内温度の上昇
を防ぐ機能 などがある。

従来この種のキヤスクの胴壁には、放射線遮蔽
に有効な質量をもつ鉛や鋼材が用いられており、
特に鋼材の場合、鍜造材をはじめとするソリツド
ボデイ（剛体胴）が通例であつた。しかしこのよ
うなものにおいては、前記〜の機能を必ずし
も十分満足し得るものではなかつた。

本考案は以上に鑑みてなされたものであり、以
下その実施例を説明する。

第１図に示されたキヤスクの胴壁１は放射線遮
蔽に有効に質量を持つ板材２が周部に円筒状に積
層されて構成される。このように板材２を積層し
た胴壁（以下層成壁という）１では、この層厚
が、同一材質で構成した剛体胴の肉厚に対してそ
れと同じかそれ以上となるように構成される。層
成壁１の製作には、焼きばめ方式、最内層の円筒
上に２つ割りあるいはそれ以上の部分割円筒を取
付け、縦接手を溶接しながら円筒状にする方式、
さらに最内層の円筒上に帯材を包帯巻きする方式
等を採用する。層成壁１の外面上に断熱兼緩衝材
３と放熱及び緩衝のためのフイン又は類似形状部
材４とが設けられる。また層成壁１の頂部及び底
部にそれぞれ蓋板５及び底板６が配置され、これ
らが頂部緩衝材７及び底部緩衝材８により覆われ
ている。なお９は最内層の板材２に施されたライ
ニング層（SUS304）である。

図示例のようなキヤスクによれば、層成壁１が
前述の放射線遮蔽機能及び圧力保持機能を有
することは明白である。落下衝撃に耐え得る機
能について述べる。第２図のように、キヤスクが
落下し、その層成壁１が杭１０に衝突した場合を
考えると、従来のソリツドボデイ１０１の場合、
杭１０に接触してから最終変形量δ_１に達するま
での時間が、本考案に係る層成壁１が杭１０に接
触してから最終変形量δ_２に達するまでの時間よ
り短い。すなわち最終変形量δ_２に達するまでの
時間の長い本考案に係るものの方が、内部品１１
の受ける加速が小さくなり、緩衝の役目を果た
す。また万一（絶対にあり得ないが）層成壁１の
外面にクラツクが発生しても、それは最外層の板
材２のみであり、一層だけの被害で済む。次に
内部発熱について述べる。層成壁１はソリツドボ
デイに比べて一般に熱抵抗が大きくなるが、その
詳細な温度分布はコンピユータを用いた解析で正
確に把握でき、十分な対策を講じ得る。内部発熱
に対しては内層が膨張し、全体に密着する傾向の
挙動を行なうため、熱抵抗が小さくなり、熱放散
効果が向上する。また火災等の外部入熱に対し
ては、外層が膨張して隙間が大きくなり、熱抵抗
が大きくなるため、入熱が少なくなる。

以上のように本考案によれば、キヤスクに要求
される種々の機能を十分に満足し得るものを提供
することができる。なお、層成壁を目的に応じて
材料選定するには、最内層や最外層にステンレス
等の耐食材あるいは特殊金属を用い、その他の層
に炭素鋼を用いて専ら遮蔽を司るように構成する
とよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面図、第２図〜第４
図は説明図である。 １……胴壁（層成壁）、２……板材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 放射線遮蔽に有効な質量を持つ板材を周部に円
   筒状に積層して形成した緩衝性を有する胴壁を備
   えた多層円筒型キヤスク。