JPS6232070B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は工具破損検出装置に係り、特に超音波
と振動とを同時に検出することにより工具の破損
を検出する装置に関する。

従来の工具破損検出装置は工作機械の振動を検
出することにより工具破損を検出していた。しか
し、単に工作機械の振動の大きさだけを監視する
だけでは、工具破損以外の振動すなわち主軸の回
転停止や刃物台の回動などによる振動をひろつ
て、工具破損に起因する振動との区別が判別しに
くい。そのため、検出する振動のレベルを高位置
で検出することにより、上記の主軸の回転停止や
刃物台の回動等による振動の影響を少くすること
ができる。しかしその反面、低レベルの振動につ
いては検出することができず、工具破損の検出率
が低下するという欠点がある。また、逆に低レベ
ルに設定すると、工具破損以外で発生する振動ノ
イズをひろつて、加工停止を指令する信号が頻繁
に出て作業能率の低下となる。

本発明は以上の点にかんがみなされたもので、
切削加工中の超音波を検出するとともに、同時に
振動を検出してそれらの検出値によつて工具破損
の検出を高信頼で行うことができる工具破損検出
装置を得るにある。

以下に図面を参照して本発明の実施例にもとず
いて説明する。

第１図は第１の実施例を示すもので、工作機械
の主軸台または切削工具を取付ける往復台等に固
着された超音波検出器１は、切削加工中に発生す
る超音波を電気信号として検出するたとえば圧電
素子からなる。上記超音波検出器１にはハイパス
フイルタ２が接続されていて、上記超音波検出器
１から得られる電気信号のうち300KHz以上の周
波成分のみを通し増幅回路３で増幅する。上記増
幅回路３には増幅された信号を整流平滑する整流
平滑回路４が接続されている。上記整流平滑回路
４にはこの回路で整流平滑された信号を設定値Ａ
と比較して信号が設定値Ａより大きい場合に出力
する第１の比較器５が接続されている。振動検出
器６は上記超音波検出器１と同様に工作機械の主
軸台または切削工具を取付けする往復台等に固着
され、切削加工中に発生する振動を電気信号とし
て検出するたとえば圧電素子からなつている。上
記振動検出器６にはこの検出器で検出した振動の
電気信号を増幅する増幅器７と増幅された信号を
整流平滑する整流平滑回路８とがそれぞれ接続さ
れている。上記整流平滑回路８にはこの回路で整
流平滑された信号を設定値Ｂと比較して、信号が
設定値Ｂより大きい場合に信号を出力する第２の
比較器９が接続されている。上記第１の比較器５
および上記第２の比較器９には制御回路１０が接
続されている。上記制御回路１０は上記第１の比
較器１からの出力された信号により一定時間だけ
信号を出力する保持回路１１と、この保持回路１
１からの入力信号がある期間のみ上記第２の比較
器９からの信号を伝達するゲート回路１２からな
り、このゲート回路を通つた信号は警報信号を発
したり、切削工具の送りを停止させたりするのに
用いられる。

次に上記構成の作用について説明する。超音波
検出器１は、切削加工にともなつて発生する超音
波を電気信号として検出する。上記検出器１によ
つて検出された超音波の強さの度合による電気信
号はハイパスフイルタ２によつて300KHz以上の
周波成分をもつ信号のみが通され増幅回路３で増
幅される。増幅された信号は整流平滑回路４で整
流平滑して第１の比較器５へ入力される。第１の
比較器５に入力された信号は設定値Ａと比較され
て、この設定値Ａより大きい信号が入力するたび
に制御回路１０の保持回路１１へ出力する。一
方、振動検出器６は切削加工にともなう振動を電
気信号として検出し、この電気信号を増幅器７で
増幅する。上記増幅器７で増幅された電気信号は
整流平滑回路８で整流平滑して第２の比較器９に
入力する。上記第２の比較器９に入力された平滑
信号は設定値Ｂと比較され、この設定値Ｂより平
滑信号が大きいときゲート回路１２へ信号が出力
される。上記ゲート回路１２は上記保持回路１１
からの入力信号により上記第２の比較器９からの
入力信号を一定時間の期間のみ信号を出力する。

