JPS6219508Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自転車用キヤリパーブレーキ装置に
係り、より具体的にはサイドプル式キヤリパーブ
レーキ装置に、左右一対のブレーキシユとリムと
の所謂ブレーキ巾が常に適正値となる姿勢修正手
段を付帯せしめ、かつ、この修正手段の操作が簡
便であると共に、ボーデンケーブルでは不可避で
ある操作伝達力の不均衡があつても同時に制動作
用を発揮できるべく改善した新しいブレーキ装置
の提供に関する。

車輪のリムに接離するブレーキシユを備えた一
対のブレーキアームを例えばハンドルポストの肩
部に取付けボルトで支持し、各アーチを互いに離
反方向に付勢したブレーキバネを設け、ハンドル
に具備したブレーキレバーの操作力をブレーキバ
ネに抗してボーデンケーブルを通じて一側方から
伝達すべくした自転車用キヤリパーブレーキ装置
は所謂サイドプル方式として既知である。

ところで、この型式のブレーキ装置において、
ブレーキシユの摩耗とかタイヤパンク等によつて
要するにブレーキアームとリムとの相対位置関係
を一時的に変更し、その後、適正姿勢に組付ける
ことがブレーキバネの保持体がボルト上に固定で
あつたため非常に困難で、永年の経験と高度な技
術を必要とするばかりかその交換も非常に面倒な
作業となつている。

特に、競争用自転車において、タイヤパンクが
生じたとき、これを交換するには一刻も早い作業
が要求されるが、これを交換した後にリムとブレ
ーキシユのセンタリングが適正でない場合には重
大な事故を誘発することになる。

そこで、前記ブレーキバネ保持体を固定軸廻り
に相対回転自在として套嵌すれば、ブレーキバネ
自体は拘束されずに独自に回動でき、これはブレ
ーキ操作手段の制動方向への操作で、ブレーキシ
ユを適正位置に復帰可能となるが、斯様に構成し
てもインナーワイヤとアウターワイヤからなるボ
ーデンケーブルの操作伝達力が不均衡となる場合
には実質的に無意味となる。

今、仮りに、インナーワイヤよりもアウターワ
イヤが強力に操作伝達力を伝達すると想定すれ
ば、アウターワイヤに対応する第２アームが一方
的に制動動作し、このさいブレーキバネはこれを
制御すべく支持されていないので他方の第１アー
ムは残り勝ちとなり、ここに一方のブレーキシユ
が片へりしたり、或いは走行に支障が生じるのは
勿論のこと各ブレーキアームのセンタリングが困
難になる。この傾向はボーデンケーブルが屈曲部
を以つてブレーキレバーとブレーキ手段とを連繋
しなければならない自転車用後車輪ブレーキ用で
は特に問題となる。

本考案は前記実状に鑑み案出されたもので、構
造簡単で軽快かつ正確にブレーキ調整を可能とし
たものであり、その特徴とするところは、車輪と
かご荷台Ａ間に配置され、車輪のリム８に接離す
るブレーキシユ３，６を備えた第１アーム１と第
２アーム４とを車体側に取付けた固定軸７廻りに
それぞれ揺動自在に保持し、かつ、各アーム１，
４を互いに離反方向に付勢したブレーキバネ１９
を備え、前記アーム１の一方にアウターワイヤ１
６が、他方のアーム４にインナーワイヤ１７がそ
れぞれ連繋されたキヤリパーブレーキ装置におい
て、前記固定軸７の軸長中間部にセパレータ鍔部
２７を固設し、該セパレータ鍔部２７より前半部
の固定軸７上に前記第１アーム１と第２アーム４
を重ね合せて保持し、該アーム１，４とセパレー
タ鍔部２７との間の固定軸７前半部にバネ保持体
２１を相対回転自在に套嵌保持するとともに、該
バネ保持体２１にアーチ状を呈したブレーキバネ
１９のアーチ中央部が保持され、該ブレーキバネ
１９のアーチ両端が第１アーム１と第２アーム４
にそれぞれ係合されて各アーム１，４を互いに離
反方向に付勢しており、更に、前記セパレータ鍔
部２７より後半部の固定軸７上に調整具保持体２
５を軸廻りに不動に套嵌し、該套嵌部より一側方
に張り出た調整具保持体２５には高さ方向に長い
ガイド部２６を設け、このガイド部２６に外周面
円形の係合部３０が摺動回動自在に係合された調
整具２８を設け、該調整具２８に穿設したねじ孔
２９に前記調整具保持体２５に担持された調整子
３１を螺合するとともに、前記バネ保持体２１の
一側部より調整具２８に向つて延設したアームの
延設端部に球接手部３５を形成し、該球接手部３
５を調整具２８の内側面に形成した球接手部３５
に係合した点にある。

