JPS6155009B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、船舶ボイラで燃焼することにより廃
油を処分することのできる、船舶ことに石油タン
カーでの廃油の処理装置及び方法に関するもので
ある。

（従来の技術） 廃油および油スラツジは船舶に大量に蓄積する
ことがあり、海中への油廃棄を禁止する環境基準
のため簡単な船上処分方法に対する要望が存在す
る。処分すべき廃棄物は遠心分離機からの比較的
水分含量の多い油スラツジ；主機関もしくは補助
機関からの廃潤滑油；清掃用エアベルトもしくは
ピストン底部ドレインから排出されかつ炭素もし
くはその他微粒物を含有する油あるいは含油水ビ
ルジセパレータから掬取された油が包含される。

（発明が解決しようとする問題点） 今日まで、この廃油は船上に保持され、そして
それを取り扱いかつ処分する装置を備えた港にお
いて排出されねばならなかつた。或は、比較的高
価な焼却炉を船上に装備せねばならなかつた。

（問題点を解決するための手段） 今回、上記のあらゆる形態の油は、適当に処理
されかつ取り扱われたものならば、標準油燃焼装
置のみを使用する現在の船舶ボイラの主炉中で燃
焼させることにより処分できることが見出され
た、かくして、各種船舶、特にタンカーの船舶ボ
イラで処分しうる廃油の処理および取り扱い装置
が設計された。

本発明によれば、廃油入口および燃料油入口を
有するタンクと、このタンク内の加熱器および撹
拌機と、油吸収フイルタに接続された底部近くの
出口とを備えたタンクにおいて、タンクは船舶の
任意適当な場所に配置され、タンク底部近くから
循環ポンプとスプリング装着弁とを介して船舶ボ
イラ燃料供給路近くよりタンク頂部に至る外部パ
イプと、この外部パイプから高圧の船舶ボイラ燃
料供給路に至る分枝パイプとを備え、前記循環ポ
ンプは外部パイプおよびタンク内の廃油が分離、
沈澱するのを防止し、かつ前記スプリング装着弁
は任意船舶ボイラの油圧ポンプのヘツド圧に打勝
つことのできる背圧を循環ポンプ、外部パイプお
よび分枝パイプにかけるものであることを特徴と
する廃油を任意の船舶ボイラ中で燃焼させるのに
適した船舶上の廃油処理装置が提供される。

また、本発明は、タンク中の廃油を大気温度よ
り高く保つて水を分離させ、出口および油吸収フ
イルタを通して水を取出し、残存する油には必要
に応じて燃料油を加え、タンク内容物を撹拌して
非溶解固形物と液体とを懸濁および分散させ、撹
拌を止め、外部パイプを通してタンク内容物を循
環ポンプにより循環して外部パイプおよびタンク
内の廃油を乳化状態に保持し、このパイプ経路内
のスプリング装着弁を調節して循環ポンプに背圧
を加えて各種高圧の任意の船舶ボイラ燃料供給路
に廃油を放出可能とすることを特徴とする廃油を
船舶ボイラ中で燃焼させるに適した船舶上で廃油
を処理する方法を包含する。

（発明の効果） 本発明の廃油処理装置および方法は、適当なボ
イラを有する任意の船舶で使用することができ
る。モータ駆動の船舶でさえ付帯装置駆動用のボ
イラを有すると思われるが、本装置及び方法の好
適使用は比較的強力なデイーゼルエンジンで駆動
されるモータ船についてである。エンジン用とし
て燃料を処理するには、通常遠心分離機が使用さ
れ、これにより約１％のスラツジを除去し、次い
でこの処理燃料油に本発明によつて廃油を圧入し
て燃焼処理することができる。廃油処理タンクは
任意船舶の便利な適当な場所に設置でき、そこか
ら燃料供給路に配管して処理目的が達成され、従
来の専用処理ボイラを備えた廃油処理装置に比較
すると、装置コスト及び設置コストが大幅に節減
可能とされると共に燃焼管理が簡便となる利益が
得られる。

（実施例） 以下、本発明を、廃油処理装置を示す添付図面
によつて更に説明する。

図面において、装置は弁付き廃油入口２と弁付
き燃料油入口３と大気中へのガス抜きパイプ４と
を備えたタンク１からなり、タンク１は目的船舶
に求められる適当な場所に設置してよい。加熱用
コイルにはパイプ６を介して水蒸気を供給する。
底部近くの弁付き出口７は、油吸収材を含むフイ
ルタ８に通ずる。タンクは、モータ１０で駆動さ
れる撹拌機９を有する。パイプ１１はタ底部から
循環ポンプ１２およびスプリング装着弁１３を介
して船舶ボイラ燃料供給路近くよりタンク頂部に
通じ、かつパイプ１１からの分枝パイプ１４は船
舶ボイラにおける燃料油の主供給路１５に通じ、
前記供給路１５は慣行によればフイルタ１６とポ
ンプ１７を有する。

