JPS6143068Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は廃棄物溶融処理装置、更に詳しくは廃
棄物溶融アーク炉を用いて下水汚泥やその他の各
種廃棄物を溶融処理する装置に関する。

近年、廃棄物溶融アーク炉を用いて各種廃棄物
を溶融処理する装置が提供され、注目されてい
る。この装置は、廃棄物溶融アーク炉を中核とし
て、これに適宜生成ガス処理系統や溶融スラグ処
理系統が関係付けられてなるものであり、下水汚
泥やその焼却灰更にはその他の各種産業廃棄物等
をアーク熱で熱分解し、有機分をガス化する一
方、無機分を主に溶融スラグ化する、二次公害の
ない且つ処理物の有効利用可能な無害化処理装置
である。

従来、かかる装置の中核である廃棄物溶融アー
ク炉は、主に炉殻と炉体とからなる炉本体に炉蓋
が密着されてなり、炉蓋側から廃棄物の供給及び
電極の挿入がされるとともにこの炉蓋に生成ガス
排出口が穿設され、また炉本体に溶融スラグ排出
口が穿設されているものである。そして、この種
の廃棄物溶融アーク炉を中核とする従来の装置に
よれば、前記したように、廃棄物中の有機分は炉
内で熱分解されて水素や一酸化炭素等からなる可
燃性の生成ガスとなり、これは常時前記生成ガス
排出口から生成ガス処理系統へ導入されて、洗浄
や後燃焼更には除塵等の処理を経て無害化される
一方、廃棄物中の無機分は炉内で同様に熱分解さ
れて酸化ケイ素や酸化カルシウム、金属酸化物類
等からなる溶融スラグとなつて炉内に蓄積され、
これは間欠的に前記溶融スラグ排出口からその密
栓状態を遠隔操作して溶融スラグ処理系統へ導入
されて、水冷や徐冷破砕等の処理を経て例えば骨
材等に有効利用される。

ところが、叙上の従来の廃棄物溶融処理装置に
は、次のような欠点がある。すなわち、後述する
爆発のおそれに対する配慮から密閉構造となつて
いる関係上炉内の溶融スラグを抜き出すための処
理方式が間欠的となつて、溶融スラグ排出口の開
栓と密栓をその都度遠隔操作する作業、またこの
際炉内の可燃性ガスに外気が混入して爆発するお
それ、更にかかるおそれを防止する観点からその
都度例えば窒素ガス等の不活性ガスによる炉内ガ
ス置換作業等、関連作業等が煩雑で危険性を有し
且つ面倒である。そして、前記爆発のおそれをよ
り安全に防止する意味も含め溶融スラグ排出口が
比較的狭小に形成されていることもあつて、この
排出口において排出の際に溶融スラグが固化し閉
塞することがあり、またこれらの欠点に加えて間
欠処理方式に起因する非能率性を補う観点から処
理量との関係で廃棄物溶融アーク炉が大型となり
がちである。

本考案は、かかる従来の欠点を解消する改良さ
れた廃棄物溶融処理装置を提供するもので、その
骨子は、炉殻及び炉体を貫通して炉内に連通する
溶融スラグ及び生成ガス共用排出口が穿設された
廃棄物溶融アーク炉とするとともに前記共用排出
口における炉外側が生成ガス処理系統へ連結され
る方向を除き水冷部を含む密閉系を形成して成る
点にある。

以下、図面に基づいて、従来装置と比較しつつ
本考案の構成を詳細に説明する。

第１図は従来装置の一部断面状態を含む側面図
である。廃棄物溶融アーク炉１はその外形上炉殻
２ａ及び炉体２ｂからなる炉本体２とこの炉本体
２に密着されている炉蓋３とからなり、炉蓋３側
の廃棄物供給口４から供給された廃棄物は炉内に
おいて炉蓋３側から挿入されている電極５と炉本
体２に充填されているベースメタル６との間のア
ーク熱により熱分解され、この結果生成ガスは炉
蓋３に穿設されている生成ガス排出口７ａから排
出されて生成ガス処理系統Ａへ導入される一方、
溶融スラグ８はベースメタル６上に蓄積される。
炉本体には比較的狭小の溶融スラグ排出口７ｂが
穿設されていて、ある程度量蓄積された溶融スラ
グ８は溶融スラグ排出口７ｂの密栓９が遠隔操作
されることにより炉外へ排出されて図示しない溶
融スラグ処理系統へ導入される。しかし、かかる
従来装置に各種の欠点があることは前記した通り
である。

第２図は本考案の一実施例を示す一部断面状態
を含む側面図である。廃棄物溶融アーク炉１１は
その外形上炉殻１２ａ及び炉体１２ｂからなる炉
本体１２とこの炉本体１２に密着されている炉蓋
１３とからなつている。そして、炉蓋１３には廃
棄物供給口１４が穿設されているとともに電極１
５が炉内へ挿入されていて、炉本体１２には比較
的大径の生成ガス及び溶融スラグの共用排出口１
７が穿設されている。本実施例では、共用排出口
１７の炉外側にダクト１０が上下方向に連結さ
れ、その上手方向側が図示しない生成ガス処理系
統へ接続されるとともにその下手方向側端部は受
器１０ｂで支持されている水冷部１０ａ中に埋没
され水封されている。したがつて、共用排出口１
７における炉外側は生成ガス処理系統へ接続され
る方向を除き密閉系を形成している。

