JPS6229188B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は動力式レンチの締付トルク制御装置に
関する。

従来、ボルト等で被締付物を締付ける場合、適
正なボルト軸力を発生させるために、締付途中の
トルク値が適正締付トルクの約1/3のトルク値に
達した点を着座点（ボルト軸力の発生点）と見做
し、この点まで高速回転によつて仮締めを行な
い、その後低速回転に切換え、ボルトの回転角度
と軸力の既知の関係に基づき、着座点から所定角
度回転させるものや、締付後のボルト等の個有振
動数の変化を超音波探知機で検出してボルト軸力
を管理するもの等が知られているが、前者におい
ては、ボルト等のさび、ネジ孔の不良、被締付物
の穴のずれ等ボルト、被締付物等の状態の違いに
より着座点締付トルクがばらつき、その結果ボル
ト軸力がばらついてしまうため、締付けの不完
全、ボルト等のネジ山の欠損、ボルトの折損等を
生じ、また後者においては、ボルト軸力の確認が
締付作業中には行なえず別工程となるため作業時
間が増加し、生産性が低下する等の不都合があ
る。

本発明はかかる不都合を無くすとともに、ボル
トや被締付物のネジ孔等の良否に対する判断機能
を設け、自動組立等に適するようにすることをそ
の目的とするもので、本願の第１の発明は駆動軸
部にトルク検知器、レンチ本体に加速度計を各設
けた動力式レンチと、前記加速度計の出力から着
座信号及び締付終了信号を読取る手段と、該着座
信号及び締付終了信号により前記トルク検知器の
出力から着座点締付トルク値及び締付終了点締付
トルク値を読取る手段と、該締付終了点締付トル
ク値と着座点締付トルク値との差値を算出する手
段と、該差値を設定した適正締付トルク値と比較
する手段と、該差値と適正締付トルク値とを比較
する手段の出力により付勢され前記動力式レンチ
を駆動源から遮断する手段とを具備することを特
徴とするとし、第２の発明は第１の発明の構成の
外に、設定した締付時間内に着座信号がない場合
に異常を表示する手段を具備することを特徴と
し、第３の発明は、第１の発明の構成に、着座信
号発生後所定時間内に締付終了信号が発生しない
場合に異常を表示する手段を具備することを特徴
とする。

以下、本発明の実施例を図面につき説明する。
第１図乃至第３図は、本発明に用いる動力式レン
チの一例としてのインパクトレンチを示し、１は
レンチ本体で、その内部には例えば引金２ａを引
くことによつて作動するエアーモーター２と、該
エアーモーター２によつて回動されるアンビル３
と、一端に突起４ａが形成され、他端にレンチ本
体１の外方に突出するボルト締付部４ｂが形成さ
れて軸受５により回転自在に支持されるハンマー
４〔駆動軸部〕とが設備され、該アンビル３の内
周面には凹部３ａが形成され、こゝにバネ６によ
り偏倚され、前記アンビル３の回転時前記ハンマ
ー４の突起４ａを打撃する打撃ピン７が配置され
た。８はハンマー４に固設された例えばストレン
ゲージから成るトルク検知器で、このリード線９
はハンマー４に設けられたスリツプリング１０に
接続され、該スリツプリング１０に接触する摺動
子１１に接続された電線１２からトルク信号が取
り出される。１３はレンチ本体１に固着された加
速度計、１４ａ，１４ｂは被締付物である。

