JPS6153594B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電所建屋における原子炉格納
容器用配管挿着部の構造に関する。

たとえば高速増殖炉の建屋は第１図に示したよ
うな構造になつている。図示してない原子炉容器
を収納する原子炉建物１の周囲を格納容器２で包
囲し、さらに格納容器２の全体を外部建物３で覆
つている。そして外部建物３の周囲には補助建物
４が設けられている。原子炉建物１内は不活性ガ
ス雰囲気に、また格納容器２は空気雰囲気にそれ
ぞれ維持されている。さらに原子炉建物１と補助
建物４との間には一点鎖線の円で示したように貫
通部５が設けられ、この貫通部５内にはプロセス
配管６が挿通されて、原子炉建物１内の冷却材な
どを外部へ導出させたり、また外部から内部へ流
入させるための配管が設けられている。

原子力発電所の格納容器は事故が万一生じても
汚染物質が外部環境に漏出しないような格納機能
を有している。

ところで、貫通部５におけるプロセス配管６に
は約500℃の高温度のプロセス流体たとえば液体
金属ナトリウムが流れ、温度上昇を抑えるために
プロセス配管６の外周面を保温材で保温し、かつ
その保温材の外周面に保護スリーブを設け、この
保護スリーブに冷却管を巻回したり、または二重
管構造として外部から冷却油を供給して強制冷却
している。またプロセス配管６を貫通する建物の
コンクリートは耐熱性にするなどしているために
経済的にコスト高となることが免れなかつた。

本発明は上記事情にかんがみてなされたもの
で、原子力発電所の格納容器に万一故障が生じて
も汚染物質が外部環境に漏出することがなく、特
にプロセス配管の保護スリーブの温度上昇を簡単
な構造によつて抑えることができる原子炉格納容
器用配管貫通部の構造を提供することにある。

すなわち、本発明は原子炉容器を収納する原子
炉建物と、この原子炉建物を包囲する原子炉格納
容器と、この格納容器を包囲する外部建物と、こ
れら３者の側壁面にそれぞれ設けられた貫通孔
と、これら貫通孔間を貫挿し前記原子炉建物から
外部建物間を気密に連通するスリーブと、このス
リーブ内に挿通されたプロセス配管と、前記原子
炉建物および外部建物にそれぞれ設けられた貫通
孔の対向面の角部が相互に向き合うように傾斜し
て切欠された切欠部とを具備してなることを特徴
とする原子炉格納容器用配管貫通部の構造であ
る。

以下、第２図を参照しながら本発明の一実施例
を説明する。第２図は本発明の要部のみを拡大し
て示してあり、他の部分は第１図とほぼ同様であ
るために省略してある。

第２図において、原子炉格納容器１０は、その
内側に原子炉建物１１を内包し、その外側を原子
炉外部建物１２で覆われている。原子炉建物１１
と、外部建物１２を連絡するプロセス配管など
は、貫通部１３の構造によつて原子炉格納容器１
０を気密に貫通している。

高速増殖炉発電プラントの場合には原子炉格納
容器１０の内部は通常、床下を窒素ガスなどの不
活性ガスで満した床下雰囲気とし、床上を空気と
した床上雰囲気としている。原子炉を冷却する系
統機器は主として床下雰囲気内に設置されてい
る。原子炉外部建物１２内は通常空気雰囲気であ
る。格納容器１０を貫通するプロセス配管２１は
フルードヘツト２２により、格納容器スリーブ２
４に接続されている。プロセス配管２１と格納容
器スリーブ２４との間には、プロセス流体が漏出
したとき該スリーブ２４に悪影響を与えないよう
に保護スリーブ２５が介在され、プロセス配管２
１と保護スリーブ２５の間には保温材２６が設け
られている。格納容器スリーブ２４の両端には延
長スリーブ２７が接続されている。原子炉建物１
１および外部建物１２側に延長された延長スリー
ブ２７には、原子炉建物１１、格納容器１０、外
部建物１２およびプロセス配管２１などが地震な
いしはプロセス流体による熱膨張などで変位を生
じても、その相対変位を吸収するために複数個の
ベロー２８が介在され、接続されている。

原子炉建物床下雰囲気は不活性ガスであるた
め、原子炉建物１１の内面にはライニング層２９
が施されている。そして、ライニング層２９およ
び外部建物１２の端面と延長スリーブ２７の両端
にはそれぞれシール部材３０，３２が設けられて
気密に保持されている。原子炉格納容器１０と外
部建物１２との間のアニユラス部３１は通常負圧
に保持されている。また、原子炉建物１１の貫通
孔１４と外部建物１２の貫通孔１５の内面角部に
はそれぞれ傾斜した切欠部１６，１７が形成され
ている。これら切欠部１６，１７は相互に向き合
つてハの字形に形成される。さらに外部建物１２
の外面から前記切欠部１７にわたつて導通孔１８
が設けられ、この導通孔１８によつて外部建物１
２からアニユラス部３１へ空気が導入される。

