JPS6219222B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動塗装装置に関し、更に詳細には
例えば自動車の車体の側面を自動的に塗装する自
動塗装装置に関する。

従来から、搬送されてきた車体の側面に沿つて
上下に湾曲して延びる弓形ガイドレール、および
この弓形ガイドレールに案内されて上下動しなが
ら車体の側面を塗装する塗装ガンを有する自動塗
装装置は知られている。しかしながら、この従来
の自動塗装装置においては、ガイドレールが固定
設置されており、塗装ガンと車体側面の間の距離
の調整ができないため、側面の形状が異なる車体
が多車種混合で搬送されてくると、塗装ガンと車
体側面との距離がまちまちになり、距離の近い部
分には塗料が多く吹きつけられ、距離の離れた部
分には塗料が少ししか吹き付けられなくなる。こ
のため、塗装膜厚の部分的違いが生じ、品質に悪
影響をもたらすという問題があつた。

そこで、特公昭−37369号においては、往復摺
動機構のガイドレールの一部の曲率を変化させ
て、被処理物の曲率変化に応ずるようにした沿面
塗装処理機構を提案している。ところが、この沿
面塗装処理機構においては、上記ガイドレールの
一部の曲率を変化させるためにボルトおよびナツ
トを用いており、側面の形状が異なる被処理物を
塗装するごとにナツトを調整しなければならず面
倒である。また、塗装吹付ガンを被処理物の側面
に沿つて平行移動させているので、この平行移動
中のほとんどの位置において、この塗装吹付ガン
が被処理物の曲面に対して直角にはならず、従つ
て塗料が被処理物の曲面に対して直角方向からは
吹き付けられず、このため塗料の被処理物の表面
への付着率が悪くなるとともに塗装ムラが生じる
という欠点があつた。

本発明は、上記従来の塗装装置の欠点に鑑み、
簡単な構造で上記塗装ガンの車体側面からの距離
を自動的に調整して車体の側面形状に関係なく要
求される塗膜を良好に得ることができる自動塗装
装置を提供することを目的とするものである。

本発明は、車体の側面に沿つて上下に湾曲して
延びる弓形ガイドレールに案内されて上下動しな
がら車体の側面を塗装する塗装ガンを有する自動
塗装装置において、前記ガイドレールの上下端部
を支持枠によつて支持し、この支持枠を駆動機構
によつて動かして、前記ガイドレールを車体の側
面に対して近接あるいは離間させる方向に傾動さ
せるようにしたことを特徴とするものである。

以上の構造の本発明の自動塗装装置において
は、支持枠に支持されたガイドレールを、上記駆
動機構によつて車体の側面に対して近接あるいは
離間させる方向に傾動させることができるように
したので、種々の車種の車体側面にガイドレール
をほぼ沿わせることができ、従つて塗装ガンがガ
イドレールに案内されて上下動する間、この塗装
ガンの先端と車体側面との距離がほぼ一定となる
とともに、車体側面の塗装面に対してほぼ直角方
向から塗料を吹き付けることができるので、車体
の側面を均一厚で塗装することができる。なお、
上記駆動機構を用いて、ガイドレール下部のみを
他の部分に比して車体側面に近接させるようにす
れば、車体下部のみを厚く塗装でき、耐チツピン
グ性に優れた塗装行なうことができる。

次に添付図面を参照しつつ本発明の好ましい実
施例による自動塗装装置について説明する。

添付図面は、本発明を車体の側面塗装に適用し
た場合の実施例を示す図である。

自動塗装装置は、車体Ａが搬送されるラインの
側方に配置されたガイドレール２を有している。
このガイドレール２は、車体Ａの側面に沿つて上
下に湾曲して延びる弓形をなしており、上下端に
おいて支持枠３に支持されている。この支持枠３
の上下端には、支持部材３２および３３が固定さ
れている。この支持部材３２および３３の先端部
３２ａおよび３３ａにはねじが形成されており、
支持部材３２および３３は、その先端部３２ａお
よび３３ａを、第３図（一方の支持部材３３のみ
図示する）に示すように、ブロツク状部材４およ
び５にそれぞれ挿入しさらにその先端部にナツト
螺合してブロツク状部材４および５に回動自在に
支持されている。このブロツク状部材４および５
には、機枠６に固定されたガイドロツド３４およ
び３５が嵌挿されており、ブロツク状部材４およ
び５はガイドロツド３４および３５に移動自在に
取付けられている。また、ブロツク状部材４およ
び５には機枠６に固定された駆動シリンダ装置７
および８がそれぞれ作動的に連結されている。上
記ブロツク状部材４に形成された支持部材３２の
先端部３２ａの挿入孔３６は支持枠３の傾動時に
支持部材３２が該挿入孔３６内で上下動可能に上
下方向の長孔に形成されている。

