JPS6143065B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は補綴に関する。更に詳しくは、本発明
は、関節（ジヨイント）及び矯正プレートの形を
有する骨補綴及びこのような補綴物に関する。 本明細書において、「補綴」とは補綴物の全体
及び個々の部品の一つ又はそれ以上を指すものと
理解されるべきである。 金属を骨補綴の少なくとも一部に用いることは
現在では骨補綴外科においてすでに確立された技
術である。このような補綴は、通常、二つの一般
的な型式、即ち、関節及び矯正プレートのうちど
ちらか一つに属する。本来のさまざまな機能を行
うためには、代替用関節や矯正プレートが必要と
され、従つて、いろいろな型のものを別々に考え
るのが好都合である。 動力学的に最も単純な手足の主要部の関節であ
る股関節は骨関節補綴の適当な例である。このよ
うな補綴の種々は患者各人の要求に従つて決定さ
れる。矯正は、その多くは、大腿骨のくびれた部
分を典型的に骨折する老人に対して行なわれる。
このような患者の寿命は、通常限られており、せ
いぜい５年位しかなく、また活動力も低いので、
人体の股関節窩に係合する大腿骨に対し新しいく
びれた部分やボール補綴を適合させる比較的簡単
な技術がしばしば用いられている。組織と腐食の
両者の反応が時々起るにもかかわらず、ステンレ
ス、スチールが、一般に、補綴技術として用いら
れている。 寿命の長い若者や関節に病気をもつている場合
には、関節全部が取り換えられる。一般に、大腿
部に取り付けられる金属ポールは股関節骨に強固
に固定されるプラスチツクの窩と係合する。用い
られるプラスチツク材料は、一般に高密度ポリエ
チレンであり、金属材料は一般に「ステライト」
合金（Stellite）（登録商標）合金かステンレスス
チールのどちらかである。プラスチツク材料は、
一般に比較的多量の損耗物が生じるが金属は極く
わずかしか生じず、またこのような損耗物は有毒
であることが認められている。 関節接合面に対する装填は対象とする特定の関
節により異なるが股関節に対する装填は、普通、
100〜300ポンド／平方インチである。また股関節
は１年間に２×10⁶回位動くことが期待される。
なお、この動きのなかには、関節本来の動きは勿
論のこと関節に荷重が加わることも含まれてい
る。このため潤滑液が不可欠であるが、しかし、
人体の関節に存在している潤滑媒体―滑液として
知られている―は、酸性であり、金属の表面を腐
食する傾向がある。このため、今までのところ、
金属対金属の補綴は特にうまくゆかなかつた。 他方、矯正プレート補綴は動きを必要としない
から単純骨折により生じた骨の骨折部を接合する
ため特に外部的手段によつては達成することので
きない骨の再整合を矯正するところに単に用いら
れる。従つて、この矯正プレート補綴の役割りは
骨が直ればプレートはもはや不要となるから、実
質的には、一時的なものである。しかし、これら
のプレートはなお患部に残される。従つて、これ
らのプレートはサポータとしての働きを果すため
に十分な強度を有していなければならず、また体
液と接触した状態で長期（通常は多年）の使用に
耐え得るものでなくてはならない。極く最近にな
つて、矯正プレート用の好ましい材料としてチタ
ニウムが使用されている。 従つて、本発明の第１の目的は、耐腐食性の金
属製骨関節補綴を提供することにある。 本発明の更に別の目的は、最近使用されている
金属製補綴よりも数段もトロポロジカル性がすぐ
れている関節接合面を有する金属製骨関節補綴の
提供にある。 本発明の更に別の目的は、金属製骨関節補綴の
損耗物が比較的毒性でない金属製骨関節補綴の提
供にある。 本発明によれば、金属製骨関節補綴面の少なく
とも一部にプラチナ、ルテニウム若しくはイリジ
ウム又は上記金属の少なくとも一つを含有する合
金を含み、更に必要によりパラジウム、ロジウ
ム、金及び／又は卑金属を含む層又は沈着物を有
する金属製骨関節補綴が提供される。適当な卑金
属及び合金用組成物には銅、鉄、ニツケル、コバ
ルト、タングステン及びモリブテンが包合され
る。好ましくは。合金又は合金用組成物は金属又
