JPS6232935B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、患者の脳液の圧力を連続的に監視す
るのに有用なカテーテルに関する。

脳の損傷の徴候を示す患者の頭蓋内の脳液
（CSF）の圧力を監視するため、現在種々の装置
が入手しうる。CSF圧力の監視は、外科医が、
脳の浮腫、通常のCSF流の障害、血液の凝固、
腫瘍、患者の頭内の圧力増加のその他の原因を疑
がつた場合に、その必要が示される。これらの状
況の多くのものにおいて、頭蓋内のCSF圧力の
測定ならびに圧力の変動は、診断上の手段として
非常に有用であり、かゝる測定は、開頭前または
開頭後いずれになされるとしても価値ある情報を
生じうることが分つた。

現在入手しうる圧力監視装置の１つの形式は、
液体で満たされる圧力指示用の袋を含み、これが
頭蓋内に配置され、液体結合手段を介して圧力監
視装置に結合される。この形式の装置の例は、ジ
ヤーナル・オブ・ニユーロサージエリ（神径外科
学）、Vol.39（1973年12月発行）784頁およびハキ
ム等に発行された米国特許第3877137号に開示さ
れている。脳内に埋め込まれ外側に電気的に接続
されうる小形電子トランスデユーサ、ならびに頭
蓋内の外部に直接接続を必要としない遠隔測定装
置も提案された。これらの後者の形式の装置は、
流体の直接の結合手段をもたないから、伝染の危
険を潜在的に減ずるが、測定の不安定性および不
確実性をもたらす電子的ドリフトが生ずる可能性
がある。さらに、遠隔測定形式の装置の使用は、
普通頭を２回開くことを必要とする。すなわち、
挿入のために１度と取り出すために１度である。

これらの装置のすべてに生ずる由々しい問題
は、伝染が生ずる危険があることである。切開が
患者の頭皮中に行なわれると、ぶどう状球菌また
はその他の伝染が切開の位置に生ずる可能性があ
る。したがつて、頭皮および頭蓋中に短かい直接
の穴が監視期間中維持されるとき、伝染菌が硬脳
膜下の空間に移動する通路が提供される可能性が
ある。さらに由々しいことには、脳を包むクモ膜
が貫通されると、脳自体内に伝染が生ずる可能性
がある。

他の形式の監視装置が、「ジヤーナル・オブ・
ニユーロサージエリ」、第39巻（1973年９月発
行）、416頁に記載されている。この文献にあつて
は、ジヨン・ケー・ブリース等が、頭蓋内圧力を
監視するくも膜下ねじを開示している。この装置
は、クモ膜下腔と頭皮の外側を連通するように設
計された中空管状金属構造体を含む。ねじの端部
は、標準のルエルロツクおよび６角カラーより成
る。末端は、開放先端を有する。ねじ山が末端の
開口に隣接して設けられる。装置を設置するため
には、頭皮が切開され、頭蓋に1/4インチの穴が
あけられる。ねじを挿入する前に、脳硬膜がナイ
フで刻みを付けられ、小角度のキレツトで除去さ
れる。この手術では、また、くも膜が開かれ、普
通小量のCSFが見られる。ねじがついで穴内に
ねじ込まれ、その末端の開口が患者のCSFと直
接連通するようになされる。ある場合には、くも
膜は、中空ねじの端部上で橋絡せしめられる。

使用に際して、ねじの端部は、塩水を満たした
延長管を介して止めコツク組立体に接続される。
止めコツクは、圧力トランスデユーサ、塩水を満
たした20c.c.注入器および細菌フイルタを介して空
気中に開く圧力計を含む。トランスデユーサの出
力は、オシロスコープ上に表示され、チヤートペ
ーパ上に記録される。装置は、水圧力計の高さを
くも膜下腔内のねじの端部のレベルと整合させた
後、トランスデユーサを水圧力計と零平衡させる
ことにより較正される。

この装置の簡潔性は、装置を魅力あるものにす
るが、それにも拘らず、その使用に際して相当の
伝染の危険がある。何故ならば、患者の硬脳膜下
またはくも膜下腔と、頭皮の外部間に直接の連通
が設定されるからである。ねじの除去の際、皮膚
の傷は縫合されるが、監視段階またはその後に傷
口に生じうる伝染菌は、頭蓋の内部に通ずる短か
い路を有する。

本発明は、CSF圧力を監視する感知膜として
くも膜を使用する頭蓋内圧力監視カテーテルを提
供する。カテーテルは、前面および背面を有し、
実質的に一定の断面を有する可撓性でほヾ平坦な
リボン状の細長い末端部を含む。平端な末端部の
前面の末端部の近傍には、凹部が設けられ、そし
てこの凹部と圧力監視装置間を流体により結合す
る長手方向内腔が含まれる。

