JPS6151126B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、例えば、地熱タービンプラントに使
用される混圧式タービン（混圧タービンとも呼れ
る）に係り、特に、この混圧式タービンにおける
ロータ羽根の疲労破損防止装置に関する。

〔発明の技術背景〕

既に提案されているこの種の混圧式タービン
は、主として、地熱タービンプラントにおける発
電効率を向上させるために、高圧の１次作動流体
を初段落部へ供給し、低圧の２次作動流体を中間
段落部へ供給するように構成されている。

即ち、既に提案されている上記混圧式タービン
は、第１図及び第２図に示されるように、タービ
ンケーシング１に１次作動流体の流入する高圧供
給管（高圧蒸気供給管）２及び２次作動流体の流
入する低圧供給管（低圧蒸気供給管）３を設け、
この高圧供給管２及び低圧供給管３に連通する各
周流路４，５を形成し、さらに、これらの両周流
路４，５に位置する上記タービンケーシング１の
タービン通路１１内に複数の静翼６，７，８，９
を同心的に配設し、この各静翼６，７，８，９の
位置する上記タービンケーシング１にロータ軸１
０の羽根１０ａを配設して回転し得るように構成
したものである。

従つて、上述した混圧式タービンは、上記高圧
供給管２から流入した高圧蒸気としての１次作動
流体を周流路４から上記各静翼６，７，８，９の
順に流出しながら、上記ロータ軸１０の羽根１０
ａを回転し、他方、低圧蒸気としての２次作動流
体を上記周流路５から静翼８，９の順に流出しな
がら、上記ロータ軸１０の羽根１０ａを回転する
ようになつている。

特に、上記１次作動流体と上記２次作動流体と
は、上記周流路５の出口部（流出部）５ａに形成
されたタービン中間段部の上記タービン流路１１
で合流しながら、第２図に示されるように、円周
方向へ流出するようになつている。

〔背景技術の問題点〕

しかしながら、上述した混圧式タービンは、上
記タービン通路１１の外がわに形成された周流路
５によつて、低圧蒸気としての上記２次流体の一
部を静翼８，９の円周方向に偏流するけれども、
大部分の２次作動流体は、上記低圧供給管３に連
通した周流路５の出口部５ａに偏倚して流出する
結果、上記１次作動流体と２次作動流体との合流
した後、これらの合流作動流体は、円周方向にき
わめて不均一な流れとなり、これらの不均一な合
流作動流体が流入する上記タービン中間段部にお
いて、流体の渦や乱流による諸損失が増加するば
かりでなく、上記ロータ軸１０の羽根１０ａに流
体励振力が作用するため、疲労破損を生じるおそ
れがあり、タービン効率を低下して長期間の連続
運転に対する信頼性に問題がある。

〔発明の目的〕

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもの
であつて、タービンケーシングの低圧供給管に連
通する周流路の入口部に上記２次作動流体を均一
に流すように形成した流体制御部材を付設して円
周方向に均一な流れを生成して流体の諸損失を低
減すると共に、流体励振力の発生を防止し、併せ
て、タービン効率の向上を図つて長期運転に対す
る信頼性の向上を図ることを目的とする混圧式タ
ービンを提供するものである。

〔発明の概要〕

特に、本発明は、タービンケーシングに１次作
動流体の流入する高圧供給管及び２次作動流体の
流入する低圧供給管を設け、この低圧供給管に連
通して周流路を上記低圧供給管の入口部で狭く形
成し、この低圧供給管から遠ざかるにつれて広く
形成し、この周流路の入口部に上記２次作動流体
を均一に流すように形成した流体制御部材を設け
て構成されるものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明を図示の一実施例について説明す
る。

なお、本発明は、上述した具体例と同一構成部
材には同じ符号を付して説明する。

第３図乃至第５図において、符号１は、タービ
ンケーシングであつて、このタービンケーシング
１には、１次作動流体の流入する高圧供給管２及
び２次作動流体の流入する低圧供給管３が設けら
れており、この高圧供給管２及び低圧供給管３に
これに連通する各周流路４，５が形成されてい
る。又、上記両周流路４，５に位置する上記ター
ビンケーシング１のタービン通路１１内には複数
の静翼６，７，８，９が順に、しかも、同心的に
配設されており、この各静翼６，７，８，９の位
置する上記タービンケーシング１にはロータ軸１
０の羽根１０ａが配設されている。さらに、上記
低圧供給管３に連通する上記周流路５の入口部５
ｂには２次作動流体を均一に流すようにした流体
制御部材１２を円弧状に彎曲して形成しており、
しかも、この流体制御部材１２の最大幅L₂と上
記周流路５の入口部５ｂの最大幅L₁との関係
は、第５図に展開して示されるように形成されて
いる。

但し、L₁は周流路５の入口部５ｂの最小幅を
示す。又、上記流体制御部材１２の幅は、上記周
流路５の入口部５ｂ近傍で最大幅を形成してお
り、上記低圧供給管３から遠ざかるにつれて狭く
なるように形成されている。つまり、上記低圧供
給管３から流入する２次作動流体の流路は上記周
流路５の入口部５ｂで狭くなり、上記低圧供給管
３から遠ざかるにつれて広くなるように形成され
ている。

従つて、本発明による上記高圧供給管２から流
入した１次作動流体は周流路４から上記各静翼
６，７，８，９の順に流出しながら、上記ロータ
軸１０の羽根１０ａを回転し、他方、低圧蒸気と
しての２次作動流体は上記低圧供給管２から周流
路５内に流入するけれども、この周流路５の入口
部５ｂに付設された上記流体制御部材１２によつ
て均一な流れを形成し、しかも、周方向に旋回し
ながらタービンン流路１１を流れる上記１次作動
流体と合流してロータ軸１０の羽根１０ａを回転
するようになつている。

