JPS6146185Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、デイーゼルエンジン用燃料噴射ポン
プの噴射特性制御装置に関し、特に燃料を圧送す
るプランジヤとともに回転するカムデイスクと、
このカムデイスクの一側面の円周方向に延びるカ
ム面と、このカム面と当接するローラ部材とを有
し、上記カムデイスクの回転に伴ないプランジヤ
を回転および往復動させて燃料の噴射供給を行な
うデイーゼルエンジン用燃料噴射ポンプのための
噴射特性制御装置に関する。

デイーゼルエンジンでは、高圧、高温にした空
気中に燃料を霧状に供給するため、ガソリンエン
ジンのキヤブレータと異なり、燃料に高い圧力を
与え噴射してやらなければならない。このため、
デイーゼルエンジンでは、燃料噴射ポンプを用い
て燃料を加圧し霧状として噴射供給している。し
かし、この燃料噴射ポンプによる燃料の供給は、
通常の気圧温度条件等の下に設定された所定の供
給量、所定のタイミングで行なつているため、例
えば気圧の低い高所でエンジンの作動を行なう場
合には吸入空気量に対し燃料が過多となること、
空気と燃料との混合が十分でなくなること等か
ら、不完全燃料焼による黒煙が発生するようにな
るといつた欠陥が生ずる。従つて、気圧に応じて
燃料噴射時期、噴射量等の噴射特性を変化させる
ことが望ましい。また、エンジンが低温状態にあ
つては噴射時期を早め、また高温状態にあつては
噴射量を多くするといつたように、エンジンの温
度状態に応じても噴射特性を制御することが望ま
しい。

このような要求に基づき、例えば、特開昭55−
37572号、特開昭55−123322号、特開昭55−
164736号等においては、気圧の高低、エンジンの
温度状態等に応じて燃料噴射時期、噴射量等の噴
射特性を制御して、好ましい状態でエンジンが駆
動できるようにした噴射特性制御装置が提案され
ている。しかし、これらの特開昭公報に記載され
た噴射特性制御装置は、いずれもが一制御系で単
に一つのみの噴射特性を制御するものであり、従
つて例えば噴射時期と噴射量といつたように二つ
の噴射特性を制御するには二つの制御系が必要で
あり、構造が複雑であるという欠点があつた。

そこで本考案は、一つの制御系で複数の制御特
性を効率よく制御することのできる燃料噴射ポン
プの噴射特性制御装置を提供することを目的とす
るものである。

本考案によるデイーゼルエンジン用燃料噴射ポ
ンプのための噴射特性制御装置は、カムデイスク
の一側面の円周方向に延びるカム面を半径方向に
おいて異なるカム形状とするとともに、このカム
面に当接するローラ部材を、カムデイスクの半径
方向に移動可能なローラホルダーによつて支持
し、このローラホルダーをカムデイスクの半径方
向に移動させる駆動機構、およびエンジン運転条
件に応じて駆動機構を駆動制御してローラホルダ
ーを上記半径方向に移動させるローラホルダー位
置制御手段によつて、ローラ部材のカム面上の半
径方向位置を制御するように構成されてなるもの
である。

本考案の燃料噴射ポンプの噴射特性制御装置に
よれば、カムデイスクのカム面を半径方向におい
て異なる複数のカム形状としているので、個々の
カム形状において噴射量、噴射率および噴射時期
の噴射特性を組み合せて制御することができ、す
なわち一つの制御系で複数の噴射特性を制御する
ことができ、従つて装置の構造がよりシンプルな
ものとなるとともに、より好ましい状態でエンジ
ンを作動させることができるようになる。

以下、添付図面を参照して本考案の好ましい実
施例によるデイーゼルエンジン用燃料噴射ポンプ
の噴射特性制御装置を説明する。

第１図は、デイーゼルエンジン用燃料噴射ポン
プ１組み込まれた本考案の第１の実施例による噴
射特性制御装置２を示す一部断面側面図である。

燃料噴射ポンプ１は、従来からよく知られてい
る分配型の燃料噴射ポンプであつて、ハウジング
３中に設けられた円筒状孔４内に摺動および回転
自在に嵌合されたプランジヤ５を有している。孔
４の一方の端部は閉塞されており、この孔４の端
部の端面と、この端面に対向するプランジヤ５の
端面の間には、ハイプレツシヤーチヤンバーＣが
形成されている。