しかして、上記構成において、原子炉格納容器
の貫通部１３の構造は、プロセス配管２１が高温
の場合、格納容器スリーブ２４と延長スリーブ２
７の温度を低く抑えることができる。

すなわち、アニユラス部３１と原子炉格納容器
１０および原子炉建物１１で挾まれた細長い隙間
１９とは上下に十分な空気層の高さになつて、矢
印で示したように空気が流通し、自然循環流を誘
起させるには望ましい構造になつている。つま
り、本発明では、格納容器スリーブ２４および延
長スリーブ２７の冷却効果を高めるべく原子炉格
納容器１０内の延長スリーブ２７附近の原子炉建
物１１と外部建物１２に切欠部１６，１７を設け
ることによつて自然循環流が格納容器スリーブ２
４および延長スリーブ２７を全体にわたつて冷却
し、温度を低くすることができる。なお、従来例
では、切欠部１６，１７が設けられておらず、相
互に90゜の貫通孔であるために、自然循環流の発
生は生じていなかつたので、特別な冷却装置を必
要としていた欠点があつたのに対し、本発明では
切欠部１６，１７および導通孔１８を設けること
により、従来例の欠点を解消している。

第３図は本発明の他の実施例を示したもので、
第２図と同一部分は同一符号で示し、重複する部
分の説明を省略する。

第３図が第２図と異なる点は、格納容器スリー
ブ２４と延長スリーブ２７の表面にそれぞれフイ
ン３３を設けたことにある。フイン３３の形状は
冷却効果が大きく、かつ格納容器貫通部１３の構
造を阻害しなければ、とくに形状に限定されるも
のではない。

しかして、第３図においてはフイン３３の冷却
効果によつて、各スリーブの温度上昇を一層抑え
ることができる。

なお、第２図および第３図に示したアニユラス
部３１は、周囲の雰囲気よりも負圧に保持するた
めに、負圧維持の条件を阻害しない範囲内で外部
建物１２のシール部材３２近傍に細長い導通孔１
８を設けることによつて、延長スリーブ２７を一
層効果的に冷却することができる。

以上説明したように、本発明に係る原子炉格納
容器貫通部の構造は、格納容器貫通部の温度上昇
を防止するために切欠部を設けて空気の自然循環
冷却を利用し、また外部建物からアニユラス部に
空気を導入し、さらにスリーブにフインを設けて
いる。したがつて、従来例のように油冷却による
強制循環冷却装置を必要としないために、信頼性
が高く、より健全なものを提供することができ
る。

なお、本発明は、上記実施例に限定されるもの
でなく、原子炉建物から外部へ導出されるプロセ
ス配管の冷却に適用できるので、各建物および格
納容器の形状などに制限されないことはもちろん
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の原子炉格納容器の貫通部構造を
説明するための概略的な断面図、第２図および第
３図は本発明に係る原子炉格納容器貫通部の構造
のそれぞれの実施例の要部を拡大して示す縦断面
図である。 １０……原子炉格納容器、１１……原子炉建
物、１２……原子炉外部建物、１３……貫通部、
１４，１５……貫通孔、１６，１７……切欠部、
１８……導通孔、２１……プロセス配管、２４，
２７……スリーブ、３０，３２……シール部材、
３１……アニユラス部、３３……フイン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原子炉容器を収納する原子炉建物と、この原
   子炉建物を包囲する原子炉格納容器と、この格納
   容器を包囲する外部建物と、これら３者の側壁面
   にそれぞれ設けられた貫通孔と、これらの貫通孔
   間を貫挿し前記原子炉建物から外部建物間を気密
   に連通するスリーブと、このスリーブ内に挿通さ
   れたプロセス配管と、前記原子炉建物および外部
   建物にそれぞれ設けられた貫通孔の対向面の角部
   が相互に向き合うように傾斜して切欠された切欠
   部とを具備してなることを特徴とする原子炉格納
   容器用配管貫通部の構造。 ２ 前記可撓性スリーブの外側面にフインを設け
   てなることを特徴とする特許請求の範囲第１項記
   載の原子炉格納容器用配管貫通部の構造。 ３ 前記外部建物の貫通孔に連通する外気導通孔
   を設けてなることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載の原子炉格納容器用配管貫通部の構造。