JPS6217814B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電力系統の変電所、開閉所に用いられ
るしや断器に関するものである。

近年、大都市における発電所の建設難から発電
所を都市周辺に建設し、この都市周辺に建設した
発電所から都市へ電力供給するという系統構成が
多用されるようになつてきた。系統を構成する送
電線は長距離化の一途をたどつているが、これに
ともない送電の効率を上げるために送電電圧も上
昇をつづけ、近い将来には1000kV級の送電系統
も実現されるべく検討が進められている。

電力系統の変電所あるいは開閉所に用いられる
しや断器は、電力の安定供給のために従来より高
い信頼性が要求されてきたが、送電電圧の高い基
幹系統にはより高い信頼性が要求される。しかし
ながら、系統電圧が上昇するとしや断器の点数が
多くなり部品数が多くなつて信頼性を下げること
が予想されるため、１点当りの定格電圧を上げる
ことが極めて重要な技術的課題となつている。

一方、電力の安定な供給のため、系統の多様
化、複雑化が進み、これにともなつて短絡電流も
上昇の一途をたどつている。これに対処するには
しや断器の短絡しや断電流容量を増すことは言う
までもなく、しや断時間をできる限り短かくして
短絡電流による系統内の機器への影響を少なくす
るのも大きな技術的課題である。

このように、電力系統用のしや断器には高電
圧、大電流を短時間で高い信頼性を持つてしや断
することが要求される。絶縁ガスとしてSF₆ガス
を用いたバツフア型ガスしや断器はこのような点
に最もすぐれているため、現在高圧しや断器の主
流となつている。パツフア型ガスしや断器は第１
図に示すような基本構造も持つものであるが、次
の様な原理でSF₆圧縮ガスをアークに吹き付けし
や断するものである。すなわち、絶縁ロツド１６
を介して操作部２内のリンク１７に接続されたパ
ツフアシリンダ１１を前後に動かす。可動側のア
ーク接触子８及び通電接触子９はパツフアシリン
ダ１１に固定されており、パツフアシリンダ１１
の動きに応じて前後に動くようになつている。固
定アーク接触子６及び通電接触子７はそれぞれ可
動側のアーク接触子８と通電接触子９と接点を構
成し、パツフアシリンダ１１の動きに伴なつて接
点の開閉動作を行なう。尚、図示１はタンク、３
ａ，３ｂはタンク１の軸方向両端部側に設けられ
た絶縁スペーサであり、この絶縁スペーサ３ａ，
３ｂを介して導体１５ａ，１５ｂが導出され、ブ
ツシング５ａ，５ｂが設けられている。また、図
示４は絶縁筒、１４は中間フランジであり、１８
に示す一点鎖線は絶縁ノズル１０の投入時の位置
を示している。

さて、電流しや断時にはパツフアシリンダ１１
は操作部へ移動をはじめるが、まず通電側接点が
開となり、つづいてアーク接点が開となつて可動
及び固定アーク接触子６，８間にアーク１９を発
生する。パツフアシリンダ１１はこの開極動作に
よつてパツフアピストン１３とで構成するパツフ
ア室１２ａのガスを圧縮し、パツフアシリンダ１
１の前面に設けたガス流穴１２ｂより圧縮ガスを
放出する。絶縁ノズル１０はパツフアシリンダ１
１に固定されており開極動作と連動するが、パツ
フア室１２ａより放出された圧縮ガスはノズルで
更にしぼられ、アーク１９へ吹きつけられる。

パツフア型ガスしや断器では以上の如く開極動
作によつて、パツフアシリンダとパツフアピスト
ンとで作られるパツフア室の圧縮ガスをつくる。
このため、一般的にはしや断時間が長くなる傾向
にあり、２サイクルしや断器等しや断時間の短か
いしや断器を構成するためには開極時間を短かく
するとか、開極スピードを上げる等の改良がなさ
れてきた。しかし、１点当りの電圧が高くなると
ストロークを長くとる必要が生じ、更に大幅な改
良を必要とする。しかし、開極スピードを上げる
ことは操作機構部への機械的な力を大きくするこ
とになり信頼性の面で問題が生じることが予想さ
れる。

また、パツフア型ガスしや断器では、一般には
可動側の動きにしや断性能の大部分が決定される
ということ、あるいは操作機構は投入時もしや断
時と変らない程の力を出せるにもかかわらず、有
効に利用されていない等の問題があつた。

