JPS6145331Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は噴射開始圧力の調整作業を簡素化
し、かつクリアランスの調整工数を低減したデイ
ーゼルエンジンの燃料噴射弁に関する。

従来のデイーゼルエンジンの燃料噴射弁とし
て、低速における不斉噴射を防止するために、噴
射開始圧力を低、高の二段階にしているものがあ
り、したがつてこの種の噴射弁は普通２個の噴射
開始圧力の調整手段を備えている。

すなわち第１図に示すように初期の噴射の噴射
開始圧力の調整手段としての第１調整手段Ａは、
ノズル１の噴射の開始、噴射量、終了を規制する
ニードル弁２の上部に配設されており、ノズルホ
ルダ３のノズル側に設けられた下部内孔４と、ニ
ードル弁２の上端部に嵌装された第１ばね座６付
きの第１ロツド５と、下部内孔４の上端面に配設
されたシム２１と、このシム２１と第１ばね座６
との間に張設された第１圧力ばね７とによりなつ
ている。

またメイン噴射の噴射開始圧力の調整手段とし
ての第２調整手段Ｂは、ノズルホルダ３の上部に
配設されており、ノズルホルダ３の上端部に設け
られた上部内孔９のねじ部９ａにねじ込まれてい
る筒状体１０と、その筒状体１０に設けられた内
孔１０ａのねじ部１２にねじ込まれた調整ねじ１
４と、内孔１０ａ内に第２ばね座１１を有しかつ
筒状体１０の底部とノズルホルダ３を貫通して下
端は第１ロツド５とクリアランスＣを有している
第２ロツド１３と、第２ばね座１１と調整ねじ１
４の端面との間に張設された第２圧力ばね１６と
によりなつている。

なお１７は圧油をノズル１に給送する油路であ
り、１８はノズル１をノズルホルダ３に結合する
ノズルナツトであり、また１９は第２調整手段Ｂ
の調整ねじ１４を筒状体１０に固着するためのロ
ツクナツトであり、２０は第２調整手段Ｂの要部
をおおうキヤツプである。

前記の構成により初期噴射およびメイン噴射の
噴射開始圧力の調整は、それぞれ第１および第２
調整手段Ａ，Ｂの圧力ばね７および１６の張力
と、クリアランスＣを調整して行うようになつて
いる。

しかし第１圧力ばね７の張力の調整は、圧力ば
ね７の組込部寸法、ばね定数、ばね自由長のバラ
ツキなどから、シム２１の厚みを選択しながら行
う必要があり、その都度ノズルホルダ３からノズ
ルナツト１８を取外すことになる。

またクリアランスＣを調整するときも、第２ば
ね座１１の面にダイヤルゲージをあてて筒状体１
０を動かすことにより行なうがクリアランス調整
後にロツクナツト２３で筒状体１０を締付けると
き、このねじ部９ａの口径が大きいので、締付動
作が粗大になりやすいことから、折角調整したク
リアランスＣに誤差が生じるなどして、再調整が
必要になることもあつた。

この考案はこれらの問題点を解決をするために
なされたものであり、第１調整手段を第２調整手
段の近くに移行することで調整作業が簡素化で
き、またクリアランスの検出も迅速、正確にでき
るうえ、クリアランスの調整後におけるロツクナ
ツトの締付けも、調整済みのクリアランスに誤差
を生じるような影響を与えずに、容易、確実に行
えるデイーゼルエンジンの燃料噴射弁を提供する
ことを目的としている。

以下この考案の実施例を図面に基づいて説明す
るが、第２図および第３図において第１図と同一
のもの、または等価のものは同一符号を付して説
明を省略する。

まず第１の実施例を第２図において説明する
と、第１調整手段Ａは、ノズルホルダ３のノズル
１と対向する上方の端部に配設されており、上部
内孔９と、そのねじ部９ａにねじ込んで締付ナツ
ト２５によりノズルホルダ３の頂部に固着した、
円筒形で内部中央付近を底部２３ｃで閉塞された
中継体２３と、前記上部内孔９内に第１ばね座６
を有し、一端はノズルホルダ３を貫通して図示さ
れない方法によりニードル弁２と連結し、他端は
中継体２３の底部を貫通して後記の第２ロツド１
３とクリアランスＣを有する第１ロツド２４と、
そのクリアランスＣの位置する中継体２３の胴部
に設けられた横孔２６内にねじ込まれたメクラね
じ８と、第１ばね座６と中継体２３底面のシート
２１ａとの間に張設された第１圧力ばね７とより
なつている。

第２調整手段Ｂは、前記の中継体２３に設けら
れた内孔２３ａのねじ部２３ｂにねじ込まれたば
ね受１５と、細身の筒状体１０と、この筒状体１
０のねじ部１２に上部端の調整ねじ１４をねじ込
んでロツクナツト１９により固定されている第２
ロツド１３と、ばね受１５内のシート２２と筒状
体１０の第２ばね座１１との間に張設された第２
圧力ばね１６とよりなつている。

このように構成されているので、第１圧力ばね
７の張力の調整は、中継体２３を回動するだけで
容易に行えることから、シムの厚みの調整が不要
になつて噴射開始圧力の調整作業を簡素化でき
る。なお第二圧力ばね１６の張力の調整はばね受
１５の回動により行なう。