は合金の層がその使用中に徐々に強くなる性質を
有するという事実を考慮しながら選ばれる。 本発明の金属製骨関節補綴の場合には、少なく
とも関節接合面が、プラチナ、ルテニウム若しく
はイリジウム又は上記金属の少なくとも一つを含
有する合金の層で被覆される。上記の層は滑液に
よる腐食に対して強いので、相互の関係にある少
なくとも２個又は全部の関節接合成分が金属であ
り、この金属の少なくとも関節接合面が上記の層
でもつて被覆されている改良骨接合補綴が提供さ
れる。 以下に説明されるように、金属製補綴の表面全
部が、本発明に従いプラチナ、ルテニウム若しく
はイリジウム又は上記金属の少なくとも一つを含
む合金の層でもつて被覆されているのが好まし
い。 プラチナ、ルテニウム若しくはイリジウム金属
又は合金の層の厚さは、代表的には、約10／1000
インチまでである。相互に関係のある関節接合成
分のうち少なくとも二成分又は全成分が金属であ
る骨関節補綴については、この補綴が本発明の範
囲内にあり、且つ相互に関係のある任意の二つの
関節接合面のうちの一つだけを被覆するのに必要
なトリポロジカル性が十分に得られる場合でも、
このような表面の両方を被覆して、似ていない金
属材料同志の間で電池が形成され体液が電解液と
なる可能性を避けるのが好ましい。このような場
合、股関節について、例えばボールに被覆される
層の厚さは、代表的には、約10／1000インチであ
り、一方窩に被覆される層の厚さは、代表的に
は、約１／1000インチである。しかし、本発明で
はこれらの厚さに限られることはなくその他の厚
さも勿論可能である。しかしながら、ボールにし
ても窩にしてもこれに被覆される層の厚さは、関
節の型にもよるが、５／1000から50／1000インチ
の範囲内が好ましい。しかしながら、使用に当つ
ては、共同構成物に被覆される層のうちの一つ又
は双方は当然に薄くなるであろう。 補綴がつくられ、本発明に従つて被覆される金
属材料は適当な金属又は合金ならどれでもよい。
関節補綴についてはステンレススチール又はステ
ライト（Stellite）合金―例えば最近、金属／プ
ラスチツク接合に用いられているもの―を用いる
と満足な結果が得られることが判つた。本発明に
従つて関節又は矯正プレート補綴のどちらかに用
いることのできる別の適当な材料はチタニウムで
ある。この材料は高強度であり、最近、矯正プレ
ート補綴の製造用に用いられているが、硬い酸化
表面層が非常に研摩性であるので現在までのとこ
ろ骨関節補綴用には使われていない。チタニウム
製骨関節補綴の表面又は関節接合面の一部に被覆
したプラチナ、ルテニウム又はイリジウムの層は
この問題を解決した。 骨関節としてであれ又は矯正プレートとしてで
あれ、補綴がプラチナ、ルテニウム又はイリジウ
ム金属又は合金の層でもつてその全部が被覆され
るならば、補綴した金属材料は物理的諸性質―例
えば強度、ワーカビイリイテイー等―から単に選
ばれ、それ自体の適合性の如き性質を考慮する必
要がない。例えば、高炭素含量スチールは必要な
強度を与えるうえに比較的安いというメリツトが
加わることになる。このような考慮は矯正プレー
ト補綴には正に当てはまり、この矯正プレート補
綴面は―なお、この補綴面は関節して動かない
―、研摩やその他の作用を受けず、このためこの
表面層又は被覆物はその元の状態を失なうことが
なく、従つて補綴の金属材料を体液や組織にさら
した状態にある。 プラチナ、ルテニウム又はイリジウム金属又は
合金の層の硬さは重要な条件である。耐腐食性が
主として考慮される矯正プレート補綴に対して
は、400Hvを越える硬さが望ましい。他方、骨関
節補綴に対しては硬さはずつと低く、例えば
50Hvでもよく、このような硬度でも耐久性が良
い。なお、被覆物は、その適用に当つてはすべて
接着性であり、実質的に細孔がない。 プラチナ、ルテニウム若しくはイリジウム金属
又は合金の層はもしこの層が所定の物理的性質を
有するならば、本発明に従つて従来から知られて
いる方法により被覆される。このような被覆法の
例には溶融塩法と水性電気メツキ法がある。被覆
物は、必要により焼きなますことができる。 上記溶融塩法における電解液としては、代表的