プランジヤ５は、その一方の端部に形成された
インテークスリツト６、その内部に軸方向に延び
る通路７、中間部に形成されたデイストリビユー
タスリツト８、およびカツトオフポート９を有し
ている。一方、ハウジング３には、フイードポン
プ（図示せず）からの燃料をプランジヤ５に供給
するためのインテークポート１０、およびアウト
レツトパツセージ１１を介して送られてくる燃料
の逆流を防止するデリパリバルブ１２を備えてい
る。

プランジヤ５は、その他端にカムデイスク１３
が取り付けられており、このカムデイスク１３の
一方の側面には、その円周方向に延びるカム面１
４が形成されている。このカム面１４は、第２図
に示すようにカムデイスク１３の半径方向に並列
して通常作動用の第１カム１４ａと、高所作動用
の第２カム１４ｂとを有している。これら第１お
よび第２カム１４ａおよび１４ｂは第３図の展開
図に示し、かつ後に詳細に説明するように異なつ
たカム形状のものである。

カム面１４には、ローラホルダー１５に支持さ
れたローラ部材１６が当接しており、このローラ
ホルダー１５は、このローラホルダー１５が半径
方向に移動できるように案内する案内溝１７（第
４図参照）を備えた固定ガイドプレート１８によ
つて、カムデイスク１３の半径方向に移動可能に
支持されている。

ローラホルダー１５のカムデイスク１３の半径
方向に沿つての位置を制御するため、駆動機構１
９が設けられている。この駆動機構１９は、カム
デイスク１３側の側面に螺線状の溝２０が形成さ
れた回転可能なローラ位置コントロールプレート
２１を有している。このコントロールプレート２
１は第６図で見て反時計方向に図示しないバネに
よつて付勢されている。このコントロールプレー
ト２１の溝２０には、ローラホルダー１５の側面
に形成された突出部１５ａが係合している。コン
トロールプレート２１の他方の側面の周縁近傍に
は、周方向に互いに間隔をおいて配置された傾斜
カム面２２ａ，２２ｂ，２２ｃが形成されてい
る。この傾斜カム面２２ａ，２２ｂ，２２ｃに
は、それぞれロツド部材２３ａ，２３ｂ，２３ｃ
が当接しており、これらロツド部材２３ａ，２３
ｂ，２３ｃは固定案内板２４の案内開孔２５に遊
嵌してプランジヤ５の軸方向に移動できるように
なつている。

ロツド部材２３ａ，２３ｂ，２３ｃのカム面２
２ａ，２２ｂ，２２ｃと当接する側と反対側に
は、このロツド部材の押し込み量を調節するため
のロツド押し込みプレート２６が配設されてい
る。このロツド押し込みプレート２６は、円形を
なしており、その周辺には雄ネジ２７が形成され
ており、ハウジング３に形成された雌ネジ２８に
螺合している。以上説明したローラホルダー１５
の突出部１５ａ、固定ガイドプレート１８、ロー
ラ位置コントロールプレート２１、ロツド部材２
３ａ，２３ｂ，２３ｃ、ロツド押し込みプレート
２６および雌ネジ２８から、上記駆動機構１９は
構成されている。上記ロツド押し込みプレート２
６のロツド部材２３ａ，２３ｂ，２３ｃと反対側
の面には、突起２９が設けられており、この突起
２９には、ロツド押し込みプレート２６を回転さ
せるためのローラホルダー位置制御手段３０のロ
ツド３１が連結している。このローラホルダー位
置制御手段は、このロツド３１、該ロツド３１を
作動するダイヤフラム装置３２、空気ポンプＰ、
この空気ポンプＰを作動して、空気をダイヤフラ
ム装置３２の圧力室３３内に送り込む三方ソレノ
イドバルブ３４、および大気圧が所定値以下に下
つたことを検知して、三方ソレノイドバルブ３４
を作動させる大気圧センサ３５からなつている。
なお、図面中符号Ｄは、プランジヤ５に連結し
て、これに回転力を伝達するドライブシヤフトで
ある。

