JPS6152224B2 - - Google Patents

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JPS6152224B2
JPS6152224B2 JP1984480A JP1984480A JPS6152224B2 JP S6152224 B2 JPS6152224 B2 JP S6152224B2 JP 1984480 A JP1984480 A JP 1984480A JP 1984480 A JP1984480 A JP 1984480A JP S6152224 B2 JPS6152224 B2 JP S6152224B2
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JP
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thermal expansion
alloy
coefficient
alloys
amorphous
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JP1984480A
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Takeshi Masumoto
Kiwamu Shirakawa
Shigehiro Oonuma
Kyoyuki Esashi
Masateru Nose
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Proterial Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、鉄族元素とジルコニウムを基本成分
として含有する低熱膨張係数を有する非晶質合金
に関する。 従来低膨張係数を有する合金として結晶質のイ
ンバー(Ni約36wt%、Fe約64wt%)や、スーパ
ーインバー(Ni約32wt%、Co約5wt%、Fe約
63wt%)あるいはステンレスインバー(Co約
54wt%、Cr約9.5wt%、Fe約36.5wt%)が主とし
て用いられている。これらの合金はキユーリー温
度(以下キユーリー温度をTcと記載する)以下
の温度で正の大きな自発体積磁歪をもつために熱
膨張係数が一般の金属の数分の1以下に低下する
ことを利用している。 しかるにこれら結晶質インバー合金は、機械的
強度、特に引張強度や硬度が低く、その向上のた
めには、冷間加工による加工率を増すなどして使
用しなければならない難点がある。しかしこの冷
間加工によつて熱膨張係数に異方性が生ずるいわ
ゆる△α効果が発生するなどの不利があり、この
点に未解決の問題が残されていた。 また、従来の結晶質インバー合金は液体窒素温
度までに相変態があるために低温領域ではインバ
ー特性を示さない。一方、Tcが比較的低いため
に100℃以上の高温では良好なインバー特性を示
さなくなるなどの欠点を持つている。 低熱膨張係数を有する合金としては、前述のイ
ンバー系合金の他にFe−Pd合金、Fe−Pt合金や
Cr基合金などもあり、いずれも膨張係数の点で
は優れた特性を示すが、前2者は貴金属を主成分
として含有するため価格が非常に高く、また後者
は加工性に劣るという欠点がある。 一般に低膨張係数合金は主として計測材料、電
磁材料、制御機器材料などとして細線または薄板
状で用いられることが多いが、現存の結晶質イン
バー合金は比較的展延性に富むものの鋳塊から所
要厚みの薄板とするまでに多段階の加工や熱処理
を行なう複雑な製造工程を必要としており、それ
らに要する燃料費、電力費も多大なものとなる。 一方、Fe−B系非晶質合金は広い温度範囲で
優れたインバー特性を示すことが知られている
が、Fe−B2元系非晶質合金は耐蝕性、耐熱性に
劣り、これらの性質を改善するために、Fe,B
以外の元素を添加すると急激にインバー特性が低
下するという欠点があつた。 本発明は、従来実用されている結晶質インバー
合金に比べて、広範な温度範囲で、極めて低い熱
膨張係数を有し、しかも既に知られているFe−
B系非晶質インバー合金が持つ問題点をも同時に
解決した非晶質合金を提供することを目的とする
ものであり、原子%でZr8〜14%と残部Feよりな