第４図は上記インパクトレンチを用いた本装置
のブロツク図を示す。

図において、１８はアキユムレータで、その入
力端子はＡ−Ｄコンバータ１９、増幅器２０を介
してトルク検知器８に接続し、その出力端子の１
つは着座点締付トルクメモリー２１を介して演算
器２３の入力の一方に、出力端子の他の１つは締
付終了点締付トルクメモリー２２を介して演算器
２３の入力の他方に各接続した。２４，２５はア
キユムレータ１８に着座点締付トルク値及び締付
終了点締付トルク値を書込むためのトリガー信号
を各供給するアンドゲートで、アンドゲート２４
の一方の入力端子は比較器２６に、他方の入力端
子はプリセツトカウンタ２９に接続した。比較器
２６は着座点設定器２７の設定値と加速度計１３
の出力信号を比較し、該出力信号が設定値を超え
た時着座信号を出力するものであり、２８は動力
式レンチの駆動軸部であるハンマー４を回転さ
せ、ボルトを締付け始めてからの時間を設定する
締付時間設定器、２９は該締付時間設定器２８の
設定値にプリセツトされ、その設定時間の間、発
振器３０の発振パルスをカウントするプリセツト
カウンタで、端子２９−１は該設定時間の間出力
し、該時間経過すると出力が無くなるのに対し、
端子２９−２はその反対に時間が経過すると出力
する。３１−１はフリツプ・フロツプ、３２−１
はアンドゲート、３３はボルト不良表示器であ
る。アンドゲート２５の入力端子の１つはカウン
タ３４に、他の１つは比較器３５に接続した。該
カウンタ３４はアンドゲート２４の出力により開
かれるゲート３６を介して発振器３０に接続さ
れ、端子３４−１は追締め時間設定器３７で設定
された着座点からの設定時間の間出力し、該時間
が経過すると出力が無くなるのに対し、端子３４
−２はその反対に該設定時間経過すると出力す
る。比較器３５は締付終了設定器３８の設定値と
加速度計１３から増幅器３９、ハンド・パス・フ
イルタ４０を経ることにより得られる信号とを比
較し、該信号が前記設定値を超えた時締付終了信
号を出力するもの、４１は、１入力端子が端子３
４−２に接続され、他の入力端子がフリツプフロ
ツプ３１−２を介して比較器３５の出力端子に接
続されたアンドゲート３２−２の出力端子に接続
されたネジ孔不良表示器、４２は演算器２３の演
算結果を書き込み記憶する締付トルクメモリー、
４３は該締付トルクメモリー４２の記憶内容を一
方の入力とし、締付トルク設定器４４により設定
された一定範囲の適正な締付トルク値を他方の入
力とする判断器で、その出力端子には動力式レン
チを駆動源から遮断する制御器４５及び表示器４
６を接続した。４７は締付トルクが適正締付トル
ク範囲を超過したとき作動する締付不良表示器、
４８は判断器４３に接続され、締付トルクが適正
締付トルク範囲未満のとき開かれるゲート、４９
はゲート４８を介して発振器３０に接続され、そ
の発振パルスをカウントするプリセツトカウンタ
で、端子４９−１は再締め時間設定器５１で設定
された時間の間出力し、該時間経過すると出力が
無くなる。５２はアンドゲート３２−３を介して
端子４９−２に接続され、前記設定時間経過して
も適正締付トルク範囲未満の場合作動する締付不
良表示器である。

尚、図示しないが、表示器３３，４１，４７，
５２と並列接続された動力式レンチを駆動源から
遮断する制御器や、各種メモリー、演算器、レン
チの作動時に引金２ａと連動し、Ａ−Ｄ変換器等
に指令を与えてこれらに一連の動作を行わせるコ
ントローラ及び発振器３０，５０をレンチの作動
時プリセツトカウンタ２９、ゲート４８に各接続
するスイツチ等を設ける。

尚また、破線で囲んだ電子回路５３はマイクロ
コンピユータに置き換えることができる。

第５図は本装置の概略的な外観図を示し、５４
は動力式レンチ、５５は該動力式レンチ５４と接
続された制御装置本体で、制御器４５等を収納す
る部分５５−１と第４図示の電子回路５３を収納
した部分５５−２とから成る。５６は表示装置で
ある。

次に、その作動について説明するに、作業者が
レンチ本体１の把持部１ａを把持し、ハンマー４
のボルト締付部４ｂを、ソケツト１７を介して被
締付物１４ａ，１４ｂの一方のネジ孔１５に先端
を螺合したボルト１６に係合して後、引金２ａを
引くと、エアーモーター２に空気が供給されて該
モーター２は回転し、ハンマー４は、その突起４
ａが該モーター２の回転により回転されるアンビ
ル３の打撃ピン７で間歇的に打撃されることによ
り回転し、ボルト１６を締付方向に回転させる。
ボルト１６が被締付物１４ａ，１４ｂ内に進入
し、その頭がそれに接触すると、締付トルクが増
大し、ボルト１６の軸力が被締付物１４ａ，１４
ｂに作用し始める。この着座点ではレンチ本体１
に反動力が働くため、第６図Ａに示すように、該
レンチ本体１に固設された加速度計１３から大き
な振幅の信号を出力する。