カテーテルを設置するために、頭皮に第１回目
の切開がなされ、頭蓋および硬脳膜を貫通する孔
が形成されるが、くも膜には穴はあけられない。
次いで、第１の切開部分から離間して、第２の頭
皮の切開が行なわれ、切開部間に皮下トンネルが
形成される。次いで、カテーテルが、第２の切開
部中に導入され、皮下トンネルおよび頭蓋の孔を
通され、そして硬脳膜下腔すなわちくも膜および
硬脳膜間に挿入される。しかして、凹部の開口
は、くも膜により橋絡される。カテーテルの背面
は、患者の頭蓋により支持される。頭蓋の孔上の
切開部は次いで閉鎖され、カテーテルの端部は、
適当な圧力測定装置に取り付けられる。

カテーテルの内腔および凹部が流体で充たされ
ると、感知凹部を橋絡するくも膜部分と圧力測定
装置間に流体による結合が設定される。CSF圧
の変動は、心臓脈博および通常の呼吸により惹起
されるものでも、容易に検出されうる。圧力監視
の終了にて、カテーテルは、頭皮の外側のカテー
テルの一部を引くことにより引き出される。末端
部の断面は実質的に一定であるから、カテーテル
は容易に引き出すことができる。

本発明の目的は、伝染の可能性を相当に減ずる
圧力監視カテーテルを提供することである。本発
明のカテーテルは、くも膜が貫通されることを必
要とせず、また頭皮の切開部と頭蓋の切開部の孔
との間が頭蓋に沿つて離間されているからこの目
的が実現される。かくして、本発明のカテーテル
は、頭皮および頭蓋を一位置で貫通する短かい通
路が維持されることを必要としない。

本発明のさらに他の目的は、静的圧力を測定す
ることが出来、小さな圧力変化に敏感であり、か
つ圧力応答膜としてくも膜を採用せる簡単で廉価
なカテーテルを提供することである。

本発明のこれらおよびその他の特徴は、好まし
い具体例についての説明および図面から技術に精
通したものには明らかであろう。

図面中対応する参照番号は、対応する部品を指
示する。

図面を参照すると、カテーテルは、管状長状体
１２に接続されたほヾ平坦な、すなわちリボン状
の末端部１０を含む。しかして、管状長状体１２
は、カテーテルの端部にて、接続用ルエルハブ１
１で終端する。末端部１０は、好ましくは、可撓
性の容易に殺菌消毒可能な材料、例えばトレード
マーク「シラステイツク」として商業上入手しう
る医薬等級のシリコーンゴムから造るのが好まし
い。好ましくは、カテーテルの少なくとも一部
は、Ｘ線による位置づけを可能ならしめるため、
放射線不透過性とされる。末端部１０は、前面お
よび背面１４，１６を有しており、カツプ状凹部
１８が、カテーテル末端に隣接して前面１４に位
置づけられている。平端な前面１４は、凹部１８
の回りに密封面１９を形成する。内腔２０が末端
部１０を貫通しており、凹部１８および管１２の
内部を連通している。

三方止めコツク２２がルエルハブ１１に取り付
けられており、圧力測定装置２４、すなわち標準
的生理的トランスデユーサまたは流体注入手段２
６と連通するように調節されうる。しかして、流
体注入手段は、注入器２８と嵌合されるルエルハ
ブ２７を含むものとしうる。圧力測定装置２４
は、好ましくは、圧力表示および記録装置３０例
えばトレードマーク「データスコープ850」とし
て販売されている機器に接続されるのがよい。

第１図から分るように、凹部１８を含む部分か
ら離間するカテーテルの末端部１０は、実質的に
一定の断面から成つている。以下に十分に詳しく
説明されるように、この特徴は、監視の終了時に
カテーテルを除去するのを容易にする。カテーテ
ルの末端部１０の平坦なリボン形状すなわち平坦
な矩形断面は、カテーテルの末端部１０の平坦な
リボン形状すなわち平坦な矩形断面は、カテーテ
ルの配向の安定化を容易にするから好ましい。こ
れに伴ない、密封部分１９および患者のくも膜４
０間に形成される密封状態を乱すようなカテーテ
ル先端部の横揺れ（揺れるボートのような）は最
小化される。これに関連して、凹部１８の背後の
点における平坦な末端部１０の背面の幅は、約８
mmとするのが好ましい。