操作に際しては廃油を入口２を介してタンク中
にポンプ輸送し、コイル５により供給された熱の
影響下で静置させる。温度は明らかに100℃を越
えてはならず、50〜80℃にするのが好適である。
この加熱は、廃油の流動性を増大させかつタンク
底部に集まる水の分離を促進するために望まし
い。或る時間（典型的には２〜６時間）加熱およ
び静置した後、遊離水をタンク底部から排水し、
油吸収材を含む濾過機８を通す。遊離水のみを排
水する。即ち、油滴が現れ始めた時、排水を止め
る。フイルタを出る水は殆ど油を含まないのでビ
ルジに戻し、通常の含油水ビルジセパレータを介
して最終的に船外に出す。フイルタ中に蓄積する
油は総て回収し、タンク中に戻すことができる。

遊離水を排出した後、入口３を介して燃料油を
タンク中に残存する廃油に加えることができる。
燃料の添加量は、処理される廃油の性質ならびに
加える燃料油の粘度およびカロリー値に依存す
る。加熱は、燃料油添加の間ならびに後の撹拌お
よび循環の間も維持することができる。

一般に燃料油の添加量は、廃油の単位容量当た
り１〜２倍量とすることができる。面倒なスラジ
を分解しまたは良好な燃焼を促進するためには必
要に応じて任意の段階で添加物をタンク中に導入
することができる。使用しうる添加物の種類には
流動改良剤、乳化剤、煙抑制剤、沈降改質剤およ
び腐食防止剤が含まれる。

タンク中の廃油と燃料油との混合内容物を、次
いで高剪断性能を有する撹拌機９によつて均質化
および乳化させる。タンク中の良好な循環を促進
するために、補助翼１８を撹拌機軸に装着するこ
ともできる。撹拌過程の際に、或る時間間隔を置
いて遊離水含量、粘度および許容しえない粒子寸
法について簡単な試験を行い、ボイラに付設した
標準燃焼装置において混合物を燃焼するのに適し
た時期を決定することができる。通常の種類の廃
油については、撹拌時間を１〜３時間とすること
ができる。

許容しうる品質に達したら、撹拌機９を止め、
循環ポンプ１２を始動する。このポンプは、乳化
および混合特性を有する種類のものであつて、タ
ンク底部からパイプ１１を介して取り出し、スプ
リング装着弁１３を介してタンク頂部に放出す
る。かくして、船舶任意位置に設置されたタンク
１と船舶ボイラ燃料供給路１５との間に配管され
たパイプ１１内の廃油の分離、沈澱を防止するこ
とができる。

スプリング装着弁１３は充分な大きさの背圧を
循環ポンプにかけて油を分枝パイプ１４に流入せ
しめることができるように調節され、かくして船
舶ボイラの油圧ポンプ装置入口の燃料供給路１５
におけるヘツド圧に打ち勝つことができる。処理
した廃油は次いでボイラ用の船舶供給タンクから
の通常の供給燃料に混合することができ、或はそ
のままでボイラ用燃料として使用することさえで
きる。パイプ１１を介する循環割合は船舶、廃油
の種類及びタンク１の大きさに応じて大幅に変化
させることができる。例えば、この割合は80〜
200／分、とすることができる。分枝パイプ１
４を介する取り出し割合はボイラの消費割合に依
存し、船舶に応じてまた時期に応じて大幅に変化
させることができる。

接続１９を設けて、船舶の下水及び厨房廃棄物
処理系統からの下水および微細有機厨房廃棄物を
収容することができる。これら廃棄物は、必要に
応じて、船舶サービスタンクからの通常のボイラ
用燃料供給に混合するため廃油で処理することが
できる。

特定例において、タンク１は容量1000を有し
た。燃料と潤滑油の遠心分離機から出る廃油と水
とをタンク中にポンプ搬入し、60℃で４時間静置
させた後、分離水を排水した。次いで廃油の容量
と等容量の燃料油を1800秒かけて加え、混合物を
３時間撹拌した。撹拌機はビーター・シルバー社
のものであつて特殊の切断／崩壊用ヘツドを有
し、7.5馬力モータにより3600rpmで回転する。
粘度がレツドウツド１において約600秒（60℃）
に達したとき撹拌を止め、混合物をスプリング装
着弁１３における背圧３気圧に抗して160／分
の速度で循環させる。循環ポンプは内サイクロシ
ド型のものであつて、エフ・エー・ヒユー社のモ
ノ型SH60R6である。混合物を26〜17／分の速
度で船舶ボイラ系統に供給し、燃料油15〜100容
量％で生成した混合物をボイラに供給した。廃油
を含有する燃料についてのボイラ燃焼を３時間45
分続けたが、ボイラ又はバーナにおいて何等の障
害又は沈積物の蓄積も生じなかつた。