今、整流平滑回路４および８で出力される信号
をたとえばオシロスコープまたは記録計で測定し
てみると、第３図ａ，ｂで示す出力信号がでる。
第３図ａは振動を振動検出器６で検出した電気信
号を整流平滑した信号の電圧値Ｖを示すもので、
切削加工を始めると電圧値Vaが出力される。次
に工具が破損するとそれより高い電圧値Vbが出
力する。ゆえに第２の比較器９における設定値Ｂ
は点線で示すレベルに設定されている。第３図ｂ
は超音波を超音波検出器１で検出した電気信号を
整流平滑した信号の電圧値Ｖを示すもので、工具
破損によつて電圧値Ｓが出力する。ゆえに、第１
の比較器５における設定値は二点鎖線で示すレベ
ル値に設定されている。

第１の比較器５からの出力信号が上記保持回路
１１で一定時間の期間のみ保持されるのは、工具
破損に伴なう超音波の発生が工具破損に伴なう振
動の発生より早いため、超音波検出器で検出され
る超音波信号の方が振動検出器で検出される振動
信号より早く検出される。このために、工具破損
を超音波および振動の両方で検出させるために
は、超音波で検出した信号を一定時間Ｔだけ保持
させておく必要がある。しかして、超音波検出器
１で検出した超音波の電気信号は第１の比較器５
において設定値Ａと比較することによつて、工具
破損にもとずく信号を得て、その信号は保持回路
１１によつて一定時間Ｔだけ保持しながらその期
間のみゲート回路１２を導通させる。一方、振動
検出装置６で検出した振動による電気信号は第２
の比較器９で設定値Ｂと比較される。工具破損に
よつて検出された信号は設定値Ｂより大きい信号
となり、上記第２の比較器９から信号が出力され
る。その信号は導通状態にあるゲート回路１２を
通り制御信号Ｄとして出力する。この制御信号Ｄ
によつて、切削工具の送りを停止させたり、警報
信号を出すなど工具破損に対処する処理が速かに
できる。

このように、超音波および振動の両方から工具
の破損状態を検出するために、工具破損以外のび
びりなどで制御信号Ｄを発生することがない。す
なわち、びびりなどによつて生じる超音波は小さ
く、振動検出器でびびり切削などにともなう振動
を検出しても、超音波にもとずく第１の比較器か
ら信号が得られず、制御信号Ｄは発せられない。

次に、第２の実施例について第２図を参照しな
がら説明する。なお、上記第１の実施例と同じ部
品には同一の符号を付して詳細な説明を省略す
る。

図において、第１の比較器５および第２の比較
器９からの出力信号で制御される制御回路１０
は、整流平滑回路８に接続されてこの回路からの
出力を設定値Ｃと比較する第３の比較器２１と、
上記第３の比較器２１から出力される信号と上記
第１の比較器５から出力される信号のすべての出
力信号を受信したときだけゲート導通指示信号を
出力するアンド回路２２と、上記アンド回路２２
に接続されこの回路からのゲート導通指示信号を
一定時間保持する保持回路１１と、上記保持回路
１１で一定時間保持されたゲート導通指示信号で
第２の比較器９からの信号を伝達するゲート回路
１２からなつている。

次に、このように構成された装置の作用につい
て述べる。

切削加工にともなつて発生する超音波を超音波
検出器１で検出し出力される電気信号は、ハイパ
スフイルタ２、増幅回路３、整流平滑回路４を介
して第１の比較器５へ入力する。上記第１の比較
器５では第３図ｂで示す設定値Ａと比較されて、
入力信号の電圧が設定値Ａより大きいとそこで信
号がアンド回路２２へ出力される。一方振動検出
器６で検出された振動にもとずく電気信号は、増
幅回路７、整流平滑回路８を介して第２の比較器
９および第３の比較器２１へそれぞれ出力され
る。上記第２の比較器９に入力された信号は第３
図ａで示す設定値Ｂと比較される。また、同様に
第３の比較器２１に入力された信号は第３図ａで
示す設定値Ｃと比較される。今、正常な切削がな
されている場合を想定すると、第１の比較器５お
よび第２の比較器９からの出力はないが第３の比
較器２１からの信号は出力される。しかし、アン
ド回路２２では第３の比較器２１からの信号を受
信するのみであるため、アンド回路からの信号出
力はない。

次に、切削工具が破損した場合には、上記第１
の実施例で説明したように超音波検出器１の方が
早く切削工具の破損を検出する。このとき第１の
比較器５では設定値Ａより大きな電圧をもつ信号
が入力されるので、アンド回路２２へ信号が出力
される。一方、振動検出器６では工具破損の検出
が遅れるために正常な切削時の振動を検出してい
る。このため、第３の比較器２１から信号が得ら
れてアンド回路へ出力される。アンド回路２２で
は第１の比較器５および第３の比較器２１からの
それぞれの入力信号により保持回路１１へ信号が
出力される。保持回路１１では入力された信号を
一定時間Ｔの期間のみゲート回路１２へ出力し、
ゲート回路１２を導通状態にする。この間に、工
具破損による振動を振動検出回路１が検出するこ
とにより、第２の比較器９において設定値Ｂより
大きな電圧値をもつ信号が入力されるために、上
記ゲート回路１２へ出力して制御信号Ｄが発せら
れる。

