JP7075325B2 - 緩衝ストッパ - Google Patents

Description

本発明は、緩衝ストッパに関する。

緩衝ストッパは、例えば自動車等車両のステアリング装置におけるステアリングラックおよびラックハウジング間に装着され、ステアリング装置の作動時、緩衝作用を発揮しながらステアリングラックの変位を停止させる機能を発揮する。

図４に示すように緩衝ストッパ１は、ステアリングラック５１の端面５２およびこの端面５２に対向するラックハウジング６１の端面６２ならびに同ラックハウジング６１の外周壁６３によって三方を囲まれる装着空間７１に装着される円筒状のゴム状弾性体１１を備え、このゴム状弾性体１１の一方の端部にステアリングラック５１の端面５２に接触するラック側金具２１が取り付けられ、ゴム状弾性体１１の他方の端部にラックハウジング６１の端面６２に接触するハウジング側金具３１が取り付けられている。

特開２０１７－７７８７４号公報

上記緩衝ストッパ１は、ステアリングラック５１の変位に伴う衝撃荷重の入力に対しゴム状弾性体１１の圧縮バネ（線形領域）およびラックハウジング６１への体積充満（非線形領域）により衝突エネルギーを受容（吸収）する緩衝機能を発揮する。

このため、設定の狙いとする受容エネルギー量およびストローク制御に応じて、ゴム状弾性体１１の外周面に図５に示すような凹部１２を設けて外周壁６３との間に隙間空間を設けることが行なわれているが、緩衝ストッパ１に対し高荷重が入力する環境下においては、これら両者（受容エネルギー量およびストローク制御）を高いレベルで実現することが必要とされる。

しかしながら従来は、このような要求に対して緩衝ストッパ１のサイズを拡大することで対応しており、一方、緩衝ストッパ１を設置する設置スペースには一定の制約があるため、緩衝ストッパ１を適切に設計することについて苦慮している。

そこで従来、図６および図７に示すようにゴム状弾性体１１の外周面にくぼみ１３を設け、このくぼみ１３にゴム状弾性体１１よりも剛性の高い摺動リング４１を組み込み、この摺動リング４１による摺動抵抗とリング拡径剛性を利用することにより、圧縮バネ特性を改良する技術が開発されている。

しかしながらこの技術によると、緩衝ストッパ１の構成部品ではないラックハウジング６１の外周壁６３に対し摺動リング４１が摺動するため、発生する摺動抵抗の大きさが専らラックハウジング６１の材質や外周壁６３の面性状に依存することになり、よって発生する摺動抵抗の大きさを適切に調整することが困難になっている。

本発明は、摺動リングの摺動により発生する摺動抵抗の大きさを適切に調整しやすい構造を備える緩衝ストッパを提供することを課題とする。

上記課題を解決するため、本発明の緩衝ストッパは、円筒状に形成され、可動部材の端面および前記端面に対向する静止部材の端面ならびに前記静止部材の外周壁によって三方を囲まれる装着空間に装着されるゴム状弾性体と、前記ゴム状弾性体の外周面に設けられたくぼみと、前記くぼみに組み付けられた摺動リングと、前記外周壁に設けた装着溝に組み付けられ、前記摺動リングに対し摺動可能に接触する摺動ライナーと、を備えることを特徴とする。

また、実施の態様として、上記記載の緩衝ストッパにおいて、前記摺動リングは、前記ゴム状弾性体よりも高剛性の材質よりなり、前記摺動ライナーは、前記摺動リングよりも高剛性でかつ前記静止部材よりも低剛性の材質よりなることを特徴とする。

本発明では、上記構成により、摺動リングの摺動により発生する摺動抵抗の大きさを適切に調整しやすい構造を備える緩衝ストッパを提供することができる。

実施の形態に係る緩衝ストッパの装着状態を示す断面斜視図 同緩衝ストッパの装着状態を示す要部断面図 同緩衝ストッパの緩衝特性を示すグラフ図 背景技術に係る緩衝ストッパの装着状態を示す断面斜視図 同緩衝ストッパの装着状態を示す要部断面図 背景技術に係る緩衝ストッパの装着状態を示す断面斜視図 同緩衝ストッパの装着状態を示す要部断面図

実施の形態に係る緩衝ストッパは、自動車等車両のステアリング装置におけるステアリングラックおよびラックハウジング間に装着され、ステアリング装置の作動時、緩衝作用を発揮しながらステアリングラックの変位を停止させる機能を発揮する。

図１および図２に示すように実施の形態に係る緩衝ストッパ１は、以下のように構成されている。

すなわち、ステアリングラック５１の端面５２およびこの端面５２に対向するラックハウジング６１の端面６２ならびに同ラックハウジング６１の外周壁６３によって三方を囲まれる環状の装着空間７１に装着される円筒状のゴム状弾性体１１が設けられ、このゴム状弾性体１１の一方の端部にステアリングラック５１の端面５２に接触する内周円筒２２付きの環状のラック側金具（スリーブ）２１が取り付けられ、ゴム状弾性体１１の他方の端部にラックハウジング６１の端面６２に接触する環状のハウジング側金具３１が取り付けられている。