第６図Ｂはトルク検知器８により検知された締
付トルク、第６図Ｃはボルト１６の軸力の各時間
的経過を示す。この図から明らかなように、着座
点は加速度計１３の出力から容易に知ることがで
き、この点からの締付トルクの増加分を監視する
ことによりボルト１６の軸力を正確に管理するこ
とができる。加速度計１３の出力が着座点設定器
２７で設定した第６図Ａに示すＬレベルを超える
と、比較器２６から着座信号が出力し、この信号
がアンドゲート２４を通つてアキユムレータ１８
に入力するので、この時点にトルク検知器８から
出力し、増幅器２０で増幅されＡ−Ｄ変換器１９
でデイジタル信号に変換された締付トルク信号は
アキユムレータ１８に書込まれる。この書込まれ
た締付トルク信号は次いで着座点締付トルクメモ
リー２１に移され記憶される。

ボルト１６による被締付物１４ａ，１４ｂの締
付けが完了すると、それまでバンドパスフイルタ
４０から第７図Ａに示されるような周波数特性を
有する信号が出力していたのが、第７図Ｂに示す
ように特定の周波数帯域で大きな振幅となる周波
数特性を有する信号が出力するようになる。この
特定周波数帯域は、インパクトレンチのハンマー
４が打撃ピン７で打撃される単位時間当りの回数
に関係する。このフイルタ４０の出力が、第７図
Ｂに示すように締付終了設定器３８で設定された
レベルL′を超えると、比較器３５から締付終了信
号が出力し、追締め設定時間内であれば、この出
力はアンドゲート２５を通つてアキユムレータ１
８に入力し、そのときの締付トルク値すなわち締
付終了点トルク値がアキユムレータ１８に書込ま
れ、次いで締付終了点トルクメモリー２２に移さ
れ記憶される。

演算器２３は締付終了点トルク値と着座点締付
トルク値の差値を算出し、この差値は締付トルク
メモリー４２に書込まれる。

判断器４３では、この差値と締付トルク設定器
４４で設定された適正締付トルク範囲とが比較さ
れ、この差値が適正締付トルク範囲に入つていた
ときはその出力により表示器４６がそれを表示す
ると共に制御器４５が動力式レンチを駆動源から
遮断する。該差値が適正締付トルク範囲を超過し
たときは、表示器４７が作動して締付不良を表示
し、未満のときはゲート４８が開き、プリセツト
カウンタ４９は発振器３０のパルスのカウントを
開始し、再締め時間設定器５１で設定した時間tc
だけ端子４９−１の出力により動力式レンチによ
る締付けが続行され、該時間が経過したら端子４
９−２の出力によりレンチの作動が停止するとと
もに表示器５２が作動し締付不良を表示する。

動力式レンチを作動させて後、締付時間設定器
２８で設定された締付時間taが経過しても着座信
号が比較器２６から出ないときは、プリセツトカ
ウンタ２９の端子２９−２からの出力によりアン
ドゲート３２−１を介して表示器３３が作動し、
被締付物１４ｂのネジ孔１５等の不良を表示する
と共に図示しない制御器が作動し、レンチの作動
を停止する。また着座信号が出てから追締め時間
設定器３７で設定された追締め時間tbが経過して
も締付トルクが適正トルク範囲に入らない時は、
プリセツトカウンタ３４の端子３４−２からの出
力により表示器４１が作動し、ボルト不良、被締
付物のネジ欠損等の不良を表示すると共に図示し
ない制御器が作動し、レンチを停止させる。

尚設定された時間内に着座信号が比較器２６か
ら出力したときはフリツプフロツプ３１−１は着
座信号によりオンになるので、アンドゲート３２
−１は開かれず、端子２９−２の出力では表示器
３３は点燈しない。設定された追締め時間内に締
付終了信号が比較器３５から出力したときは表示
器４１は表示器３３と同様に点燈しない。

第８図は第４図示の判断器４３及び締付トルク
設定器４４の具体的回路の一例を示す。締付トル
ク設定器４４の４４Ｂ及び４４Ａは適正締付トル
クの上限値Ｂ及び下限値Ａを設定するもので、そ
れぞれ例えばダイオードマトリツクスで構成され
た10進−２進変換器である。

判断器４３の４３Ｂ，４３Ａは多数の論理素子
により構成された論理回路で、締付トルクメモリ
ー４２の出力が上限値Ｂ及び下限値Ａより大きい
か、等しいか或は小さいかに応じてそれに該当す
る端子から“１”レベルの信号を出力するもの、
４３Ｃは４３Ａ，４３Ｂに接続され、締付トルク
値Ｘが適正トルク範囲〔Ａ≦Ｘ≦Ｂ〕のときは端
子４３−２より“１”が、超過するとき〔Ｂ＜
Ｘ〕は端子４３−３より“１”が、未満であると
き〔Ａ＞Ｘ〕は端子４３−３より“１”が出力す
る。

