JPS6215304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は堰板の下端を堰底面に軸着し該軸を中
心に回動可能にし堰板裏側に設けた油圧アクチユ
エータによつて起伏される起伏堰の油圧装置に関
する。

従来多く用いられている油圧の堰板背面シリン
ダ押上方式のものは、堰板にかゝる全水圧を常時
油圧にて支持しているため、満水時の最大水圧を
支えねばならず、特にこの圧力が油圧シリンダの
軸心に直角に近い角度でかかる場合、または堰板
に傾斜運動を与える時、油圧シリンダ軸方向に大
きなベンヂングモーメントを生ずる場合が多く、
ためにシリンダパツキングよりの油漏れや油圧機
損傷の原因となる。このストレスに耐えるためラ
ム式アクチユエータを用いているものもあるが損
傷の原因は除去されることはない。圧力の方向を
考慮した構造のもの、また堰板、アクチユエータ
間にリンク等を用いてこれを緩和する構造のもの
もあるが、これは油圧シリンダの設置位置が下方
に制限され埋没する等の不利がある。

またいずれの場合も堰板起立時に油圧はアンロ
ーダを働かす状態にあり、アツキユムレータに蓄
圧して常に油圧を保つているため油圧ポンプは自
動操作にする必要を生じ、電力、油の消耗や管理
は容易でない。

本願考案は、これ等の欠点を解消するためなさ
れたもので、 (1) 堰板起立時には、堰板背面上位と放水路底面
間に上下２組の支持リンクを直立状態として堰
板にかゝる全荷重を支持し、油圧はロツクして
無負荷状態にする。

(2) 油圧アクチユエータの取着位置を堰板軸の水
平位置より少し下位、堰板軸の近くの放水路底
面上とし、ピストンロツドの先端は上部リンク
の上位部に軸着してストローク長を含むアクチ
ユエータの取付を可能にした。

(3) 堰板倒伏時リンクの屈折、アクチユエータの
倒伏の場合はアクチユエータが二枚組立構造の
リンクの間を通過交差して堰板下に納まるごと
くした。

ことにより目的を達成したものである。第(1)の
構造は本願の特徴であつて、保水時には圧力が最
高、堰板荷重も最大で、その時間も長い。従つて
この間油圧が無負荷になり、油圧装置をロツク状
態におくことができることは大きなメリツトで電
力、油の消費、油圧装置の消耗を少くしその生命
を永くする。また(2)(3)の考案によりこの装置は直
動型のごとく直圧を受けず分力を受けるため直動
型に比し低圧の油圧装置にて足り、作動の確実な
複動ピストン型油圧装置を用いるに適する。また
アクチユエータをピツト等を用いず放水路底面上
に設置しうることも大きな効果である。

この実施例を図について説明する。第１図にお
いて１は堰板で起立時55゜前後の仰角を有し堰底
部に設けた取付座１２に軸１１にて起伏自由に取
付けられており、その背面上部には取付座１３が
あり上部支持リンク２の先端が軸１３′により回
動自由に取付けられ、また放水路底面前部には取
付座３１があつて下部支持リンク３の先端が軸３
２により回動自由に取付けてあつて、リンク２，
３は堰板起立時一直線になる長さで２１にて両リ
ンク両端が枢軸着され屈伸自由である。またこの
両支持リンク２，３は第２図に示すが如く二枚の
組合わせ構造であつて、その間隙を油圧アクチユ
エータのシリンダ４、ピストンロツド４１が通過
しうる如く構成されている。

油圧アクチユエータは、クレピス型または底部
トラニオン型を用い放水路底面にて堰の取付座１
２の少し前部にある取着座４２に軸４２′により
起伏自由に取付けピストンロツド４１の先端は上
部支持リンク２の上位部の点２２に回動自由に軸
着されていて、堰板起立時にはピストンロツドの
外方ストロークの極点にて図示の如く支持リンク
２，３が一直線になり、油圧は無負荷でロツク状
態におくことができる。またストロークの内方極
点にて堰板は水平に倒伏しリンク２，３は第１図
鎖線にて示す如く折りたゝまれてアクチユエータ
もリンクの間隙を通つて堰板下に交差倒伏する機
構である。

アクチユエータ取付座４２の位置は、堰板倒伏
時アクチユエータ中心線と上部支持リンク２の中
心線がなす角度θが約25゜前後を保つように定め
たものであり、このθ角があまり小さいときは堰
板が倒伏位置より起昇する場合堰板の押上分力が
小さく油圧に非常に大きな力を必要としたために
特に大きな力の油圧機を必要とする等の欠点を生
ずる。

支持リンク２とピストンロツド４１の軸着点２
２は、アクチユエータの取付位置４２とその作用
長により上部リンク２の上位部に定められたもの
であるが、その他諸種の条件を勘案して選択され
たものである（リンク２の軸心でもオフセツトで
もよい）。

上述の如く、この機構にはリンクモーシヨンの
無理がなく運動がスムーズである。図中点線を丸
印にて示すものは堰板倒伏の中間におけるリンク
とアクチユエータの中心位置を示したものであ
る。また２３は支持リンク２，３の直立時の固定
ピン穴で、これを用いピンにて固定すればアクチ
ユエータを取り外し修理、手入等もできて便利で
ある。猶１４は堰板倒伏時の枕台である。

この考案の効果は既述の如く非常に大きく、堰
の管理も容易になり、底圧の油圧にて済み、電力
費油等の消耗費の節約、設備消却費の低減等に資
すること大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の堰板起立時の側面図、第
２図は同正面図である。 １……堰板、１１……堰板回動軸、１２……堰
板取付座、１３……リンク２の取付座、１３′…
…１３の回動軸、１４……堰板倒伏時の枕台、２
……上部支持リンク、２１……リンク２，３の枢
軸着部、２２……ピストンロツド先端の軸着部、
２３……支持リンクの固定ピン穴、３……下部支
持リンク、３１……同リンク取付座、４……アク
チユエータのシリンダ、４１……同ピストンロツ
ド、４２……アクチユエータ取付座、４２′……
４２の回動軸、θ……倒伏時上部支持リンクとピ
ストンロツドとの為す角度。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 堰板取付座１２の堰板回動軸１１を中心に回
   動可能にして堰板１を設け、該堰板取付座１２
   の放水路側底面の下方位置に下部リンク取付座
   ３１を設け、該取付座３１の回動軸３２を中心
   に回動可能にして比較的短い二枚組合せ構造の
   下部リンク３を設け、堰板１の背面上部位置に
   上部リンク取付座１３を設け、該取付座１３の
   回動軸１３′を中心に回動可能にして比較的長
   い二枚組合せ構造の上部リンク２を設け、該上
   部リンク２の下端と該下部リンク３の上端を回
   動軸２１によつて回動可能にして連結し、堰板
   取付座１２の若干下位の放水路底面にて堰板取
   付座１２に近い位置に油圧シリンダ用取付座４
   ２を設け、該取付座４２の回動軸４２′を中心
   に回動可能にして油圧シリンダ４を設け、該油
   圧シリンダ４のピストンロツド４１の先端は上
   部リンク２の上部位置に設けた回動軸２２を中
   心に回動可能に連結した構造の起伏堰。 (2) 第(1)項記載の起伏堰において堰板の起立状態
   では上部リンク２と下部リンク３が回動軸２１
   を中心にほゞ180゜になるようにした起伏堰。 (3) 第(1)項記載の起伏堰において堰板の水平倒伏
   状態では油圧シリンダ４が二枚組合せ上下リン
   ク２・３と交差して堰板下に位置するようにし
   た起伏堰。