末端部１０の厚さは、好ましくは約２ないし４
mmとするのがよい。この寸法は、カテーテルの正
しい動作が、密封表面１９および患者のくも膜間
において密封接触が行なわれることに依存するが
ゆえに重要である。しかして、カテーテル背面
は、硬脳膜３９を介して患者の頭蓋３８により支
持される。

末端部は、相当の長さの皮下トンネル部分を通
過し、なお頭蓋の外部に残存する部分を有するよ
うに十分長くすべきである。その長さは、一般に
約15ないし30cm、好ましくは約15ないし20cm間と
すべきである。

小児科用のカテーテルは、上述の寸法を適当に
縮小することにより提供されよう。かゝるカテー
テルの特定の寸法は、対象たる患者の寸法に依存
する。必要な縮小は、当該技術に精通したものの
技術の範囲内にある。

カテーテルを設置するためには、好ましくは約
８ないし12cm離間せる１対の切開部を患者の頭皮
に作る。切開部の一方の領域に、頭蓋３８および
硬脳膜３９を通して穴３２があけられるが、くも
膜４０は貫通されない。次いで、カテーテル入口
切開部３４および穴３２に隣接する切開部（図示
せず）間に、皮下トンネル（頭皮３５の下、頭蓋
３８の上）が形成される。後者の切開部（穴３２
に隣接した切開部）は例えば縫合で閉じられる。

止めコツク２２をルエルハブ２７の方に開い
て、単位リツトル当り100000単位のバシトラシン
を含む殺菌したリンゲル乳酸塩溶液でカテーテル
を充たし、そしてカテーテルの末端部１０を、切
開部３４およびトンネル３６を介して穴３２の領
域に導入する。次いで、穴３２に挿入する前によ
り多量のリンゲル溶液をカテーテルに押し入れて
それを洗浄し、カテーテルがトンネル３６中を通
されている間に導入されたかも知れない物質を凹
部１８から除去する（送り込まれた余分の液体は
体により吸収されるか、頭皮の切られた頭皮を折
り返えすことにより、穴３２に隣接する切開部領
域から除去される。）。凹部は、それがきれいであ
ることを確めるため、例えば切られた頭皮を折り
返えすことにより、可視的にも検査されるべきで
ある。次いで、凹部１８を注入器２８からリンゲ
ルの乳酸塩溶液で完全に充たす。それにより末端
部１０が孔３２に挿入されるとき、凹部１８に面
するくも膜４０と止めコツク２２間に完全な液体
結合が設定され得、例えば、湿潤紙片がガラス表
面に付着するかのように密封部分が液体表面張力
によりくも膜４０に保持されるようになされる。

次いで、液体がカテーテル内腔２０から凹部へ
そして凹部から漏洩するのを防ぐため、止めコツ
クが閉じられる。

次いで、カテーテルの末端部は、穴３２および
硬脳膜を通つて硬脳膜下腔に挿入され、密封部分
１９がくも膜４０と接触するようにされる。次
に、穴３２直上の頭皮切開部は閉じられ、カテー
テルは縫合により頭皮に固定される。同時に、縫
合は切開部３４で行なうことができるが、カツプ
カテーテルが引き抜かれた後で使用できるように
結ばないで置くことができる。伝染を防ぐため、
排水性の基材をもつ抗性軟膏をカテーテル出口領
域に自由につけることができる。

止めコツク２２および圧力監視装置２４に通ず
る管内の全スペースが、次いでリンゲル乳酸塩溶
液で完全に充たされ、１―３mlの注入器２８およ
び圧力測定装置２４が接続される。ついで、止め
コツクが開放され、装置２４と凹部１８間に流体
の連通を可能にする。

圧力測定装置は、患者の大脳の脳室と同じ高さ
に位置づけられねばならず、そしてもし患者が腰
掛けるか立ち上ることが必要となつた場合には、
装置が患者の大脳室と水平に同じ高さに維持され
るか、注入器の方へ止めコツクを閉じ、流体の硬
脳膜下空間への吸入を阻止しなければならない。
カテーテルは、こゝでCSF圧力を監視するよう
にセツトされ、変動があれば圧力測定装置２４に
より検出され、圧力記録装置３０上に記録される
ことになる。

監視中、患者のくも膜は圧力応答膜として働
き、CSF圧力の定状状態レベルならびにくも膜
に作用する圧力変動が流体結合を介して圧力測定
装置２４に伝達される。流体結合を介して伝達さ
れる圧力波は、心博な呼吸の特徴であるような
CSF圧力の通常の変化や脳の損傷を表わす異常
性により惹起され得る。

