JPS6218612B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属ストリツプを加熱帯に通して加
熱し、次にそのストリツプを冷却帯に通して冷却
することによつて、その金属ストリツプに対し焼
鈍等の熱処理を施す方法に関するものである。

従来より金属ストリツプ（この金属ストリツプ
とは圧延機で連続圧延した薄くて長い帯状の金属
板を言う。その厚みは通常3.5mm以下であり、ま
た幅は広狭種々のものがある。更にまた金属の種
類は鉄、銅、アルミニウムなど様々なものがあ
る）を上述のようにして熱処理する場合、そのス
トリツプを浮揚状態で加熱帯及び冷却帯に通して
熱処理することが行なわれている。この場合金属
ストリツプの幅方向の耐座屈応力が小さい為、例
えば加熱帯と冷却帯の境界部をストリツプが通過
する際にそのストリツプに生ずる幅方向の大きな
熱応力に上記の耐座屈応力が負けると、第１３図
に示されるようなアルミストリツプの移動方向に
平行なシワ４１が発生して、そのアルミストリツ
プが不良品となつてしまつたりする問題点があつ
た。

そこで本発明は上述の問題点を解決しようとす
るもので、幅方向の歪が発生し易い金属ストリツ
プであつても、その耐座屈応力を大きくすること
ができて、歪を発生させることなく熱処理をする
ことができるようにした金属ストリツプ熱処理装
置を提供しようとするものである。

以下本願の実施例を示す図面について説明す
る。第１図において１は熱処理装置を示し、加熱
装置２と、冷却装置１４とから成つている。先ず
加熱装置２において、（尚この加熱装置２に関し
ては第４図にその縦断面が示されている。）３は
炉壁を示し、周知のようにその内部と外部との間
の熱遮断ができるよう構成されている。４は導入
孔、５は挿通孔を示し、これらは加熱装置２の内
部に金属ストリツプ６を図示されるように挿通さ
せ得るよう設けられたものである。７，７は金属
ストリツプ６が通過する位置に相対向して設けら
れたプレナムチヤンバで、夫々の相対向する面に
は複数のノズルが周知の如く配設されている。７
ａ，７ａはプレナムチヤンバ７，７においてはそ
の対向部の端部に設けられた湾曲操作部を示し、
その構成は後述のようにしてある。８は炉壁３に
取付けられた循環フアン、９は循環フアン８とプ
レナムチヤンバ７とを結ぶ送風路である。１０は
炉壁３の内側に配設されたバーナを示す。１１は
導入孔４の前段側に配設された導入ロールで、ス
トリツプ６を導入孔４に安定に導くよう設けられ
たものである。次に冷却装置１４について説明す
る。この冷却装置１４は上記のような熱遮断の為
の炉壁を有しない点を除き上記加熱装置２と同様
に構成されている為、その詳細な説明は省略す
る。尚、１５はプレナムチヤンバ、１５ａは湾曲
操作部、１６は送風フアン、１７は送風路を夫々
示す。又、１８はストリツプ６の送出口、１９は
導出ロールを示す。

次に、上記プレナムチヤンバ７、１５におけ湾
曲操作部７ａ，１５ａを、第５図及び第８図に基
づいて詳細に説明する。先ず湾曲操作部７ａは、
支持ノズル２１と動圧ノズル２２とにより構成さ
れている。支持ノズル２１において、２３，２３
…は円孔状ノズルを示し、金属ストリツプ６の幅
方向（第８図において上下方向）に細長い区域の
チヤンバ壁２４に第８図に示されるように配列さ
れている。即ちこれらの円孔状ノズル２３，２３
…は多数の仮想的なＶ字の文字線上に配列され、
またそれらのＶ字の文字線は文字の中心が上記細
長い区域の中心線２５上に位置するような縦列状
となつている。更にまたそれらの文字線の間隔
は、一つの文字線の中心と隣接する他の文字線の
両端とが、金属ストリツプ６の移動方向（第１図
第５図及び第８図において右方）に重合する間隔
にしてある。２６は周知のスリツト状ノズルを示
す。尚このスリツト状ノズル２６において第５図
に示される角度αは例えば45゜乃至60゜にされ
る。次に動圧ノズル２２において、２８，２８…
はノズルで、チヤンバ壁２９に多数配列されてい
る。その配列の密度は、湾曲される金属ストリツ
プ６の尾根６′に対向する部分Ａは粗に、尾根
６′に対しストリツプ６の移動方向前後側の斜面
６″に対向すする部分Ｂはそれに比して密となる
ように配列されて、金属ストリツプに対するガス
の吹出力が夫々粗及び密となるようになつてい
る。尚上記種々のノズル２３，２６，２８は第５
図に夫々矢印で示されるようにストリツプ６に向
けてチヤンバー７内のガスを吹き出し得るように
してある。