本発明は以上の点を考慮してなされたもので、
パツフア室のガスを有効に利用し固定側の接触子
もしや断に有効に作用させることにより、操作機
構を従来と同様あるいは縮少した構成においてよ
りすぐれたしや断性能を有するパツフア型ガスし
や断器を提供することを目的とする。

発明を第２図に示す一実施例を参照して説明す
る。タンク１内には操作部２が収納され且つ密閉
されてSF₆ガスが充満されている。このタンク１
の軸方向両端部から上方に向かつてスペーサ３
ａ，３ｂを介して導体１５ａ，１５ｂによりブツ
シング５ａ，５ｂが設けられている。円筒状のパ
ツフアシリンダ１１は絶縁ロツド１６を介して操
作部２内に配置されたリンク１７に接続される。
絶縁筒４はタンク１に固定され、導体１５に接続
される中間フランジ１４を支える。パツフアピス
トン１３は円板状でパツフアシリンダ１１と共に
パツフア室１２ａ及び加圧室２０を構成する。ハ
ツフアシリンダ１１には可動側アーク接触子８、
通電接触子９及び絶縁ノズル１０が固定される。
一方固定側中間フランジには固定側アーク接触子
６及び通電接触子７が固定され、前記可動側アー
ク接触子８及び通電接触子９と接点を構成する。
固定側アーク接触子６には投入ピストン２２が取
りつけられ投入シリンダ２３と共に投入室２７を
構成する。投入ピストン２２には円筒ばね２４が
背後に設置される。また、投入ピストン２２を支
えるためのレバー２６が投入シリンダ２３に設置
される。投入室２７は絶縁物で構成した投入パイ
プ２１で可動側加圧室２０に接続される。固定側
アーク接触子６は摺動接触子２５と電気的接点を
構成する。

可動部の構成の詳細を第３図に示す。パツフア
ピストン１３にはパツフア室１２ａを構成する部
分にパツフアシリンダ１１が操作部へ動く時、即
ちしや断時に弁が閉じるようになつている逆止弁
２９を取りつける。一方パツフアシリンダ１１に
は加圧室２０を構成する部分にパツフアシリンダ
１１が固定側へ向つて動く時、すなわち投入時に
弁が閉じるようになつている逆止弁３０をとりつ
ける。

固定部の構成の詳細を第４図に示す。固定側通
電接触子７の中間部に支え板３２を設け、これに
摺動接触子２５及び投入シリンダ２３を固定す
る。更にこの中間部の支え板にはレバー２６をと
りつけレバー２６はバネ３１によつて固定側通電
接触子７へ引きよせられる。

本発明の作用について説明する。パツフアシリ
ンダ１１は操作機構部によつて操作されるリンク
１７の動きによつて前後運動をする。このとき絶
縁ノズル１０等も同時に動き、投入時には２点鎖
線の状態まで達する。しや断時にパツフア室１２
ａのガスが圧縮されるのは従来のしや断器と同様
であるが、投入時には加圧室２０のガスをも圧縮
する。圧縮されたガスは投入パイプ２１で固定側
の投入シリンダ２３へ導かれる。

固定側のアーク接触子６は接点の開時には円筒
バネ２４の力で後方へさげられている。接点の投
入時には圧縮された加圧室２０のガスでパツフア
ピストンを押し上げると共に、可動側の通電接触
子９でレバー２６を動かし、円筒バネ２６を圧縮
した状態にレバー２４をかける。更にしや断時に
は通電接点が開くとレバー２６がはずれ、固定側
アーク接触子６は円筒バネ２４の働きで開の状態
までおしあげられる。

上述の如き構成によれば、固定側のアーク接触
子６は接点閉時には可動側へ押し上げられている
ため、絶縁ノズル１０のノズル・スロートはこの
接触子でふさがれており、パツフア室１２ａの圧
力上昇を非常に大きくとることができる。更に一
旦レバー２６がずれると固定側のアーク接触子６
も円筒バネ２４の力で固定側へ動くので、操作機
構部にしや断時に必要とされる力を増すことなく
開極スピードを上げることができる。また、等価
的にストロークを長くしたのと同じ効果を得るこ
とができる。本発明は１点切のしや断器について
示したが多点切の場合も同様である。