以下、図面を参照して本考案の実施例を詳述す
る。

第１図乃至第３図において、１は小アーチ又は
Ｙ字アーチと呼ばれる第１ブレーキアームで、そ
の一端にホルダ２を介してブレーキシユ３を有す
る。４は大アーチ又はＣ字アーチと呼ばれる第２
ブレーキアームで、その一端にホルダ５を介して
ブレーキシユ６を有する。

第１ブレーキアーム１の他端と第２ブレーキア
ーム４の中途は互いに重ね合わされてブレーキ装
置を車体に取付けるための固定軸７に該軸廻りに
揺動自在に保持されるが、本実施例では固定軸７
の軸長中間部に一体成形したセパレータ鍔部２７
よりも前半部の固定軸７上に保持されている。

このさい、各ブレーキシユ３，６が車輪のリム
８に対応すべく配置される。なお、各ブレーキシ
ユ３，６は耐摩耗性ゴムをブロツクとしたもの
で、第２図に示すガイド孔１０の範囲でボルト９
を弛めると車輪の半径方向に調整自在である。

また、第１ブレーキアーム１はその中途に張出
しアーム１１を有し、該アーム１１の先端にアウ
ターホルダ１２を螺合するためのコネクタ１３が
取付けてある。

アウターホルダ１２は筒軸で、コネクタ１３に
螺合されており、１４がホルダ１２に套嵌した螺
子調整体である。また、第２ブレーキアーム４の
他端にはインナーワイヤのためのコネクタ１５が
取付けてある。

アウターワイヤ１６とインナーワイヤ１７とか
ら成るボーデンケーブル１８のアウターワイヤ１
６がアウターホルダ１２に装着され、インナーワ
イヤ１７はアウターホルダ１２を貫挿してコネク
タ１５で結合されている。

１９はブレーキバネで、全体形状はアーチ形を
呈し、そのアーチ両肩部に巻回部２０の一対を有
して弾発性を助長している。２１はバネ保持体
で、第４，５図で示すように半径方向の保持部２
２を有する筒形で、固定軸７に対してその軸心廻
りに相対回転自在として套嵌されるが、本実施例
ではセパレータ鍔部２７と第１ブレーキアーム１
との間の固定軸７前半部に套嵌されている。

このさい、図外のブシユその他の軸受体を固定
軸７に套嵌せしめ、この軸受体上に保持体２１を
套嵌して保持体２１の回動摩擦力を軽減した方が
望ましい。

前記ブレーキバネ１９のアーチ中央部が保持体
２１の保持部２２に係合され、バネ１９のアーチ
各端部１９ａ，１９ｂが固定軸７に関して対象に
延びて第１アーム１と第２アーム４の各裏面に形
成した突起２３，２４に対して内側より係合し
て、ここにブレーキシユ３，６を互いに離反する
方向に付勢している。

２５はガイド部２６を有する調整具保持体で、
固定軸７に固設又は一体形成したセパレータ鍔部
２７よりも後半部の固定軸７上に套嵌されてい
る。

調整具保持体２５は固定軸７の軸心廻りに不動
とされるが、この一例として第５図に示す如く固
定軸７に軸長手方向にわたり平坦面７Ａを形成
し、一方、保持体２５の取付け孔２５Ａに前記平
坦面７Ａに係合する部分を形成して、固定軸７の
軸廻りに調整具保持体２５を不動に係合して成
る。

この装着体勢のとき、前ブレーキ装置の上方に
はかご荷台Ａ、この支えＢがあることからこれら
に支障ないように一側方に偏在されている。な
お、この調整具保持体２５は第２図で示すように
側立チヤンネル形で、そのウエブに高さ方向に長
いガイド部２６を有する。２８は調整具で、ブロ
ツク形とされそのブロツク部にねじ孔２９が貫通
されている。

調整具２８は調整具保持体２５の張出部に高さ
方向に長く穿設したガイド部２６に沿つて摺動す
るとともに相対回動するが、このため、ガイド部
２６に対する外周面円形の係合部３０を有する
（第４図参照）。３１は摘み３２とねじ杆３３とか
ら成る調整子で、その摘み３２が調整具保持体２
５のフランジに担持され、かつ、ねじ杆３３が調
整具２８のねじ孔２９に螺合され、ねじ杆３３の
端部は調整具保持体２５の他のフランジに支持さ
れている。調節子３１の摘み３２を第４図の軸心
廻りに正逆転させると、調整具２８がガイド部２
６に係合部３０が係合していることから上下直線
的にねじ送りされるが、この調整具２８の上下ね
じ送りをバネ保持体２１に対して関連させてい
る。このため、図では第４，５図に示す如く、バ
ネ保持体２１の一側部よりアームを延設せしめそ
の延設端に凸形の球接手３５を形成し、一方、調
整具２８の内面に凹形の球接手３５を形成し、両
者を固定軸７より一側方に離れた位置で球接手係
合しているのである。