駆動シリンダ装置７と８それ自体の構造、およ
び駆動シリンダ装置７とブロツク状部材４との接
続構造と、駆動シリンダ装置８とブロツク状部材
５との接続構造とは、それぞれほぼ同じ構造であ
るので、以下の説明においては、駆動シリンダ装
置８自体の構造、およびこの駆動シリンダ装置８
とブロツク状部材５との接続構造のみを説明す
る。

駆動シリンダ装置８は、第３図に詳細に示され
ているように、シリンダ８ａ、このシリンダ８ａ
内に摺動自在に嵌合されたピストン（図示せ
ず）、およびこのピストンに一端が固定され、そ
こから車体Ａの方向に、上記シリンダを貫通して
延びるピストンロツド８ｂからなつている。

ピストンロツド８ｂの先端には、このピストン
ロツドに対して直角方向に延びるピン部材８ｃが
設けられている。このピン部材８ｃは、上記ブロ
ツク状部材５に形成されたねじ孔５ａに螺合され
ている。この構造は、上方の駆動シリンダ装置７
およびブロツク状部材４についても同様である。
従つて、シリンダ装置７および８の双方または一
方を作動させることにより、ブロツク状部材４お
よび５の双方または一方がガイドロツド３４およ
び３５に案内されて車体Ａの側面に向つて移動
し、これに連れて支持部材３２および３３も移動
して支持枠３を車体Ａに対して横動あるいは傾動
させることができるようになつている。

上記ブロツク状部材４および５には、種々の車
種の車体側面形状に応じてシリンダ装置７および
８による支持枠３の上下端部の移動量を調整する
ストローク調整部材９および１０がそれぞれ設け
られている。このストローク調整部材９および１
０は、上記ブロツク状部材４，５に植設され、シ
リンダ装置７，８の伸縮方向に延び、外周にネジ
が切られたロツド１１，１２を有している。この
ロツド１１，１２は、機枠６に固定されたストツ
パ１３，１４に形成した開口１４ａ（ストツパ１
３に形成した開口は図示せず）を貫通して延び、
このロツド１１，１２のストツパ１３，１４の両
側にはナツト１５ａ，１５ｂおよび１６ａ，１６
ｂがそれぞれ螺合している。ストローク調整部材
９は、ナツト１５ａによつて支持枠３の上端の後
退位置すなわち車体Ａから離れた位置を規定し、
ナツト１５ｂによつて支持枠３の上端の前進位置
すなわち車体Ａに近接した位置を規定するように
なつている。一方ストローク調整部材１０は、ナ
ツト１６ａによつて支持枠３の下端の後退位置を
規定し、ナツト１６ｂによつて支持枠３の下端の
前進位置を規定するようになつている。従つて、
ストローク調整部材９，１０のこれらナツト１５
ａ，１５ｂ，１６ａ，１６ｂのロツド１１，１２
上の位置を適宜設定することにより、上記駆動シ
リンダ装置７，８の伸張量あるいは収縮量を適宜
規定し、支持枠３ひいてはガイドレール２の車体
２に対する配置を種々設定することができる。

