JPS6139842Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、自動車のテイルト・ギヤブに使用
される油圧シリンダに関する。

一般に、この種の油圧シリンダは、シヤシ・フ
レーム側にピン連結されるシリンダと、そのシリ
ンダの内側に往復摺動可能に配置され、先端がテ
イルド・キヤブ側にピン連結される操作ロツド
と、そのシリンダ内で、その操作ロツドの後端側
に取り付けられるピストンなどよりなり、オイ
ル・ポンプからそのシリンダ内に供給される圧油
によつて、そのテイルト・キヤブをテイルトさせ
得るように構成されてきている。

勿論、そのようにして供給される圧油によつ
て、その操作ロツドを適正に摺動させ得るために
は、そのシリンダの内周面をできるだけ滑らかに
成形することが望ましい。

従つて、既存のシリンダは、内周面を滑らかに
するために、ホーニング加工、ローラを使用した
引き抜き加工などが施されていた。

しかし、この種の加工方法は、一般に煩雑であ
り、しかも、生産コストが高くなる傾向にあつ
た。

この考案の目的は、煩雑は加工を施すことな
く、シリンダの内周面を滑らかにして、操作ロツ
ドの往復摺動を適正にし、かつ、構造が簡単で、
生産コストが低廉であり、しかも、テイルト・キ
ヤブがスプリングによつて完全にフローテイング
状態に置かれるような形態を採用する自動車にお
いてのロスト・モーシヨン、すなわち、そのテイ
ルト・キヤブが常態に置かれているときのその操
作ロツドの自由往復摺動を可能にする自動車のテ
イルト・キヤブに使用される油圧シリンダの提供
にある。

そのために、この考案の自動車のテイルト・キ
ヤブに使用される油圧シリンダは、シリンダと、
そのシリンダの内側に往復摺動可能に配置される
操作ロツドと、そのシリンダ内で、その操作ロツ
ドの一端側に取り付けられ、かつ、そのシリンダ
の内周面に対して僅かな隙間を保ち、圧油の流れ
を可能にするように、外径が、そのシリンダの内
径よりも小さくされたピストンと、その操作ロツ
ドがそのシリンダ内に引つ込められている状態に
おいて、そのピストンの外径とほぼ同一の内径を
もつて、そのピストン付近を除くそのシリンダの
内周面に設けられ、合成樹脂からなるライナとを
含んでいる。

以下、この考案に係る自動車のテイルト・キヤ
ブに使用される油圧シリンダの望ましい具体例に
ついて、図面を参照して説明する。

第１およびび２図は、キヤブ・オーバ型トラツ
クに使用されたこの考案の自動車のテイルト・キ
ヤブに使用される油圧シリンダの具体例１０を示
している。

その自動車のテイルト・キヤブに使用される油
圧シリンダ１０は、シリンダ１１と、そのシリン
ダ１１の内側に往復摺動可能に配置される操作ロ
ツド１２と、そのシリンダ１１内で、その操作ロ
ツド１２の一端側に取り付けられ、かつ、そのシ
リンダ１１の内周面に対して僅かな隙間を保ち、
圧油の流れを可能にするように、外径が、そのシ
リンダ１１の内径よりも小さくされたピストン１
３と、その操作ロツド１２がそのシリンダ１１内
に引つ込められている状態において、そのピスト
ン１３の外径とほぼ同一の内径をもつて、そのピ
ストン１３付近を除くそのシリンダ１１の内周面
に設けられ、合成樹脂からなるライナ１４とより
構成されている。

そのシリンダ１１は、一端側に圧油ポート２
５，２６を備え、さらに、その一端側における内
側には、その圧油ポート２５，２６に連結された
バルブ・チヤンバ（図示せず）が形成されたもの
で、そのバルブ・チヤンバにはチエツク・バルブ
（図示せず）、および、パイロツト・バルブ（図示
せず）がそれぞれ組み込まれている。

勿論、その圧油ポート２６側は、連通パイプ２
７を介して、そのシリンダ１１の他端側における
内側に連絡されている。

従つて、その圧油ポート２５または２６に選択
的に供給される圧油が、そのシリンダ１１の一端
側における内側、または、他端側における内側に
送られるように構成されている。

そのシリンダ１１において、上述したように一
端側に組み込まれるチエツク・バルブ、パイロツ
ト・バルブなどの構成は、既存の油圧シリンダに
おけるそれらと同様であるため、それらの構成の
説明は省略する。

勿論、既存の油圧シリンダにおいて、シリンダ
には、内周面を円滑にするためのホーニング加
工、ローラを使用した引き抜き加工などが施され
るが、この考案に係る自動車のテイルト・キヤブ
に使用される油圧シリンダ１０におけるシリンダ
１１の内周面には、後述するライナ１４が設けら
れるため、それらの加工を施すことは省略され
る。

また、そのシリンダ１１の一端には、キヤブ・
オーバ型トラツクにおけるシヤシ・フレーム（図
示せず）側にピン連結されるためのピン孔２３が
形成されていること勿論であり、そのピン孔２３
内には、ベアリング２９が嵌め込まれている。

