JPS6229755Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、LPG、LNGなどの低温液化ガス
輸送導管のフランジ継手部から漏洩した低温液化
ガスの拡散を防止し、安全に処理する装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来、低温液化ガス輸送導管にあつては、フラ
ンジ継手部を含むすべての管部分が気密性の乏し
い断熱材で囲繞されている。従つて、継手部から
低温液化ガスが漏洩した場合、漏洩低温液化ガス
は導管と断熱材との間の隙間や断熱材間の隙間を
伝わつて広範囲に拡散し、外気に触れて気化し可
燃性ガスを広範囲にわたつて発生したり、該外気
接触部で結露、結氷を生じたりするなど保安管理
上厄介な問題を惹起する可能性がある。しかしな
がら、従来の低温液化ガス輸送導管においては、
漏洩液化ガスの拡散防止について何等の方策も施
されずに放置されていたが、近時、それに対する
管理が求められ、そのため漏洩低温液化ガスの拡
散防止のための装置が強く望まれている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この考案は、上記問題点を解消するためになさ
れたものであつて、低温液化ガス輸送導管のフラ
ンジ継手部から漏洩した低温液化ガスを漏洩個所
にて確実に回収し、所定の個所に安全に導くこと
ができる漏洩低温液化ガスの拡散防止装置を提供
することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、断熱層で被覆された低温液化ガス
輸送導管のフランジ継手部を囲繞する部分が通気
性を有する断熱層で形成され、該通気性断熱層が
液密性薄膜によつて密封状態に囲繞され、該薄膜
に設けられた開口部に、フランジ継手部から漏洩
した低温液化ガスを薄膜内から外部に導き出す液
抜き管が液密状態に連結され、該液抜き管を含む
低温液化ガス流出路に、正常運転状態においては
前記流出路を閉成しているが、低温液化ガス漏洩
時には低温収縮作用によつて流出路を開放する蓋
板が配設され、それによつて漏洩低温液化ガスを
所定の個所に安全に導いて漏洩低温液化ガスの拡
散を確実に防止できるようにしたものである。

〔作用〕

上記の漏洩低温液化ガスの拡散防止装置の構成
によれば、輸送導管のフランジ継手部から低温液
化ガスが漏洩した場合、その漏洩低温液化ガスは
フランジ継手部を囲繞している通気性のある断熱
層の層内に拡散するが、この断熱層は液密性の薄
膜でかこまれているので該囲繞薄膜の外部に拡散
することなく、断熱層内に拡散した低温液化ガス
は下部にある液抜き管に流れ込み、該液抜き管を
含む低温液化ガス流出路に設けた蓋板に接触し該
蓋板は正常運転状態においては前記流出路を閉成
しているが、抵温液化ガス漏洩時には低温液化ガ
スの低温収縮作用で剥離、脱落して、流出路を開
放して回収される。すなわち、上記の構成によれ
ば、フランジ継手部で漏洩した低温液化ガスは輸
送導管と断熱層とのあいだの隙間および断熱層相
互の隙間に拡散することなく、一定個所に集めら
れて回収されるので、低温液化ガス漏洩個所にお
ける漏洩低温液化ガスによる可燃性ガスの生成や
結氷などの危険が防止でき、それにより抵温液化
ガス輸送の安全性を高めることができる。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

図面において、１はLPG、LNGなどの低温液
化ガス輸送導管、２はそのフランジ継手部であ
り、導管１の外周面には、フランジ継手部の近辺
部位まで、断熱層３で被覆されている。フランジ
継手部２を囲繞する部分は、後記する目的のた
め、通気性のある断熱層４で被覆されている。こ
の断熱層４の外側にはさらに断熱層５が形成さ
れ、この断熱層５と前記断熱層３とによつてフラ
ンジ継手部断熱層４の側面および外周面の全体が
覆われ、その接面に液密性の薄膜６が形成されて
いる。

前記断熱層３および断熱層５には、プラスチツ
クフオーム、フオームグラスなどの低温断熱性に
優れた断熱材が単層あるいは多層に用いられる。
前記通気性のある断熱層４には、岩綿、ガラス綿
などの繊維質断熱材あるいはパーライト、バーミ
キユライト、ガラスボールなどの粒状断熱材が用
いられる。

前記液密性の薄膜６は、低温で剥離したり、ク
ラツクを生じるおそれのない材料、たとえばウレ
タン系、エポキシ系、ゴム系の接着剤あるいはシ
ーライトを塗布して形成するか、またはプラスチ
ツク、FRPなどの液密性シートを貼り合わせて
形成する。また断熱層４に近接している個所の断
熱層３と導管との接面や断熱層３相互の接面及び
断熱層３と断熱層５の接面にも前記接着剤が施さ
れ、それにより薄膜６のシール作用をより確実な
ものにしている。その接着剤を施す長さは、断熱
層４との接面側から５cm〜10cm程度でよい。

７は鉄、ステンレス、アルミニウム、FRP、
プラスチツクなどで形成された液抜き管であり、
その一端は前記薄膜６の下部にあけられた開口部
に連結されており、他端は断熱層５の下部外側に
突出されている。液抜き管７が薄膜６に連通する
開口部分には、断熱層４を構成している繊維質断
熱材あるいは粒状断熱材が液抜き管７中に落ちこ
まないようにするため、ステンレス、アルミニウ
ム、黄銅、亜鉛引鉄などからなる金網８が施され
ている。

