JPS6235842Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関の給排気弁に関し、主と
して過給デイーゼル機関の給排気弁に関する。

一般に内燃機関では、燃焼室内の高温の燃焼ガ
スにより給排気弁の弁下面に多量の受熱があり、
特に過給デイーゼル機関では、極めて多量の受熱
があつて給排気弁自体が高温状態となる。そのた
め、弁下面から給排気ポートを開閉する弁座面ま
で伝熱されて座面は高温となり腐食して吹き抜け
現象を生じると共に、弁下面の腐食も激しく、し
たがつて従来の給排気弁では、長時間確実に吸・
排気作用を行なわせることができないといつた問
題があつた。

尚、弁下面にセラミツクの板を通常の方法で接
着して、弁下面が直接高温ガスにさらされない様
にすることが考えられるが、セラミツクと金属製
弁体の熱膨張率の差によりセラミツク板が容易に
はがれてしまい使いものにならなかつた。

以上の点に鑑みこの考案は成されたものであつ
て、すなわちこの考案は、金属製の弁とセラミツ
ク板の熱膨張率の差を吸収できるように弁下面に
セラミツク板を固着して弁下面の断熱を図り、弁
座面の吹き抜け現象及び弁下面の腐食を防止でき
る内燃機関の給排気弁を提供することを目的とす
る。

したがつて、この目的を達成するためにこの考
案は、弁下面にセラミツク板を接合した内燃機関
に給排気弁において、弁下面の外周にはその全周
にわたつて側縁部が突出形成されていると共に、
該側縁部の内周面側の根元には全周にわたつて逃
げ溝が形成されており、上記弁下面、側縁部及び
突起により形成される弁下面の凹部にはセラミツ
ク板がはめこまれていて、該セラミツク板と上記
側縁部及び突起とは各々固着されていることを特
徴とする内燃機関の給排気弁にある。

以下、この考案を図示の一実施例により説明す
る。

第１図は、往復ピストン式容積形内燃機関を示
しており、まず該機関の構成を説明する。シリン
ダ１のシリンダヘツド２には、給気ポート３及び
排気ポート４が設けられており、該給気ポート３
は給気マニホールド３ａを介して過給機Ｓの送風
機Ｗ側に、また排気ポート４は、排気マニホール
ド４ａを介して過給機Ｓの排気タービンＴ側に
各々接続されている。上記給気ポート３及び排気
ポート４のシリンダ１側開口部には、リング状の
弁座５，６が固着されている。また、シリンダヘ
ツド２には、給気ポート３を開閉する給気弁７及
び排気ポート４を開閉する排気弁８が設けられて
おり、ロツカアーム９により弁ばね１０の付勢に
抗して適宜作動される。さらにシリンダ１内のピ
ストン１１は、連接棒１２を介してクランク軸１
３に連結されており、ピストン１１の上下運動に
伴つてクランク軸１３が回転運動されるようにな
つている。

次に、上記給気弁７及び排気弁８について第３
図から第６図により説明する。給気弁７と排気弁
８は金属製できのこ形を成しており、両弁７，８
の弁下面７ａ，８ａの外周には全周にわたつて側
縁部１４が突出形成されていると共に、弁下面７
ａ，８ａの中央部には突起１５が設けられてい
る。上記側縁部１４の内周面１４ａの根元には、
側縁部１４の全周にわたつて逃げ溝１４ｂが形成
されている。また側縁部１４の形成高さh₁は突起
１５の形成高さh₂と同等とされている。

上記弁下面７ａ，８ａ、側縁部１４及び突起１
５とで形成されるはめこみ凹部には、円板状のセ
ラミツク板１６がはめこまれて固着されている。
詳細には、セラミツク板１６は、例えばジルコニ
ア，窒化ケイ素，炭化ケイ素の原料を焼結した円
板状の成形品であつて耐熱性や強さ及び耐食性に
優れている。このセラミツク板１６の中央部に
は、上記突起１５が嵌入される嵌入孔１６ａが形
成されていると共に、板厚Ｈは上記側縁部１４の
形成高さh₁と同等となつている。また、セラミツ
ク板１６と給・排気弁７，８との固着は、第４図
から第６図に示すようにセラミツク板１６の嵌入
孔１６ａと突起１５との間、及びセラミツク板１
６の外周面１６ｂと側縁部１４の内周面１４ａと
の間で各々成されている。すなわち、セラミツク
板１６側にセラミツク材料と金属材料とを溶融混
合した混合バインダ１７が溶射されている。この
混合バインダ１７は、そのセラミツク材料の混合
比をセラミツク板１６側に大きく、序々に側縁部
１４あるいは突起１５に近ずくにつれセラミツク
材料の混合比を小さくしてある。さらに、混合バ
インダ１７には金属材料が溶射されて金属層１８
が形成され、この金属層１８と金属母体である側
縁部１４あるいは突起１５とが最終的に溶接され
ている。