る非晶質合金、あるいは前記合金においてFeの
一部をCo,Niのうちいずれか1種又は2種で置
換してなる非晶質合金を基本組成とする低熱膨張
係数を有する非晶質合金に関するものである。 次に本発明を詳細に説明する。 通常の固体の金属、合金は結晶状態であるが液
体より超急冷(冷却速度は合金の組成に依存する
が、およそ104〜106℃/秒である)もしくはスパ
ツタ法等により気相より超急冷すれば、液体に類
似した周期的原子配列を持たない非結晶構造の固
体が得られ、このような金属は非晶質金属あるい
はアモルフアス金属と呼ばれる。一般にこの種の
金属は2種以上の元素からなる合金であり、通常
遷移金属元素と半金属元素の両者の組み合わせ
(半金属量は約10〜30原子%)、あるいは原子半径
が異なる2種又は3種以上の遷移金属元素の組合
わせよりなる。 前記Fe−B系非晶質インバー合金は、半金属
の1つであるBを非晶質形元素として8〜30原子
%含み、前者すなわち遷移金属元素と半金属元素
の組み合わせよりなる非晶質合金の1種である。 一方、本発明は本質的に後者、すなわち遷移金
属である鉄族元素とジルコニウムからなる非晶質
合金であり、すでに本発明者らが特願昭54−
43838号により上記鉄族元素とジルコニウムを含
む各種非晶質合金中その一部が強磁性を有するこ
とを新規に知見して特許出願した。 さらに本発明者らは上記鉄族元素とZrを含む非
晶質合金について種々の開拓的研究と発明をな
し、特願昭54−108078号、同54−146390、同54−
160758により特許出願した。特に特願昭54−
108078号においては合金の一部が高い磁束密度と
小さい磁歪を有した優秀な磁気特性の他に広い温
度範囲にわたつて熱膨張係数が5×10-6以下とい
う小さな値を有することを新規に知見し特許出願
した。 本発明者らは、上記鉄族元素とZrを含む非晶質
合金に関しさらに研究を行つた結果、上記鉄族元
素とジルコニウムを主成分とし、必要により特定
の副成分を含有する非晶質合金が極めて広範な温
度領域で非常に低い熱膨張係数を有することを新
規に知見して本発明を完成するに至つた。 本発明の非晶質合金ならびに比較例として、既
に知られているFe−B系非晶質合金及び結晶質
インバー合金の数例について熱膨張係数と硬度を
第1表に示す。なお第1表のNo.3合金については
300℃×1hr真空中で焼鈍したが、後述するように
焼鈍温度は300℃が最適であるからである。 第1表においてNo.1〜No.21の合金は本発明の熱
膨張係数の低い非晶質合金であり、No.22〜27は比
較例である。比較例のうちNo.22〜24は発明者の一
人が既に特開昭53−147604号によつて開示した
Fe−B系非晶質合金であり、No.25〜27は従来の
結晶質インバー合金である。
【表】 本発明合金中、Ni,Coを含まない合金(第1
表No.1,No.7〜9)はキユーリー温度Tcが−30
℃〜+80℃と比較的低いため高温での熱膨張係数
は大きいが−100℃〜+50℃の温度領域における
熱膨張係数は比較的低く、特に−100℃〜0℃の
温度領域においてNo.1,No.7,No.9の合金は負の
値を有している。 またCo,Niを含む合金(第1表No.2〜6、No.
10〜21)は−100℃〜+300℃の広い温度範囲で低
い熱膨張係数を有し、例えばNo.4の本発明合金と
No.25の結晶質Fe−Niインバー合金を比較する
と、No.4の合金の熱膨張係数の絶対値は室温付近
で、No.25の合金のそれに比べて1/4以下と小さ
く、しかも広い温度範囲でその値がほとんど変化
しないという優れたインバー特性を有しているこ
とが判り、No.22のFe−B系非晶質合金と比べて
も同等あるいはそれ以上のインバー特性を有する
ことが判る。 またNo.6の本発明合金は熱膨張係数が−13×
10-6(室温付近)と負の大きな値を示し、この値
はNo.27のFe−pt合金に匹敵する値であり、非常
に高価なFe−Pt合金に代わりうる材料として新
規に知見されたものである。 また、Fe−B2元系非晶質合金は耐蝕性あるい
は耐熱性が低く、これらの特性はFe,B以外の
第3元素の添加により改善されるが、例えばNo.24
のFe−B−Co合金のごとく熱膨張係数が急激に
増大するという欠点がある。一方本発明合金はNo.
