JPS6221407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は砥石車を高速回転させて包丁やはさ
み等の刃先を研磨する電動式包丁研ぎ器の改良に
関するものである。

一般に、この種包丁研ぎ器ではモータ等を収納
した合成樹脂などからなるケースの頂面側に砥石
車の主面に向つて下降する傾斜壁を形成し、この
傾斜壁をそのまま刃物の刃先角度設定壁としてい
た。つまり、この設定壁の表面に刃物の側面を押
し当てながら上記刃物を移動させ、刃物の刃先が
上記砥石車に当接すると同時に、上記移動方向と
は直交方に刃物を挽き出し操作することにより、
上記刃先の研磨を行なうようになつている。

しかしながら、刃物の挽き出し操作にあたつ
て、刃物を設定壁表面に軽く押し当てる把持力と
上記砥石車に当つた反力との関係を考慮しない
と、刃物ががたつき易く、かなりの熟練者でない
と、適正な刃先角度が得られない。

また、研磨時に砥石車で削られた刃先の研磨屑
が上記砥石車の回転で飛散するため、近辺に食器
や食品がある場合には、これらから遠ざけて使用
しなければならず使い辛い欠点を有する。

したがつて、この考案は刃先角度設定壁の裏面
側に磁石を配設することにより、磁石からの吸引
力で刃物の挽き出し操作が安定的に行なえ、刃物
の適正な刃先角を得ることができ、しかも研磨屑
の飛散が防止され、さらに設定壁を、ケースとは
別体に形成するとともに、このケースに着脱可能
に装着し、しかも上記磁石をケース側に固定する
ことにより、ケースから設定壁を簡単に取りはず
し、設定壁のみを水洗いして清掃を容易になすこ
とができ、この場合にあつても磁石までもが吸湿
することがなく、また研磨使用する際、ケース側
の磁石が設定壁上の刃物を吸引するため、設定壁
の装着状態が不安定であつても吸引される刃物に
よりケース本体側へ押し付けられ、こうしてがた
つきなく刃物を研磨することができるものであ
る。

以下、この考案の一実施例を図面にしたがつて
説明する。

第１図において、１は電池電源２やモータ３を
内蔵した合成樹脂製の箱形ケースで、このケース
１の頂部側に形成された凹所４には、ホルダ５に
固着された砥石車６が配設されている。上記ホル
ダ５はモータ３の回転軸７に固定されたカツプリ
ング部材８に回転可能に連結されるとともに、両
者５，８間に介在されたスプリング９によつて弾
性的に上下動可能に支持されている。

１０，１１はケース１とは別体的に形成された
互に対向方向から上記砥石車６の主面に対して下
降する刃先角度設定壁であり、ケース１に着脱自
在に装着されている。この実施例では、上記設定
壁１０，１１をケース１の頂部壁で構成してあ
る。一方の刃先角度設定壁１０と他方の刃先角度
設定壁１１とは砥石車６の主面に対して傾斜角度
を異ならせてあり、たとえばはさみや包丁のよう
な刃先角度の異なる刃物Ｍ，M′に対して刃先研
磨できるようになつている。１２は上記ケース１
に取り付けられた防護カバーで、下側傾斜面１
３，１４と上記各設定壁１０，１１との間で刃物
挿入空間１５，１６を形成するものであり、上記
挿入空間１５，１６は、刃物Ｍ，M′の挿入を許
容させるに十分な巾寸法に設定してある。勿論、
上記カバー１２を取り付けなくても、とくに刃物
Ｍ，M′の挿入に支障はない。

１７，１８は上記各設定壁１０，１１の裏面
側、たとえばケース１に固定された氷久磁石で、
この磁石１７，１８は、上記各設定壁１０，１１
の表面に進入した刃物Ｍ，M′を吸引させるもの
である。

つまり、上記各設定壁１０，１１の表面に対し
て刃物Ｍ，M′を軽く押し当てながら砥石車６の
主面に移動させ、この砥石車６に刃物Ｍ，M′の
各刃先を当接させながら刃物Ｍ，M′の挽き出し
操作する際、上記刃物Ｍ，M′に氷久磁石１７，
１８の吸引が作用するから、上記操作時に刃物
Ｍ，M′のがたつきが防止され、刃先角度が適正
に勿論、この際刃物Ｍ，M′が氷久磁石１７，１
８により吸引されているため、このケース１に固
定された磁石１７，１８側へ作用する刃物Ｍ，
M′の吸引力によつて設定壁１０，１１もケース
１側へ押しつけられ、所定の位置に安定し、こう
して設定壁１０，１１はケース１に対して着脱可
能であるにもかかわらず、砥石車６との刃先設定
角を所定のものに保つことができ、不慣れな婦女
子であつても簡単に扱える。

