JPS6314019Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は副室式内燃機関に係り、特に渦室式デ
イーゼル機関の渦室構造に係る。

渦室式デイーゼル機関は、一般に、シリンダヘ
ツドの燃焼室面に開口した受入孔を有し、該受入
孔に挿入された渦室構成部材により渦室が構成さ
れており、前記渦室構成部材は前記受入孔の開口
端部に形成された拡径孔部内に位置するフランジ
部を有し、該フランジ部が一部に於てシリンダヘ
ツドと該シリンダヘツドにボルトにより締結され
たシリンダブロツクとに挾まれることによりこれ
らより固定されている。

シリンダヘツドとシリンダブロツクとは各気筒
の周辺位置に於て複数個のボルトによつて互いに
締結され、これらボルトは気筒の周りに均等に配
置されても渦室の周りには均等に配置されない。
このためシリンダヘツドに設けられた受入孔の特
に燃焼室面部、即ちシリンダブロツクとの接合面
部にある拡径孔部はシリンダヘツドの熱膨張時に
前記ボルトよりその周方向に見て不均一な拘束を
受け、このため一般には楕円に変形を生じる。こ
のため、たとえ渦室構成部材がシリンダヘツドよ
り熱膨張係数が小さい材料により構成されていて
も前記拡径孔部の楕円変形に於けるその短軸方向
の縮径によつて前記フランジ部に圧縮応力が作用
し、熱疲労と相俟つて前記フランジ部に亀裂が生
じることがあり、またこれに起因して渦室構成部
材が割れることがある。

前記フランジ部に圧縮応力が作用することを回
避するためには、前記拡径孔部と前記フランジ部
との間に予め間隙が設けられればよいが、しかし
この間隙が必要以上に設けられると、機関運転
中、常に機関燃焼室へ向けて開口した溝状の大き
い間隙が存在するようになり、この間隙は断熱層
として前記フランジ部の熱が伝導によりシリンダ
ヘツドへ伝わることを妨げるよう作用し、また前
記間隙に高温ガスが侵入することにより前記フラ
ンジ部が加熱されるようになる。この様なことか
ら、前記間隙が必要以上に設けられると、前記フ
ランジ部の熱疲労が増大し、渦室構成部材の耐久
性が低下する虞れがある。

本考案は、渦室構成部材の如き副室構成部材の
受入孔の拡径孔部が楕円変形を生じても前記拡径
孔部内に位置する副室構成部材のフランジ部に過
大な圧縮応力が作用することを回避して該フラン
ジ部に亀裂が生じたり、またこれに起因して副室
構成部材が割れることを回避し、しかも副室構成
部材の熱疲労を増大することもない改良された副
室式内燃機関を提供することを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、拡径孔部とフ
ランジ部の間にはシリンダヘツドの熱膨張により
生じる前記拡径孔部の楕円変形に於けるその短軸
方向の縮径量に実質的に等しい間隙が前記短軸方
向にのみ設けられている如き副室式内燃機関によ
つて達成される。

かかる構成によれば、シリンダヘツドの熱膨張
により拡径孔部が楕円変形を生じても該拡径孔部
とフランジ部との間に上述の如き間隙が設けられ
ているから、拡径孔部の楕円変形に於けるその短
軸方向の縮径が前記間隙により吸収され、フラン
ジ部に大きい圧縮応力が作用することがなく、該
フランジ部に亀裂が生じることがない。

前記間隙は前記拡径孔部の楕円変形に於けるそ
の短軸方向にのみ設けられているから、前記拡径
孔部の楕円変形に於けるその長軸方向に無用な大
きい間隙が前記フランジ部との間に生じることが
なく、これにより前記フランジ部の熱がシリンダ
ヘツドへ良好に伝導し、また前記フランジ部の側
端壁が高温ガスに曝されることが回避され、前記
フランジ部の熱疲労が増大することが回避され
る。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

先ず、第１図を用いてシリンダヘツドの熱膨張
による拡径孔部の楕円変形の実際例について説明
する。第１図に於て、１はシリンダヘツドを、２
は主燃焼室の輪郭を、３は吸気ポートを、４は排
気ポートを、５は渦室構成部材受入孔の拡径孔部
を、６は渦室構成部材のフランジ部を、７は渦室
構成部材に設けられた連通孔を各々示している。
シリンダヘツド１は主燃焼室２の周りに複数個の
ボルト通し孔８を有しており、該ボルト通し孔に
挿入された図示されていないボルトによりシリン
ダブロツクと締結される。図示されている如き態
様にてボルト通し孔が設けられ、該ボルト通し孔
の各々に挿入されたボルトによりシリンダヘツド
とシリンダブロツクとが締結されている場合、拡
径孔部５はシリンダヘツド１の熱膨張により図に
て仮想線で示されている方向へ楕円変形する。