10〜21にみられるように、鉄族元素およびZr以外
の元素を5〜10%程度添加しても合金の熱膨張係
数はほとんど変化しないことが判る。このことは
また本発明合金の他の大きな特長である。 また第1表中No.3およびNo.5合金に見られるご
とく、必要により溶融状態から超急冷して得られ
た本発明の非晶質合金をさらに結晶化温度未満の
温度で焼鈍した後、急冷あるいは徐冷することに
よつても本発明の低膨張係数を有する非晶質合金
を得ることができる。この場合焼鈍雰囲気は非酸
化性あるいは真空とすることは有利である。 前記本発明の合金の結晶化温度はその成分組成
によつて異なるが、大凡400〜600℃の範囲内にあ
り、結晶化温度以上の温度で焼鈍すると結晶化し
て、熱膨張係数は急激に増大する。前記焼鈍なら
びにそれに続く急冷あるいは徐冷は急冷凝固時の
歪を除去させ、熱膨張特性を安定化させる効果が
あり、このような熱処理は特に100℃乃至結晶化
温度未満の温度範囲に1分乃至500時間保持する
ことによりさらにすぐれたインバー特性を有する
本発明の合金を得ることができる。 次に本発明合金を研究データに基づいて説明す
る。以下で説明するすべての合金は溶融状態から
超急冷し凝固させて非晶質化したもので、第1図
aに示す片ロール法によつて得た幅約2mm、厚さ
約20μmのテープ状試料である。 先ず本発明合金の熱処理と熱膨張特性との関係
について説明する。 例えば第1表No.2のFe72Co18Zr10非晶質合金の
リボン状試料を用いて種々の熱処理をそれぞれ施
した後、熱膨張係数を測定した結果を第2表に示
す。
【表】
【表】 同表に示すごとく、急冷状態では、
Fe72Co18Zr10非晶質合金の熱膨張係数は室温付近
で−0.55×10-6と負の値を示し熱膨張係数が±
1.0×10-6以内である温度範囲は−100℃〜+200
℃と比較的狭い。しかし、適切な熱処理を施すこ
とより、室温付近の熱膨張係数の絶対値を小さく
することができ、しかも熱膨張係数が前記範囲内
にある温度範囲は広くなることがわかる。特に合
金番号2−3は300℃の真空中で1時間加熱後徐
冷したものであり、−100℃〜Tc(360℃)まで極
めて広い温度範囲に渡つて熱膨張係数が+0.12×
10-6という優秀なインバー特性を有する。 第2図aはFe72Co9Ni9Zr10非晶質合金の急冷状
態のリボンの熱膨張係数を低温から結晶化温度以
上まで測定した結果を示す図である。同図中超急
冷状態の合金を結晶化温度以上まで加熱した曲線
を5で示し、結晶化温度以上から冷却した曲線を
6で示し、結晶化温度以前から冷却した曲線を7
で示す。急冷状態のリボンの室温付近の熱膨張係
数はほぼ0であり、200℃〜Tc付近までの間の熱
膨張係数−5.0×10-6となり、Tc付近から以上に
膨張する。また結晶化によつてその値は14×10-6
とさらに増大する。また結晶化温度以前から冷却
した曲線は急冷合金の曲線と類似し、熱膨張係数
は若干上回つて+0.1×10-6となる程度である。
従つて、この温度範囲内での加熱冷却によつて熱
膨張は実用上は全く可逆変化をするとみなすこと
ができる。第2図bは、Zrを10%と一定とした
種々の合金の熱膨張率を結晶化温度直下の温度に
至るまで調べた結果を示したものである。 第3図は(Fe1-XCoX90Zr10および
(Fe1-XNiX90Zr103元系非晶質合金について、Fe
とCoあるいは、FeとNiの比を変えた場合の室温
付近での熱膨張係数の変化を示したものである。 Co、あるいはNi量に対し熱膨張係数は負から
正まで広い範囲で変化するので用途によつて任意
の熱膨張係数をもつ合金を得ることができる。 第4図に示すごとくFe−Co−Zr非晶質合金お
よびFe−Ni−Zr非晶質合金の熱膨張係数は、Zr