次に以上説明して構造の噴射特性作動装置２が
組み込まれた燃料噴射ポンプ１の作動について説
明する。

通常運転状態において、ドライブシヤフトＤが
回転すると、この回転力はプランジヤ５およびカ
ムデイスク１３に伝達されて、これらを回転させ
る。カムデイスク１３が回転すると、ローラ部材
１６に当接している第１カム１４ａの作用によ
り、カムデイスク１３が往復動を行ない。この結
果プランジヤ５が回転往復運動を行ないポンプ１
は通常の燃料噴射ポンプと同様、吸入行程、噴射
行程を行なつて燃料の噴射供給を行なう。この燃
料の噴射において、その噴射率（単位時間当りの
燃料の供給量）はカム曲線の山の幅の大きさによ
つて決定され、また噴射時期はカム曲線の山のピ
ークの位置によつて決定される。今、通常運転状
態において使用される第１カム１４ａのカム形状
を第３図の実線で示した形状のものであるとす
る。一方、高地運転状態においては吸入空気中の
酸素量が少ないため空気と燃料とを十分に混合さ
せる必要がある。このため、高地運転状態におい
ては、噴射率を高めかつ噴射時期を早めるのが望
ましい。そこで高地運転状態において用いられる
第２カム１４ｂのカム形状は、第１カム１４ａと
比べて、カム曲線の山の幅が小さく、かつ山のピ
ークの位置が先行した形状となつている。

高地に位置した場合、大気圧センサ３５が、大
気圧が所定値以下に下つたことを検出すると、三
方ソレノイドバルブ３４を作動させる。すると、
三方ソレノイドバルブ３４はダイヤフラム装置３
２の圧力室３３中に空気を送り込み、ダイヤフラ
ムを押し下げる。ダイヤフラムが下がると、これ
に連結したロツド３１が下がり、ロツド押し込み
プレート２６を回転させる。ロツド押し込みプレ
ート２６は回転するとネジ２７，２８の作用によ
り第１図において右方に移動して、ロツド部材２
３ａ，２３ｂ，２３ｃを押し込む。ロツド部材２
３ａ，２３ｂ，２３ｃは、傾斜カム面２２ａ，２
２ｂ，２２ｃを押し、ローラ位置コントロールプ
レート２１を回転させる。このコントロールプレ
ート２１の回転により、このコントロールプレー
ト２１の螺線溝２０に係合しているローラホルダ
ー１５は、ローラ部材１６が第２カム１４ｂに係
合するまで半径方向内方に移動する。以上のよう
にして燃料噴射ポンプ１は高所すなわち低気圧運
転状態に設定される。この状態の噴射ポンプ１が
作動すると、噴射率が高くかつ噴射時期の早い燃
料の噴射供給が行なわれる。

ロツド押し込みプレート２６を作動するローラ
ホルダー位置制御手段としては、第７図に示した
ようなローラホルダー位置制御手段４０を用いる
こともできる。

このローラホルダー位置制御手段４０は、ポー
ト４１ａによつて大気に連通する大気室４１を有
しており、この大気室４１中にはベローズ４２が
配されている。このベローズ４２内の圧力は、１
気圧となつており、通常状態において図示した位
置でバランスしている。このベローズ４２には、
このベローズの伸縮によつてこの伸縮方向に移動
可能な作動ロツド４３が取り付けられており、こ
の作動ロツド４３はその先端で案内孔４４によつ
て案内されている。作動ロツド４３の中間部には
軸方向に延びるカム面４５が形成されており、こ
のカム面４５にはクランク４６の第１アーム４６
ａの先端が当接している。このクランク４６の第
２アーム４６ｂの先端にロツド押し込みプレート
２６を作動するロツド３１が連結されている。す
なわち、ローラホルダー位置制御手段４０は、上
記したロツド３１、大気室４１、ポート４１ａ、
ベローズ４２、作動ロツド４３、案内孔４４およ
びクランク４６から構成されている。

高地に位置し、気圧が低くなると、大気室４１
中の圧力が低くなり、ベローズ４２が伸張する。
ベローズ４２が伸張すると、作動ロツド４３が右
方に移動し、この結果クランク４６がカム面４５
の作用により時計方向に回動してロツド３１を押
し下げる。以下、上述と同様にしてローラホルダ
ー１５を移動させる。