そのように構成されるシリンダ１１の内側に
は、操作ロツド１２が往復摺動可能に配置されて
いる。

勿論、その操作ロツド１２は、そのシリンダ１
１の他端におけるストツプ・リング２８から外側
に突出され得るように、そのシリンダ１１内に配
置される。

そのシリンダ１１内において、その操作ロツド
１２の一端側には、ピストン１３が使り付けられ
ている。

そのピストン１３は、そのシリンダ１１の内周
面に対して僅かな隙間を保ち、圧油の流れを可能
にするように、外径が、そのシリンダ１１の内径
よりも小さく成形されたもので、外周には、リン
グ溝１７，１８が軸方向に適宜の間隔を置いてそ
れぞれ形成され、そのリング溝１７，１８には、
Ｏリング１９，２０がそれぞれ嵌め込まれてい
る。

勿論、そのＯリング１９，２０の外周部分は、
そのようなリング溝１７，１８への嵌め込み状態
において、そのピストン１３の外周面から僅かに
突出されるが、そのＯリング１９，２０の外周面
とそのシリンダ１１の内周面との間には、圧油の
流れを可能にするような僅かな隙間を保つように
構成されている。

すなわち、そのＯリング１９，２０の外径は、
そのピストン１３の外径よりも大きく、かつ、そ
のシリンダ１１の内周面に対しては、圧油の流れ
を可能にするように、そのシリンダ１１の内径よ
りも僅かに小さく成形されている。

勿論、その操作ロツド１２の一端側外周には、
リング溝１５が形成され、そのリング溝１９に
は、そのピストン１３の内周面との良好な密閉状
態を維持するためのＯリング１６が嵌め込まれて
いる。

また、その操作ロツド１２において、そのシリ
ンダ１１のストツプ・リング２８から外側に突出
された他端には、そのキヤブ・オーバ型トラツク
におけるキヤブの下方部分側にピン連結されるた
めのピン孔２４が形成され、そのピン孔２４内に
は、ベアリング３０が嵌め込まれている。

さらに、上述したシリンダ１１の内周面には、
ライナ１４が設けられている。

すなわち、そのライナ１４は、耐油性、耐摩耗
性に優れた合成樹脂からなるもので、その操作ロ
ツド１２がそのシリンダ１１内に引つ込められて
いる状態において、そのピストン１３付近を除く
そのシリンダ１１の内周面に、そのピストン１３
の外径とほぼ同一の内径をもつて、コーテイング
されている。

勿論、そのようにしてシリンダ１１の内周面に
合成樹脂のコーテイングを施す場合には、そのス
トツプ・リング２８、および、その操作ロツド１
２は、そのシリンダ１１から外された状態で行な
われる。

従つて、上述のようにしてシリンダ１１の内周
面に合成樹脂のコーテイングを施すことによつて
ライナ１４が形成され、そのシリンダ１１内にそ
の操作ロツド１２が往復摺動可能に配置され、さ
らに、そのシリンダ１１の一端に、そのストツ
プ・リング２８が取り付けられるならば、その操
作ロツド１２がそのシリンダ１１内に引つ込めら
れている状態において、そのピストン１３は、そ
のライナ１４と接触しない。

換言するならば、そのような状態において、そ
のピストン１３の外周面とそのシリンダ１１の内
周面との間には、圧油の流れを可能にするような
隙間が形成されているため、その操作ロツド１２
の僅かな上下往復摺動が可能になる。

勿論、その操作ロツド１２を押し出すように、
圧油ポート２５に圧油が供給され、そのシリンダ
１１の一端側にその圧油が作用すれば、その圧油
の一部がそのピストン１３の外周面とそのシリン
ダ１１の内周面との間の隙間を流れながら、その
ピストン１３は、そのライナ１４側に持ち上げら
れる。

すなわち、その操作ロツド１２の一端は、その
シリンダ１１の一端内側に組み込まれたチエツ
ク・バルブに載せられ、そのような状態において
は、圧油が作用する受圧部分は、その操作ロツド
１２の一端における一部分であるが、その圧油に
よつてその操作ロツド１２が僅かに押し上げられ
れば、その操作ロツド１２の一端における全面、
および、そのピストン１３の端面が受圧部分とな
り、全体としての受圧面積が大きいことから、圧
油の一部がそのピストン１３の外周面とそのシリ
ンダ１１の内周面との間を流れながらも、その操
作ロツド１２は上方に押し上げられる。

勿論、そのようにして操作ロツド１２が押し上
げられ、所定の位置に達すると、そのピストン１
３は、そのライナ１４の内周面と接触する。

従つて、そのピストン１３の外周面とそのライ
ナ１４の内周面との間における実質的な圧油の洩
れがなくなつた状態で、その操作ロツド１２は、
押し上げられ続ける。

また、そのライナ１４の一端における内周部分
２２は、ピストン１３の摺動を円滑にするため、
テーパー状に形成されることが望ましい。

さらに、上述したようにしてライナ１４をその
シリンダ１１の内周面にコーテイングする場合、
そのシリンダ１１の内周面において、コーテイン
グが施される部分としてのコーテイング溝２１を
予め形成しておけば、そのライナ１４の肉厚を厚
くすることができ、十分な強度が得られ、しか
も、コーテイング作業が容易になる。

