JPS6215648Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、圧電素子に衝撃力を与えて高電圧を
発生させる高電圧発生装置に関する。

この種の圧電素子を用いた高電圧発生装置は、
ガスライタ、その他の点火装置に広く使用されて
いる。

第１図は従来の高電圧発生装置を示す。この図
において、外ケース１は、圧電素子収納部２と内
ケース収納部３とを分離し当て金４が突出する孔
を有する仕切部５が一体に形成されたものであ
る。その圧電素子収納部２には当て金４及び圧電
素子６が収納され、該圧電素子収納部２の一端開
口部には受け金７が螺着されている。また、外ケ
ース１には高圧リード線８が接着され、外ケース
１の内ケース収納部３の側面には段付カム窓９が
形成されている。一方、内ケース収納部３の内側
に摺動自在に設けられる内ケース１０にはカム窓
１１が形成されており、このカム窓１１と前記段
付カム窓９とに係合するピン１２を有する衝撃子
１３及び衝撃ばね１４が内ケース１０の内側に収
納される。なお、外ケース１の内ケース収納部内
には戻しばね１５が設けられ、これにより内ケー
ス１０が突出方向（右方向）に付勢される。

以上の構成において、通常状態では、第１図の
ように内ケース１０は突出しており、衝撃子１３
のピン１２は段付カム窓９の下端部に係合してい
る。この状態で、衝撃ばね１４の弾性力に抗して
内ケース１０を矢印Ｘ方向に押圧すると、その衝
撃ばね１４に弾性力が蓄積される。内ケース１０
をさらに押圧すると、カム窓１１の傾斜辺により
ピン１２と段付カム窓９の段部との係合が外れ、
衝撃子１３は衝撃ばね１４の力で急激に左方に移
動して当て金４を強打し、高圧リード線８と受け
金７との間に高電圧を発生する。

ところで、上記構成の場合、外ケース１及び内
ケース１０のカム窓９，１１に係合するピン１２
を両ケースを組合わせた状態で衝撃子１３に挿入
して固定する必要があるため、組立時の作業性が
悪く、衝撃子１３にピン１２を確実に固定するの
が困難で、使用時においてピン１２の抜けが生じ
る恐れもあつた。

本考案は、上記の欠点を除去し、内ケースの構
成を工夫して予め衝撃子とピンとを一体化してお
いても組立が可能なようにし、製造容易で高信頼
度の高電圧発生装置を提供しようとするものであ
る。

以下、本考案に係る高電圧発生装置の実施例を
図面に従つて説明する。

第２図乃至第７図において、圧電素子等を収納
するケース１Ａの段付カム窓９Ａはピン挿入用付
加切欠部２０を有している。また、外ケース１Ａ
の開口端には傾斜部２１が形成されている。これ
らのピン挿入用付加切欠部２０及び傾斜部２１
は、後述する内ケース１０Ａを外ケース１Ａの内
ケース収納部に挿入する際に有効となるものであ
る。

一方、内ケース１０Ａは、第４図及び第６図か
ら判るように四角筒状体であつて外周が短辺３０
と長辺３１とからなり、短辺３０に沿つて厚肉部
３２を形成したものである。この結果、ピン１２
Ａを有する衝撃子１３Ａ及び衝撃ばね１４Ａを収
納する内ケース内側は略正四角柱状凹部３３とな
つている。ここで、内ケース１０Ａのカム窓１１
Ａには第３図及び第５図のようにピン挿入用付加
切欠部３４が形成され、該内ケース１０Ａの開口
端よりピン挿入用付加切欠部３４に達する如くピ
ン通過用連通溝３５が内ケース対角方向における
厚肉部３２に形成される。このピン通過用連通溝
３５は衝撃子１３Ａに一体化されたピン１２Ａを
通過させ得る形状寸法となつている。また、ピン
１２Ａの全長は少なくとも短辺３０よりも長く、
外ケース１Ａの段付カム窓９Ａに係合可能な寸法
が必要である。

前記内ケース１０Ａへのピン１２Ａを有する衝
撃子１３Ａの組込みは、第５図及び第６図に示す
ように、ピン１２Ａを内ケース１０Ａの開口端の
対角方向に向けてピン通過用連通溝３５に嵌込み
カム窓１１Ａ方向に挿入することによつて行う。
この結果、ピン１２Ａはピン挿入用付加切欠部３
４に到達したときにカム窓１１Ａより突出し、カ
ム窓１１Ａの傾斜Ａによりピン１２Ａはカム窓右
下のＰ点で安定する。これは、衝撃ばね１４Ａに
より衝撃子１３Ａが第５図の下方に付勢されてい
るからである。

