JPS6213919Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は可変ピツチプロペラ等のピツチを駆動
制御するために使用される制御流体導通用多重管
の改良に関する。

可変ピツチプロペラ等の可変ピツチ型軸流式流
体機械は、第１図に示すようにそれぞれの外周に
おいて半径方向外方に突設された支持ステー１
ａ，２ａを有する内筒１と外筒２とからなる多重
筒体３が、プロペラ軸４内に遊嵌装入されてい
て、プロペラ翼５のプロペラピツチを変更するた
めのサーボ機構６を作動させるための制御流体導
通用多重管７を形成している。そして、プロペラ
翼５はプロペラハブ８を介してプロペラ軸４に一
体的に組立られ、このプロペラ軸４の一端４ａが
図示しない原動機で回転駆動されるようになつて
いる。

このプロペラ翼５のピツチ変化は、別途船体に
固定され制御流体給排手段９の各給排路９ａ，９
ｂ，９ｃより回転するプロペラ軸４に制御流体が
供給され、前記サーボ機構６の作動によつて行な
われる。例えば、前進ピツチを取る場合は、図示
しない供給源からの制御流体は給排路９ｂ、内筒
１と外筒２間の間隙部１０ｂおよび外筒２端のポ
ート１１からサーボ機構６のシリンダー６ａに供
給され、ピストン６ｂを矢符１２方向に移動させ
これに固着されたクロスヘツド６ｃおよびそのリ
ンク６ｄを介して、プロペラ翼５のピツチを変更
している。

このとき、シリンダー６ａ内の制御流体は、ポ
ート１３および内筒１の中空部１０ｃを通つて制
御流体給排手段９の給排路９ｃより、図示しない
油圧ユニツトに帰還される。そして、後進ピツチ
を取る場合は、上記と逆の経路の導通により行な
われる。

なお、プロペラハブ８とプロペラ翼５の間のシ
ール１４の圧力を補償するために、給排路９ａか
ら外筒２とプロペラ軸４の間隙部１０ａを通つて
プロペラハブ８内に重力油が供給されるようにな
つている。

このような可変ピツチ型軸流式流体機械におい
ては、プロペラ軸４の長さが数十メートルにも及
ぶ場合があり、プロペラ軸４に附随して回転する
と共に往復運動しながら制御流体を導通させる多
重筒体３は、強度や振動の面から信頼性の高いも
のが要求される。

このために、プロペラ軸４が長い場合、多重筒
体３の内筒１および外筒２に前記支持ステー１
ａ，２ａを設けると共に適当な長さに分割されて
製作されている。そして、その両端に設けられた
フランジ１５で相互の接続がなされ、第２図の拡
大図に示すようにＯリング１６，１７等によつて
完全にシールされている。

この多重筒体３の製作過程を説明すると、制御
流体を導通させる導通穴１８ａが穿設されている
と共に他の内筒１の一端部を嵌入させる嵌入部１
８ｂが刻設されているフランジ１８を一端に固着
した内筒１と、前記フランジ１８が嵌着される支
持面１５ａを内面に有するフランジ１５を両端に
固着した外筒２とを別々に製作し、内筒１を外筒
２内に支持ステー１ａの先端で外筒２の内面に案
内させるごとく挿入して多重筒体３を形成し、こ
の各多重筒体３を前記フランジ１５部においてボ
ルト１９等で接続し、プロペラ軸４に装入して制
御流体導通用多重管７を形成させている。

しかし、外筒２がプロペラ軸４内で相対的な滑
りを起しながら高速回転するので、外筒２および
内筒１が撓んで振れ回りが生じ振動が発生し易く
なる状況にある。これを回避するため、支持ステ
ー１ａおよび２ａを内筒１および外筒２に設ける
と共にこの溶接時生じる歪を解消して、内径の製
作精度がそれほど高くない外筒２と支持ステー１
ａ端との間隙精度および内径精度がかなり高いプ
ロペラ軸４と支持ステー２ａ端との間隙精度を確
保するために、支持ステー１ａ，２ａを内筒１お
よび外筒２に溶接後それぞれの先端を外筒２の内
面およびプロペラ軸４の内面との間で、現物合せ
の機械加工を行なわねばならない欠点がある。

本考案は上述の問題点を解決するためになされ
たもので、制御流体導通用多重管をユニツト化す
ることにより、支持ステーの溶接後の機械加工が
一度で済むと共に剛性の高い振動に対して有利な
制御流体導通用多重管を提供することを目的とす
る。

