JPS6147631B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は取鍋の保温を維持したままで取鍋を傾
動することによつて重力作用で蓋が効果的に開閉
する保熱蓋装着取鍋に関するものである。

溶鋼取鍋とは耐火物を内張りし、その上部に開
放端のある溶鋼収納容器であり、転炉で溶製され
た溶鋼を受鋼し、普通造塊又は連続鋳造で鋳込む
容器として使用している。溶鋼取鍋の作業フロー
は保熱待機→受鋼→鋳造→残存物排出→取鍋熱間
補修となつており、その間における熱放散を抑制
することは溶鋼温度降下、耐火物温度降下を防止
することから極めて重要である。その為に保熱待
機中は予熱又は蓋による保熱を行つている。受鋼
中は溶鋼流の落下域のみ開放した保熱蓋を使用
し、鋳造中は全閉保熱蓋を使用し、残存物排出時
は開閉蓋を使用し、取鍋熱間補修時は部分開口し
た保熱蓋を使用する必要があるが、一つの保熱蓋
で全フローを通して使用できるものは現在ない。

従来、受鋼後から鋳造までの取鍋開放端からの
熱放散抑制対策として蓋載置方式を採用していた
が、残存物排出時に取鍋を傾動する為に保熱蓋を
外す必要があり、取鍋開放端からの熱放散は避け
られず耐火物温度降下抑制に充分な効果は得られ
なかつた。

又、最近受鋼後から取鍋熱間補修までの共通保
熱蓋として、第１図に示す様な、保熱蓋装着取鍋
が提案されている。これは取鍋１の上面部に傾動
時蓋が自重により自然に開放するように、保熱蓋
２がその端部３で軸装されて構成されている。し
かし、かかる軸装開閉蓋であると、取鍋１を傾動
する過程において、蓋２が略垂直状態になつた以
降において初めて、吊下された蓋２に対して取鍋
１を傾動角に応じて鍋開放端が蓋から離れていく
ような状態で蓋２が開くことになる。従つて、取
鍋内の残存物は取鍋１が90゜近くに傾動されると
すでに流出が始まるため、蓋２が充分に開放され
ない状態での流出となり、流出物が蓋２に衝突し
た状態の飛散及び流出物による蓋２の損傷という
問題がある。

本発明は取鍋の傾動により保熱蓋が開閉する保
熱蓋装着取鍋において、取鍋と保熱蓋の相対位置
が摺動可能かつ脱着可能に保熱蓋を取鍋に軸装
し、軸装した該保熱蓋の開閉側に取鍋と保熱蓋を
離脱させる傾斜部材と摺動部材を設けた構成にし
たことによつて、取鍋を傾動すると重力作用で蓋
が加速的に開放されるものである。又、蓋を他の
工程での蓋と交換する際にも簡単に取り外せる構
造としたものである。

この構造により流出物の排出が容易となり、保
熱蓋の損傷が解消され、又、受鋼用蓋と本発明取
鍋の蓋との相互使用が工程上簡単に行い得る。

次に本発明の一実施例を図にもとづいて説明す
る。

第２図は本発明取鍋の平面図、第３図は同側面
図、第４図は本発明取鍋の使用工程図、第５図、
第６図は本発明取鍋の部分詳細図である。

図中、４は取鍋、この取鍋はその上端部に補強
バンド５を備えている。このバンド５の上端部に
は一方向に傾斜した面６を有する一対の傾斜部材
７，７′と、一方に傾斜した面８を有し、この傾
斜面の頂上部に係止部９を設けて構成した脱着機
構付の一対の傾斜部材１０，１０′を設ける。

１１は取鍋の保熱蓋で、この蓋は蓋本体１２に
軸装部材１３，１３′によつて一方向回動自在に
小蓋１４を設けて構成されている。上記保熱蓋１
１の反小蓋側にはアーム１５，１５′を設け、該
アーム１５，１５′の先端に軸１６，１６′が装備
されている。一方小蓋１４の軸装部材１３，１
３′の下面には摺動部材である軸１７，１７′が装
備されている。従つて、取鍋４に保熱蓋１１を載
置すると、上記軸１６，１６′および軸１７，１
７′は、夫々、脱着機構付の傾斜部材１０，１
０′および傾斜部材７，７′で支持される。この状
態は第４図ａに示す通りである。

以下第４図の工程図にもとづいて説明する。

第４図ａは保熱蓋１１を取鍋４に載置した状態
で、保熱蓋１１は上記両傾斜部材で支持されてい
る。

同ｂは取鍋の傾動に伴ない保熱蓋１１の支持軸
１６，１６′，１７，１７′が取鍋４の傾斜部材１
０，１０′，７，７′の傾斜面８，８′，６，６′上
を自重により摺動し、支持軸１６，１６′が傾斜
部材１０，１０′の係止部９，９′に係合されるこ
とによつて、この軸１６，１６′を支点にし取鍋
４と保熱蓋１１の間に間隙を作つている状態であ
る。この摺動動作は傾斜部材の傾斜面の角度に対
応し、又、取鍋４と保熱蓋１１の間隙は傾斜面の
長さに比例している。

同ｃは前記ｂよりさらに取鍋４の傾動が進んだ
工程で、軸１６，１６′を支点にして保熱蓋１１
が開いていく状態であり、取鍋の傾動角が90゜以
上になると保熱蓋１１に軸装１３した小蓋１４は
垂直状に吊り下げられた状態となるため取鍋４の
先端が大きく開く。