前記外ケース１Ａへの衝撃子１３Ａ等を有する
内ケース１０Ａの組込みは、第７図に示すよう
に、ピン１２Ａが外ケース１Ａの傾斜部２１に当
接する如く内ケース１０Ａを外ケース１Ａの内ケ
ース収納部に嵌込み、内ケース１０Ａを矢印Ｙの
方向に押込むことにより行う。この押込み動作に
よりピン１２ＡはＱ点に移動し、すなわち、第６
図の内ケース対角方向に回動し（ただし、ピン通
過用連通溝３５に一致する所までは回動しな
い。）、ピン１２Ａは内ケース１０Ａより突出しな
くなり、内ケース１０Ａを外ケース１Ａに深く嵌
入れることができる。そして、ピン１２Ａはピン
挿入用付加切欠部２０に到達した時点で段付カム
窓９Ａに係合し、Ｒ点で安定する。これにより、
第２図の如く、外ケース１Ａに内ケース１０Ａが
摺動自在に嵌合しかつピン１２Ａがカム窓９Ａ，
１１Ａに係合した完成状態となる。

なお、その他の構成は第１図と同様の構成でよ
く、衝撃子１３Ａで圧電素子を打撃する動作も同
様である。

上記実施例によれば、四角筒状体であつて外周
が短辺３０と長辺３１とからなり、短辺３０に沿
つて厚肉部３２を形成した内ケース１０Ａの対角
方向に形成されたピン通過用連通溝３５を利用し
てピン１２Ａをカム窓１１Ａに導くことができる
から、予め衝撃子１３Ａにピン１２Ａを一体に固
定しておいても内ケース１０Ａに組込むことがで
きる。また、内ケース１０Ａ側の組立と外ケース
１Ａ側の組立とを別々に行つておくことができ、
組立工程上有利である。すなわち、外ケース１Ａ
と内ケース１０Ａとを組合わせた状態において衝
撃子にピンを挿通する作業を除去でき、製造組立
容易となる。さらに、外ケース１Ａにピン１２Ａ
を通過させる特別な溝、切欠等を設けることが必
要ない利点もある。また、衝撃子１３Ａとピン１
２Ａとを確実に固定しておくことが容易であり、
ピンのゆるみによる特性低下、ピンの抜けによる
動作不良の可能性を除去でき、信頼性の向上を図
ることができる。

なお、ピン１２Ａを有する衝撃子１３Ａの構成
としては、衝撃子にピンを挿通してかしめにより
ピンを固定したもの、衝撃子を円柱体より切削
し、ピンを一体に削り出して突出させたもの、衝
撃子の凹部にピンを圧入して一体化したもの、衝
撃子にプレス加工を施してピンを形成するように
したもの等が使用できる。また、外ケース１Ａの
段付カム窓の代りに段付カム溝を形成するように
してもよい。

以上説明したように、本考案によれば、内ケー
スの構成を工夫して予め衝撃子とピンとを一体化
しておいて組立が可能なようにしたので、製造容
易で高信頼度の高電圧発生装置を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高電圧発生装置を示す側断面
図、第２図は本考案に係る高電圧発生装置の実施
例を示す要部側面図、第３図は実施例で用いた内
ケースを示す要部側面図、第４図は同底面図、第
５図は実施例における内ケースへの衝撃子組込動
作を説明するための要部側面図、第６図は同底面
図、第７図は外ケースへの内ケース組込み動作を
説明するための要部側面図である。 １，１Ａ……外ケース、６……圧電素子、９，
９Ａ……段付カム窓、１０，１０Ａ……内ケー
ス、１１，１１Ａ……カム窓、１２，１２Ａ……
ピン、１３，１３Ａ……衝撃子、１４，１４Ａ…
…衝撃ばね、１５……戻しばね、２０，３４……
ピン挿入用付加切欠部、２１……傾斜部、３０…
…短辺、３１……長辺、３２……厚肉部、３５…
…ピン通過用連通溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧電素子を有する外ケースにカム窓又はカム溝
   を設け、カム窓を有する内ケースをその外ケース
   の内側に摺動自在に設け、前記外ケースのカム窓
   又はカム溝と内ケースのカム窓とに係合するピン
   を有する衝撃子及び該衝撃子を前記圧電素子方向
   に付勢する衝撃ばねを前記内ケース内側に設ける
   とともに、前記内ケースを突出方向に付勢する戻
   しばねを前記外ケース内に設けた高電圧発生装置
   において、前記内ケースを、外周が短辺と長辺と
   からなる四角筒状体で構成し、該内ケース開口端
   の対角位置よりカム窓に達するピン通過用連通溝
   を当該内ケースに形成したことを特徴とする高電
   圧発生装置。