次にプレナムチヤンバ１５における湾曲操作部
１５ａを前記プレナムチヤンバ７における湾曲操
作部７ａと同様に支持ノズル、動圧ノズルなどを
有する。尚その構成は前記プレナムチヤンバ７に
おけるものと機能上同様である為、前記と同一の
符号を付して重複する説明を省略する。

上記構成のものにあつては、周知の如くペイオ
フリールに対し第９図に示されるように巻かれた
金属ストリツプ６ａは、矢印３０で示されるよう
に繰り出される。その繰り出された金属ストリツ
プ６は周知の種々の機構を通した後、上記熱処理
装置１の加熱装置２に、続いて冷却装置１４に挿
通される。更に熱処理装置１から出た金属ストリ
ツプ６は周知の種々の機構を通した後、周知の如
くリワインドリールに符号６ｂで示されるように
巻き取られる。

金属ストリツプ６が上述のように挿通されてい
る状態において、バーナ１０、フアン８，１６も
夫々運転される。そして定常状態においては、プ
レナムチヤンバ７，７間、１５，１５間において
金属ストリツプ６は、それらのチヤンバのノズル
から吹出される加熱ガス（チヤンバ１５において
は加熱されていない通常の空気）によつて浮揚し
た状態に保持される。

また金属ストリツプ６は、チヤンバ７，１５の
湾曲操作部７ａ，１５ａと対向する部分において
は第５図に詳しく示されるようにその移動方向に
向け波状に湾曲される。即ち、湾曲操作部７ａ，
１５ａの設けられた場所では、金属ストリツプ６
は支持ノズル２１と対向する部分では多数の円孔
状ノズル２３及びスリツト状ノズル２６から吹き
出されるガスによつて大きな加圧力を受け、一
方、動圧ノズル２２と対向する部分では、多数の
ノズル２８から吹き出されるガスによつて小さな
加圧力を受ける。従つて金属ストリツプ６は第１
図、第５図及び第９図に示されるように波状に
（金属ストリツプ６の幅方向に複数の尾根６′，
６′…が生じる状態）湾曲させられ、耐座屈応力
が大となつた状態で移動される。この場合多数の
円孔状ノズル２３は前述のように配列されて、移
動する金属ストリツプ６が受ける浮遊力はその幅
方向のどの部分も均等となるようになつている
為、金属ストリツプ６はその幅方向に、細かい凹
凸のない滑らかな尾根６′を生じながら移動され
る。また動圧ノズル２２は、尾根６′と対向する
部分Ａにおいては多数のノズル２８が粗に配列さ
れて構成されている為、金属ストリツプ６が尾根
６′の部分においてノズル２８から受ける力は比
較的小さく、金属ストリツプは力学的に無理のな
い状態で滑らかに湾曲させられながら移動する。
（尚前記区間Ａではノズル２８の配置を無にして
も良い。）金属ストリツプ６はこのように湾曲さ
せながら移動する過程において、支持ノズル２１
における各ノズル２３，２６及び動圧ノズル２２
におけるノズル２８から吹き出されるガスによつ
て加熱あるいは冷却される。

尚、本明細書において尾根とは、第９図にＸで
示される符号６′の部分の状態について好ましい
字句として用いたが、第９図のＹで示すような樋
状になつた部分についても、矢印Ｐの方向から見
た場合は金属ストリツプ６が尾根状となつている
為、このようなＹで示される部分の形状における
符号６′の部分をも尾根と呼ぶ。

また動圧ノズル２２におけるノズル２８の配例
は、ノズル２８から吹き出されたガスによつて金
属ストリツプに及ぶ力が、金属ストリツプを上記
のように波状に湾曲させるのに適した力となるよ
うに、その配列の状態、密度が選定され、また部
分Ａと部分Ｂの広さの比率も同様に選定される。

更にまた、加熱装置２、冷却装置１４におけフ
アン、チヤンバ、バーナなどの部材は上記のよう
な作用が得られかつ次に述べるようなアルミスト
リツプ６の加熱、冷却の特性が得られるよう構成
されている。

このようにして熱処理装置１を浮揚状態で通過
する金属ストリツプ６は、加熱装置２により加熱
され、次に冷却装置１４によつて冷却される。尚
第１図において３５は加熱帯、３６は冷却帯を
夫々示す。