同ｄは取鍋内の残存物排出後、取鍋４を直立に
戻す工程で、取鍋４が直立になる以前に保熱蓋１
１が前記ｂの動作の時を逆方向に摺動し、前記ａ
に示す如き保熱蓋１１を載置した位置に戻る状態
を示す。この動作も又傾斜部材の角度と対応して
いる。

次に上記のように構成した保熱蓋装着取鍋を補
修等のために横倒しにする場合、保熱蓋１１の移
動開放あるいは該蓋の脱落が起こるので、補修等
の際には、第６図に示すように取鍋傾斜部材１０
に蓋固定フツク３０を軸装３１し、フツク３０を
軸１６，１６′に係止しておくことにより保熱蓋
１１を脱着可能に係止できる。

尚上記取鍋４と保熱蓋１１の相対位置が摺動可
能かつ脱着可能な機構としては、前記実施例に限
ぎるものではなく、例えば長孔を内蔵したリンク
部材を脱着可能に軸装しておき、上記長孔内に軸
１６，１６′を介装することにより、特に傾斜部
材１０を設けることなく同等の作用が達成され
る。

以下、上記保熱蓋の応用について述べる。

第２図に示すように蓋本体１２に取鍋４の注入
ノズル、ポーラスプラグ（図示せず）の位置する
部分に開口部１８，１９，２０を設け、この内開
口部１８，１９は蝶板２１を取り付けることによ
り、保熱蓋１１を取付けたままで取鍋４の点検及
び熱間補修を可能とすることができる。

保熱蓋１１の吊り具については、鍋搬送時に吊
り具高さの制約がある場合は保熱蓋１１の重心位
置に吊り具２２を軸受２３，軸２４により回転可
能に取り付け、横倒しにすることにより吊り具の
高さを低くすることができ、かつクレーンにより
添手なしで保熱蓋１１の脱着を可能とすることが
できる。しかしこのままでは取鍋４の補修時等に
傾動した時に吊り具が反転するので、その対策と
して吊り具の先端に第５図に示すロツク機構を設
けるとよい。このロツク機構は吊り具２２の反固
定端側に爪２５を有するレバー２６を軸２７で連
結した機構で、クレーンのフツクを吊り具２２に
掛ければクレーンのフツクがレバー２６を押し上
げ蓋に取り付けてある固定ガイド２８から爪２５
が外れる。又逆の動作の時はクレーンのフツクを
外せばレバー２６の自重により爪２５が固定ガイ
ド２８に掛りロツクされる。更に吊り具が取鍋の
外に突き出して障害のある場合は、第２図に示し
てあるように吊り具を２重管のスライド式とし、
中央にスプリング２９を設け伸縮可能とすること
ができる。

以上の説明の如く本発明の保熱蓋装着取鍋は受
鋼時を除いて受鋼後より鋳造、排滓、熱間補修ま
での一連の作業工程において、全て保熱蓋をつけ
たままで操業可能となる。

本発明の保熱蓋装着取鍋を使用した場合の溶鋼
温度降下抑制効果を第７図により説明する。

第７図は受鋼前耐火物表面温度と鍋内溶鋼温度
降下量の関係を示すグラフである。

同図に示すように、脱ガス−普通造塊材（RH
−IC）にて抑制効果12℃、脱ガス−連続鋳造材
（RH−CC）にて20℃の効果があり、これは取鍋
耐火物の抜熱と放散熱の抑制によるものである。
また保熱蓋は塩基性取鍋に対して効果的であり、
取鍋用炉材の使用範囲を拡大にする点においても
大きな貢献が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は現在考案されている保熱蓋装着取鍋を
示す側面図。第２図〜第６図は本発明保熱蓋装着
取鍋の一実施例を示し、第２図は取鍋平面図、第
３図は側面図、第４図ａ〜ｄは使用工程図、第５
図は吊り具ロツク機構を示し、ａは側面図、ｂは
正面図であり、第６図は保熱蓋と取鍋の軸装部詳
細を示し、ａは全体側面図、ｂはａのＡ部拡大図
である。第７図は受鋼前耐火物表面温度と鍋内溶
鋼温度降下量の関係を示すグラフである。 図中、１は取鍋、２は保熱蓋、３は軸、４は取
鍋、５はバンド、６は傾斜面、７は傾斜部材、８
は傾斜面、９は係止部、１０は傾斜部材、１１は
保熱蓋、１２は蓋本体、１３は軸、１４は小蓋、
１５はアーム、１６は軸、１７は軸、１８，１
９，２０は開口部、２１は蝶板、２２は吊り具、
２３は軸受、２４は軸、２５は爪、２６はレバ
ー、２７は軸、２８は固定ガイド、２９はスプリ
ング、３０は蓋固定フツク、３１は軸である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 取鍋の頃動により保熱蓋が開閉する保熱蓋装
   着取鍋において、取鍋に一対の傾斜部材と一端部
   に係止部を有する一対の傾斜部材とを設けるとと
   もに、保熱蓋を蓋本体と小蓋に分割し、該蓋本体
   に小蓋を一方向開閉自在に係止し、且つ保熱蓋の
   小蓋側に前記の取鍋傾斜部材の傾斜面を摺動して
   取鍋と保温蓋を離反せしめる軸と蓋本体側に傾斜
   部材の傾斜面を摺動して一端部の係止部に保熱蓋
   を係止せしめる軸とを設けたことを特徴とする保
   熱蓋装着取鍋。