JPS6218014B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は臨床検査の一環である生化学検査に使
用する電気泳動用の寒天ゲルプレートを製作する
ための容器に関する。

アイソザイム分析、リポ蛋白分析等臨床検査の
一環として実施される生化学検査においては、
種々の電気泳動分析が行われている。これらの電
気泳動分析用として、寒天ゲルプレートを検体試
料の支持体とする場合が最も効果的であることは
関係者の熟知するところである。然し、上記評価
にもかかわらず、その普及化の実績が今日までさ
してあがらなかつた理由は寒天ゲルプレートの製
作及び該プレートへの検体試料の塗布、或いは、
検体試料を保存するための後処理がきわめて煩雑
且つ困難なためであると考えられる。

これらについて更に詳しく説明すると、例え
ば、國内で製作の寒天ゲルプレートのあるもの
は、抗血清塗布用の溝が設けられていないばかり
か、泳動パターンを保存するために行う寒天乾燥
化の操作がきわめて困難であり、少からぬ熟練と
時間を必要とする欠点がある。即ち、上記寒天乾
燥化の操作においては、付属のヘラを使用してプ
レート枠から寒天を傷めぬように注意深く取り出
したのち、これを他の適当なフイルム上に乗せて
乾燥を行う必要があるためである。

又、米國及び國内で製作販売されている他の寒
天ゲルプレートには上記欠点は一応無いものの、
電気泳動後の発色操作にあたつて、寒天ゲルプレ
ート上に滴下した発色液を丸い硝子棒などで傷を
つけないように注意深く押し広げる煩雑で時間を
多く消費する作業が必要であり、大きな欠点とな
つている。

本発明は上記従来の寒天ゲルプレートの諸欠点
に鑑み、これらを解決することによりアイソザイ
ム分析、リポ蛋白分析等の生化学分析に最も卓越
した効果を発揮する電気泳動用寒天ゲルプレート
容器を提供することを目的としている。

尚、本発明の寒天ゲルプレート容器は、その内
部において寒天ゲルプレートを製作するととも
に、該容器をそのまま電気泳動槽の所定位置に移
して泳動を行わせ、且つ必要に応じて、上記プレ
ートを底部の薄膜フイルムとともに容器より分離
することにより、その保存を容易にすることを要
旨としている。

以下に、本発明の詳細を図面に示す１実施例に
より説明する。

第１図乃至第３図において、符号１で総称され
る寒天ゲルプレート容器は外枠２で周囲を囲まれ
た断面矩形の枠体であつて、合成樹脂材などによ
り適宜製作される。外枠２には従来器の底板に代
えて厚さ0.2mm程度の薄膜フイルム３を接着させ
ているが、この薄膜フイルム３は必要に応じて外
枠２より分離させることも可能である。寒天ゲル
プレート容器１には、対向する外枠２（長辺）と
平行し、且つ該外枠２より等距離の位置に夫々１
個の内枠４をその上面が上記外枠２と面一になる
ように設けるとともに、上記外枠２及び内枠４間
にブリツジ用スポンジ５を夫々挿設している。
尚、上記内枠４は容器１内を電気泳動部（両内枠
４，４間の部分）とブリツジ部（外枠２と内枠４
の中間の部分）とに区劃している。又、内枠４の
下面は薄膜フイルム３との間に約１mmの間隙１１
（後記寒天ゲルプレートの厚さに相当する）を有
し、寒天が該間隙１１を介してスポンジ５と接触
することが可能なように構成している。

寒天ゲルプレート６には、予め抗血清溝７を内
枠４と直角の方向に、又検体試料塗布溝７′を内
枠４と平行に、及び上記抗血清溝７の左右両外側
に該抗血清溝７と平行に各１条の抗血清溝８を設
ける。これらの溝７，７′及び８（本実施例では
抗血清溝10条、検体試料溝９条）は、該溝に相当
する突出部を裏面に有する押型（アプリケータ）
を寒天ゲルプレート６の表面に、且つ寒天の凝固
前に、押し付けることにより製作される。

次に、上記外枠２の内、上記と異る他の対向す
る外枠２（短辺）の１つには細径の短小ピン９
を、又他の１つには該ピン９と嵌合するピン孔１
０を、夫々の上面中央部に設けている。

以上の構成より成る本発明の寒天ゲルプレート
容器１を使用して寒天ゲルプレート６を製作する
場合は、先ず予め加熱溶解させた寒天溶液の定量
を前記電気泳動部に注入し、厚さ１mmの寒天ゲル
プレート６を製作する。尚、上記寒天ゲルの凝固
前に前記押型を押し付けて溝７，７′及び８を製
作しておく。次に、検体試料を上記検体試料塗布
溝７′に注入した後、寒天ゲルプレート容器１を
そのまま後記電気泳動槽の所定位置に置き電流を
通して電気泳動を行わせる。又、必要に応じて、
抗血清溝７，８に抗血清を入れ免疫反応を行わせ
ることも可能である。