このように本発明によれば、パツフアシリンダ
とパツフアピストンとで構成され、しや断器投入
時に圧縮される加圧室を設け、固定側に設けられ
た投入シリンダとを投入パイプで結び、投入シリ
ンダ内に設けられた投入ピストンには固定側のア
ーク接触子を接続し、しや断器投入時に加圧室で
圧縮されたガスで投入ピストンを押し上げ、固定
側のアーク接触子を可動側へ動かし、同時に投入
ピストンで円筒バネ２４を圧縮し、可動側の通電
接触子により固定側の通電接触子との接点も閉じ
た時にレバーを動かして投入ピストンを固定し、
更に、しや断時には通電接点の開と同時にレバー
をはずし円筒バネの力で投入ピストンを押し下げ
るようにすることにより、しや断時に必要な操作
機構部の力を増すことなく絶縁ノズルのノズルス
ロートが固定側アーク接触子でふさがれる時間を
長くすることができてパツフア室の圧力を上げる
ことができると共に、開極後は等価的に開極スピ
ードを上げストロークを長くしたのと同等の効果
を得ることができ、高電圧のしや断に極めて有効
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のパツフア型ガスしや断器の１実
施例を示す断面図、第２図は本発明のパツフア型
ガスしや断器の１実施例を示す断面図、第３図お
よび第４図は本発明のパツフア型ガスしや断器の
可動側、固定側を拡大して示す断面図である。 １……タンク、２……操作部、３……絶縁スペ
ーサ、４……絶縁筒、５……ブツシング、６……
固定側アーク接触子、７……固定側通電接触子、
８……可動側アーク接触子、９……可動側通電接
触子、１０……絶縁ノズル、１１……パツフアシ
リンダ、１２ａ……パツフア室、１２ｂ……ガス
流穴、１３……パツフアピストン、１４……中間
フランジ、１５……導体、１６……絶縁ロツド、
１７……リンク、１８……投入時の位置、１９…
…アーク、２０……加圧室、２１……投入パイ
プ、２２……投入ピストン、２３……投入シリン
ダ、２４……円筒バネ、２５……摺動接触子、２
６……ロツクレバー、２７……投入室、２９……
逆止弁、３０……逆止弁、３１……レバー止バ
ネ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 操作部に連結される絶縁ロツドによりタンク
   軸方向に進退動作して投入しや断動作するパツフ
   アシリンダに、退動作すなわちしや断動作時に内
   部のSF6ガスが圧縮されるように構成されたパツ
   フア室と進動作すなわち投入しや断動作時に内部
   のSF6ガスが圧縮されるように構成された加圧室
   とを形成するようにパツフアピストンが設けら
   れ、前記パツフアシリンダには可動側アーク接触
   子と可動側通電接触子とが設けられ、この可動側
   通電接触子と接離する固定側通電接触子が前記パ
   ツフアシリンダと対向して固定設置されると共に
   この固定側通電接触子内には投入シリンダ及びこ
   れに固定した固定側アーク接触子が前記可動側ア
   ーク接触子と接離するようにして設けられ、この
   投入シリンダを前記可動側に動作させるため前記
   加圧室の圧縮ガスを導入するガス導入手段を設
   け、この投入シリンダ及び固定側アーク接触子を
   前記可動側アーク接触子から離す方向に付勢する
   バネが設けられ、前記可動側通電接触子と連動し
   て投入状態時には前記固定側アーク接触子の投入
   状態を保持し且つしや断動作に至る時には前記投
   入保持動作を解除するべくロツクレバーが設けら
   れてなり、投入時のエネルギーの一部である前記
   加圧室の圧縮ガスの圧力を前記固定側アーク接触
   子に伝達して固定側と可動側とを相対的に近付け
   た後に前記ロツクレバーで投入状態を保持すると
   共に前記バネに前記エネルギーを蓄え、しや断時
   には前記ロツクレバーを解除して前記バネに蓄え
   られたエネルギーをしや断動作に供するように構
   成したことを特徴とするパツフア型ガスしや断
   器。 ２ 加圧室と投入シリンダとを、絶縁物で構成し
   た投入パイプで接続した特許請求の範囲第１項記
   載のパツフア型ガスしや断器。