その特徴とするところは、半径方向外方に適数
個の支持ステーを突設させた内筒と、制御流体の
導通用貫通穴が穿設されていると共に前記内筒の
一端面の溶着接続部の半径方向外方に内筒と同心
状に設けられた外筒の溶着接続部が設けられ他端
面の中心部に他の内筒の一端が嵌入する支持部が
刻設されたフランジとから形成される内筒体と、
半径方向外方に適数個の支持ステーを突設させた
外筒と、制御流体の導通用貫通穴が穿設されてい
ると共に前記外筒の溶着接続部中心に前記内筒の
一端が嵌入する貫通穴が穿設されているフランジ
とから形成される外筒体を有し、この外筒体に前
記内筒体を装入して１ユニツトの多重筒体を構成
し、この多重筒体を相互に接続すると共に、これ
を中空の駆動軸に前記外筒の支持ステーにより案
内して同心状に装入した制御流体導通用多重管と
したことである。

以下、本考案をその実施例に基づいて詳細に説
明する。

第３図は本考案の制御流体導通用多重管２０の
要部詳細図で、内筒２１はその外面で半径方向外
方に向つて第４図に示すように突設された適数個
の支持ステー２１ａを有すると共に、その一端面
の溶着接続部２２ａにはフランジ２２が溶接固着
されている。このフランジ２２には、内筒２１の
溶着接続部２２ａの半径方向外方に内筒２１と同
心状に次後的に溶接固着される後述する外筒２４
の溶着接続部２２ｂが設けられ、他端面の中心部
に他の内筒２１が嵌入する支持部２２ｃが刻設さ
れている。加えて、この支持部２２ｃと前記溶着
接続部２２ｂの間には制御流体の導通用貫通穴２
２ｄが穿設されている。そして、前記内筒２１と
このフランジ２２とでもつて内筒体２３が形成さ
れている。

一方、外筒２４はその外面で半径方向外方に向
つて突設された適数個の支持ステー２４ａを有す
ると共に、その一端面の溶着接続部２５ａにはフ
ランジ２５が溶接固着されている。このフランジ
２５には外筒２４の溶着接続部２５ａの内方の中
心に前記内筒２１が嵌入する貫通穴２５ｂおよび
この貫通穴２５ｂと前記溶着接続部２５ａの間に
は適数個の導通用貫通穴２５ｃが穿設されてい
て、前記外筒２４とこのフランジ２５とでもつて
外筒体２６が形成されている。なお、上述した各
支持ステー２１ａ，２４ａの配置や本数は適宜選
択しうることはいうまでもない。

次に、前記外筒体２６に内筒体２３を装入する
ことによつて、１ユニツトの多重筒体２７が構成
され、この多重筒体２７を相互にボルト２８で接
続すると共に、これが中空のプロペラ軸２９内に
前記外筒２４の支持ステー２４ａで案内され同心
状に装入されている。

本考案は以上述べたように構成したので、次の
ようにして簡単に製作することができる。

先ず、支持ステー２１ａを内筒２１の外面に溶
接すると共に一端部外周にシール装着部３１を設
け、他端部をフランジ２２の溶着接続部２２ａに
溶接する。このようにして一体化された内筒体２
３に溶接による歪が生じるが、支持ステー２１ａ
の全ての先端の半径方向の突出量H1は、後程多
重筒体２７として外筒体２６と一体化されるの
で、厳格に一致させる必要はない。したがつて、
その歪が大きければ簡単な機械加工をするか、歪
が大きくなければ何らの機械加工をする必要はな
い。

次に、支持ステー２４ａを外筒２４の外面に溶
接すると共にフランジ２５のシール装着部３２が
設けられていない面の溶着接続部２５ａに外筒２
４の一端を溶接する。

そして、この外筒体２６のフランジ２５が溶接
されていない外筒２４の他端部から、前記内筒体
２３の内筒２１を支持ステー２１ａにより案内さ
せながら外筒体２６のフランジ２５に設けられた
貫通穴２５ｂに内筒２１の端部が貫入するまで装
入する。そして、フランジ２２の溶着接続部２２
ｂを外筒２４の他端部に当接させた後、溶着接続
部２２ｂで溶接すると共に、前記貫通穴２５ｂに
おいてもフランジ２５と内筒２１を溶接して多重
筒体２７を組立てる。

このようにして一体化された外筒体２６に溶接
による歪が生じるので、内径精度のかなり高いプ
ロペラ軸４内に装入されかつ作動中その中で相対
滑り運動を可能にするために、支持ステー２４ａ
の全ての先端の半径方向の突出量H2をできるだ
け一致させる必要がある。そこで、この溶接歪を
除去するために、多重筒体２７の状態で支持ステ
ー２４ａの先端部およびフランジ２２，２５の接
続面を機械加工する。

このような多重筒体２７を必要数製作し、内筒
２１の端部およびフランジ２５のシール装着部３
１，３２にＯリング３１ａ，３２ａをそれぞれ挿
入した後ボルト２８により多重筒体２７を接続す
る。