次に、本発明の寒天ゲルプレート容器１を使用
して電気泳動を実施する場合について説明する。
第４図乃至第６図において、２１は電気泳動槽、
２２はその外枠、２３は内部にアイスノン等の冷
却材を内挿した冷却部、２４は該冷却部２３を挾
んでその左右両側に置かれたブリツジ用スポンジ
材であり、これら冷却部２３及びスポンジ材２４
は電気泳動槽２１の対向する外枠（長辺）２２に
平行に設けられる。寒天ゲルプレート容器１は冷
却部２３の上に重ねて置かれ、その両端部はブリ
ツジ用紙２５及び２６を介してスポンジ材２４
と夫々連結される。電気泳動槽２１の上記と異る
他の対向する外枠（短辺）２２の底部付近には白
金線２７が張設されており、又図示のレベルｈ
（冷却部２３の上面よりやや下方の位置）まで泳
動用緩衝液２８が満される。前記寒天ゲルプレー
ト６上の被検体は、電源２９よりの定電流又は定
電圧電流により、電源用コード３０及び白金線２
７を介して電気泳動されるものである。

次に、電気泳動後の発色操作は寒天ゲルプレー
ト６を容器１より取り出すことなく、原位置にお
いて発色液を流すことにより反応を行わせるとと
もに、該反応を脱色固定液につけることにより停
止させることができる。

以上により、電気泳動パターンが完成し、これ
を濃度計にかけて計測する場合は、上記寒天ゲル
プレート６の両ブリツジ部に切り込みを入れ、薄
膜フイルム３を外枠２から剥しつつ該フイルム３
とともに取り出せば良い。又、保存のためのフイ
ルム化は上記寒天ゲルプレート６をフイルム３に
乗せた状態で乾燥することにより行われる。

更に、寒天ゲルプレート６を輸送する場合は、
２個の寒天ゲルプレート容器１を互いに向い合
せ、ピン９とピン孔１０が嵌合するように重ね合
せれば良い。

以上記載の通り、本発明の電気泳動用寒天ゲル
プレート容器を使用することにより、次の卓越し
た効果が得られるので、生化学分析上延いては医
療上益するところきわめて大である。

(1) 寒天ゲルプレート及び溝の製作がきわめて容
易であり、失敗することがない。

(2) 電気泳動にあたり、寒天ゲルプレートを容器
より取り出すことなく、そのままの状態で電気
泳動槽に移し泳動できるので、操作容易、消費
時間の短小化並びに寒天ゲルプレートの破損防
止に効果がある。

(3) 内枠を設け、スポンジを挿設してブリツジを
形成することにより、通電を容易にし、且つ泳
動パターンの製作を促進できる。

(4) 寒天ゲルプレートの両端にも抗血清溝を設け
ることにより、最外側の泳動パターンが従来歪
み易く、使用不能となることを防止した。

(5) 内枠を設け寒天ゲルプレートを低位置とした
ため、試薬の溢出を防止することにより、試薬
の量を節約できる。

(6) 上記(5)と同一の理由により、発色操作がきわ
めて容易であるばかりか、発色液の量を節約で
きる。

(7) 外枠に薄膜フイルムを接着して容器を形成す
ることにより、泳動パターンの計測又はフイル
ム化にあたり、上記薄膜フイルムを剥して取り
出せるので、操作簡単且つ安全である。

(8) 対向する外枠の上面中央部に夫々ピン及びピ
ン孔を設けることにより、２個の容器を重ね合
せることができるので、アルミ袋等に封入して
長期間の保存が可能である。

(9) 内枠を設けることにより、輸送途中の振動に
よる寒天ゲルプレートの破損を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明容器の１実施例を示
し、第１図は平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ線
断面図、第３図は第１図のＢ−Ｂ線断面図であ
る。第４図乃至第６図は本発明容器を使用して電
気泳動を行う場合の実施例を示し、第４図は平面
図、第５図は第４図のＣ−Ｃ線断面図、第６図は
第５図のＤ部の拡大図である。 １……寒天ゲルプレート容器、２……外枠、３
……薄膜フイルム、４……内枠、５……スポン
ジ、６……寒天ゲルプレート、７，８……抗血清
溝、７′……検体試料溝、９……ピン、１０……
ピン孔、１１……間隙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断面矩形の外枠と、該外枠の底部に接着した
   底板用薄膜フイルムとにより形成される容器の内
   部に、対向する上記二外枠と平行且つ該外枠より
   等距離の位置に夫々１個の内枠を設け、該内枠は
   その上面を外枠と面一になし、下面には上記底板
   用膜フイルム間に寒天ゲルプレート用間隔を設け
   るとともに、外枠及び内枠間にブリツジ用スポン
   ジを挿設し、上記と異る他の対向する二外枠の１
   には細径の短小ピンを、又他の１には該ピンと嵌
   合するピン孔を夫々上面中央部に設けた構成より
   成ることを特徴とする、電気泳動用寒天ゲルプレ
   ート容器。