上記のようにして熱処理される金属ストリツプ
６の温度は第２図に示されるように変化する。
（加熱帯３５と冷却帯３６との境界部付近の温度
変化の状態は第６図に詳細に示されている。）尚
ここで各部材の寸法を示せば次の通りである。即
ち、金属ストリツプ６の一例として用いたアルミ
ストリツプの寸法は0.3t×2000w、導入ロール１
１から導入孔４までの長さは２ｍ、加熱帯３５及
び冷却帯３６の長さは夫々13ｍ、送出口１８から
送出ロール１９までの長さは２ｍである。また湾
曲操作部７ａ，１５ａにける各部の寸法を第１０
図に従つて示せば、Ａ＝250mm、Ｂ＝1200mm、Ｃ
＝600mm、Ｄ＝50mm、Ｅ＝200mm、Ｆ＝約90mm、ま
たアルミストリツプの曲率半径Ｒは1.05ｍであ
る。

上記のアルミストリツプがこのようにして加
熱、冷却される過程において、アルミストリツプ
の幅方向中心部には、熱応力γｘ（ストリツプの
幅方向の熱応力）が第３図に示されるように、即
ち加熱帯３５と冷却帯３６との境界部付近におい
て大きな値となつて生ずる。（その詳細は第７図
に示されている。）しかしながらアルミストリツ
プはその部分において上記湾曲操作部７ａ，１５
ａによつて前記のように湾曲されている為、その
幅方向の耐座屈応力はそのような熱応力よりも大
きくなつており、そのような熱応力によつては変
形を受けることなく原形を維持する。

次に第１１図は上記のような寸法のアルミスト
リツプにおける曲率半径と耐座屈応力との関係を
示すものである。前記の例の場合、最大の熱応力
は第３図から2.3Kg／mm²であるから、それに耐え
得る耐座屈応力の得られる最大の曲率半径1.05ｍ
がこのグラフから求められる。従つて材料の種類
の違いその他によつて熱応力の大きさが異なる場
合には、それに応じた耐座屈応力が得られるよう
な曲率半径が求められ、そのような曲率半径にア
ルミストリツプを湾曲させ得るよう、上記湾曲操
作部７ａ，１５ａの各部寸法あるいはノズルから
のガスの吹出圧が選定される。

次に、前記のような熱応力は、ストリツプ６の
幅にほぼ比例して大きくなり、また全炉長（加熱
帯３５においてストリツプ自身の実質的な温度上
昇が始まる地点から、冷却帯３６においてストリ
ツプ自身の実質的な温度際下が終了する地点まで
の長さ）にほぼ比例して小さくなることが判明し
ている。またストリツプ６を湾曲させたときの耐
座屈応力は、その曲率半径の２乗に反比例し、ス
トリツプ幅の２乗に反比例することが判明してい
る。

従つてこれらの諸点及び種々の実験結果から、
ストリツプに発生する熱応力に耐え得るだけの耐
座屈応力を得る為には、アルミストリツプ６の曲
率半径Ｒは、 （但しｘ：全炉長、ｙ：アルミストリツプの
幅）で得られる値以下にすればよいことが判明し
た。尚上記湾曲操作部を設けて金属ストリツプ６
を湾曲させる部位は、金属ストリツプ６において
大きな熱応力の発生する位置に対応させるのが好
ましく、例えば第３図において大きな熱応力が発
生する部分がより冷却帯に入つた側へ移動する場
合には、ストリツプを湾曲させる部分もそれに応
じてより冷却帯に入つた側へ移動させるとよい。

次に第１２図は本願の異なる実施例を示すもの
で、プレナムチヤンバ７ｅ，１５ｅの湾曲操作部
７ae，１５aeにおける支持ノズル２１ｅと動圧ノ
ズル２２ｅの位置を異ならしめた例を示すもので
ある。

これらの支持ノズル２１ｅ、動圧ノズル２２ｅ
がこのような位置に形成されることにより金属ス
トリツプ６ｅは図示されるように湾曲して移動
し、前記と同様に大きい耐座屈応力が得られる。

なお、機能上前図のものと同一又は均等構成と
考えられる部分には、前図と同一の符号のアルフ
アベツトのｅを付して重複する説明を省略した。

以上のようにこの説明にあつては、金属ストリ
ツプ６を熱処理する場合、これを加熱帯及び冷却
帯に浮揚状態で通過させて熱処理するものである
から、ストリツプの表面に傷をつけることなく熱
処理することができ、良品質の製品を提供できる
有用性がある。

しかも本発明にあつては、金属ストリツプ６を
加熱帯から冷却帯に通過させる場合、即ちストリ
ツプに歪の最も発生し易い部分を通過させる場
合、そのストリツプ６を波状に湾曲させて通過さ
せるから、鉄や銅などの金属ストリツプはもちろ
んのこと、例え薄もので幅方向の歪（シワ）が非
常に発生し易いアルミストリツプでも、その耐座
屈応力をストリツプに発生する熱応力よりも大き
くすることができて、原形を維持させたまま（歪
を発生することなく）これを通過させることがで
き、良品質の製品の提供を可能にする効果があ
る。