次に第８および９図を参照して、第１図に示し
たローラホルダー位置制御手段３０とは異なつた
タイプのローラホルダー位置制御手段５０につい
て説明する。

このローラホルダー位置制御手段５０は、従来
から燃料噴射時期制御に使用されている油圧式ス
ピードタイマを改良した構造のものである。

ローラホルダー位置制御手段５０は、タイマピ
ストン５１、タイマスプリング２５およびピン５
３からなるタイマ５４を備えている。ピン５３
は、摺動自在に設けられており、その先端には傾
斜カム面５５が形成されてる。ピン５３の下部に
はカム５６が配されており、このカム５６はタイ
マ５４の外部に延びるロツド５７に固着されてい
る。このロツド５７は、大気圧が低くなつたとき
にロツド５７を矢印Ｂの方向に回転させるアクチ
ユエータ５８に連結されている。一方、ローラ位
置コントロールプレート２１は、その一部に切欠
き部２１ａが形成されており、この切欠き部２１
ａに、ピン５３のカム面５５のカムホロワとして
作用する突出部２１ｂが形成されている。すなわ
ち、ローラホルダー位置制御手段５０は、上記し
たタイマピストン５１、ピン５３、カム５６、ロ
ツド５７およびアクチユエータ５８から構成され
ている。そして、この変形例での駆動機構は、ロ
ーラホルダー１５の突出部１５ａ、固定ガイドプ
レート１８およびローラ位置コントロールプレー
ト２１から構成されている。

この構造の制御装置５０の作動を説明すると、
大気圧が低くなると、まずアクチユエータ５８が
ロツド５７を矢印Ｂ方向に回動させる。ロツド５
７の回動に伴ない、カム５６が回動しピン５３を
押し上げる。この結果、傾斜カム面５５の作用に
よりローラ位置コントロールプレート２１を回転
させてローラホルダー１５をカムデイスク１３の
半径方向に移動させる。これによつてローラ部材
１６の位置をカム面１４の第１カム１４ａから１
４ｂに切り換える。

なお、この制御装置５０においては、タイマ５
４自体の作動による場合は、ピン５３が枢動する
ことによつてローラ位置コントロールプレート２
１を回動させるようになつている。

以上の実施例においては、気圧の変化に基づき
噴射特性を制御するタイプのものについて説明し
たが、温度の変化に基づき、噴射特性を制御する
タイプのものとしてもよい。その場合は、アクチ
ユエータとして感圧式のものではなく、例えばサ
ーモワツクス等を用いた感温式のものとすること
が必要である。また、実施例においては、説明の
都合上カムデイスク上の２種類のカム面が形成さ
れているものとして説明したが、実際にはこの２
種類のカム面は曲面によつて連続したものとして
構成され、従つて噴射特性もデジタル的にではな
くアナログ的に制御される。更に、上記実施例で
は、噴射率と噴射時期とを組み合せて制御するも
のについてのみ説明したが、その他の噴射特性、
例えば噴射量を上記噴射特性と組み合せて制御で
きることは勿論である。なお、この噴射量の制御
は、カム面のカム曲線の山の高さによつて制御す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、燃料噴射ポンプに組め込まれた本考
案の噴射特性制御装置を示す一部断面正面図、第
２図は、第１図の噴射特性制御装置に使用されて
いるカムデイスクの正面図、第３図は、第２図の
カムデイスク上に形成されたカム面の展開図、第
４図は、第１図の線−に沿う断面図、第５図
は、第４図に示されたローラホルダー等を矢印
の方向から見た図、第６図は、第１図の線−
に沿う断面図、第７図は、第１図の噴射特性制御
装置に用いられるローラホルダー位置制御手段の
変形例を示す正面図、第８図は、第１図の噴射特
性制御装置に用いられるローラホルダー位置制御
手段の変形例を示す一部断面正面図、第９図は、
第８図の線−に沿う断面図である。 １……燃料噴射ピストン、２……噴射特性制御
装置、５……プランジヤ、１３……カムデイス
ク、１４……カム面、１５……ローラホルダー、
１６……ローラ部材、１９……駆動機構、３０，
４０，５０……ローラホルダー位置制御手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料を圧送するプランジヤとともに回転するカ
   ムデイスクと、該カムデイスクの一側面の円周方
   向に延びるカム面と、該カム面と当接するローラ
   部材とを有し、前記カムデイスクの回転に伴ない
   前記プランジヤを回転および往復動させて燃料の
   噴射供給を行なうデイーゼルエンジン用燃料噴射
   ポンプのための噴射特性制御装置において、前記
   カム面を半径方向において異なる複数のカム形状
   とするとともに、前記ローラ部材を、前記カムデ
   イスクの半径方向に移動可能なローラホルダーに
   よつて支持し、該ローラホルダーを前記カムデイ
   スクの半径方向に移動させる駆動機構、およびエ
   ンジン運転条件に応じて前記駆動機構を駆動制御
   してローラホルダーを前記半径方向に移動させる
   ローラホルダー位置制御手段によつて、前記ロー
   ラ部材の前記カム面上における半径方向位置を制
   御するように構成してなる噴射特性制御装置。