また、そのライナ１４は、そのようにしてコー
テイングされる以外、予め、合成樹脂から成形さ
れたものをそのシリンダ１１内に嵌め込むもので
もよい。

次に、キヤブ・オーバ型トラツクに適用された
この考案の自動車のテイルト・キヤブに使用され
る油圧シリンダ１０の動作について説明する。

上述のように構成された油圧シリンダ１０にお
いて、シリンダ１１の一端におけるベアリング２
９の部分は、そのキヤブ・オーバ型トラツクのシ
ヤシ・フレーム側にピン連結され、また、操作ロ
ツド１２の他端におけるベアリング３０の部分
は、キヤブの下方部分側にピン連結される。

さらに、圧油ポート２５，２６は、油圧配管
（図示せず）を介してオイル・ポンプ（図示せ
ず）側に接続される。勿論、その油圧配管には、
レバー操作によつて圧油の流れを選択的に変える
切換えバルブ（図示せず）が設けられる。

勿論、そのキヤブ・オーバ型トラツクにおける
キヤブは、前方部分がスプリングを介して支持さ
れ、また、後方部分において常態にロツクするキ
ヤブ・ロツク装置（図示せず）が、スプリングを
介してシヤシ・フレーム側に取り付けられ、いわ
ゆる、完全にフローテイングされた状態に置かれ
ている。

そのようなキヤブが常態に置かれているとき、
その操作ロツド１２は、そのシリンダ１１内に引
つ込められている。

すなわち、そのような状態において、その操作
ロツド１２の一端に取り付けられたピストン１３
の外周面とそのシリンダ１１の内周面との間に
は、圧油の流れを可能にする隙間が形成されてい
るため、その操作ロツド１２の僅かな上下往復摺
動が可能になり、いわゆるロスト・モーシヨンが
許容される。

従つて、走行時におけるシヤシ・フレーム側の
振動が、その操作ロツド１２を介して、そのキヤ
ブ側に伝播されず、乗り心地が向上される。

また、その切換えバルブのレバーをテイルト動
作側に操作すれば、そのキヤブはテイルトされ
る。

すなわち、その操作ロツド１２を押し出すよう
に、圧油ポート２５に圧油が供給され、そのシリ
ンダの一端側にその圧油が作用すれば、その圧油
の一部がそのピストン１３の外周面とそのシリン
ダ１１の内周面との間の隙間を流れながら、その
ピストン１３はライナ１４側に持ち上げられる。

そのようなピストン１３の動作中において、そ
のピストン１３がそのライナ１４と接触すると、
そのピストン１３の外周面とそのライナ１４の内
周面との間での実質的な圧油の洩れがなくなり、
その操作ロツド１２は適正な状態で押し出され、
そのキヤブがテイルトされる。

勿論、そのキヤブをテイルト状態から常態に戻
す場合には、切換えバルブのレバーを逆方向に操
作し、上述した動作と逆に動作され、そのキヤブ
は常態に戻される。

如上の構成になるこの考案によれば、煩雑な加
工を施すことなくシリンダの内周面を滑らかにし
て、操作ロツドの往復摺動が適正に行なわれ、か
つ、構造が簡単で、生産コストが低廉であり、し
かも、テイルト・キヤブがスプリングによつて完
全にフローテイング状態に置かれるような形態を
採用する自動車においてのロスト・モーシヨン、
すなわち、そのテイルト・キヤブが常態に置かれ
ているときのその操作ロツドの自由往復摺動が可
能になる自動車のテイルト・キヤブに使用される
油圧シリンダが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はキヤブ・オーバ型トラツクに適用され
たこの考案に係る自動車のテイルト・キヤブに使
用される油圧シリンダの具体例を示す一部を断面
にした正面図、第２図はこの考案に係る自動車の
テイルト・キヤブに使用される油圧シリンダの具
体例を示す部分拡大縦断面図である。 １０……自動車のテイルト・キヤブに使用され
る油圧シリンダ、１１……シリンダ、１２……操
作ロツド、１３……ピストン、１４……ライナ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シリンダと、 そのシリンダの内側に往復摺動可能に配置され
   る操作ロツドと、 そのシリンダ内で、その操作ロツドの一端側に
   取り付けられ、かつ、そのシリンダの内周面に対
   して僅かな隙間を保ち、圧油の流れを可能にする
   ように、外径が、そのシリンダの内径よりも小さ
   くされたピストンと、 その操作ロツドがそのシリンダ内に引つ込めら
   れている状態において、そのピストンの外径とほ
   ぼ同一の内径をもつて、そのピストン付近を除く
   そのシリンダの内周面に設けられ、合成樹脂から
   なるランナとを含む自動車のテイルト・キヤブに
   使用される油圧シリンダ。