その上この発明にあつては、金属ストリツプに
対する加圧力の小さいノズルは、金属ストリツプ
６と対向させる面に多数のノズル２８を配列して
構成すると共に、その配列状態は金属ストリツプ
６における尾根６′と対向する部分では吹出力が
粗となるように、尾根６′に対して金属ストリツ
プ６の移動方向前後側の斜面と対向する部分では
吹出力が密となるように配列したものであるか
ら、金属ストリツプ６をこれに尾根６′ができる
ように波状に湾曲させて移動させる過程において
は、前述のように金属ストリツプ６の湾曲に対応
したガスの吹出量を得ることができて、金属スト
リツプ６を力学的に無理のない状態に湾曲させて
移動させることができる特長がある。このこと
は、厚手のものの場合は無論のこと、薄手の金属
ストリツプを熱処理する場合でも歪を発生させる
ことなく熱処理することができて、良品質の製品
の提供を可能にし得る効果を発揮する。

更にまたこの発明にあつては、金属ストリツプ
に対する加圧力の大きいノズルは、金属ストリツ
プ６と対向させる面において金属ストリツプ６の
幅方向に向けて細長く形成された区域内に、多数
の円孔状ノズル２３を配列して構成すると共に、
その配列状態は上記細長い区域の中心線に夫々文
字の中心が位置するよう仮想的にかつ縦列状に描
かれる多数のＶ字のＶ字線上に配列したものであ
るから、金属ストリツプ６をこれに尾根６′がで
きるように波状に湾曲させて移動させる過程にお
いて、金属ストリツプ６の尾根６′の部分に対し
その幅方向全域にわたり均等な浮遊力を加えるこ
とができ、従つて非常に薄い金属ストリツプでも
幅方向に均等に（でこぼこのない滑らかな状態
に）湾曲させて熱処理できて、良品質の製品の提
供を可能にし得る利点がある。

更にまた本発明は上記の如き構成であるから、
金属ストリツプ６を上記のように波状に湾曲させ
る作用をいささかも妨げることなく、金属ストリ
ツプの上面及び下面の全域に円滑にガスを吹き付
けることができて、金属ストリツプを効率良く
（ノズルからの吹出ガス量に対する金属ストリツ
プの昇温及び降温の度合）加熱あるいは冷却でき
る効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本願の実施例を示すもので、第１図は熱
処理装置の略示縦断面図、第２図はアルミストリ
ツプの温度変化を示すグラフ、第３図はアルミス
トリツプにおける熱応力の発生状態を示すグラ
フ、（尚第１図乃至第３図は左右方向の位置関係
を揃えて示した。）第４図は―線断面図、第
５図乃至第７図は夫々第１図乃至第３図の要部拡
大図、第８図は湾曲操作部の平面図、第９図はア
ルミストリツプの操出、巻取状態を示す略示斜視
図、第１０図は湾曲操作部の寸法説明図、第１１
図はアルミストリツプの曲率半径と耐座屈応力と
の関係を示すグラフ、第１２図は異なつた実施例
を示す第５図と類型の図、第１３図は従来におけ
るシワの発生状態を示す斜視図。 ３５……加熱帯、３６……冷却帯、２１……支
持ノズル、２２……動圧ノズル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属ストリツプを浮揚状態で加熱帯から冷却
   帯へ向けて移動させる為の軌跡の上下相対向位置
   には、夫々上記軌跡を通過させる金属ストリツプ
   の上面と下面に向けてガスを吹付け得るよう多数
   のノズルを配設し、しかも上記多数のノズルの配
   列状態は、上記金属ストリツプを移動方向に向け
   て波状に湾曲して移動させ得るように上下夫々の
   ノズルを金属ストリツプ移動方向に向けて加圧力
   が大小交互となるように配列すると共に、上下相
   対向するノズルは金属ストリツプに対する加圧力
   が大となるノズルには加圧力が小となるノズルが
   対向するよう配列されている金属ストリツプ熱処
   理装置において、上記加圧力が小となるノズル
   は、波状となつて移動する金属ストリツプの尾根
   と対向する位置では吹出力が粗に、該尾根に対し
   金属ストリツプの移動方向前後側の斜面と対向す
   る位置では吹出力が密になるように構成されてお
   り、上記加圧力が大となるノズルは、金属ストリ
   ツプの幅方向に向けて細長く形成された区域内に
   多数の円孔状ノズルを配設して構成し、かつそれ
   らのノズルの配列状態は上記細長い区域の中心線
   に夫々文字の中心が位置するよう仮想的かつ縦列
   状に描かれる多数のＶ字の文字線上に配列したこ
   とを特徴とする金属ストリツプ熱処理装置。