その他、図において、３７は摩擦座金で、６−
ナイロン樹脂等からなり、第１アーム１の付根部
とバネ保持体２１との間に介装されている。３８
は座金で、第１アーム１と第２アーム４との重な
り部間に介装されている。３９は２枚の座金と２
個のナツトから成る螺合組合体で、固定軸７のネ
ジ部７ａに螺合される。４０は一対のホルダで、
後ブレーキのときには後ホークを、前ブレーキの
ときには前ホークをそれぞれ挟持し、固定軸７の
他のネジ部７ｂにナツト４１を螺合して、ここに
固定軸７が車体に取付けられる。

上記本考案の実施例において、ブレーキシユ
３，６とリム８とのブレーキ巾Ｌは通常は２ｍ／
ｍ程度が適正とされているのであるが、第１図で
実線体勢のように各シユ３，６とリム８の間隔に
差があるような組付け体勢であると、ボーデンケ
ーブル１８のインナーワイヤ１７を牽引して制動
体勢にすれば、当然のことながら間隔が小さい方
が先にリム８に接当し、ここに所謂好ましくない
片ブレーキが作用される。斯様なときに本考案で
はインナーワイヤ１７を最大限、つまり、シユ
３，６の間隔に差があつたとしても各シユ３，６
がリム８に接触するまで強く牽引して後、その牽
引力を解除すれば、ブレーキバネ保持体２１が固
定軸７に対して相対回転自在であるし、かつ、こ
れに保持されたブレーキバネ１９が第１と第２の
アーム１，４に対して均等な復元力を付与可能と
されていることから、リム８に接触後にこれより
シユ３，６が均等巾だけ離反するのであり、ここ
に第１図に鎖線で示す如くブレーキ装置がリム８
に対して適正に姿勢修正されるのである。

この際、ボーデンケーブル１８に曲線道程１８
ａがある場合には、インナーワイヤ１７よりもア
ウターワイヤ１６が強力に操作伝達力を伝達する
傾向となり、アウターワイヤ１６に対応する第１
アーム１が一方的に制動動作され、このさい、ブ
レーキバネ１９はこれを制御すべく支持されてい
ないことに基づき、第２アーム４は残り勝ちとな
り、ここにブレーキを制動方向に操作して後、こ
れを解除したとしても適正なセンタリングを約束
できない場合がある。また、インナーワイヤ１７
の伝達力が大でアウターワイヤ１６の伝達力が小
な場合には逆となつて矢張りセンタリングが適正
にできない場合がある。斯様なことはそのセンタ
リングの調整代が微細であることから、その調整
も別途の手段で微細に施す必要がある。

斯様なとき、本実施例では調整子３１の摘み３
２をその軸心廻りに正逆回転させると、ねじ杆３
３が調整具２８に螺合されているので、調整具２
８が上下いづれかのねじ送り作用を受ける。この
調整具２８とブレーキバネ保持体２１とが球接手
３６にて係合していることから、ここに調整子３
１のねじ送り力で、保持体２１が固定軸７廻りに
揺動し、これにてブレーキバネ１９に伝播されて
微調整がなされるのである。

即ち、調整子３１の正逆回転で調整具２８が上
下動し、球接手３６を介してバネ保持体２１を固
定軸７上で上下揺動するのであるが、このとき、
球接手３５の角変位に伴い調整子３１の操作重さ
に軽重が起り、作動の不確実さをなくすため、調
整具２８は円形係合部３０によつて保持体２５と
相対回転するとともに上下動案内されるのであ
り、ここに、調整子３１と調整具２８の相対的角
変位はなく軽快に調整できるのであり、球接手３
５の球面接手力は充分に確保しながらバネ保持体
２１を固定軸７上で確実に上下揺動してセンタリ
ングをできるのである。

また、バネ保持体２１よりアームを延設し該ア
ームの延設端に球接手３５を形成し、調整具２８
の内面に形成の球接手３５に球接手係合している
ことから調整子３１のネジ送りとアーム長とによ
り軽快でかつ軽い操作力で操作可能となる。ま
た、この微調整は調整子３１を左右一対設けて、
各アーム１，４にねじ送り力を作用させても実施
できるが、これではアーム１，４に傷付きを生じ
る他、ブレーキバネ１９自身のバラツキを修正で
きないが、前述のように、調整子３１のねじ送り
を調整具２８を介してブレーキバネ保持体２１自
体に作用させることによつてアーム１，４の傷付
きはないし、バネ１９のバラツキも修正できるの
である。

また、バネ１９の巻回部２０に挿支係合する係
合体を調整具２８に設けてもその微調整はできる
が、これでは巻回部２０が拡縮することから不利
であり、この点、球接手３５による円滑な伝達手
段を介してバネ保持体２１に作用させている点で
有利となるし、調整子３１が固定軸７の側方に偏
在していることから、その手動操作も支障なくで
きる。