には、53％のシアン化ナトリウムと47％のシアン
化カリウムを含む共融塩混合物が用いられ、また
この場合の溶融温度は約520℃である。 メツキされる補綴は、陰極として用いられる溶
融電解液に浸される。この場合、表面の一部だけ
をメツキしたいときは適当にマスクすればよい。
なお、陽極としては補綴に被覆したい消耗性のシ
ート状プラチナ又は合金か、不溶性材料が用いら
れる。なお、プラチナ又は他の適宜の金属は塩と
して用いられ、時々補充される電解液に加えられ
る。被覆層の厚みは、陽極電流か電気メツキの時
間又はその両者を変えることによりコントロール
される。 ステライト（Stellite）とプラチナの硬度と耐
摩耗性を次表に示す。耐摩耗性の値は試験材料の
ピンを回転しているステライト盤に当てこのピン
を滑動させ単位センチメートル当りに失なわれる
量（単位立方センチメートル）でもつて示され
る。

【表】 場合
引いた場
100 3×10^−９ 0.7×10^−９
合
次表に硬度を示すがこの硬度は純粋なプラチナ
ではなくこれの合金を用いた場合のものである。
これらの結果は、その全部が十分に焼なまし処理
された被覆物についてのものであり、またこれか
ら得られた硬度は溶融塩浴で高温処理するとメツ
キされた被覆物が同時に焼なましされるので溶融
塩により被覆されたものと同程度のものであるこ
とがわかる。 第２表 4.5％Cu／Pt 110Hv 4.5％Ru／Pt 120Hv 4.5％Pd／Pt 70Hv 4.5％Ir／Pt 70Hv 4.5％Co／Pt 130Hv ２％Ni／2.5％Pd／Pt 104Hv １％Rh／3.5％Au／Pt 90Hv １％Ir／3.5％Pd／Pt 60Hv ５％Mo／Pt 170Hv 本発明の利点を骨関節補綴に関して挙げれば次
の通りである。 第１に関節接合面はこれを仕上げ処理する必要
がない、これに対して標準的な金属製補綴では、
表面を0.025ミクロンc.l.a以下に仕上げ且つ球体
からの離間を５ミクロンm.v.s以下にすべきであ
ることが勧告されている。本発明によれば、ボー
ル及び窩関節のボールに被覆されたプラチナの比
較的軟い層―、例えば厚さが10／1000〜15／1000
インチ―は、関節接合面が接触状態に入り押圧下
で別の一つに相対的に移動するときは、プラチナ
の薄層が上記窩の関節接合面に移動し、上記関節
接合面が別の関節接合面に位置付けされ、実質的
に完全に適合される。 金属対金属の補綴に対しては、プラチナは好ま
しい被覆材料であり、他方ルテニウムとイリジウ
ムは金属対プラスチツクの補綴の少なくとも金属
製関節接合面を被覆するのに適している。合金成
分は、被覆層を硬くするために入れられるが、上
述したように、使用中に硬くなる作用があるから
この点について留意すべきである。 本発明による骨関節補綴は潤滑液がある状態で
もまたこれのない状態でも用いることができる。
ここでいう潤滑液のない状態というのは勿論、人
為的に入れられる潤滑液のない状態のことであ
る。 本明細書では骨関節補綴を股関節に関連させて
主として述べたが、本発明はもつと複雑な動的機
能を有する例えばひざやひじの一部又は全部の代
替物の補綴にも同じように使用しうる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ステンレスチール、ステライトあるいはチタ
   ン製の基礎材の少なくとも一部の表面に、白金族
   金属あるいは合金からなる層状物が被覆された金
   属製骨補綴。 ２ 前記基礎材には、全表面に前記層状物が覆わ
   れる特許請求の範囲第１項記載の金属製骨補綴。 ３ 前記層状物は、厚さが0.005〜0.05インチの
   範囲内にある特許請求の範囲第１項記載の金属製
   骨補綴。 ４ ステンレスチール、ステライトあるいはチタ
   ン製の基礎材を準備し、 この基礎材を陰極とし、白金族金属あるいは合
   金を陽極として熔融塩電解液に浸して、該基礎材
   の少なくとも一部の表面に電気メツキで該白金族
   金属あるいは合金の層状物を前記基礎材に被覆す
   る金属製骨補綴の製造法。