量が変化しても余り変わらない。 このことを第3図と合わせて考えると、任意の
熱膨張係数の合金を得るためには、組成の調節が
容易なFe,Co,Niの比を変えることだけで目的
を達成することができ酸化され易く組成の調節が
比較的困難なZr量にはほとんど影響されないこと
が判る。 これは、工業的規模で本発明合金を生産する上
において極めて有利である。 さらに、(Fe0.8Co0.290Zr10非晶質合金を基本
にし、Fe,Coの一部を特許請求の範囲第5項記
載の(イ)乃至(ホ)の群の各種第4元素でそれぞれ置換
し、(Fe0.8Co0.290-XXZr10なる式で表される各
種合金の、室温における熱膨張係数と各添加元素
濃度との関係を測定した。第5図に代表例として
4種の元素を20%までの範囲内で変えた場合に対
する結果を示す。熱膨張係数は各添加元素によつ
てそれぞれ異なるが、いずれの場合も本発明の合
金の濃度範囲で熱膨張係数の値は−15×10-6〜+
8×10-6の間で変化していることが判り、特に、
Al,Cr,Ti等の元素を10%程度添加しても熱膨
張係数はほとんど変化しないので、他の特性、例
えば耐蝕性、耐熱性、耐酸化性等を向上させるの
に極めて有利である。 次に、本発明の合金の成分組成を限定する理由
を述べる。 特許請求の範囲第1項あるいは第2項に記載の
合金にあつては: Zrが8%より少ないと超急冷しても非晶質化が
困難であり、14%より多いと結晶化温度がかえつ
て低下し安定な非晶質合金が得にくいので8〜14
%の範囲内にする必要があり、さらにZrが9〜13
%の範囲ではより安定した熱膨張係数の小さな非
晶質合金が得られる。 Ni,Co量については第3図から判るように約
40%迄の添加により熱膨張係数が−15×10-6〜+
8×10-6の範囲に調節することができ、しかも第
7図に示すごとくキユーリー温度を上昇させる効
果があるので低熱膨張係数を有する温度範囲を拡
げることができる。しかし、Co,Niを40%を超
えて添加すると、第3図に示すごとく熱膨張係数
が+8×10-6以上に増大するので40%以下にする
必要があり、さらに8〜30%の範囲内では室温付
近の熱膨張係数が−15×10-6〜+4×10-6とより
小さい値を得ることが出来る。 本発明の特許請求の範囲第4あるいは5項記載
の合金にあつては: Be,Al,Si,Ge,Sn,Sb,Inは合金の非晶質
化を容易にしFe−Zr2元系非晶質合金のTcを上昇
させる効果を有するが、Be,Al,Si,Ge,Sn,
Sb,Inについては25%を超える量を添加する
と、室温付近の熱膨張係数が+8×10-6より大と
なるので、25%以下とする必要がある。また
Ni,Coを同時に含む金については上記の半金属
は合金の非晶質化を容易にし、一定値の低熱膨張
係数を有する温度範囲を拡げる効果を有するが、
Be,Al,Si,Ge,Sn,Sb,Inついては25%を超
えると、室温付近までの熱膨張係数が著しく増大
するので、25%以下とする必要がある。 周期律表第BおよびB族の元素であるCr,
Mo,W,V,Nb,Taは結晶化温度を高め、合金
の耐熱性を向上させる効果を有するが、20%より
多くすると非晶質化が困難となりしかも熱膨張係
数が増大するので20%以下とする必要がある。 Mn,Cuは合金の耐蝕性を向上させるが、15%
より多くすると、やはり熱膨張係数を増大させる
ので15%以下とする必要がある。 Tc,Ru,Rh,Pd,Pt,Os,Irはいずれも合
金を非晶質化させ易い元素であるが、これらのう
ちから選ばれる少なくとも1種が15%を超える場
合には熱膨張係数を増大させるので15%以下にす
る必要がある。 Ti,Hf,Sc,Y,ランタニド元素はいずれも
10%以下の添加では合金の非晶質化を助長する効
果があるが、10%より多くすると合金が酸化され