廃棄物供給口１４から連続供給された廃棄物は
炉内において電極１５とベースメタル１６との間
のアーク熱により熱分解され、この結果発生する
生成ガスと溶融スラグ１８は共用排出口１７から
連続的に炉外へ排出され、このうち生成ガスはダ
クト１０の上手方向側から図示しない生成ガス処
理系統へ導入される一方、溶融スラグ１８はダク
ト１０の下手方向側から水冷部１０ａ中に落下し
て冷却破砕され水砕スラグとなつて受器１０ｂに
蓄積される。蓄積された水砕スラグは適宜取り出
せばよい。

第３図は本考案の他の一実施例を示す一部断面
状態を含む側面図である。廃棄物溶融アーク炉２
１、炉殻２２、炉体２２ｂ、炉本体２２、炉蓋２
３、廃棄物供給口２４、電極２５及び共用排出口
２７の構成は第２図に示した実施例の場合と同様
である。但し本実施例では、共用排出口２７の炉
外側にダクト２０が上下方向に連結され、その上
手方向側が図示しない生成ガス処理系統へ接続さ
れるとともにその下手方向側は水冷部２０ａを含
む受器２０ｂへ接続されていて且つ受器２０ｂと
密閉系が形成されている。したがつて、共用排出
口２７における炉外側は生成ガス処理系統へ接続
される方向を除き密閉系を形成している。この場
合、電極２５とベースメタル２６との間のアーク
熱による熱分解で発生する生成ガスと溶融スラグ
２８との炉外への排出等は第２図に示した実施例
の場合と同様である。

第４図は本考案のさらに他の一実施例を示す一
部断面状態を含む側面図である。廃棄物溶融アー
ク炉３１、炉殻３２ａ、炉体３２ｂ、炉本体３
２、炉蓋３３、廃棄物供給口３４、電極３５及び
共用排出口３７の構成は第２図に示した実施例の
場合と同様である。但し本実施例では、共用排出
口３７の炉外側に一次側のダクト３０が下手方向
にのみ連結され、ダクト３０の下手方向側は水冷
部３０ａを含む受器３０ｂへ接続されている。こ
の受器３０ｂには二次側のダクト４０が上手方向
へ接続されていて、ダクト４０の上手方向側は図
示しない生成ガス処理系統へ接続される。そし
て、ダクト３０、ダクト４０及び受器３０ｂとに
よつて、ダクト４０の上手方向側を除き密閉系が
形成されている。したがつて、共用排出口３７に
おける炉外側は生成ガス処理系統へ接続される方
向を除き密閉系を形成している。

廃棄物供給口３４から連続供給された廃棄物は
炉内において電極３５とベースメタル３６との間
のアーク熱により熱分解され、この結果発生する
生成ガスと溶融スラグ３８は共用排出口３７から
連続的に炉外へ排出されて、ダクト３０を介し受
器３０ｂに至る。そして生成ガスはダクト４０を
介しその上手方向側から図示しない生成ガス処理
系統へ導入される一方、溶融スラグ３８は水冷部
３０ａ中に落下して冷却され受器３０ｂに蓄積さ
れるのである。

尚、第２図〜第４図に示した各実施例の場合、
特に共用排出口１７，２７，３７、ダクト１０，
２０，３０，４０及び受器１０ｂ，２０ｂ，３０
ｂの材質構成は、少くも溶融スラグ１８，２８，
３８が当接することとなる部分については耐火物
で内張りされ、そうでない部分については耐摩耗
性乃至耐蝕性材料からなることが好ましい。そし
て、これらの各実施例を含む本考案に係る装置
は、第１図に示した従来装置と同様に、炉本体と
炉蓋との間や廃棄物供給口更には電極挿入部等は
炉内が外気と完全に遮断される構成となつてい
て、また生成ガス処理系統への接続間は例えば若
干の揚圧状態が維持される手段によつてこれもま
た炉内が外気と完全に遮断されるようになつてい
る。

以上説明した本考案によれば次のような効果が
ある。すなわち、廃棄物を連続的に供給する一方
で生成ガスや溶融スラグを連続的に排出し且つこ
の間炉内は完全に外気と遮断されているため、従
来装置における密栓状態の遠隔操作や爆発のおそ
れ更には炉内ガス置換等がなく、したがつて関連
作業等が簡略且つ安全となる。そして、共用排出
口が比較的大径であり且つこの共用排出口から高
温の生成ガスとともに溶融スラグが排出されるた
め、この共用排出口において溶融スラグが固化し
閉塞するということもなく、また全体が連続処理
方式であるため処理能率が良く、したがつて廃棄
物溶融アーク炉を小型にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置を例示する一部断面状態を含
む側面図、第２図〜第４図は本考案の各別の一実
施例を示す一部断面状態を含む側面図である。 １，１１，２１，３１……廃棄物溶融アーク
炉、２ａ，１２ａ，２２ａ，３２ａ……炉殻、２
ｂ，１２ｂ，２２ｂ，３２ｂ……炉体、２，１
２，２２，３２……炉本体、３，１３，２３，３
３……炉蓋、４，１４，２４，３４……廃棄物供
給口、５，１５，２５，３５……電極、６，１
６，２６，３６……ベースメタル、７ａ……生成
ガス排出口、７ｂ……溶融スラグ排出口、１７，
２７，３７……共用排出口、８，１８，２８，３
８……溶融スラグ、９……密栓、１０，２０，３
０，４０……ダクト、１０ａ，２０ａ，３０ａ…
…水冷部、１０ｂ，２０ｂ，３０ｂ……受器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 炉殻及び炉体を貫通して炉内に連通する溶融
   スラグ及び生成ガス共用排出口が穿設された廃
   棄物溶融アーク炉の前記共用排出口における炉
   外側が生成ガス処理系統へ接続される方向を除
   き水冷部を含む密閉系を形成されて成る廃棄物
   溶融処理装置。 ２ 密閉系が水封で形成された実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の廃棄物溶融処理装置。