JPS6220500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は擁護壁やトンネル等の裏込め排水もし
くは背面排水に供する新規な合成樹脂製土木用面
排水材に関する。

擁護壁やトンネル施工に於て、その裏込め排水
工及び背面排水工は強度維持の為、欠くことの出
来ない重要な土木施工である。このような排水工
は通常擁壁の裏込部及びトンネルの背面に適当な
排水材を上下に添設して施工されるものである
が、その周囲は盛土や埋め戻しがされる為この排
水材にはかなりな土圧が加わり、従つてこのよう
な施工に用いられる排水材は、本来の効率の良い
排水性に加えて大きい耐土圧強度が要求される。
近時、軽量で安価であることから合成樹脂製の排
水材が市販されるようになつたが、耐土圧強度が
未だ劣る為、土圧に押し潰され排水効率が激減す
るという問題があり、土木施工者にとつては土圧
強度が有り且つ排水効率の優れた合成樹脂製の土
木用面排水材の開発が待ち望まれるところでもあ
つた。

本考案は叙上の実情に鑑みなされたもので、擁
護壁あるいはトンネル等の裏込め排水もしくは背
面排水に用いられる耐土圧強度大で且つ排水効率
の良い合成樹脂製の土木用面排水材を提供するに
ある。

本考案実施例を図に採つて説明すると、第１図
は本考案の代表的な実施例の部分斜視図、第２図
は第１図−線断面図、第３図は第２図の−
線部分断面図、第４図は第２図の＋線部分
断面図、第５図イ，ロは本考案排水材の使用状態
を示す部分縦断面図である。即ち、本考案は起伏
摺曲した多数本の合成樹脂の波状縦糸２…を複数
個の合成樹脂の環状体３…の外周に融着させ、該
環状体３…を軸芯方向間隔毎に連結し且つ該環状
体３…の周囲を囲繞して排水管本体１とすると共
に、該排水管本体１の複数本を並列にして合成樹
脂シートもしくは網体４…により上記隣接関係の
排水管本体１…をほぼ夫々の中央部位に於て互い
に間隔おきに連結し、該排水管本体１…とシート
もしくは網体４…との空域に多数本の上記縦糸
２′…を規則的にあるいはランダムに空隙を有す
るように填装し且つ該縦糸２′…を上記排水管本
体１…及びシートもしくは網体４…に部分的に融
着せしめたことを特徴とする土木用面排水材であ
る。図では３本の排水管本体１…が合成樹脂シー
ト４…で互いに連結されて居り、排水材１０とし
ての全体形状は厚手の長いマツト状であることを
示している。環状体３…の周囲を囲繞し且つ排水
管本体１を構成する縦糸２…は波状であつて、ほ
ぼ規則的に該環状体３…の外周に融着されている
が、隣接せる排水管本体１…の外周とシート４…
の上下によつて形成される空域に填装される縦糸
２′…は規則的にあるいはランダムに空隙を有す
るように互いに点接触状態であつて、排水管本体
１…及びシート４…に部分的に融着されるもので
ある。このような排水材１０は、それを構成する
縦糸２…、２′…、環状体３…及びシート４…が
同質の合成樹脂（例えば、中低圧のポリエチレン
等）により製せられ、これを同時に熱融着一体と
するものであり、従つて縦糸２…、２′…同志の
接触部分も互いに融着され、全体として排水管本
体１…内部に明確な排水路１１を有する多孔質な
上述の如きマツト状として得られ、マツト状とし
ての排水材１０の厚みは約５〜10cm、巾は20〜30
cmで長さは通常約4mであるが、使用条件に合わ
せて適宜裁断調整されるものである。また合成樹
脂の成形体であるこれら構成部材はいずれも発泡
率1.5〜3.0倍の低発泡体である。この排水材１０
の実際の土木施工での使用状態は、例えば第５図
イ，ロに示す如く、擁護壁ＡもしくはトンネルＢ
の裏込部A₁もしくは背面B₁に沿つてこのマツト
状の排水材を上下に添設し、その下端部に外部と
通じる排水管A₂，B₂を設けて、爾後盛土もしく
は埋め戻しを行い該排水材１０を土中Ｓに埋設す
るものである。この理設状態で土中Ｓの水分は多
孔質の排水材１０の周囲から、縦糸２…と環状体
３…でもしくは縦糸２′…同志で形成される空隙
に浸透し、次いで排水管本体１…の排水路１１に
注ぎ排水管A₂，B₂を経て外部に排出される。

上記構成に於て、本考案排水材は縦糸２…と環
状体３…とで構成される排水管本体１を３本不織
布状に絡みあつた縦糸２′…とシート４…とで連
結して多孔質のマツト状としたものであるから、
土中Ｓに於いてその水分との接触面積が大きく周
囲に多くの空隙が散在している為水の吸水効率が
極めて良く、また排水管本体１…は環状体３…と
縦糸２…とにより実質上肉厚の排水管とされて充
分な耐土圧強度を有する上に、それが互いに３本
上記の如く連結されているから、このような排水
管本体１を単独で３本並設する場合に比べて耐土
圧強度が倍加されることになる。一方本排水材１
０はそれが合成樹脂で製せられていることと上記
構成から、長手方向の撓み性を保有している為第
５図ロの如きトンネル背面の曲面にも密接的に添
設することが出来るという特筆すべき効果をも有
するものである。加えて、合成樹脂で製せられる
ものであるから軽量で且つ安価であるという実効
も併せもつものである。

尚、図では排水管本体１…が３本並列に連結さ
れたものを示すが、２本もしくは４本で構成され
る排水材も好ましく採用される。耐土圧強度、排
水性及び運搬作業性を考慮すれば３本が最も適当
である。またシート４は同質の網体であつても良
くこれらは適宜採択されるものである。更に、排
水管本体１の内面に於て別の数本の縦糸により上
記環状体３…を互いに橋絡することも補強という
意味で効果的である。

叙述の如く、本考案土木用面排水材は合成樹脂
製の安価で軽量であるという特性を生かし優れた
排水性及び耐土圧強度を保有せしめ加えて撓み性
をも有するものであるから、擁護壁やトンネルの
裏込め排水工及び背面背水工等の土圧のかかる場
所における土木施工にとつて極めて有用な排水材
と云える。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の代表的な実施例の部分斜視
図、第２図は第１図−線断面図、第３図は第
２図の−線部分断面図、第４図は第２図の
−線部断面図、第５図イ，ロは本考案排水材の
使用状態を示す部分縦断面図である。 符号の説明、１…排水管本体、２，２′…縦
糸、３…環状体、４…シートもしくは網体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 起伏摺曲した多数本の合成樹脂の波状縦糸を複
   数個の合成樹脂の環状体の外周に融着させ、該環
   状体を軸芯方向間隔毎に連結し且つ該環状体の周
   囲を囲繞して排水管本体とすると共に、該排水管
   本体の複数本を並列にして合成樹脂シートもしく
   は網体により上記隣接関係の排水管本体を互いに
   間隔おきに連結し、該排水管本体とシートもしく
   は網体との空域に多数本の上記縦糸を空隙を有す
   るように填装し且つ該縦糸を上記排水管本体及び
   シートもしくは網体に部分的に融着せしめたこと
   を特徴とする土木用面排水材。