易くなるので10%以下とする必要がある。 また(イ)乃至(ホ)群の元素を添加することにより合
金の非晶質化が助長されるので、Zr量が6〜15%
の範囲で安定な非晶質合金が得られるが、−15×
10-6〜+8×10-6の熱膨張係数を得るためには、
(イ)〜(ホ)の群より選ばれる1群または2群以上25%
以下とし、かつこれらの元素とZrとの合計が10〜
35%の範囲内にあることが必要である。 Ni,Co量については約40%迄の添加により熱
膨張係数が−15×10-6〜+8×10-6の範囲に調節
することができ、しかも第7図に示すごとくキユ
ーリー温度を上昇させる効果があるので低熱膨張
係数を有する温度範囲を拡げることができる。し
かし、Co,Niを40%を超えて添加すると、熱膨
張係数が+8×10-6以上に増大するので40%以下
にする必要があり、さらに8〜30%の範囲内では
室温付近の熱膨張係数が−15×10-6〜+4×10-6
とより小さい値を得ることが出来る。 次に本発明を実施例により説明する。 実施例 1 本発明合金中、Zrを10%と一定とし、Fe,
Co,Niの組成比を変えた合金について、室温付
近での熱膨張係数のFe,Co,及びNiの組成比に
対する依存性を調べ、第6図に示した。 図中3角形の各辺に記載の数字はそれぞれ合金
中に含まれる鉄族元素間の各元素の占める割合を
表し、合金中の鉄族元素の全体を1としたときの
Fe(X),Co(Y),Ni(Z)の値をそれぞれ示
している。又、図中の曲線上に記載の数字は熱膨
張係数(×10-6/℃)の値をそれぞれ示す。 同図より明らかなように、極めて広い組成範囲
で低い熱膨張係数を有する合金を得ることが出来
る。 実施例 2 高圧送電線は気温の上昇、あるいは送電量の増
加によるジユール熱等により熱膨張し弛度(たる
み具合)が増大し、地上から送電線までの距離が
適正に保てなくなるほか、鉄搭に加わる荷重も変
化するので、場合によつては鉄搭そのものを建設
し直す必要がある等の問題がある。 そこで最近、送電線の鋼心として熱膨張係数の
小さいインバー合金を使用した低弛度耐熱アルミ
ニウム合金より線が知られるようになつた。ジユ
ール熱による温度上昇に対しても弛度があまり増
大しないため、普通の鋼心を使用した同一断面積
のアルミニウム合金より線に比べ約2倍の電流を
流すことができるというものである。 しかしながら、従来のFe−Niインバー合金は
引張強度が45Kg/mm2程度と低く、大口径送電線の
荷重に耐えるためには普通の鋼心材に比べ断面積
の大きな鋼心が必要になるという欠点があり、し
かも上記送電線の最高使用温度である230℃では
Fe−Niインバー合金の熱膨張係数は4〜6×
10-6と比較的大きい。 一方、本発明合金の中には熱膨張係数が1.0×
10-6以下と小さく、しかも−100℃〜+300℃とい
う広い温度範囲に渡つてほとんど変化しないとい
う極めて優れたインバー特性を示すものが数多く
あり、さらに、引張強度が200Kg/mm2〜250Kg/mm2
と従来のFe−Niインバー合金のそれに比べ3〜
5倍以上という優秀な機械的性質を示す。 その数例を第3表に示す。 同表中、脆化温度とは、非晶質合金のリボン状
試片を各種温度で100分間加熱し、徐冷後リボン
状試片を完全に密着させるまで曲げた時に破壊を
起こす開始温度のことであり、脆化温度が高い
程、その非晶質合金は耐熱性に優れている事を示
す。 この表からも判るように、本発明合金は優れた
インバー特性、高い引張強度に加え、Fe−B非
晶質合金に比べて優れた耐熱性を有し、送電線用
鋼心材として最適であることが判る。
【表】 実施例 3 バイメタルにおけるわん曲係数Kは次式で与え
られる。 K=3/4(α−α) ここで、α,αは張り合せ合金のそれぞれ