またクリアランスＣの調整は、中継体２３の横
孔２６からメクラねじ８を取外すと、第１、第２
ロツド２４，１３の端部が見えるため、スキマゲ
ージによりクリアランスＣの検出が迅速、正確に
できるうえ、そのスキマゲージをクリアランスＣ
内に挿入した状態で調整ねじ１４とロツクナツト
１９の回動により、高精度に調整することができ
る。

さらにクリアランスＣの調整後にロツクナツト
１９を締付けるとき、この位置のねじ部１２は径
が小さいため、微少力のもとで確実な締付けが可
能になつて、調整済みのクリアランスＣに誤差を
生じるような影響を与えずに済むことから、クリ
アランスＣの調整作業が容易になる。

次に第３図においてこの考案の第２の実施例を
説明する。前記第１の実施例では、クリアランス
Ｃの検出を行うための横孔２６が中継体２３の胴
部に設けられていたが、この実施例では筒状体１
０の上部を、その内径のねじ部１２がばね受１５
の上方に移動するまで延設して、そのねじ部１２
の下端胴部に、第４図に示すように横孔２６が設
けられている。従つて調整ねじ１４は横孔２６ま
での短尺体に形成され、第１ロツド２４の上端は
調整ねじ１４の端面と横孔２６の位置でクリアラ
ンスＣを有するように長尺体に形成されている。

前記の構成によりこの実施例でも第１圧力ばね
７の張力の調整は、第２図と同様に中継体２３を
回動するだけで容易に行えるため、噴射開始圧力
の調整作業を簡素化できる。

またクリアランスＣの調整は、キヤツプ２０を
取外すと、ばね受１５上に突出している筒状体１
０の横孔２６から調整ねじ１４と第１ロツド２４
の端部が見えるので、スキマゲージによりクリア
ランスＣの検出が迅速、正確にできるうえ、この
ときもそのスキマゲージをクリアランスＣ内に挿
入した状態で調整ねじ１４とロツクナツト１９の
回動により、高精度に調整することができる。

さらにクリアランスＣの調整後にロツクナツト
１９を締付けるときも、この位置のねじ部１２は
径が小さいため、クリアランスＣの影響を与える
ことなく締付けができて、クリアランスＣの調整
作業が容易になる。

なお、この実施例でも第２圧力ばね１６の張力
の調整は、ばね受１５の回動によつて行う。

以上に説明したようにこの考案は、切期噴射の
噴射開始の調整手段をノズルホルダのノズルと対
向する上方端部に配設し、中継体を介してメイン
噴射の噴射開始圧力の調整手段と連接するように
したので、噴射開始圧力の調整作業が大巾に簡素
化されるうえ、中継体もしくは筒状体の胴部に横
孔を設けて内部のクリアランスの測定を可能にし
たことにより、第１、第２調整手段の脱着を要し
ないでクリアランスの検出、調整が行えることか
ら、クリアランス調整工数を著しく低減できる効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例によるデイーゼルエンジンの燃
料噴射弁を示す縦断面図、第２図はこの考案の第
１実施例によるデイーゼルエンジンの燃料噴射弁
を示す縦断面図、第３図はこの考案の第２実施例
による同燃料噴射弁を示す縦断面図、第４図は第
３図の筒状体に設けた横孔を示す側面図である。 １……ノズル、２……ニードル弁、３……ノズ
ルホルダ、６……第１ばね座、７……第１圧力ば
ね、８……メクラねじ、１０……筒状体、１２…
…ねじ部、１３……第２ロツド、１４……調整ね
じ、１５……ばね受、１６……第２圧力ばね、１
９……ロツクナツト、２３……中継体、２４……
第１ロツド、２６……横孔、Ａ……第１調整手
段、Ｂ……第２調整手段、Ｃ……クリアランス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 初期噴射およびメイン噴射の噴射開始圧力を調
   整する第１および第２調整手段を有するデイーゼ
   ルエンジンの燃料噴射弁において、前記第１調整
   手段が、ノズルホルダのノズルと対向する端部に
   設けた内孔と、その内孔のねじ部にねじ込む中継
   体と、前記内孔内に第１ばね座を有し一端はノズ
   ルホルダを貫通してニードル弁に連結し他端は前
   記中継体の底部を貫通している第１ロツドと、前
   記第１ばね座と中継体底面との間に張設された第
   第１圧力ばねとからなり、前記第２調整手段が、
   前記中継体に設けた内孔のねじ部にねじ込むばね
   受けと、第２ばね座を有する筒状体と、その筒状
   体に設けたねじ部に上端部の調整ねじをねじ込ん
   で筒状体内を貫通している第２ロツドと、前記ば
   ね受けと筒状体の第２ばね座との間に張設された
   第２圧力ばねとからなり、前記第１および第２ロ
   ツドの対向する端面が調整自在なクリアランスを
   有し、かつこのクリアランスの位置する前記中継
   体の胴部に横孔を設けてメクラねじを着脱自在に
   ねじ込んだことを特徴とするデイーゼルエンジン
   の燃料噴射弁。