また、調整具保持体２５とバネ保持体２１が固
定軸７上のセパレータ鍔部２７により前半部と後
半部に振り分けてあることから、調整具保持体２
５、調整具２８とブレーキバネ１９の相互接触を
さけることができ、作動不調をきたすことがない
のである。

また調整子３１が固定軸７の一側方に偏在して
いることから、かご荷台Ａがあつても支障ない
し、特に、固定軸７に対し、調整具保持体２５が
相対回動不動に套嵌され、該調整具保持体２５に
調整子３１が装着されているため、調整子３１の
位置が移動せず、従つて定位置で調整作業が行な
え、調整時におけるかご荷台Ａ側との干渉が防止
でき、操作性がよい。

本考案は、以上の通りであつて、固定軸上に軸
廻り不動に套嵌した調整具保持体には一側方に張
り出た位置に高さ方向に長いガイド部が設けら
れ、このガイド部に摺動回動自在に係合の調整具
のねじ孔に調整具保持体に担持の調整子を螺合さ
せ、固定軸に相対回転自在のバネ保持体の一側方
より延設のアーム先端の球接手の調整具内面に形
成の球接手に接接手係合しているので、調整子の
正逆転で調整具はこじれることなく正確に上下動
され、これに伴いアームを介してバネ保持体が揺
動され、ここにねじ送りとアーム長により小さな
操作力でもつてブレーキ調整が可能で、操作力の
軽重がない利点がある。

また、調整具保持体とバネ保持体が固定軸上の
セパレータ鍔部により前半部と後半部に振り分け
て設けてあることから、調整具保持体、調整具と
ブレーキバネの相互接触をさけることができ、作
動不調をきたすことがないし、調整操作も容易と
なる。

また、特に、固定軸に対し、調整具保持体が相
対回動不動に套嵌され、該調整具保持体に調整子
が装着されているため、調整子の位置が移動せ
ず、従つて定位置で調整作業が行なえ、調整時に
おけるかご荷台側との干渉が防止でき、操作性が
よい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るブレーキ装置一例の背面
図、第２図は側面図、第３図は側断立面図、第４
図は第２図４−４線の拡大断面図、第５図は分解
斜視図である。 １……第１ブレーキアーム、４……第２ブレー
キアーム、３，６……ブレーキシユ、７……固定
軸、８……リム、１６……アウターワイヤ、１７
……インナーワイヤ、１８……ボーデンケーブ
ル、１９……ブレーキバネ、２１……ブレーキバ
ネ保持体、２５……調整具保持体、２６……ガイ
ド部、２８……調整具、２９……ねじ孔、３１…
…調整子、３３……調整ネジ杆、３６……球接
手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪とかご荷台Ａ間に配置され、車輪のリム８
   に接離するブレーキシユ３，６を備えた第１アー
   ム１と第２アーム４とを車体側に取付けた固定軸
   ７廻りにそれぞれ揺動自在に保持し、かつ、各ア
   ーム１，４を互いに離反方向に付勢したブレーキ
   バネ１９を備え、前記アーム１の一方にアウター
   ワイヤ１６が、他方のアーム４にインナーワイヤ
   １７がそれぞれ連繋されたキヤリパーブレーキ装
   置において、前記固定軸７の軸長中間部にセパレ
   ータ鍔部２７を固設し、該セパレータ鍔部２７よ
   り前半部の固定軸７上に前記第１アーム１と第２
   アーム４を重ね合せて保持し、該アーム１，４と
   セパレータ鍔部２７との間の固定軸７前半部にバ
   ネ保持体２１を相対回転自在に套嵌保持するとと
   もに、該バネ保持体２１にアーチ状を呈したブレ
   ーキバネ１９のアーチ中央部が保持され、該ブレ
   ーキバネ１９のアーチ両端が第１アーム１と第２
   アーム４にそれぞれ係合されて各アーム１，４を
   互いに離反方向に付勢しており、更に、前記セパ
   レータ鍔部２７より後半部の固定軸７上に調整具
   保持体２５を軸廻りに不動に套嵌し、該套嵌部よ
   り一側方に張り出た調整具保持体２５には高さ方
   向に長いガイド部２６を設け、このガイド部２６
   に外周面円形の係合部３０が摺動回動自在に係合
   された調整具２８を設け、該調整具２８に穿設し
   たねじ孔２９に前記調整具保持体２５に担持され
   た調整子３１を螺合するとともに、前記バネ保持
   体２１の一側部より調整具２８に向つて延設した
   アームの延設端部に球接手部３５を形成し、該球
   接手部３５を調整具２８の内側面に形成した球接
   手部３５に係合したことを特徴とする自転車用サ
   イドプル式キヤリパーブレーキ装置。