尚、図は説明の便宜上、設定値は一桁になつて
いるが、実際は複数桁であるから、ダイオードマ
トリツクス、論理回路はそれに応じて増設され
る。

このように本発明においては、動力式レンチの
レンチ本体に加速度計を設け、その出力により着
座点及び締付終了点を見出しており、被締付物や
ボルト等の状態に違いがあつても締付終了時にお
けるボルト軸力にばらつきが生じないから、締付
けのゆるみやボルト、被締付物のネジ山の欠損、
ボルトの折損等の不都合を生ずることがなく、ま
た被締付物のネジ孔の不良、ボルトの折損、ネジ
山の欠損、ボルトとネジ孔の不適合等の場合にこ
れを識別することができるので、自動化すること
ができ、更に作業時間が短く、信頼性も高い効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施の一例を示し、第１図乃至
第３図は動力式レンチの一部截断側面図、第１図
の−線断面図及び第１図−線断面図、第
４図は本装置のブロツク図、第５図は概略的外観
図、第６図Ａ，Ｂ，Ｃは各部の出力波形図、第７
図Ａ，Ｂは加速度計の出力の周波数特性図、第８
図は判断器の具体的回路図である。 ８……トルク検知器、１３……加速度計、１４
ａ，１４ｂ……被締付物、１８……アキユムレー
タ、２１……着座点締付トルクメモリー、２２…
…締付終了点トルクメモリー、２３……演算器、
２４，２５……アンドゲート、２９……プリセツ
トカウンタ、３０……発振器、３３……表示器、
３４……プリセツトカウンタ、３６……ゲート、
３７……追締め時間設定器、３８……締付終了設
定器、４０……バンドパスフイルタ、４１，４
６，４７，５２……表示器、４５……制御器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 駆動軸部にトルク検知器、レンチ本体に加速
   度計を各設けた動力式レンチと、前記加速度計の
   出力から着座信号及び締付終了信号を読取る手段
   と、該着座信号及び締付終了信号により前記トル
   ク検知器の出力から着座点締付トルク値及び締付
   終了点締付トルク値を読取る手段と、該締付終了
   点締付トルク値と着座点締付トルク値との差値を
   算出する手段と、該差値を設定した適正締付トル
   ク値と比較する手段と、該差値と適正締付トルク
   値とを比較する手段の出力により付勢され前記動
   力式レンチを駆動源から遮断する手段とを具備す
   ることを特徴とする動力式レンチの締付トルク制
   御装置。 ２ 駆動軸部にトルク検知器、レンチ本体に加速
   度計を各設けた動力式レンチと、前記加速度計の
   出力から着座信号及び締付終了信号を読取る手段
   と、該着座信号及び締付終了信号により前記トル
   ク検知器の出力から着座点締付トルク値及び締付
   終了点締付トルク値を読取る手段と、該締付終了
   点締付トルク値と着座点締付トルク値との差値を
   算出する手段と、該差値を設定した適正締付トル
   ク値と比較する手段と、該差値と適正締付トルク
   値とを比較する手段の出力により付勢され前記動
   力式レンチを駆動源から遮断する手段と、設定し
   た締付時間内に着座信号がない場合に異常を表示
   する手段とを具備することを特徴とする動力式レ
   ンチの締付トルク制御装置。 ３ 駆動軸部にトルク検知器、レンチ本体に加速
   度計を各設けた動力式レンチと、前記加速度計の
   出力から着座信号及び締付終了信号を読取る手段
   と、該着座信号及び締付終了信号により前記トル
   ク検知器の出力から着座点締付トルク値及び締付
   終了点締付トルク値を読取る手段と、該締付終了
   点締付トルク値と着座点締付トルク値との差値を
   算出する手段と、該差値を設定した適正締付トル
   ク値と比較する手段と、該差値と適正締付トルク
   値とを比較する手段の出力により付勢され前記動
   力式レンチを駆動源から遮断する手段と、前記着
   座信号発生後所定時間内に締付終了信号が発生し
   ない場合に異常を表示する手段とを具備すること
   を特徴とする動力式レンチの締付トルク制御装
   置。