ゴム状弾性体１１の外周面に環状のくぼみ１３が設けられ、このくぼみ１３に摺動リング４１が組み付けられている。

摺動リング４１は、ゴム状弾性体１１よりも剛性の高い材質によって形成され、またゴム状弾性体１１よりなるくぼみ１３の内面に摩擦による摩耗が発生しにくいように、摩擦抵抗が小さく摩擦係数が小さい材質によって形成されている（例えば、ＰＯＭまたはナイロンなど）。摺動リング４１の材質を選定するに際しては、衝撃荷重の入力（ゴム圧縮変形）に耐えることができる材料であること（高強度樹脂など）、および摩擦が小さくゴム部への損傷影響が小さい材料であること、が目安とされる。

また、ラックハウジング６１の外周壁６３に、くぼみ１３の位置に対応して環状の装着溝６４が設けられ、この装着溝６４に摺動ライナー４２が組み付けられている。

摺動ライナー４２は、摺動リング４１よりも剛性が高くかつラックハウジング６１の外周壁６３よりも剛性が低い材質によって形成されている（例えば、黒鉛含有焼結材またはアラミド繊維含有樹脂など）。摺動ライナー４２の材質を選定するに際しては、ラックハウジング６１や摺動リング４１側との摩擦力が大きい材料であること、が目安とされる。

また、摺動ライナー４２は、装着溝６４への装着が容易となるよう、円周上一箇所でカットされたスリット付きリング体として形成されている。

上記構成を備える緩衝ストッパ１においては、ゴム状弾性体１１のくぼみ１３に組み付けられた摺動リング４１が、ラックハウジング６１の外周壁６３に対し摺動するのでなく摺動ライナー４２の内周面に対し摺動する。摺動ライナー４２は、特定の材質よりなる摺動リング４１と摺動することを予定され、摺動リング４１の材質に見合った材質により形成されているので、このような摺動ライナー４２に対し摺動リング４１を摺動させることで、摺動時に発生する摺動抵抗の大きさをあらかじめ調整することができる。

したがって上記構成の緩衝ストッパ１によれば、摺動リング４１による摺動抵抗とリング拡径剛性を利用することにより圧縮バネ特性を改良したうえで更に、摺動時に発生する摺動抵抗の大きさを適切に調整することができることになる。

図３のグラフ図において、ラインＡは上記図４に示した摺動リングを備えないタイプの緩衝ストッパ１の緩衝特性を示し、これに対しラインＢは当該実施の形態に係る緩衝ストッパ１の緩衝特性を示している。この両ラインＡ，Ｂの比較から判るように上記構成の緩衝ストッパ１によれば、摺動リング４１による摺動抵抗とリング拡径剛性を利用することにより圧縮バネ特性を改良（高バネ化）することができ、しかもそのうえで摺動時に発生する摺動抵抗の大きさを適切に調整することができることになる。

また、上記構成の緩衝ストッパ１においては、凹凸の嵌め込みによる変位量規制構造を摺動リング４１および摺動ライナー４２間に設けることが考えられる。そしてこの場合には、摺動ライナー４２がラックハウジング６１に設けた装着溝６４に組み込まれているので、緩衝ストッパ１全体をラックハウジング６１に対し抜け止めすることが可能とされる。

１ 緩衝ストッパ
１１ ゴム状弾性体
１２ 凹部
１３ くぼみ
２１ ラック側金具（可動部材側金具）
２２ 内周円筒
３１ ハウジング側金具（静止部材側金具）
４１ 摺動リング
４２ 摺動ライナー
５１ ステアリングラック（可動部材）
５２，６２ 端面
６１ ラックハウジング（静止部材）
６３ 外周壁
６４ 装着溝
７１ 装着空間

Claims (2)

1. 円筒状に形成され、可動部材の端面および前記端面に対向する静止部材の端面ならびに前記静止部材の外周壁によって三方を囲まれる装着空間に装着されるゴム状弾性体と、
   前記ゴム状弾性体の外周面に設けられたくぼみと、
   前記くぼみに組み付けられた摺動リングと、
   前記外周壁に設けた装着溝に組み付けられ、前記摺動リングに対し摺動可能に接触する摺動ライナーと、
   を備えることを特徴とする緩衝ストッパ。
2. 請求項１記載の緩衝ストッパにおいて、
   前記摺動リングは、前記ゴム状弾性体よりも高剛性の材質よりなり、
   前記摺動ライナーは、前記摺動リングよりも高剛性でかつ前記静止部材よりも低剛性の材質よりなることを特徴とする緩衝ストッパ。

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