ガイドレール２には、摺動部材１７が該ガイド
レール２の前後左右をローラ１７ａで挾んだ状態
で摺動自在に装着されている。この摺動部材１７
の車体Ａとは反対側の面には、弓形のガイドレー
ル２を含む面内において揺動可能に摺動ロツド１
７ｂが取り付けられている。この摺動ロツド１７
ｂ上には、移動部材１７ｃが摺動自在に装着され
ており、この移動部材１７ｃには、摺動部材１７
をガイドレール２に沿つて移動させるため、機枠
６の上下に張り渡された駆動チエーン（図示せ
ず）がその一部において取り付けられている。以
上の構造によつて、移動部材１７ｃを上記駆動チ
エーンによつて垂直方向に上下動させるだけで、
上記摺動部材１７を弓形ガイドレール２に沿つて
上下方向に弧を描いて移動させることができる。
上記摺動部材１７には、塗装ガン１８が車体Ａの
方に向いた状態で取り付けられている。この塗装
ガン１８は、通常状態においては上記摺動部材１
７と一体になつてガイドレール２に沿つて移動す
るようになつており、従つてこの塗装ガン１８
は、ガイドレール１７に沿つて移動する間、水平
に対する角度状態をわずかづつ変え、車体Ａの湾
曲した側面に対して常に直角方向を向くようにな
つている。このため、塗装ガン１８は、あらゆる
位置においても車体Ａの側面に対して塗料を直角
方向から吹き付けることができるので、塗料の車
体Ａの側面への付着率が良好なものとなる。

以上のような構造によれば車種が変更されて車
体側面の上側が大きく傾斜したものが搬送されて
きた際には、駆動シリンダ装置７のみが伸張して
ブロツク状部材４がガイドロツド３４に案内され
ながら移動し、支持部材３２を介して支持枠３の
上端部が車体の側面と近接する方向に移動してガ
イドレール２が傾動して、このガイドレール２は
車体の側面にほぼ沿うようになる。一方、車体側
面の下側が大きく傾斜したものが搬送されてきた
際には、駆動シリンダ装置８のみが伸張してブロ
ツク状部材５がガイドロツド３５に案内されなが
ら移動し、支持部材３３を介して支持枠３の下端
部が車体の側面と近接する方向に移動してガイド
レール２が傾動し、このガイドレール２は車体の
側面にほぼ沿うようになる。また、塗装ガン１８
と搬送されてきた車体の側面との距離が離れてい
る際には駆動シリンダ装置７および８の双方が伸
張して支持枠３全体が車体の側面と近接する方向
に横動し、ガイドレール２を車体Ａの側面にほぼ
沿うようにすることができる。かくしてガイドレ
ール２は、塗装ガン１８を、車体Ａの側面との距
離が常にほぼ一定の状態でしかも、塗装面に直角
方向から塗装できるように案内することができ、
その結果均一な塗膜厚さが得られる塗装が可能と
なる。

また車体Ａ側面の下側を厚く塗装するような場
合でも駆動シリンダ装置８を伸張させれば、ガイ
ドレール２の下端部を車体Ａの側面に近接させる
ことができる。

以上説明したように、上記構造によれば、変更
された車種の車体についても均一な塗膜厚さが得
られる塗装が可能となるが、上記したように車種
が変更された際等においては、色彩も変化する場
合があり、この場合には塗装ガン１８を一旦洗浄
してから用いる必要がある。この洗浄の際、塗装
ガン１８内に残留する前の塗料をこの塗装ガン１
８から吐出させるときや、この塗装ガン１８を洗
浄液で洗浄するとき、この塗装や洗浄液が車体Ａ
に付着しないようにするため、塗装ガン１８を第
１図に想像線で示すように、ガイドレール２の下
部に下向きに配置する必要がある。このため、摺
動部材１７等の構造は、下記するような構造とす
ることが望ましい。

次に上記摺動部材１７の構造を第４図を参照し
て詳細に説明する。

摺動部材１７は、上記したようにガイドレール
２の前後左右をローラ１７ａで挾んだ状態で、該
ガイドレール２上に摺動自在に装着されている。
この摺動部材１７には、ガイドレール２の横方向
であつて車体Ａの前後方向に延びるピン部材１９
が、ビス２０によつて固定されている。このピン
部材１９上には、塗装ガン支持体２１が、その基
部２１ａにおいてベアリング２２によつて該ピン
部材１９のまわりに回転可能に装着されている。
上記塗装ガン１８は、このガン支持体２１の先端
部分２１ｂ上に取付部分２３によつて固着されて
いる。