長期間の試験において、第１図に示した装置
を、就航石油タンカー上で11カ月間使用した。タ
ンカーは25000重量トンであり、主推進エンジン
はソシエテ・アノニム・コケリル（ベルギー）社
製の低速デイーゼルエンジンであり、高粘度油
（レツドウツドNo.1において37.78℃で最大3.500
秒）で稼動する。消費燃料の0.5〜1.0％であるエ
ンジン室から発生する廃油の全量を第１図に示し
た装置に通して、水蒸気発生主ボイラ中で燃焼さ
せた。この主ボイラは二重圧力水管式のものであ
り、１次セクシヨンの炉において高粘度油（レツ
ドウツドNo.1において37.78℃で最大3.500秒）を
燃焼する。バーナは水蒸気補助圧式ジエツトバー
ナであつて30バールまでの燃料圧力で作動し、ま
たボイラは２個の主バーナと１個のパイロツトバ
ーナとを有し、毎時2360Kgの燃料を燃焼しながら
毎時27.5トンの最大水蒸気発生量を与えるもので
あつた。

11カ月の操作の間、廃油燃焼の結果として何等
の付加的保守を要しなかつた。ボイラチユーブ、
バーナ及び記録計の障害は通常のものより悪くな
く、またバーナ先端の消耗及び燃料フイルタの閉
塞は認められる程増大しなかつた。その期間中、
ボイラにおいて煉瓦も耐火材も殆ど劣化しなかつ
た。

上記は単なる例示であり、本発明の装置は任意
の型のボイラ及び任意の型のバーナ（例えばスピ
ニングカツプバーナ）を用い、中乃至高粘度燃料
を燃焼して使用するのに適していると思われる。

【図面の簡単な説明】

第１図は廃油処理系統を示す図面である。 １……タンク、２……廃油入口、３……燃料油
入口、４……排気パイプ、５……加熱用コイル、
６……フイルタ、７……出口、８……フイルタ、
９……撹拌機、１０……モータ、１１……パイ
プ、１２……循環ポンプ、１３……スプリング装
着弁、１４……分枝パイプ、１５……燃料油供給
路、１６……フイルタ、１７……ポンプ、１８…
…補助翼、１９……接続部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 廃油入口および燃料油入口を有するタンク
   と、このタンク内の加熱器および撹拌機と、油吸
   収フイルタに接続された底部近くの出口とを備え
   たタンクにおいて、タンクは船舶の任意適当な場
   所に配置され、タンク底部近くから循環ポンプと
   スプリング装着弁とを介して船舶ボイラ燃料供給
   路近くよりタンク頂部に至る外部パイプと、この
   外部パイプから高圧の船舶ボイラ燃料供給路に至
   る分枝パイプとを備え、前記循環ポンプは外部パ
   イプおよびタンク内の廃油が分離、沈澱するのを
   防止し、かつ前記スプリング装着弁は任意船舶ボ
   イラの油圧ポンプのヘツド圧に打勝つことのでき
   る背圧を循環ポンプ、外部パイプおよび分枝パイ
   プにかけるものであることを特徴とする廃油を任
   意の船舶ボイラ中で燃焼させるのに適した船舶上
   の廃油処理装置。 ２ タンク中の廃油を大気温度より高く保つて水
   を分離させ、出口および油吸収フイルタを通して
   水を取出し、残存する油には必要に応じて燃料油
   を加え、タンク内容物を撹拌して非溶解固形物と
   液体とを懸濁および分散させ、撹拌を止め、外部
   パイプを通してタンク内容物を循環ポンプにより
   循環して外部パイプおよびタンク内の廃油を乳化
   状態に保持し、このパイプ経路内のスプリング装
   着弁を調節して循環ポンプに背圧を加えて各種高
   圧の任意の船舶ボイラ燃料供給路に廃油を放出可
   能とすることを特徴とする廃油を処理する方法。 ３ タンク中の温度は50〜80℃である特許請求の
   範囲第２項記載の廃油を処理する方法。 ４ 撹拌および循環に先立つて廃油容量の１〜２
   倍容量の燃料油を加える特許請求の範囲第２項ま
   たは第３項記載の廃油を処理する方法。