このように接続された多重筒体２７をプロペラ
軸２９の端部から、前記外筒体２６の外筒２４に
突設された支持ステー２４ａにより案内させなが
ら図示しないサーボ機構に接続し、その後図示し
ないプロペラハブやプロペラ翼を装着すると、可
変ピツチプロペラ等の可変ピッチ型軸流式流体機
械の制御流体導通用多重管２０として組立てが完
了する。

以上のようにして製作された可変ピツチ型軸流
式流体機械は、従来例のところで述べたような要
領でもつて制御流体を導通させ、プロペラピツチ
を適宜変更することができる。

第５図は制御流体導通用の間隙部を３個所保有
する多重筒体３３の実施例である。これは、前記
実施例における内筒体２３の内筒２１内にもう１
つの内筒３４を同心状に設けたものである。そし
て、フランジ２２の前記貫通穴２２ｄの内方には
同様の貫通穴２２ｅが、また前記支持部２２ｃの
内方にはもう１つの支持部２２ｆが設けられてい
る。

一方、内筒２１の他端部内には内筒３４を支持
固定するための面板３５が挿入固着されていて、
この面板３５には前記貫通穴２２ｅに連通する貫
通穴３５ａが穿設されている。なお、この多重筒
体３３の組立要領は前記多重筒体２７と異なると
ころはない。

以上２つの実施例の制御流体導通用多重管２０
は、可変ピツチプロペラ等の可変ピツチ型軸流式
流体機械を例にして説明したが、これに限らず同
等の機能を有する流体導通装置に適用することが
できるのは述べるまでもない。

本考案は以上詳細に説明したように、半径方向
外方に適数個の支持ステーを突設させた内筒と、
制御流体の導通用貫通穴が穿設されていると共に
前記内筒の一端面の溶着接続部の半径方向外方に
内筒と同心状に設けられた外筒の溶着接続部が設
けられ他端面の中心部に他の内筒の一端が嵌入す
る支持部が刻設されたフランジとから形成される
内筒体と、半径方向外方に適数個の支持ステーを
突設させた外筒と、制御流体の導通用貫通穴が穿
設されていると共に前記外筒の溶着接続部中心に
前記内筒の一端が嵌入する貫通穴が穿設されてい
るフランジとから形成される外筒体を有し、この
外筒体に前記内筒体を装入して１ユニツトの多重
筒体を構成し、この多重筒体を相互に接続すると
共に、これを中空の駆動軸に前記外筒の支持ステ
ーにより案内して同心状に装入したので、支持ス
テーの溶接後の支持ステーの先端およびフランジ
接続面の機械加工が一度で済み少数の部品点数で
かつ製作の最終工程での組立て個所も少なくな
る。また、剛性の高い振動に対して有利な多重筒
体が可能となり、加えて、この多重筒体を一本の
管のごとく取扱うことができると共に、これらを
多数接続することにより長尺な剛性の高い制御流
体導通用多重管とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は可変ピツチプロペラ等の可変ピッチ型
軸流式流体機械の従来の制御流体導通用多重管の
断面図、第２図はその要部図、第３図は本考案の
制御流体導通用多重管の断面図、第４図は第３図
の−線断面図、第５図は異なる実施例の制御
流体導通用多重管の要部断面図である。 ２０……制御流体導通用多重管、２１，３４…
…内筒、２１ａ，２４ａ……支持ステー、２２，
２５……フランジ、２２ａ，２２ｂ，２５ａ……
溶着接続部、２２ｃ，２２ｆ……支持部、２２
ｄ，２２ｅ，２５ｂ，２５ｃ……貫通穴、２３…
…内筒体、２４……外筒、２６……外筒体、２
７，３３……多重筒体、２９……プロペラ駆動
軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 半径方向外方に適数個の支持ステーを突設させ
   た内筒と、制御流体の導通用貫通穴が穿設されて
   いると共に前記内筒の一端面の溶着接続部の半径
   方向外方に内筒と同心状に設けられた外筒の溶着
   接続部が設けられ他端面の中心部に他の内筒の一
   端が嵌入する支持部が刻設されたフランジと、か
   ら形成される内筒体と、 半径方向外方に適数個の支持ステーを突設させ
   た外筒と、制御流体の導通用貫通穴が穿設されて
   いると共に前記外筒の溶着接続部中心に前記内筒
   の一端が嵌入する貫通穴が穿設されているフラン
   ジと、から形成される外筒体を有し、 この外筒体に前記内筒体を装入して１ユニツト
   の多重筒体を構成し、この多重筒体を相互に接続
   すると共に、これを中空の駆動軸に前記外筒の支
   持ステーにより案内して同心状に装入したことを
   特徴とする制御流体導通用多重管。