前記液抜き管７が断熱層５の下部外側に突出す
る管部分は、プラスチツクフオーム、フオームグ
ラスなどからなる断熱層９で被覆されており、こ
の断熱層９の下面には開口している液抜き管７の
開口下端が突出しており、該下端管口に、ステン
レス板、アルミ板、FRPなどで円筒形あるいは
角筒形に成形した容器１０が連結されている。こ
の容器１０には断熱材１１が充填されている。こ
の断熱材１１としては、液抜き管７を流下する漏
洩低温液化ガスの流れを止めずに、速やかに下方
に流すことができるような粒状断熱材が用いられ
る。

前記容器１０の底板には開口があり、その開口
に蓋板１２が取付けられている。この蓋板１２
は、正常運転状態においては、前記断熱材１１、
液抜き管７内および断熱層４への外気や湿分の侵
入を防ぐと共に断熱材１１の落下を防ぐために閉
じられているが、前述したフランジ継手部２から
漏洩した低温液化ガスが容器１０内に流れ込んだ
ときには漏洩低温液化ガスとの接触により自動的
に開き、漏洩低温液化ガスを粒状断熱材１１と共
に開口部分から流下させるように働く構造となつ
ている。

前記蓋板１２の自動開放の具体的手段として
は、例えば低温収縮の大きい厚さ１〜10mm程度の
プラスチツク板を、常態では接着力が大きく、か
つ優れた耐候性を保持しているが、漏洩低温液化
ガスとの接触時（低温時）に前記蓋板の収縮作用
によつて容易に剥離するような接着剤を用いて接
着保持しておく手段がとられる。蓋板１２はこれ
に漏洩低温液化ガスが接触すると直ちに開くよう
にするのが望ましい。

前記蓋板１２の材料としては、塩化ビニール、
ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、
スチロール、メタアクリルなどが適している。前
記接着剤としては、エポキシ樹脂系あるいはポリ
エステル樹脂系接着剤がよく、とくに速硬化型エ
ポキシ樹脂接着剤は最適である。

１８は前記蓋板１２が剥離しても下方に落ちな
いようにするための止め具である。１３は漏洩低
温液化ガスの受筒であり、１４は漏洩低温液化ガ
スを集液槽（図示してない）へ導くための導管で
ある。

また、この考案においては、前記断熱層４を囲
繞している薄膜６の上部に密封状態にガス抜き管
１５を設けてもよい。ガス抜き管１５には、その
中途部位に、管路を遮断するシート１６が設けら
れており、このシート１６は正常運転状態におい
ては、断熱層４へ外気や湿分が侵入するのを防止
すべく管路を遮断しているが、低温液化ガスが漏
洩してガス化し、薄膜６内の圧力が上昇したと
き、そのガス圧力で破け、ガスが外部に放出でき
るようになつている。シート１６には厚さ25〜
300μのアルミ箔を用い、0.3〜0.7Kg／cm²Ｇ程度
の圧力上昇で破れるようにしている。１７はガス
抜き管１５に雨水が入らないようにするためのキ
ヤツプである。

かかるガス抜き管１５を設けたものにあつて
は、薄膜６による漏洩低温液化ガスの拡散防止効
果はさらに高められる。

なお、前記実施例において、正常運転状態にお
いては閉成状態におかれ、漏洩した低温液化ガス
との接触で開放作動する蓋板１２は容器１０の底
に設けられているが、これは漏洩低温液化ガスの
流下通路部分の任意の個所に設けることができ
る。

〔考案の効果〕

以上に述べたように、この考案によれば、断熱
層で被覆された低温液化ガス輸送導管のフランジ
継手部を囲繞する部分が通気性のある断熱層で形
成され、この通気性断熱層が液密性薄膜で覆わ
れ、この薄膜にあけられた開口部に、薄膜内側の
漏洩低温液化ガスを前記通気性断熱層を通して外
部に流出させる液抜き管が連結され、この液抜き
管を含む低温液化ガス流出路に、正常運転状態に
おいては前記流出路を閉成しているが、低温液化
ガス漏洩時に開放するように作動する蓋板が配設
されており、上記蓋板下部の受筒を介して集液槽
に確実に回収されるので、低温液化ガス輸送導管
のフランジ継手部から漏洩した低温液化ガスの拡
散防止に優れた効果があり、その実用価値は極め
て大である。上記のように漏洩低温液化ガスの拡
散防止を確実に行うことによつて、漏洩低温液化
ガスの拡散による可燃性ガス及び結氷の生成を完
全に防止し、大きな事故へと発展する可能性を未
然に防ぐことができる。

また、本考案による漏洩低温液化ガス拡散防止
装置は極めて簡単な構成で製作できるため、建設
現場という条件下における施工も容易であり、施
工時間も短くて済むなどの効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す低温液化ガ
ス輸送導管における漏洩液化ガスの拡散防止装置
の縦断面図、第２図はそのＡ−Ａ線の断面図であ
る。 図面中、１は輸送導管、２はフランジ継手部、
３，４，５，９は断熱層、６は薄膜、７は液抜き
管、８は金網、１０は容器、１１は断熱材、１２
は蓋板、１３は受筒、１４は導管、１５はガス抜
き管、１６はシート、１７はキヤツプである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 断熱層で被覆された低温液化ガス輸送導管のフ
   ランジ継手部を囲繞する部分が通気性を有する断
   熱層で形成され、該通気性断熱層が液密性薄膜に
   よつて密封状態に囲繞され、該薄膜に設けられた
   開口部に、フランジ継手から漏洩した低温液化ガ
   スを薄膜内から外部に導き出す液抜き管が液密状
   態に連結され、該液抜き管を含む低温液化ガス流
   出路に、正常運転状態においては前記流出路を閉
   成しているが、低温液化ガス漏洩時には低温収縮
   作用によつて流出路を開放する蓋板が配設されて
   いることを特徴とする低温液化ガス輸送導管の漏
   洩液化ガス拡散防止装置。