JPS6227765B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は長期にわたる植生法面の安定および
肥効の維持を目的とする法面安定工法に関するも
のである。

近時、道路・鉄道・土地造成に伴ない大規模な
法面工事が多く、美観・法面保護等の要求から法
面の植生を行なうことが一般化して来た。地域・
地質・気象などの諸条件によつて異なるが法面に
郷土種の植物が定着する迄には３年以上の年月が
必要で、植生はそれらの郷土種の定着する迄の期
間の法面保護が重要な役割となる。

これらの法面の植生物の施肥は特に法面が道
路・鉄道沿いの場合などは工事期間がとれないた
め、年々行なうと言うようなことが難かしく、ま
た山間僻地の場合が多く労働力の確保、コストな
ど問題が多い。このため近時２〜３年間肥効のあ
る緩効性肥料が用いられるようになつたが、大型
の粒状物であるので、勾配のある法面に単に散布
しても転げ落ちてしまうので施肥方法が難かし
い。一方、一々穴をあけて埋めるには手間がかか
りすぎる難点がある。

この発明はこのような難点を解決することを目
的としている。

植生を行なう場合、比較的勾配の緩かな盛土法
面の場合には種子の吹きつけを行なつた後、降雨
による種子の流出を防ぐためにむしろ状・ネツト
状・不織布などからなる養生マツト類の展張物で
覆うことが多い。又、気象条件が厳しく、冬期の
凍上が懸念される場合は引張強度の大きなネツト
などで法面を抑えることもある。また、種子を予
めマツト類に付着せしめておき、マツト類を展張
することにより種子を法面に均一に播く方法も採
られている（実公昭42−484号公報、特開昭44−
10730号公報参照）さらに、勾配の比較的急な軟
岩や礫まじり等の切土法面では客土・肥料・種子
などを混入した泥を吹きつけ１〜10cmの泥層を形
成するが、この脱落を防ぐため鉄製・合成繊維な
どのネツトを泥吹き前ないし後に敷設することも
一般化している。

この発明は上述のような塊状成形した大粒の緩
効性肥料を所定間隔をおいて紐状体に固着し、こ
れを予めネツト等、網状の法面展張物に取り付
け、法面展張物を法面へ展張して、その上から種
子等の植生基材の吹き付けを行なうようにしたも
ので、法面展張物によつて法面を抑えるととも
に、大粒塊状の緩効性肥料を所定の位置に保持
し、２〜３年の長期にわたつてその肥効を維持す
ることができる。

以下図示する実施例により説明する。

第１図において、複数個の塊状成形した大粒の
緩効性肥料１を、これを貫通する一本の紐状体２
に所定の間隔を保ち固着し、鎖状の連結体３を形
成してあり、この連結体３が合成繊維のネツトか
らなる法面展張物４に取り付けてある。連結体３
は一直線をなし、複数条が互に平行に並び、紐状
体２を介し展張物４に取り付けてある。連結体３
の法面展張物４への取り付けは紐あるいは針金等
によつて行なうことができる。

第２図は施工の一例を示したもので、鋼製の落
石ネツトからなる展張物４に鎖状連結体３を取り
付けてなつた緩効材料を勾配が５分〜１割程度の
軟岩切土の法面Ｃに展張し、係止ボルト８で固定
し、その上から種子層５を吹付ける。このように
して展張物４により法面の崩落等を抑え、同時に
これに取に付けた緩効性肥料１により長期間にわ
たり施肥を行ない、植物の定着、成育を促進す
る。

この発明で用いる緩効性肥料は特に限定される
ものではないが、イソブチリデンジウレア（三菱
化成社製）を主成分とした大粒成形肥料（特開昭
54−97262号公報参照）等がこの目的に好適であ
る。

緩効性肥料を塊状成形する場合、その大きさと
しては１ケ当り５ｇ〜30ｇ程度の範囲である。施
肥量としては、肥料成分50〜200ｇ／m²を標準と
し、塊状肥料１ケ15ｇ、肥料分30％の場合は、１
m²当り10〜50ケ程度となる。

例えば１m²当り30ケの塊状肥料を使用するとし
て、鎖状連結体を50cm間隔で付設するとすれば、
連結体１ｍ長さ当り15ケの塊状肥料が付設される
ので、個々の肥料の間隔は約７cmとなる。あまり
に過多の肥料を施すことは植生上のぞましくない
ので本発明においては、塊状肥料を所定の間隔を
保つて展張物に固着することが重要となる。

本発明に用いる法面展張物としても特に規定す
るものではないが、主として下記のようなものが
一般的である。

(イ) 太さ0.5〜５mmのビニロン・ポリエチレンな
どの合成繊維などからなる目の大きさが１〜５
cm程度のネツト。

(ロ) 太さ２〜５mm、目の大きさが３〜10cm程度の
落石防止用金網。

(ハ) 太さ0.3〜３mm、目の大きさ１〜５cm程度の
ポリエチレンなどからなるプラスチツクネツ
ト。

展張物１枚の大きさは特に規定するものではな
いが一般的には１辺５ｍ〜数十ｍで１枚当り十数
m²〜数百m²の大きさのものを用いることが望まし
い。

塊状の肥料を固着し鎖状連結体となす紐状体は
合成繊維、金属線が素材として用いられる。

緩効性肥料を取り付けた展張物に、予め種子を
取り付けておくこともでき、展張物に直接種子を
水溶性の接着剤を用いて接着してもよいし通常用
いられているように、紙などの水に溶けやすい材
料に、種子を接着したり、２層の紙の間に種子を
挟み込んだりした、いわゆる種子紙（張芝体）を
展張物に取り付ける方法によつてもよい。

この発明は以上の構成からなり、大粒塊状成形
した緩効性肥料が法面に展張すべき展張物に、展
張に先んじて取付けられる。従つて、展張物の展
張によつて法面の保護と同時に、法面への施肥が
可能となる。

塊状の肥料がバラバラになつている場合は展張
物への取り付けに際して１個１個取り付け位置を
測つて取り付ける必要があり多大の作業手間を要
するが、この発明のように所定の間隔で肥料が連
結されていれば、連結体と連結体との間隔さえ測
ればよく、また設置に際しては連結体を巻き出せ
ばよいし、取り付けも肥料１個１個を固定しない
でも連結体の両端部と中間点を適宜固定するだけ
でよいので、作業効率が大幅に上昇し、かつ作業
の機械化を容易にする。

また、取り付けた塊状の緩効性肥料は移動せ
ず、ころがり落ちたりすることなく、所定の位置
に留つて、長期にわたり施肥効果を有するので、
労力を要さず、植物の定着を促進できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例において緩効性肥
料の鎖状連結体を法面展張物に取り付けた状態を
示す正面図、第２図は施工の様子を示す断面図で
ある。 １……塊状成形した緩効性肥料、２……紐状
体、３……鎖状の連結体、４……法面展張物、５
……種子層、８……係止ボルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 複数の大粒塊状成形した緩効性肥料を所定の
   間隔を保ち紐状体に固着してなる緩効性肥料の鎖
   状連結体を、予め網状の法面展張物に取り付けて
   おき、該法面展張物を法面に展張した上から種子
   等の植生基材を吹き付けることを特徴とする法面
   安定工法。 ２ 緩効性肥料はイソブチリデンジウレアを主成
   分とした大粒成形肥料である特許請求の範囲第１
   項記載の法面安定工法。