JPS621880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、分草収集したトウモロコシの立毛茎
稈等をその細断時に前方に倒伏させることなく略
直立状態のもとに細断状に切断し、これを家畜飼
料として提供することができる飼料収穫機におけ
る倒伏茎稈の掻き上げ装置に関する。

従来、トウモロコシの立毛茎稈等を機体の進行
に伴ない左右一対の分草体間に形成された分草誘
導路内に分草しながら収集し、次いで、機体の進
行に伴ない前方に向け水平に倒伏した後、回転截
断体の切断刃により根部側より適当寸法に細断
し、これを家畜飼料として提供せしめる飼料収穫
機は本出願前例えば実公昭40−8107号公報に記載
されていて公知である。ところで、従前のこの種
飼料収穫機にあつては分草誘導路内に分草収集さ
れた立毛茎稈はその細断時にわざわざ上部案内板
により強制的に前方へ倒伏させた後細断していた
ので該茎稈はその細断時に必らず未収穫の立毛茎
稈側に倒伏される現象を起し、その結果、前方に
倒伏された茎稈は立毛茎稈に引かかつて機体の進
行により途中より折損されたり或は収穫機に異常
な抵抗が与えられたりさらには圃場へ直接倒伏さ
れた際には土等が多く付着して細断飼料中に土等
が混入する等の欠点が生ずる。

したがつて、茎稈の収穫時にあつては切断され
て倒伏した茎稈の先端側が未収穫の立毛茎稈にも
たれかかつたり或は圃場へ直接倒伏しないように
することが、茎稈を細断機に供給する能率向上と
優良な家畜飼料を得る上において誠に重要であ
る。

本考案は前記に鑑み、細断機と切断刃および一
対の供給ロールとを備えた収穫機本体の前部に分
草誘導路が形成されるように左右一対の分草体を
併設し、上記左右一対の分草体上には、周面に掻
き上げ螺旋体を巻装し、かつ下部周面に掻き込み
翼片を装着した左右一対の掻き上げ筒を上部が細
断機側に幾分傾斜するよう間隔をおいて回転自在
に軸架して、分草誘導路内において根部より切断
され、しかも一対の供給ロールの巻き込み供給作
動で前方に倒伏された茎稈の先端側が未収穫の茎
稈にもたれるように倒伏されたり或は圃場へ直接
倒伏されることなく回転する一対の掻き上げ筒に
より根部から切断された茎稈が常に略直立状態と
なるよう葉部側を上方に掻き上げて茎稈の折損事
故や異常な負荷抵抗の増大および細断飼料中への
土等の混入を皆無ならしめながら能率的な茎稈の
収穫作業を容易に達成させることができる飼料収
穫機における倒伏茎稈の掻き上げ装置を提供しよ
うとしたものであつて、以下に本考案装置の構成
を添附図面に示された好適な一実施例について説
明する。

図面において、１は前部に運転席２と原動機部
３とを備え、後方荷台４上に細断飼料を収容する
収容篭５を搭載した自走式の農作業車であつて、
該農作業車１の前部には油圧作動により自由に昇
降調節ができる連結装置６を介して収穫機７が装
着されている。前記収穫機７は水平状態のもとに
供給された茎稈を適当寸法に細断し、細断片は跳
ね上げ筒１０を介して収容篭５内へ投擲すること
ができる細断機９と細断機９の供給部前方位置に
互いに内方に向け回転できるように軸架された一
対の供給ロール１１，１１と、該一対の供給ロー
ル１１，１１の中間下部位置に設けられた切断刃
１２とからなり、これら細断機９、供給ロール１
１，１１および切断刃１２はともに油圧モータ１
３の動力で回転されるように本体８へそれぞれ装
着されている。

本体８の前部両側には左右一対の分草体１４，
１４が、該分草体１４，１４間に略直線状の分草
誘導路１５が形成せられるように装着されて、立
毛茎稈を円滑に分草誘導路１５内に誘導せしめ
る。上記左右一対の分草体１４，１４と収穫機７
の上方位置より前方に向け張出した取付座板１９
との間に、周面に茎稈の先端葉部を上方に掻き上
げるための螺旋体１７を巻装し、かつ下部周面に
は直立状態の未収穫茎稈を積極的に分草誘導路１
５内に掻き込むための弾性材からなる掻き込み翼
片１８を一個ないし複数個取外し自在に装着した
左右一対の掻き上げ筒１６，１６を上部が細断機
９側に幾分傾斜するよう間隔をおいて回転自在に
軸架せしめてある。したがつて、掻き込み翼片１
８の掻き込み作動で分草誘導路１５内に導入され
た茎稈は、根部を切断刃１２により切断され、し
かも根部が一対の供給ロール１１，１１により挟
まれながら細断機９の供給部に送られることで収
穫機７の進行方向側に向け水平状態に倒伏される
が、かかる水平状に倒伏された茎稈Ａの先端葉部
側は左右一対の掻き上げ筒１６，１６で順次上方
に立上がるよう掻き上げられて略直立状態に起立
させるために、左右一対の掻き上げ筒１６，１６
の基端側と一対の供給ロール１１，１１との間に
は茎稈の長さよりもやや短かい間隔が設けられて
いる。なお左右一対の掻き上げ筒１６，１６は葉
部が周面にからみつかない程度のドラム状に形成
せしめて油圧モータ１３の動力で互いに進行方向
に対し外側に向け回転せしめる。