しかして、セラミツク板１６は嵌入孔１６ａ及
び外周面１６ｂの全周にわたつて給・排気弁７，
８の突起１５の外周面及び側縁部１４の内周面１
４ａに対して確実に固着されている。

尚、給・排気弁７，８の弁座面７ｂ，８ｂは両
弁７，８が閉成されると、弁座５，６に密着され
るようになつている。

以上の構成における作用を次に説明する。

まず、過給機Ｓを作動させて給気弁７を開成
し、給気ポート３に大気圧より高い圧力の給気を
シリンダ１内に送り、給気弁７を閉じた後ピスト
ンで圧縮し圧力を高めると、空気温度は燃料の自
然発火温度以上に達する。そしてその中に燃料を
噴射することより燃料は発火して燃焼し、ピスト
ン１１は押し上げられる。つづいて、ピストン１
１が上昇して排気弁８を開成されるとシリンダ１
内の高温の残留ガスが排出され過給機Ｓの排気タ
ービンＴを作動させる。

上述の作動において、シリンダ１内にある給・
排気弁７，８の弁下面７ａ，８ｂ側は、常にシリ
ンダ１内にある高温の燃焼ガスにさらされて、極
めて多量の受熱がある。したがつて、弁下面７
ａ，８ａ側が腐食されたり、高温が弁座面７ｂ，
８ｂまで伝わり吹き抜け現象をおこして、弁座
５，６との間にすきまが生じてしまうことが考え
られる。しかしながら弁下面７ａ，８ａ側には、
耐熱性、耐食性の優れたセラミツク板１６が側縁
部１４の内周面１４ａ及び突起１５の外周面に対
し広い接合面積で固着されており、給・排気弁
７，８とセラミツク板１６の固着力は極めて強固
となつていて、弁下面７ａ，８ａから脱落するこ
とがない。すなわち高温の燃焼ガスからの受熱を
断熱して弁下面７ａ，８ａの腐食を防止できると
共に、弁座面７ｂ，８ｂへの伝熱を防いで弁座面
７ｂ，８ｂの温度を下げその結果弁座面７ｂ，８
ｂの吹き抜け現象を防止できる。

また、給・排気弁７，８の下部及びセラミツク
板１６は、常時高温にさらされることから金属製
の給・排気弁７，８本体がセラミツク板１６に比
べ膨張して両者に熱膨張率差が生じるが、側縁部
１４の逃げ溝１４ｂにより熱膨張率差が吸収され
ることからセラミツク板１６がはがれたり弁座面
７ｂ，８ｂがふくれ上つたりすることがなく、
給・排気弁７，８が閉成されると弁座面７ｂ，８
ｂは弁座５，６に完全に密着される。

したがつて、給・排気弁７，８自体はセラミツ
ク板１６により断熱されて腐食することがなく、
セラミツク板１６は広い接合面積で給・排気弁
７，８に固着され、かつ給・排気弁７，８の逃げ
溝１４ｂが熱膨張率差を吸収することから、給・
排気弁７，８の寿命が大幅に伸び、長時間高温燃
焼ガスにさらされても確実に吸排気作用を行なえ
る。さらに上記断熱性を有する給・排気弁７，８
を使用することで内燃機関の熱効率が上がり、か
つ冷却が容易となり、内燃機関の省エネルギー化
が図れるのは勿論である。

以上説明したようにこの考案によれば、給・排
気弁の弁下面に耐熱及び耐食性のセラミツク板を
広い接合面積で確実に接合し、かつ金属製弁体と
セラミツク板の熱膨張率差を吸収できる構成とし
たので、弁下面の断熱が図れ、弁座面の吹き抜け
現象及び弁下面の腐食を防止できると共にセラミ
ツク板がはがれることもなく、給・排気作用の信
頼性を大幅に向上させることができる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係る給・排気弁が装備さ
れた内燃機関を示す断面図、第２図は、同給・排
気弁付近の拡大断面図、第３図は、給・排気弁と
セラミツク板を示す分解斜視図、第４図は、セラ
ミツク板が固着された給・排気弁の断面図、第５
図は、第４図における側縁部付近の拡大図、第６
図は、第４図における突起付近の拡大図である。 ３，４……給・排気ポート、７……給気弁、８
……排気弁、７ａ，８ａ……弁下面、１４……側
縁部、１４ｂ……逃げ溝、１５……突起、１６…
…セラミツク板、１６ａ……嵌入孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 弁下面にセラミツク板を接合した内燃機関の給
   排気弁において、弁下面の外周にはその全周にわ
   たつて側縁部が突出形成されていると共に、該側
   縁部の内周面側の根元には全周にわたつて逃げ溝
   が形成されており、上記弁下面、側縁部及び突起
   により形成される弁下面の凹部にはセラミツク板
   がはめこまれていて、該セラミツク板と上記側縁
   部及び突起とは各々固着されていることを特徴と
   する内燃機関の給排気弁。