の熱膨張係数である。Kが多きければ当然、バイ
メタルの変位が大きく、感度がよいことになる。 従つて、低膨張側合金の熱膨張係数が小さい
程、優れたバイメタルとなる。 本発明の低熱膨張係数を有する非晶質合金中、
特にNi,Coを10%程度含み、熱膨張係数が負の
大きな値を有する合金、またさらに合金の耐酸化
性、耐熱性を向上させるCr,Mo,W,Al,Si等
の元素を2〜10%程度含む合金が最も適した合金
である。 下記第4表にバイメタルの低膨張側合金に適す
る合金の数例を示す。
【表】
【表】 実施例 4 超音波遅延線における遅延時間の温度係数tは
次式で与えられる。 t=−1/2(α+e) ここではαは熱膨張係数、eは弾性定数の温度
係数である。したがつて優れた遅延時間の温度係
数を得るためには、遅延線のαとeが吟味されな
ければならない。 本発明の低膨張係数非晶質合金はその多くが同
時に弾性定数の温度係数がほぼ零であるか又は正
の値を取るいわゆるエリンバー特性を示す。例え
ば第5表に示す組成の合金はすべてeはほぼ零で
あり、これらの合金は超音波遅延線に適してい
る。
【表】 以上本発明合金の研究データならびに実施例か
ら判る如く、本発明の非晶質合金において、低熱
膨張係数が得られる温度領域は−195℃から約300
℃まで、(組成によつては400℃まで)であるが、
これに対し現用インバー合金にあつては低熱膨張
係数が得られる温度領域は常温付近を中心として
約100℃であるのにくらべて本発明の非晶質合金
の温度領域は非常に広範であり、かかる広範な温
度領域で−15×10-6〜+8×10-6という小さな熱
膨張係数を有する極めて優れた合金である。 本発明の非晶質合金はまた、結晶化温度、脆化
温度共に高く、従来より知られているFe−B系
非晶質合金にくらべて耐熱性に優れている。 さらに引張強度および硬度は結晶質Fe−Niイ
ンバー合金にくらべてそれぞれ5倍および4倍以
上になつており、機械的強度を必要とする用途に
適し、かつ加工や張力を加えても前記特性は一定
で殆んど不変であり、すなわち外部応力に対して
不感性である。さらに本発明の合金は製造される
際に非晶質化するため少なくとも104℃/秒以上
の冷却速度で超急冷される必要があり、したがつ
て長大薄板状で容易に得られる点からして切断、
打ち抜きなど機械加工が容易であることは、製造
工程の複雑な従来の結晶質インバー合金に比べて
極めて有利である。 本発明の急冷状態の非晶質合金は低温焼鈍によ
つてその熱膨張特性がさらに改善されると共に、
繰返しの加熱冷却に対してその性質が安定化し、
0×10-6の熱膨張係数をもつものをも得ることが
できる。 以上本発明の合金は送電線用鋼心材、電磁気材
料、精密計測材料、制御機器材料などとして非常
に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a,bはそれぞれ本発明の合金を溶融状
態から超急冷するのに用いられる装置の縦断面説
明図、第2図aはFe72Co9Ni9Zr10非晶質合金の熱
膨張率と温度との関係を示す図、第2図bは種々
の(Fe−Co−Ni)−Zr系非晶質合金の熱膨張率と
温度との関係をしめす図、第3図はFe−Co−Zr
およびFe−Ni−Zr3元系非晶質合金の熱膨張係数
とFe−CoあるいはFe−Niの組成比との関係を示
す図、第4図は(Fe0.8Co0.2100-XZrXおよび
(Fe0.8Ni0.2100-XZrX系非晶質合金の熱膨張係数
に対するZr量依存性を示す図、第5図はFe−Co
−Zr3元系非晶質合金に第4元素を添加した非晶
質合金の熱膨張係数と添加元素の量との関係を示
す図、第6図は(FeXCoYNiZ90−Zr10系非晶質合
金の熱膨張係数のFe,Co,Niの組成依存性を示