このように、上記周流路５に流入する２次作動
流体は、上記流体制御部材１２によつて、均一に
分流された後、タービン流路１１を流れる上記１
次作動流体と合流して仕事をするようになつてい
るから、流体の渦や乱流による諸損失を防止でき
ると共に、流体励振力による疲労破損による弊害
を阻止することができる。

次に、第６図に示される実施例は、本発明の他
の実施例であつて、これは、周流路５の入口部５
ｂに流体制御部材１２′を一体的に形成したもの
であり、上述した具体例と同じ内容をなすもので
ある。

第７図に示される実施例は、本発明の他の実施
例であつて、これは、タービンケーシング１に２
以上の低圧供給管３を設け、これらに連通する周
流路５の各入口部５ｂに２以上の流体制御部材１
２を付設したものであり、上述した具体例と同じ
内容をなすものである。

さらに、第８図に示される実施例は、本発明の
他の実施例であつて、これは低圧供給管３に連通
する周流路５の入口部５ｂに各一対をなす流体制
御部材１２″を、２次作動流体を分流するように
して設けたものであり、上述した具体例と同一構
成をなすものである。

又、第９図及び第１０図に示される実施例は、
本発明の他の実施例であつて、これは、低圧供給
管３に連通する周流路５の入口部５ｂに粗密度の
ある鋼材で構成された流体制御部材１２を設け
たものである。即ち、上記鋼材による流体制御部
材１２は、上記入口部５ｂ近傍で密に形成し、
上記低圧供給管３からの遠ざかるにつれて粗にな
るように形成されている。これによつて、２次作
動流体を周方向に均一に分流し得るようにしてタ
ービン流路１１の１次作動流体し得るようにした
ものである。

さらに又、第１１図及び第１２図に示される実
施例は、本発明の他の実施例であつて、これは、
低圧供給管３に連通する周流路５の入口部５ｂに
粗密を形成する多数のピンで構成された流体制御
部材１２〓を設けたものである。即ち、上記ピン
材による流体制御部材１２〓は、上記入口部５ｂ
近傍で密に形成し、上記低圧供給管３から遠ざか
るにつれて粗に形成されている。これによつて、
２次作動流体を周方向に均一に分流してタービン
流路１１の１次作動流体と合流して仕事をし得る
ようになつている。

なお、第１３図に示されるグラフは、実験結果
による周流路５における２次作動流体の流入速度
Ｖを平均値Vmで無次元化し、この周流路５の周
方向分布を示したものであつて、曲線は従来の
混圧式タービンの場合であり、低圧供給管３の近
傍（入口部）のＰ点では、上記２次作動流体の速
度が平均値の約２倍となつており、一方、低圧供
給管３から最も離れた位置のＱ点では殆ど流入し
ておらず、円周方向に対して不均一な分布になつ
ている。

これに対し、本発明は、曲線で示されるよう
に、流入速度を円周方向に一様になつている。次
に、第１４図に示されるグラフは、２次作動流体
の周流路５の出口部５ａにおける流れの全圧損失
ζを示したものであり、曲線ａは従来の混圧式
タービンであり、曲線ａは本発明によるもので
ある。従つて、このグラフからも明かなように、
従来のものは全圧損失は非常に大きい。これは、
２次作動流体が円周方向に不均一に流入するた
め、主流を乱すからである。これに対し、本発明
では、２次作動流体が円周方向に均一に流入する
ため、全圧損失は非常に少くなる。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明によれば、タービンケ
ーシング１に１次作動流体の流入する高圧供給管
２及び２次作動流体の流入する低圧供給管３を設
け、この低圧供給管３に連通して周流路５を上記
低圧供給管３の入口部５ｂで狭く形成し、この低
圧供給管３から遠ざかるにつれて広く形成し、こ
の周流路５の入口部５ｂに上記２次作動流体を均
一に流すように形成した流体制御部材１２を設け
てあるので、流れの不均一性に伴う全圧損失の増
加を防止できるばかりでなく、流体励振力の発生
を阻止し、併せて、長期運転に対する信頼性の向
上を図ると共に、構成も簡素であるから、安価に
提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、既に提案されている混圧式タービン
の一部を示す断面図、第２図は、第１図中の鎖線
―に沿う縦断面図、第３図は、本発明による
混圧式タービンの一部を示す断面図、第４図は、
第３図中の鎖線―に沿う縦断面図、第５図
は、本発明に組込まれる流体制御部材の展開図、
第６図乃至第１２図は、本発明の他の実施例を示
す各図、第１３図及び第１４図は、２次作動流体
の流入速度を示す各グラフである。 １…タービンケーシング、２…高圧供給管、３
…低圧供給管、５…周流路、６，７，８，９…静
翼、１０…ロータ軸、１２…流体制御部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ タービンケーシングに１次作動流体の流入す
   る高圧供給管及び２次作動流体の流入する低圧供
   給管を設け、この低圧供給管に連通して周流路を
   上記低圧供給管の入口部で狭く形成し、この低圧
   供給管から遠ざかるにつれて広く形成し、この周
   流路の入口部に上記２次作動流体を均一に流すよ
   うに形成した流体制御部材を設けたことを特徴と
   する混圧式タービン。 ２ 流体制御部材を円弧状に彎曲して形成したこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の混圧
   式タービン。 ３ タービンケーシングに２以上の低圧供給管を
   設け、これらに連通する周流路の各入口部に２以
   上の流体制御部材を付設したことを特徴とする特
   許請求の範囲第１項又は第２項記載の混圧式ター
   ビン。 ４ 周流路の入口部に粗密度のある鋼材若しくは
   多数のピンで構成された流体制御部材を設けたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項、第２項又
   は第３項記載の混圧式タービン。