２時間ごとに、止めコツク２０を開いて注入器
２８およびカテーテル間を連通させ、５秒間、最
大0.25mlの流体を患者の硬脳膜下空間に注入しな
ければならない。この注入中、密封面１９とくも
膜４０間のシールは一時的に開放され、小量の流
体が硬脳膜下空間に漏洩する。注入の終了時に
は、圧力の注入器から解放される前に止めコツク
を原位置に戻さなければならない。この手法によ
り、凹部１８は流体で適度に充填された状態に留
まり、くも膜から圧力測定装置に至る流体結合が
維持される。

前述のように、リボン状カテーテルの末端部１
０は平坦な前面１４を有しており、これが先端の
領域まで延びているから、平坦な前面の一部が凹
部１４の回りに平坦な密封面１９を形成してい
る。このため、この平坦な密封面が湿潤されたく
も膜に隣接して位置づけられると、毛細管作用な
いし表面張力の結果として、くも膜は平坦な密封
面に固着し、凹部１８の回りの平坦な密封面１９
とくも膜の間の領域を封止する。それにより、凹
部１８とくも膜により密封室が形成される。監視
の終了にて、カテーテルを頭皮に結合する保持用
縫合は除去され、カテーテルは、頭皮の外部のカ
テーテルの一部を引くことにより皮下トンネル３
６から緩やかにかつ注意深く引き出すことによつ
て除去される。綿棒によるふきとりが、カツプ室
および切開部３４で行なわれるべきである。出口
領域における結ばれていない皮膚の縫合糸をこゝ
で結ぶことができる。

上述の説明から、本発明の数種の目的が達成さ
れ、そして他の利益ある結果が得られたことが分
ろう。

特許請求の範囲から逸脱することなく、上述の
構造から種々の変更がなしうるであろうから、上
述の説明に含まれ図面に示されるすべての内容
は、制限的意味を有するものと解釈されるべきで
なく例示として解釈されるべきであることを理解
されたい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のカテーテルの一部切除せる斜
視図、第２図は患者の頭蓋内に設置された本発明
のカテーテルの断面図である。 １０…末端部、１２…管状長状体（管）、１４
…前面、１６…背面、１８…凹部、１９…密封
面、２２…三方止めコツク、２４…圧力測定装
置、２６…流体注入手段、２８…注入器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可撓性の末端部を有し、該末端部と基端部に
   接続された圧力測定装置間を流体により結合する
   ための長手方向の内腔を有する頭蓋内圧力監視用
   カテーテルにおいて、前記末端部１０が、カテー
   テル１２と一体でカテーテルと一部片を形成し、
   前面および背面（１４および１６）を備える平坦
   なリボン状構造を有し、かつ末端部の先端近傍の
   領域の平坦な前面１４に凹部１８を有し、前記先
   端近傍の領域の平坦な前面１４は、該凹部１８の
   回りに密封面１９を有し、前記内腔２０は前記凹
   部１８まで延びていて該凹部と連通しており、前
   記カテーテル１２の先端が患者の頭蓋に設けられ
   る孔を通つて硬脳膜およびくも膜間に挿入される
   とき、前記末端部１０の平坦な背面が患者の頭蓋
   および硬脳膜により支持されることができ、くも
   膜が前記前面１４の凹部１８を閉鎖することがで
   きかつ毛細管作用ないし表面張力により前記密封
   面１９に固着して前記凹部１８の回りの領域の前
   記密封面１９およびくも膜間を密封し得、そして
   リボン状末端部１０は、前記凹部１８から離れて
   も実質的に一定の断面形状を有し、かつ前記カテ
   ーテル１２の先端が患者の頭蓋の孔を通つて硬脳
   膜およびくも膜間に挿入されるとき、頭蓋の孔か
   ら頭蓋に沿つて相当離間された点の頭皮の切開部
   から該頭蓋の孔を通すに十分の長さを有してお
   り、除去に際しては、前記切開部の点から長手方
   向に引くことにより容易に除去することができる
   ことを特徴とする頭蓋内圧力用監視カテーテル。 ２ 前記リボン状末端部１０が約２〜４mmの厚さ
   を有する特許請求の範囲第１項に記載のカテーテ
   ル。 ３ 前記リボン状末端部１０が約15〜30cmの長さ
   を有する特許請求の範囲第１または２項に記載の
   カテーテル。 ４ 前記背面が約８mmの幅を有する特許請求の範
   囲第１，２または３項に記載のカテーテル。 ５ 前記凹部１８がカツプ状である特許請求の範
   囲第１，２，３または４項に記載のカテーテル。