す図、第7図(Fe1-XCoX90−Zr10および
(Fe1-XNiX90−Zr10非晶質合金のTxとTcのCoあ
るいはNiの組成比依存性を示す図である。 1……溶湯、2……非晶質リボン、3……冷却
ドラム、4……冷却ロール。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 原子%でZr8〜14%を含み、残部実質的にFe
    からなり、熱膨張係数が−15×10-6〜+8×10-6
    の範囲内にある低熱膨張係数を有する非晶質合
    金。 2 原子%でZr8〜14%,Ni,Coの何れか少なく
    とも1種40%以下を含み、残部実質的にFeより
    成り、熱膨張係数が−15×10-6〜+8×10-6の範
    囲内にある低熱膨張係数を有する非晶質合金。 3 原子%でZr9〜13%、Ni,Coの何れか少なく
    とも1種8〜30%を含み、残部実質的にFeより
    成り、熱膨張係数が−15×10-6〜+4×10-6の範
    囲内にある特許請求の範囲第2項記載の合金。 4 原子%でZr6〜15%、下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の
    群の
    中から選ばれる何れか1群または2群以上25%以
    下を含み、但し下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の群の中から
    選ば
    れる何れか1種または2種以上の元素とZrとの合
    計が10〜35%の範囲内にあり、残部実質的にFe
    よりなり、熱膨張係数が−15×10-6〜+8×10-6
    の範囲内にある低熱膨張係数を有する非晶質合
    金。 (イ) Be,Al,Si,Ge,Sn,Sb,Inの中から選ば
    れる何れか1種または2種以上25%以下 (ロ) Cr,Mo,W,V,Nb,Taの中から選ばれ
    る何れか1種または2種以上20%以下 (ハ) Mn,Cuの中から選ばれる何れか1種または
    2種15%以下 (ニ) Tc,Ru,Rh,Pd,Pt,Os,Irの中から選
    ばれる何れか1種または2種以上15%以下 (ホ) Ti,Hf,Sc,Y、ランタニド元素の中から
    選ばれる何れか1種または2種以上10%以下 5 原子%でZr6〜15%、Ni,Coの何れか少なく
    とも1種40%以下、下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の群の中
    から
    選ばれる何れか1群または2群以上25%以下を含
    み、但し下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の群より選ばれる何
    れか
    1種または2種以上の元素とZrとの合計が10〜35
    %の範囲内にあり、残部実質的にFeよりなり、
    熱膨張係数が−15×10-6〜+8×10-6の範囲内に
    ある低熱膨張係数を有する非晶質合金。 (イ) Be,Al,Si,Ge,Sn,Sb,Inの中から選ば
    れる何れか1種または2種以上25%以下 (ロ) Cr,Mo,W,V,Nb,Taの中から選ばれ
    る何れか1種または2種以上20%以下 (ハ) Mn,Cuの中から選ばれる何れか1種または
    2種15%以下 (ニ) Tc,Ru,Rh,Pd,Pt,Os,Irの中から選
    ばれる何れか1種または2種以上15%以下 (ホ) Ti,Hf,Sc,Y、ランタニド元素の中から
    選ばれる何れか1種または2種以上10%以下
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