このように、超音波信号が何かの現象で異常を
とらえても、振動信号が加工中であると判定し、
かつ振動信号が異常であると判定するまで工具破
損と見なさないので、容易に超音波信号のノイズ
を除去することができる。また、非加工時の刃物
台の回動に伴なう大きな超音波、振動について、
大きな超音波発生時には、振動は小さく、第３の
比較器からは出力がでないため、大きな超音波発
生後Ｔ時間以内に大きな振動を検出しても、制御
信号Ｄは出力せず、これを検出しないようにでき
る。

本発明は以上説明したように、切削加工中に発
生する超音波および振動の両方を検出器でとら
え、検出器でとられたそれぞれの電気信号の電圧
値を比較器の設定値と比較して、それぞれ検出し
た検出値が異常であると判定する二重の判定回路
をもつことで、種々のノイズに影響されることな
く正確に工具破損を検出することができる。ま
た、断続的な切削加工状態の場合においては、超
音波および振動によるそれぞれの工具破損時に検
出する比較器の他に、正常切削時の加工中を検出
する第３の比較器を設けることにより、断続切削
加工によつて発生するノイズを除去することがで
きる。すなわち、常に正確な検出精度を維持する
ことができる。このように、超音波と振動の二重
検知を行つて、これらの検知値と適当な比較値と
比較させてやることで、切削状態の如何に係らず
切削工具の破損状態を検出することができ、作業
能率の向上が計れるなどの実用上の利用価値が大
きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示すブロツク
図、第２図は第２の実施例を示すブロツク図、第
３図ａ，ｂは振動検出器および超音波検出器から
出力される電気信号をそれぞれ整流平滑して得ら
れる出力信号の波形を示すグラフである。 １……超音波検出器、２……ハイパスフイル
タ、５……第１の比較器、６……振動検出器、９
……第２の比較器、１０……制御回路、１１……
保持回路、１２……ゲート回路、２１……第３の
比較器、２２……アンド回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 切削加工中において発生する超音波を検出し
   て電気信号として出力する超音波検出器と、上記
   超音波検出器から得られる電気信号のうち工具破
   損にともなう一定値以上の周波数成分を通すハイ
   パスフイルタと、上記ハイパスフイルタから得ら
   れる周波数成分が設定値より大きいとき信号を出
   力する第１の比較器と、切削加工中において発生
   する振動を検出して電気信号として出力する振動
   検出器と、上記振動検出器から得られる電気信号
   を設定値と比較してこの設定値より大きな工具破
   損にともなう電気信号が入力するたびに信号を出
   力する第２の比較器と、上記第１の比較器から得
   られる信号を一定時間保持する保持回路およびこ
   の保持回路からの信号がある期間のみ第２の比較
   器から得られる信号を伝達するゲート回路からな
   る制御回路とを具備することを特徴とする工具破
   損検出装置。 ２ 切削加工中において発生する超音波を検出し
   て電気信号として出力する超音波検出器と、上記
   超音波検出器から得られる電気信号のうち工具破
   損にともなう一定値以上の周波数成分を通すハイ
   パスフイルタと、上記ハイパスフイルタから得ら
   れる周波数成分が設定値より大きいとき信号を出
   力する第１の比較器と、切削加工中において発生
   する振動を検出して電気信号として出力する振動
   検出器と、上記振動検出器から得られる電気信号
   を設定値と比較してこの設定値より大きな工具破
   損にともなう電気信号が入力するたびに信号を出
   力する第２の比較器と、上記振動検出器から得ら
   れる電気信号を設定値と比較してこの設定値より
   大きな切削にともなう電気信号が入力するたびに
   信号を出力する第３の比較器と、上記第１の比較
   器および上記第３の比較器から得られる信号を受
   けたときのみ信号を出力するアンド回路およびこ
   のアンド回路から得られる信号を一定時間保持す
   る保持回路およびこの保持回路からの信号がある
   期間のみ第２の比較器から得られる信号を伝達す
   るゲート回路からなる制御回路とを具備すること
   を特徴とする工具破損検出装置。