次に本考案の作用について説明する。

今、前部に収穫機７を装着した農作業車１を、
トウモロコシ等の立毛茎稈に向け前進せしめれ
ば、立毛茎稈は農作業車１の進行にしたがい左右
一対の分草体１４，１４で仕切られ一部の茎稈が
分草誘導路１５内に誘導されると同時に油圧モー
タ１３の動力で回転される一対の掻き上げ筒１
６，１６の下部周面に装着された掻き込み翼片１
８，１８の掻き込み作用で順次一対の供給ロール
１１，１１側へ強制的に送られ、その根部を切断
刃１２で切断されると同時に一対の供給ロール１
１，１１に挟まれて細断機９の供給部に向け供給
される。したがつて、根部を供給ロール１１，１
１に挟まれながら細断機９に送り込まれる関係で
直立状態の茎稈は速かに収穫機７の進行方向側に
倒伏される。ところが倒伏された茎稈Ａの先端葉
部位置には一対の掻き上げ筒１６，１６が回転し
ているので倒伏茎稈Ａの根部側は掻き込み翼片１
８で受け止められた状態のもとで先端葉部は、螺
旋体１７，１７の回転により順次直立状態となる
よう上方に掻き上げられながら一対の供給ロール
１１，１１により引き込まれる。したがつて未収
穫の茎稈が収穫機７の進行に伴ない次々と分草誘
導路１５内に導入されても倒伏茎稈Ａの先端葉部
が未収穫茎稈側にもたれて折損されたり、或は過
度の負荷抵抗の増大ならびに圃場の土等が茎稈に
付着することなく円滑に細断機９に供給されて適
当寸法に細断され、跳ね上げ筒１０により次々と
収穫篭５内に投擲せられる。なお本考案によれば
最初から倒伏した茎稈も前記と同様の作用により
起立状態として細断させることが容易にできる。

要するに本考案は、細断機９と切断刃１２およ
び一対の供給ロール１１，１１とを備えた収穫機
７、本体８の前部に分草誘導路１５が形成される
ように左右一対の分草体１４，１４を併設し、上
記左右一対の分草体１４，１４上には周面に掻き
上げ螺旋体１７を巻装し、かつ下部周面に掻き込
み翼片１８を装着した左右一対の掻き上げ筒１
６，１６を上部が細断機９側に幾分傾斜するよう
間隔をおいて回転自在に軸架したから、収穫機７
の進行に伴ない左右一対の分草体１４，１４で仕
切られた立毛茎稈を掻き込み翼片１８，１８の掻
き込み作用で的確に分草誘導路１５内へ誘導し、
根部より速かに切断すると同時に一対の供給ロー
ル１１，１１により、その根部側を挟みながら順
次倒伏状態のもとに細断機９へ供給して、適当寸
法に細断し、これを家畜飼料として提供せしめる
ことができる許りか、根部より切断された茎稈が
一対の供給ロール１１，１１に挟まれて細断機９
に供給される際に、例え収穫機７の進行方向側に
向け倒伏されようとしても、該茎稈Ａの先端葉部
を回転する掻き込み翼片１８，１８で受け止めた
後、掻き上げ螺旋体１７，１７で円滑に上方に掻
き上げ略直立状に起立し、倒伏茎稈Ａが未収穫の
茎稈にもたれることで生ずる折損や収穫機７に与
えられる負荷抵抗の増大ならびに土等の付着を皆
無ならしめ、茎稈の収穫作業をより能率的に達成
させることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置の一実施例を示すものであつ
て、第１図は本考案装置を農作業車の前部に装着
した場合の一部切欠した作業状態の側面図、第２
図は平面図、第３図は一対の掻き上げ筒の縦断拡
大平面図である。 ７……収穫機、８……収穫機本体、９……細断
機、１１，１１……一対の供給ロール、１２……
切断刃、１４，１４……一対の分草体、１５……
分草誘導路、１６，１６……一対の掻き上げ筒、
１７……掻き上げ螺旋体、１８……掻き込み翼
片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 細断機と切断刃および一対の供給ロールとを備
   えた収穫機本体の前部に分草誘導路が形成される
   ように左右一対の分草体を併設し、上記左右一対
   の分草体上には、周面に掻き上げ螺旋体を巻装
   し、かつ下部周面に掻き込み翼片を装着した左右
   一対の掻き上げ筒を上部が細断機側に幾分傾斜す
   るよう間隔をおいて回転自在に軸架したことを特
   徴とする飼料収穫機における倒伏茎稈の掻き上げ
   装置。