第２図は本考案による副室式内燃機関を渦室式
デイーゼル機関として実施した一つの実施例をそ
の要部について示す縦断面図、第３図は第２図の
Ａ矢視図である。これらの図に於て、１１はシリ
ンダヘツドを、１２はシリンダブロツクを各々示
しており、該両者はガスケツト１３を介して図示
されていない複数個のボルトにより互いに締結さ
れている。シリンダブロツク１２にはシリンダラ
イナ１４が取付けられており、このシリンダライ
ナは内側にピストン１５を受入れている。ピスト
ン１５はそれの上方にシリンダヘツド１１と共働
して主燃焼室１６を郭定している。

シリンダヘツド１１は燃焼室面に開口した受入
孔１７と渦室１８の半球状の天井部１９を構成す
る渦室孔２０とを有しており、受入孔１７には渦
室構成部材２１が挿入されている。渦室構成部材
２１は、渦室孔２０と共働して渦室１８を郭定し
ており、また渦室１８を主燃焼室１６に連通せし
める連通孔２２を有している。

受入孔１７は開口端部に円形の拡径孔部２３を
有しており、また渦室構成部材２１は拡径孔部２
３内に嵌り込むフランジ部２４を有している。渦
室構成部材２１はフランジ部２４の一部がシリン
ダヘツド１１とシリンダブロツク１２とに挾まれ
ることによりこれらより固定されている。

拡径孔部２３は実質的に真円に形成されている
のに対し、渦室構成部材２１のフランジ部２４は
楕円に形成され、これにより拡径孔部２３とフラ
ンジ部２４との間にシリンダヘツド１１の熱膨張
により生じる拡径孔部２３の楕円変形に於けるそ
の短軸方向の縮径量に実質的に等しい間隙２５が
前記短軸方向にのみ設けられるようになる。

上述の如く間隙２５が設けられることにより、
シリンダヘツド１１の熱膨張により拡径孔部２３
が楕円変形を生じてもフランジ部２４が拡径孔部
２３の側壁に挾まれて大きい圧縮応力を受けるこ
とがなく、これに亀裂が生じることが回避され、
しかも前記拡径孔部２３の楕円変形の長軸方向に
フランジ部２４との間に無用の大きい間隙が生じ
ることがない。

間隙２５を拡径孔部２３の楕円変形の短軸方向
にのみ設けるには、拡径孔部２３とフランジ部２
４の何れか一方が楕円形に形成されていれば良
く、この楕円の方向は、フランジ部２４を楕円形
とする場合には、第４図に示されている如く、そ
の短軸が拡径孔部２３の楕円変形の短軸方向に整
合していれば良く、これに対し拡径孔部２３を楕
円形とする場合には、第５図に示されている如
く、その楕円の長軸が拡径孔部２３の楕円変形の
短軸方向に整合していれば良い。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な渦室式デイーゼル機関に於て
シリンダヘツドの熱膨張により生じる拡径孔部の
楕円変形を説明するためのシリンダヘツドの底面
図、第２図は本考案による副室式内燃機関を渦室
式デイーゼル機関として実施した一つの実施例を
その要部について示す縦断面図、第３図及び第４
図は各々本考案による副室式内燃機関の実施例を
示す第２図のＡ矢視図に相当する図である。 １……シリンダヘツド、２……主燃焼室の輪
郭、３……吸気ポート、４……排気ポート、５…
…受入孔の拡径孔部、６……渦室構成部材のフラ
ンジ部、７……連通孔、８……ボルト通し孔、１
１……シリンダヘツド、１２……シリンダブロツ
ク、１３……ガスケツト、１４……シリンダライ
ナ、１５……ピストン、１６……主燃焼室、１７
……受入孔、１８……渦室、１９……天井部、２
０……渦室孔、２１……渦室構成部材、２２……
連通孔、２３……拡径孔部、２４……フランジ
部、２５……間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツドの燃焼室面に開口した受入孔を
   有し、該受入孔に挿入された副室構成部材により
   副室が構成された副室式内燃機関に於て、前記副
   室構成部材は前記受入孔の開口端部に形成された
   拡径孔部内に位置するフランジ部を有し、前記拡
   径孔部と前記フランジ部との間にはシリンダヘツ
   ドの熱膨張により生ずる前記拡径孔部の楕円変形
   に於けるその短軸方向の縮径量に実質的に等しい
   間隙が前記短軸方向にのみ設けられている副室式
   内燃機関。