塗装ガン支持体２１の基部２１ａには、レバー
２４が固定されており、このレバー２４は、後に
説明する目的のため、第１突部２４ａおよび第２
突部２４ｂを備えている。塗装ガン支持体２１
は、その基部２１ａのまわりに配されたコイルバ
ネ２５によつて第１図において時計方向に付勢さ
れている。摺動部材１７には、塗装ガン支持体２
１に平行な状態でストツパピン２６が植設されて
おり、上記レバー２４の第２突部２４ｂがこのス
トツパピン２６に衝当することによつて、塗装ガ
ン支持体２１および塗装ガン１８は、第１図に示
された位置に維持されている。従つて、塗装ガン
支持体２１および塗装ガン１８は、第１図におい
て時計方向にはこれ以上回動することができない
が、反時計方向にはレバー２４の第１突部２４ａ
を操作することによつてコイルバネ２５の力に抗
して回動できるようになつている。

支持枠３の垂直部材３ａの下部には、該垂直部
材３ａと平行に第５図に示されているような案内
ロツド２７が設けられているとともに、レバー２
８が、その上端２８ａにおいて枢軸２８ｃのまわ
りに回動可能に枢着されている。上記案内ロツド
２７上には、摺動体２９が摺動自在に装着されて
いる。この摺動体２９とレバー２８の下方部分２
８ｂの間には、レバー３０が接続されて、スライ
ダクランク機構を構成している。支持枠３の上部
部材３ｂには、シリンダ装置３１が吊り下げられ
た状態で装着されており、このシリンダ装置３１
のピストンロツド３１ａの下端は、上記摺動体２
９に取り付けられている。

以上の構成において、シリンダ装置３１が作動
して収縮すると、ピストンロツド３１ａが上昇し
て、摺動体２９を上昇させる。すると、レバー３
０の摺動体２９に枢着された端部も上昇し、その
結果レバー３０は、レバー２８を、第１図に想像
線で示すように、その下方部分２８ｂがガイドレ
ール２に比較的近接した位置となるまで、第１図
において時計方向に揺動させる。レバー２８は、
この位置においてカムとしての作用をなすもので
ある。この作動レバー２８は摺動部材１７がガイ
ドレール２に沿つて下降してガイドレール２の下
部で停止するとシリンダ装置３１で時計方向に揺
動され、塗装ガン支持体２１に固着されたレバー
２４の第１突部２４ａの先端に接触して、上記第
１突部２４ａひいては塗装ガン支持体２１をコイ
ルバネ２５の作用に抗して、塗装ガン１８が第１
図に想像線で示された配置すなわち下向きの配置
となるまで、反時計方向に回動させる。塗装ガン
１８の洗浄は、該塗装ガン１８が上記想像線で示
された状態で行なわれる。従つて、この洗浄の際
に、洗浄液や塗料が車体Ａに付着することなく、
良好な状態で洗浄を行なうことができる。

なお、上記した実施例においては、支持枠３の
上下端を移動させる手段としてシリンダ装置を用
いるものについて説明したが、この手段として
は、これに限られるものでなく例えばモータ駆動
のラツク・ピニオン式のものあるいはウオーム式
のもの等であつてもよく、この場合には、支持枠
３の上下端の移動量を自動的に変えられる利点が
ある。

また、上記実施例では支持枠３の上下端部に駆
動シリンダ装置７および８を設けていたが、必ず
しも支持枠３の上下端部に設ける必要はなく、例
えば支持枠３の上下端部の一方を回動自在に支持
して支持枠３の中央部付近に一個の駆動手段を設
けるようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例による自動塗装装置
の正面図、第２図は、第１図に示した自動塗装装
置の側面図、第３図は、第１図の線Ａ―Ａに沿う
断面図、第４図は、第１図の自動塗装装置の摺動
部材を拡大して示す一部断面図、第５図は、第２
図の線Ｂ―Ｂに沿う断面図である。 Ａ…車体、１…自動塗装装置、２…ガイドレー
ル、３…支持枠、７，８…駆動シリンダ装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体の側面に沿つて上下に湾曲して延びる弓
   形ガイドレールに案内されて上下動しながら車体
   の側面を塗装する塗装ガンを有する自動塗装装置
   において、前記ガイドレール上下端部を支持する
   支持枠、およびこの支持枠を動かして、前記ガイ
   ドレールを車体の側面に対して近接あるいは離間
   させる方向に傾動させる駆動機構を設けたことを
   特徴とする自動塗装装置。 ２ 前記駆動機構が前記支持枠の上下端部にそれ
   ぞれ設けられていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の自動塗装装置。