したがつて使用者は刃物Ｍ，M′に対して挽き
出し方向の力だけを加えれば、自ずと高精度の刃
先研磨が行なえる。

第２図は他の実施例を示し、ケース１に対して
着脱可能に構成した各設定壁１０，１１の裏面
に、ケース１側に固定した氷久磁石１７，１８と
対応して、鉄板のような磁性体２１，２２をそれ
ぞれ付設したものである。

この場合は、研磨屑の清掃が容易であるうえと
くに、各設定壁１０，１１によつて氷久磁石１
７，１８から刃物Ｍ，M′に対する吸引力が減少
するのを防止でき、さらに各磁石１７，１８から
の磁束の分布を均等化させることができる。勿
論、この磁性体２１，２２が氷久磁石１７，１８
に吸引されることにより、各設定壁１０，１１の
ケース１側への装着構造が簡素化される。

また、この実施例では防護カバー１２を上記設
定壁１０，１１と一体的に形成してあるから、防
護カバー１２も設定壁１０，１１とともに手軽に
ケース１から取り外すことができ、この防護カバ
ー１２の裏面等に付着した研磨屑の清掃も水洗い
等により簡単に行うことができる。

なお、上記各実施例においては、電池駆動によ
る包丁研き器を例に説明したものであるが、交流
駆動によるものにおいても適用することができ、
その場合、上記氷久磁石１７，１８の代りに電磁
石で構成することができる。電磁石で構成した場
合には、電源スイツチをOFFさせることによ
り、吸引力がなくなるから、研磨屑の清掃が容易
になる。

なお、上記各設定壁１０，１１の表面に、第３
図のように、少なくとも刃物挿入方向に沿つた多
数の研磨屑貯留用の細条溝１９を形成しておけ
ば、研磨屑が上記設定壁１０，１１の表面に飛散
した場合でも、この研磨屑を上記細条溝１９に貯
留できるため、研磨屑による刃物の浮き上がりや
がたつきのおそれはない。勿論、細条溝１９は格
子状に形成してもよい。

以上のように、この考案は刃先角度設定壁の裏
面側に磁石を配設することにより、刃物の挽き出
し操作ががたつくことなくスムーズに行なうこと
ができ、適正な刃先角度が得られ、しかも研磨屑
が飛散するのを効果的に防止し、研磨時に砥石車
６で飛散される研磨屑を上記磁石１７，１８の吸
引力で角度設定壁の表面に吸引させるから研磨屑
の食品等へ付着のおそれもなく、使い易くなる。

さらに、この考案によれば、刃先角度設定壁１
０，１１をケース１とは別体成形するとともに、
このケース１に着脱自在に装着し、上記ケース１
側に永久磁石１７，１８を固定することにより、
上記設定壁１０，１１をケース１から脱装して、
上記設定壁１０，１１に付着した研磨屑を、たと
えば水洗い等で容易に清掃でき、また磁石１７，
１８は水洗いしないケース１側に取り付けられて
いるので、吸湿を防止できる。

さらに設定壁１０，１１を水洗い後に装着した
際、装着状態が不安定であれば、刃物Ｍ，M′の
刃先研磨角がいびつになり用を足さなくなるがこ
の考案によれば、磁石１７，１８は砥石側と同じ
ケース１に固定されているため、使用時、設定壁
１０，１１上の刃物Ｍ，M′が磁石１７，１８側
へ吸引された場合に、このケース１側へ吸引され
た刃物Ｍ，M′によつて、不安定な装着状態の設
定壁１０，１１もケース１側へ押しつけられ、結
局砥石との角度を所定のものとすることが自動的
に行なわれるため、熟練度を要せずに精度良い研
磨が行なえる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る電動式包丁研ぎ器の一
例を示す破断正面図、第２図は他の実施例を示す
破断正面図、第３図はこの考案に係る電動式包丁
研ぎ器の刃先角度設定壁を示す斜視図である。 １……ケース、１０，１１……刃先角度設定
壁、１７，１８……磁石、１９……細条溝、２
１，２２……磁性体、Ｍ，M′……刃物。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ケース１の頂面側に形成された刃先角度設定
   壁１０，１１の裏面側に、この設定壁１０，１
   １の表面に刃物Ｍ，M′を吸引させる磁石１
   ７，１８を配設した電動式包丁研ぎ器におい
   て、上記刃先角度設定壁１０，１１を、上記ケ
   ース１とは別体的に形成するとともに、このケ
   ース１に着脱可能に装着し、上記磁石１７，１
   ８をケース１側に固定してなる電動式包丁研ぎ
   器。 (2) 上記ケース１側に固定された磁石１７，１８
   と対応して、上記設定壁１０，１１の内面に磁
   性体２１，２２を固定してなる実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の電動式包丁研ぎ器。 (3) 上記刃先角度設定壁１０，１１の表面に、少
   なくとも刃物Ｍ，M′の挿入方向に沿つた多数
   の細条溝１９を形成してなる実用新案登録請求
   の範囲第１項または第２項記載の電動式包丁研
   ぎ器。